イキイキと生きる!

縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

大きな変化の中の小さな一歩(8/10 五感と喜怒哀楽)

2021-05-30 | 第二章「五感と体感」

コロナ禍で家に閉じこもっているばかりではいけないと散歩をしても気が晴れないので、先日車で町田市の薬師池公園に行った。もう20年近く前から訪れ大好きだった場所だけに、2時間程度の散策であったが心が本当に開放された。野生のカワセミのつがいやアオサギを見ていると、自分の中の野生の感覚が戻るというのだろうか。動物だけでなく美しいアヤメやアジサイ、ウツギを愛でたりハンノキ等の樹木に触れることで何かが変わる。この公園の中には役行者のころからの薬師堂もありこの辺りが祈り地であることも何か嬉しくなる。

カワセミのつがいを同時に写真で撮れなかったが、愛好家の話によると近くに巣があってヒナを育てているとのこと。生きるために餌を捕獲する真剣さを見ると何か手を合わせたくなる。

コロナ禍も2年目を迎え、変異種の拡大の中でのオリパラやワクチン接種。その対応をめぐっての報道を見るたびにストレスがたまる毎日である。今回は世界の問題でもあり、日本の実力も透けて見えるので、さらに心穏やかにはなれない。なんでこんな国になってしまったのか、あるいはしてしまったのか。

ふと10年前の3.11での原発事故も思い出す。あのときも天災というより人災という分析がされたのに、反省もなく同じような危機管理の問題が露呈されている。人の批判は何かむなしいので私は、3.11の後に意識を変え行動を変えようと努力した。こうしたいというはっきりとしたものが初めにあったわけではないが、自分の軌跡を振り返ると自分のなじみのある地元というか地域を大切にしはじめた。地域の歴史や育った場所の歴史から始まり、いつの間にか縄文時代まできてしまい地元を中心にした縄文時代の小説まで書いた。

縄文時代からの心優しき伝統や文化。言霊文化もあるし所謂甘えの構造といった文化の謎も少しだけ分かってきたようだ。U先生の生き甲斐の心理学は本当にありがたい。

そんな中で、今回のような公園散策と同じように、五感を通して見えてくる、あるいは聞こえてくるものなどが変わってきているように感じていた。そして知覚の変化は3.11のころだけではなく、生涯発達心理学でいうところの青年後期の17-23歳のころにも同じようなことがあった。

1970年前後の当時は太平洋戦争から25年前後という時代であったので、大学や社会には旧制高校などの学問の美風が残っており、私達の世代も結構哲学など一見この世に関係しないような勉強を真面目にしたものだ。しかし、よく考えてみると西欧でも日本でも学問所はキリスト教の神学や仏教の哲学を学ぶところから始まる。そして、大学の歴史などはそこから文化系や理工系、医療系などに広がっていくのだ。もちろん昔も今もそれが社会に役立つわけであるから、実学の基本は一見役に立たないように見える宗教・哲学の分野なのである。そして、学園紛争や三島事件といった1970年前後から日本は経済成長を遂げる。そういった1970年前後の時代に青春後期を迎えた私にとって、知覚が変わる経験というのはなんだったのか。

20歳のころ、学生の夏休みに父の実家で葡萄畑の手伝いをした時のことを思い出す。当時は公害なども酷い時代であったが、そんな中でも葡萄畑の中を自転車で飛んでくる蝉を蹴散らしながら走るときの爽快さ。その時の知覚の変化の中で、何となく青春期特有の善への憧れが実をつけ始める。

今また、コロナ禍の時代にいるわけであるが、こうした時代だからこそ何かが始められるのではないだろうか。因みに縄文中期が終わり後期になる4300年前と3500年前ころに大きな気候変動があったのではないかという説がある。こうした時代に生きた先祖たちの努力の結晶は考古学資料などからはっきり分からないまでも大きな変化として現れている。先祖は何を語ろうとしていたのだろうか。どのような小さな一歩から始めたのであろうか。

8/10 五感と喜怒哀楽

にほんブログ村 ライフスタイルブログ 生き方へ <・応援いつも感謝しています!

 ------------------------------------------------------------

縄文中期の関東・中部地方を中心にした愛と魂の物語です。

「縄文小説 森と海と月 ~五千年前の祖先の愛と魂~」購入方法

1.紙の本の入手については・・・

  四ツ谷サンパウロさんへ 定価(1,500円+税)送料別。

  電話:03-3357-8642(書籍・視聴覚)

    住所:〒160-0004 東京都新宿区四谷1-2  

2.電子書籍版は定価(1,000円)でアマゾンさんで、

  Kindle unlimitedなどの特典で無料でも読めます。 

     サンプルもあります。

 
       縄文小説 森と海と月   五千年前の祖先の愛と魂
       森 裕行

       なお、カスタマーレビューを書いていただけると励みになります!

       私の電子書籍は現在この縄文小説だけです。同姓同名の方の

       著作がありますのでご注意ください。

 --------------------------------------------------------

 

 


こんな時期に元気になるには・・(7/10 五感と喜怒哀楽)

2021-05-24 | 第二章「五感と体感」

何となく暗い世相であり、張り切って何かをしにくい感じ。今月中旬はワクチン接種をしたこともあり、体調もここ一つだったこともあるのか、暗い世相でいつの間にか暗くなりやる気をいよいよ失って行ったようだ。こうしたときは自分を大事にして、身体を大事にする(運動や節制も大事)、魂を大事にする(宗教や哲学の領域)、生育史からなるこころを大事にする(自分なりの元気を意識)必要があるのだと思う。

U先生の「生き甲斐の心理学」の中から、次回の勉強会にも関係あるのでストレス曲線(不安感、怒り、身体症状、鬱、錯乱)について振り返っていたら、一つのことを思い出した。不安感の中でも、人はある条件でとても元気に張り切れることがあることだ。短いような長いような人生であるが、振り返ってみると、創造的で困難の中でも人生が開けて行った時期もあるが、逆にこれといった不幸があったわけではないのにダラダラとして停滞したりうまくいかない時期もあった。

一日の中で、暗い感情と明るい感情が実にめまぐるしく交差し、不安感も食事に欠かせない調味料やハープのように作用する。私の場合は20歳の前半や30歳前・・などなど。そして、その時のことで思い当たることが。溌剌としている時期は最近はやりの自己肯定感もベースにあるが、合わせて他者肯定感も含まれバランスが良い時期ではないか。自他肯定的な方向性を持っているときは、不安感が明るい感情と間違えるほどだ。

さて、自他肯定的な方向性は思考・思想の問題が大きいが、五感に左右される部分も実に大きい。例えば仕事をする時の環境。聴覚からすると下手なバックグラウンドミュージックより静寂や小鳥のさえずりが聞こえるほうが私には良いようだ。テレビをずっとつけて暗いニュースなどをバックグラウンドにしていると、何となく繰り返される他者否定的な雰囲気で元気が吸い取られる気がする(もちろん人によってだと思うが)。読書も音楽も絵画も映画もテレビ・ドラマも・・もちろん散歩のコースや時間帯も自他肯定的な方向性と関係するようだ。

東洋的に言うと良い気が流れる・・そんな環境を意識すると、自他肯定的に持って行きやすく、こころが整い身体に力が湧き起こってくる。

7/10 五感と喜怒哀楽

にほんブログ村 ライフスタイルブログ 生き方へ <・応援いつも感謝しています!

 ------------------------------------------------------------

縄文中期の関東・中部地方を中心にした愛と魂の物語です。

「縄文小説 森と海と月 ~五千年前の祖先の愛と魂~」購入方法

1.紙の本の入手については・・・

  四ツ谷サンパウロさんへ 定価(1,500円+税)送料別。

  電話:03-3357-8642(書籍・視聴覚)

    住所:〒160-0004 東京都新宿区四谷1-2  

2.電子書籍版は定価(1,000円)でアマゾンさんで、

  Kindle unlimitedなどの特典で無料でも読めます。 

     サンプルもあります。

 
       縄文小説 森と海と月   五千年前の祖先の愛と魂
       森 裕行

       なお、カスタマーレビューを書いていただけると励みになります!

       私の電子書籍は現在この縄文小説だけです。同姓同名の方の

       著作がありますのでご注意ください。

 --------------------------------------------------------


猫は今のコロナ禍をどう見ている?(6/10 五感と喜怒哀楽)

2021-05-21 | 第二章「五感と体感」

縄文時代という余り分かっていない時代の小説を書こうとしている中で、夏目漱石の「吾輩は猫である」を読み始めているのだが、とても勉強になる。私も含めて日本人は比較文化的な見方がどうも弱い。その中で厳しい英国留学を経験した漱石先生の吾輩は猫は、私達の日常と猫のパラレルワールド?を描いていて、本当に参考になる。

たとえば、先生(吾輩の主人)の子供二人が当時貴重だった砂糖を皿の上に出してなめようとしているときに、姉と妹が公平に砂糖にありつこうと皿に公平になるようにスプーンで出していたら、先生に見つかり戻されるシーンがある。その時の次の言葉。「・・・人間は利己主義から割り出した公平という念は猫よりまさっているかもしれぬが、知恵は猫より劣っているようだ。・・・」

今の世のワクチン騒ぎや五輪騒ぎ。コロナ禍という異常事態というか大きな変化というか、そういうときの混乱は、社会人として仕事をしてきた人にとってはどこか思い当たるようなふしがあるだろうし、賛否は別に為政者に対して感情移入するのは当然なのだと思う。そして、それを見つめる別の視点。

五感を大事にし、神のうちにいる猫(前回のブログ)には、砂糖をすぐになめるという幸福への道は明らかで(味覚は幸福感に一番近いかも)あり、人間社会のへんな不幸への道が悲しくみえるのだろう。しかし、人も7歳までは神のうちで、自分の心を静観すれは猫の真実へ眼も持ち合わせているはずなのに。

さて、こころの中の世界について。U先生の「生き甲斐の心理学」では人格形成論を学び、自分の生育史をいろいろ吟味する。そんな中の過去の記憶。だいたいにおいて記憶(あるシーン)は五感と結びついて保存されているようだが、その原材料に私は何か物語をつけて自らを打ち立てているようである。幸福な物語や悲しい物語を作って、それを現在に活かしているようなのだが、五感に基づいた記憶は物語に従属するものではなく、あるとき(例えば年をとってから)五感に基づいた記憶は別の物語に再構成されることがあるようだ。

例えば私の18歳の高校時代の時のあのシーン。何故、そのシーンが記憶されているかは実に神秘的であるが、それは当時の自分の感情とも結びついて初めは記憶されたのだろう。感情というのは多様でつかみどころがないようであるが、仮に分解でき分析できるものとするといろいろと見えてくる。

虹は希望を表すようで7色から成り立つと日本人の多くは考えるが、ある本を読んでいたら、時代により文化によりまったく違うように解釈されているらしい。7色ではなく3色だったり、希望ではなく不吉な予兆だったり。

高校生の時のあの記憶(シーン)。あのときの感情は、虹のように分けると劣等感、罪悪感、アイデンティティの喪失、・・・だったか。ただ、今の私はそのシーンを当時と異なる角度で思い出せる。年を経て経験を積み、あるいは生き甲斐の心理学を学ぶ中で、今では罪悪感や劣等感が拭われ、それから先の自分の人生も知っているので自己混乱感もさほどではない。しかし、何故か思い出すそのシーン。

今のコロナ禍の中で、私達も3.11と同じかそれ以上の危機の中にいるのかもしれない。縄文時代の後期になると、環状集落は離散し、恐らく何らかの悲劇が覆い、地域を縁に強力なアイデンティティ、絆を作った時代でもあったのではと思う。ひょっとしたら、そんな時代と今は重なるのかもしれない(また、妄想か)。

そのシーンを今思い出すのは、自分が今生きるための新たな物語との関係なのかもしれない。年をとったものの責任といったこともあろう。

6/10 五感と喜怒哀楽

にほんブログ村 ライフスタイルブログ 生き方へ <・応援いつも感謝しています!

 ------------------------------------------------------------

縄文中期の関東・中部地方を中心にした愛と魂の物語です。

「縄文小説 森と海と月 ~五千年前の祖先の愛と魂~」購入方法

1.紙の本の入手については・・・

  四ツ谷サンパウロさんへ 定価(1,500円+税)送料別。

  電話:03-3357-8642(書籍・視聴覚)

    住所:〒160-0004 東京都新宿区四谷1-2  

2.電子書籍版は定価(1,000円)でアマゾンさんで、

  Kindle unlimitedなどの特典で無料でも読めます。 

     サンプルもあります。

 
       縄文小説 森と海と月   五千年前の祖先の愛と魂
       森 裕行

       なお、カスタマーレビューを書いていただけると励みになります!

       私の電子書籍は現在この縄文小説だけです。同姓同名の方の

       著作がありますのでご注意ください。

 ----------------------------------------------------------


犬も猫も神のうち(5/10 五感と喜怒哀楽)

2021-05-13 | 第二章「五感と体感」

コロナのワクチン接種をしたためか何となくだるくゴロゴロとして過ごしている。ワクチンの賛否両論はじっくり調べたが、まだ仕事を抱えていることもあり、さっさと受けた。さて、こうしたミニ・体調不良の状態の中で、今日は真善美、特に真理のことを考えている。

真理というと科学のことをかつては考えがちの私であったが、比較宗教学、比較文化論をベースとしたU先生の生き甲斐の心理学を学んできたので、普通に言われる真理とはちがったことを考えるようになってきている。写真は我が家の愛犬の8年前の姿である。当時は孫を含んだ家族で愛しんだものだ。そして、愛犬だけでなく、近くの動物園にも良く行った。「生き甲斐の心理学」では人格形成理論を学ぶ。その中の一つカールロジャースの19の命題についても動物園で荒れ狂うシマウマを観察しながら思索したりした。多くの動物も複雑な人間までは行かないとしても命題1~7くらいまでは当てはまるのではないかというのが当時の印象であった。動物も幼児と同じような部分を多分に持っているのだ。

孫や動物と接していると、何かこころが和む。日本には「七歳までは神のうち」ということわざがあり、幼児を大切にしてきた長い長い文化があるようである。そのため、私も小さい頃は両親や祖父母から大切にされたように思う。幼子、そしてロジャースの人格形成論からすると多くの動物(当然、猫ちゃんや犬ちゃんも)や生き物も何か神のうち・・・ではないだろうか。これは、とっつきにくい人格形成理論もあるかもしれないが、動物は慈しみの対象であると同時に衣食住の糧でもあり、生き物をどう扱いどう考えるかは恐らく祖先の最大の難題だったと思う。そして、生き物を神としてくくった。それが偽ざる真理の一面なのだろうと思うし、祖先だけでは無く今の私達にもあてはまる問題なのだと思う。

話は少しそれるが、このゴロゴロ期間に夏目漱石の「我輩は猫である」を熟読している。漱石の初期の作品で「こころ」などと比べると何となく軽く見られるようであるが、私は縄文時代(それ以前も)から続く文化を感じてしまう。猫も神のうちという文化が流れているように感じてならない。

5/10 五感と喜怒哀楽

にほんブログ村 ライフスタイルブログ 生き方へ <・応援いつも感謝しています!

 ------------------------------------------------------------

縄文中期の関東・中部地方を中心にした愛と魂の物語です。

「縄文小説 森と海と月 ~五千年前の祖先の愛と魂~」購入方法

1.紙の本の入手については・・・

  四ツ谷サンパウロさんへ 定価(1,500円+税)送料別。

  電話:03-3357-8642(書籍・視聴覚)

    住所:〒160-0004 東京都新宿区四谷1-2  

2.電子書籍版は定価(1,000円)でアマゾンさんで、

  Kindle unlimitedなどの特典で無料でも読めます。 

     サンプルもあります。

 
       縄文小説 森と海と月   五千年前の祖先の愛と魂
       森 裕行

       なお、カスタマーレビューを書いていただけると励みになります!

       私の電子書籍は現在この縄文小説だけです。同姓同名の方の

       著作がありますのでご注意ください。

 ----------------------------------------------------------


縄文時代の人々の愛の原形を探る・・(4/10 五感と喜怒哀楽)

2021-05-08 | 第二章「五感と体感」

愛の孤独に苦しむひとは多い、人ごとではなく私もそうかもしれない。愛の孤独は何故おこるかというと、愛の理想と現実のギャップがあるからであり、理想の在り方を再考すことで愛の孤独を軽減できるとも言われている。理想が変われば孤独感も変化するためだ。異常に高すぎる理想は時に凶器にもなる。

そして、その愛の理想を考える時に、人それぞれの愛の名場面・記憶が鍵となる。それは主観的なもので人に訊くわけにはいかず、自分自身の記憶をたどることになる。のんびりと気楽に・・・幼いころの名場面・記憶から思索していくのが効果的なようだ。そして、これがそうかなというものを一つ、二つ思い出していくと、やがて芋づる式に沢山出て来たりする。

U先生の「生き甲斐の心理学」では、その名場面・記憶(特に幼いころの)を愛の原形と呼ぶ。私も素人ながら20年近く「生き甲斐の心理学」を学び続けているが、愛の原形は五感と密接に繋がっているので、五感を意識するのも愛の原形探しに役にたつと言える。そして、その愛の原形を時々客観的に振り返ると良いかもしれない。幼い頃の記憶は当時の幼い自分の解釈で決められてしまう部分があるので、年をとってから振り返ると当時は好ましいと思えた記憶が、あれはAさんの思惑が隠れてたななどと大人の解釈で変わることもある。あるいは、当時は意固地になりすぎていてBさんの優しいさが分からなかったと、思いがけない記憶が愛の原形になったりもする。

いろいろ分析していくと、自分なりの愛の構造も見えて来たりもする。最近、私は次のように愛の原形を分類してすっきりした。一つの参考としてだが述べてみよう。ひところOnly Oneと言う言葉をよく耳にした。Number OneではなくOnly Oneだっただろうか。個性を認めるOnly Oneにはとても共感できた。存在することだけで愛されるという普遍性にも感動した。そんなこともあり、愛の原形をいろいろ並べてみて、この愛の原形はOnly Oneを指向させるものか、Number Oneの匂いがするか・・こうしたことを分類をしながらいろいろと自分の愛の原形を俯瞰していく。

さて、ちょっと脱線するが私はOnly Oneは縄文的かなと思う。一方Number Oneは弥生的とも。もちろん、どちらも生きる上では大事かもしれないが、その意味を深く考えることで、愛の孤独の分析に繋がるだけでなく、生き甲斐や自己実現にも関係するようにも思う。

さて、縄文時代の人々の愛の原形はどんなものだったか。それを推測するのは、7-8世紀の歴史書の中の神話、伝承・昔話もあれば考古学的な遺跡や遺物が大事だと思う。縄文中期には土器や土偶などの遺物に文様等が記されているものも多いので、その図像を通して愛の原形を推測するのはどうだろうか。もちろん、遺物だけでなく伝承や神話などの最新の研究も鍵を解くポイントにもあるだろう。あるいは、遺物が発見されたところに出向いて、その土地を感じてみるのも重要かもしれない。

巻頭の写真は八王子市の子抱き土偶が発見された川口町の宮田遺跡周辺である。以前は川だったのかなと思える場所から急斜面を上がると平坦な台地が続き、心地よい風が吹いていた。この子抱き土偶は母の頭の部分はが損していたが、可愛い幼子を抱きながら足を崩して座っている姿で普遍的な母の愛を示しているようで、温かい気持ちになるが、遺跡周辺を散策するとさらに感動が深まる。

子抱き土偶(約5000年前)の写真は次の八王子市の文化材のホームページで見ることができる。

はちおうじ物語其の一 主な構成文化財|八王子市公式ホームページ (city.hachioji.tokyo.jp)

母に抱かれたり、背負われたりする。あるいは寝かされている。そうした触覚などの五感に基づいた体験を愛の原形として数えられる人は今の時代だけでなく、縄文時代にも多かったのではと思う。ただ、現代は農耕文化をくぐり抜けた社会であり、縄文時代は雑穀はあったものの狩猟・採取文化。おのずと愛の原形は同じようでも表現はことなってくるのだろう。

狩猟・漁労の生活感覚は都会に住んでいる私達には殆ど実感出来ないようになりつつある。毎日のように食べるお肉やお魚などは知らないところで切り身にされて生々しくないが、縄文時代の人々は、イノシシを狩りで殺害し、血抜きをし解体して食べられる部分はしっかりと食べ(骨を割って髄まで)、皮などもしっかりとなめし、衣服等の素材とする。その皮はイノシシなどの骨をといで作った精巧な縫い針により、気密性の高い防寒服などになる。植物の繊維で作った衣服も縄文時代には存在したが冬には旧石器時代からの革製の衣服も使ったことは容易に想像できる。

私は都会で育ったが、7歳の時にアラスカで約1年暮らした。南東アラスカのシトカというところで暖流が通る島であったのでアラスカにあっては温かい場所であったが、それでも冬は寒い。白人も多いが先住民のトリンギット族などの人々もいた。その時の思い出の一つであるが、東京では当時は冬は子供は半ズボンで元気にしていたが、アラスカはさすがに皆性能の良い防寒具を身に着けていた。私は防寒具や暖炉のある隙間風のない家の温かさにうっとりとしたものだった。おそらく、私の愛の原形の一つは温かい防寒具を着ることだ(革製ではないが)。

先日、栃原岩陰遺跡を訪ね北相木村考古博物館を見学させていただいたが、その中のジオラマに母親とおぼしき女性が皮を素材に縫い物をしている姿があった。そして、思ったのだが例えばイノシシの皮をつかった衣服を身につけた子供の愛の原形はどうか。イノシシを苦労して捕り、川で解体した父の愛。食事もおふくろの味はあるだろうが、針仕事をした母の愛情も感じるだろう。さらに大自然のイノシシの恵みにも愛しさを感じたのだろう。当時の土偶や土器の図像の多くは当時の愛の原形を表しているものが多いと思う。子抱き土偶の赤ちゃんの顔は当時のスタンダードなのだが、なにかある種の生き物を彷彿させる。その意味は文化の異なる私達にはわかりにくい部分があるが、愛の原形という意味で現代にも通じるものだと思う。

4/10 五感と喜怒哀楽

にほんブログ村 ライフスタイルブログ 生き方へ <・応援いつも感謝しています!

 ------------------------------------------------------------

縄文中期の関東・中部地方を中心にした愛と魂の物語です。

「縄文小説 森と海と月 ~五千年前の祖先の愛と魂~」購入方法

1.紙の本の入手については・・・

  四ツ谷サンパウロさんへ 定価(1,500円+税)送料別。

  電話:03-3357-8642(書籍・視聴覚)

    住所:〒160-0004 東京都新宿区四谷1-2  

2.電子書籍版は定価(1,000円)でアマゾンさんで、

  Kindle unlimitedなどの特典で無料でも読めます。 

     サンプルもあります。

 
       縄文小説 森と海と月   五千年前の祖先の愛と魂
       森 裕行

       なお、カスタマーレビューを書いていただけると励みになります!

       私の電子書籍は現在この縄文小説だけです。同姓同名の方の

       著作がありますのでご注意ください。

 ----------------------------------------------------------