イキイキと生きる!

縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

縄文文化人のこころの癒しの体系・・(9/10 生き甲斐の心理学と縄文) 

2022-11-26 | 第六章「螺旋状に上昇する意味」

近くの由木東市民センターの前の大イチョウが黄葉真っ盛りになるころは、いつもクリスマスや年末が近づくころで、何となくこれまでの人生を振り返ったり、これからのことに想いを馳せたりする。特に今年は何か人生の転機の年のようで、このところいろいろ想い描いている。

 

20年以上U先生に就いて学んできた「生き甲斐の心理学」。いつの間にかNPO法人の理事として活動をしてきたが、本免許で一段落したこともあり、理事を退任し軸足を縄文の方に向けた年だった。外資系企業でのサラリーマン生活も上司・同僚に恵まれ充実していたが、そのあとの二十数年はU先生や勉強仲間に恵まれ、サラリーマン時代には考えもしなかった福祉や教育事業などの経験を沢山させていただいた。そして、6年前に論文書きの派生で創作した縄文小説が、次の新たな課題を私に与えてくれたようだ。まあ、「生き甲斐の心理学」を20年学んで得た最終的生き甲斐なのであろうか。と言って残された人生は限られ、どこまで何ができるかは未知数である。

ただ、「生き甲斐の心理学」を学んだおかげで、悔いのない人生を生きるための感情の流れなどについては、ある程度見通しがついてきた。今までの感情の流れを把握したためこれからの流れを俯瞰できるようになったこと。さらにどのように感情生活をおくるかの見通しもついたようである。

まあ、世の中はいつも涙の谷であるが、その中でも心は自由で特上の幸福感に近づくことは可能だろう。自分の使命に向かって縛られることもなく進んでいければと思う。黒沢明の「生きる」の主人公の小役人のように生きたいものだ。

もう一つは感情生活のことだが、意外なことと思われるかもしれないが、祭りとかの宗教祭儀がある。今年も忘れられないような法事とか祭儀などに参加させていただいた。そしてしみじみと伝統的な祭儀の奥行を感じたものだ。

縄文時代の遺跡から、何かの宗教祭儀の址や葬儀かなと思われる遺品が残されることがある。数千年の時間を経ての大事な祭儀の後であるが、そこでの人々の悲しみ、そして明日に向かっての癒しと救いを感じることも。

癒しの体系。ホモサピエンスならではの癒しというか宗教の体系。それはホモサピエンスにとっての火とか、言語とか、それと同レベルの何かだったように思えてならない。今でもそうだが、錯乱やウツ感情を癒し、時に幸福感や統御感を与えてくれる体系がこの世には存在するのだ。世界に通用するそうした体系が縄文時代にもあったことは確実だと思う。

9/10 生き甲斐の心理学と縄文

------------------------------------------------------

「縄文小説 森と海と月 ~五千年前の祖先の愛と魂~」

縄文中期の関東・中部地方を中心にした愛と魂の物語です。

入手方法

1.紙の本の入手については・・・

  四ツ谷サンパウロさんへ 定価(1,500円+税)送料別。

  電話:03-3357-8642(書籍・視聴覚)

    住所:〒160-0004 東京都新宿区四谷1-2  

 なお、国会図書館、八王子市図書館でも閲覧できます。

2.電子書籍版はアマゾンさんで、1000円で購入できますが、

  Kindle unlimitedなどの特典で無料でも読めます。 


       森裕行

 --------------------------------------------------------

 

 


隣の異文化が幸をもたらす・・縄文研究もそうだろうな (8/10 生き甲斐の心理学と縄文)

2022-11-21 | 第一章「意識と知覚」

学校を卒業してサラリーマンになった私は、しばらくして関西に赴任してコンピュータ(価格はそれなりに高いが高度な専門知識もいらないような機種)の営業をした。今思うとその時の経験は大いに役にたったように思う。

欧米で仕事をすると、オリエントの人は何を考えているか分からないというようなことを時々聞く。儒教文化の影響なのか風土の影響なのだろうかよく分からないが、特に仕事などで感情を外に表さないのが気持ちが悪いらしい。

確かにオフィシャルな場合はそうかもしれない。日本人の感情の表出についてはつまらないことなので、これからは変わって行く必要もあるかもしれない。

しかし、遺伝子の多様性はヨーロッパ内での多様性より勝るといわれる日本列島。ちょっと隣の文化圏が結構違ったり、仕事でも様々な業界(私は、運が良いのか官公庁、研究機関、教育、各種製造業、金融、医療、芸術家、個人から大企業・・・)の方と接すると(営業なので内輪のお付き合いが大事)、全然違う世界が広がっていることがわかる。表面は能面のようでも、一皮むけばなんとやらだ。それなのに同じ能面のような顔をするのがおかしくもある。

仕事を始めた頃の毎日は驚きの連続。その中でいろいろ学ばさせていただいた。意外と私の性分にあっていたらしく楽しい日々でもあった。しかし、そうした環境が長い目でみれば普遍的な価値を求めさせてくれたり、多様な文化への受容性を高めてくれたのだと今では感謝している。

さて、写真は井戸尻遺跡での写真。縄文人が好きそうなやまなみの景色。1988年ごろに書店で購入した「八ヶ岳縄文世界再現」という井戸尻考古館の小冊子が、多分遠因となって全く違う世界の一つである縄文に徐々に引き寄せられたのだと思う。また、比較宗教学や比較文化を大事にしている欧米の大学に縁のあったU先生を師として生き甲斐の心理学を学んだことも大きかったと思う。

心理学も日本人の特性について無関心ではいられない。①もののあはれ②穢れと禊ぎ③恥の文化④甘えの構造⑤侘び寂び⑥幽玄の美。こうした特性はかつては随分語られたが、今はどうやら大きく変化する時代の中で潜在化し目立たなくなり、語る人は皆無?となっている。しかし長い時間をかけて作られた特性は簡単には変わらない。さらにこうした特性の理解なしにこころの問題や政治を考えることは実に危険だと思う(話が大きすぎたか)。私は日本人のこころの原型探しに向かい縄文までたどりついてしまったが、それはそれなりに意味があることだったと思う。

この8年くらい考古学だけでなく、縄文に関係する学問も学んでいくと、若い頃に体験した異文化の喜び?を再び感じてくる。私も縁があって最近は土器の拓本の作り方、接合の仕方なども学んでいくと考古学の先輩方の大いなる知恵というか文化の奥行きを感じさせていただいている。ありがたいことだ。

あるいは、最近民俗学の吉野裕子さんに嵌まっている。残念ながら既になくなられているが、U先生のもとで「持統天皇」のケーススタディをしていたときに五行陰陽説で吉野裕子さんを知った。7世紀の世界を考えるときに五行陰陽説が非常に大事で、それで時代をより理解することができた。そのご縁もあったのだが、縄文でもお世話になっている。吉野裕子さんの思索は今から50年くらい前に縄文時代も射程に収めた民俗学を展開されていた。それは意外に学際的で宗教学や考古学の分野にまで及び、蛇を中心とした日本文化の理解は眼から鱗である。余りに先駆けての研究であったようで、当時は考古学や民族学の分野でも無視されたようだが、今吉野裕子さんの「蛇」、「山の神」、「日本人の死生観」の蛇三部作を読むと驚愕する。縄文に興味のある方は是非読まれたらと思う。卑弥呼は何故中国から鏡を輸入したか。日本の鏡、剣、勾玉は何故尊いか。石棒とは何か。・・・

8/10 生き甲斐の心理学と縄文

------------------------------------------------------

「縄文小説 森と海と月 ~五千年前の祖先の愛と魂~」

縄文中期の関東・中部地方を中心にした愛と魂の物語です。

入手方法

1.紙の本の入手については・・・

  四ツ谷サンパウロさんへ 定価(1,500円+税)送料別。

  電話:03-3357-8642(書籍・視聴覚)

    住所:〒160-0004 東京都新宿区四谷1-2  

 なお、国会図書館、八王子市図書館でも閲覧できます。

2.電子書籍版はアマゾンさんで、1000円で購入できますが、

  Kindle unlimitedなどの特典で無料でも読めます。 


       森裕行

 --------------------------------------------------------

 

 


白か黒か玉虫色か・・縄文時代の論争から学ぶ (7/10 生き甲斐の心理学と縄文)

2022-11-14 | 第四章「愛とゆるし」

写真は一昨年に行った北海道洞爺湖に近い入江貝塚。縄文時代の実態はまだ謎に包まれているが、縄文後期初頭にポリオに罹ってから10年以上殆ど寝たきり状態だったと思われる女性の人骨が見つかった。通常は西向きに埋葬されているのに、この女性は東向きに埋葬されていたという。それは何を意味していたのだろうか。人の行動にはかならず何等かの意図があると思われるので、通常の大人が行くあの世とは違う世界。一番考えられるのは東なので生まれなおしなのだろうか。

こうした発見や話題は縄文時代にも福祉思想があったのではとか、戦争のない社会だったとか、階層のない社会だったなどの諸説をムードとして押して縄文ブームの一翼を担っているように思う。その真偽は学者の方にお任せするとしても、縄文時代の宗教のあり方を考慮した縄文小説を書く立場からも眼を離せない問題のようだ。

こうした意見の違いはいろいろなところであるようだ。例えば縄文中期からの石棒の問題がある。縄文時代の土偶のように研究が進んでいないこともあり、石棒は何かということでいくつか意見があるようだ。一番人気があり支持されているのは、男性性器を表しているというものだ。これは宗教の本質を考える上でもとても魅力的だ(仏教でもキリスト教でも男女の性は隠喩で深く語られている)。調べるとその論の根拠もいくつかありとても魅力的だ。

しかし、いろいろ調べてみると石棒=蛇も浮かんでくる。民俗学の故吉野裕子さんの「蛇」、「山の神」などを読むと蛇、カグツチ(火の神)という類推が自然に湧いてくる。石棒が焼かれる祭儀もあるようで、それを考えるとカグツチ(蛇)の可能性も浮かびわくわくする。カグツチは丁寧に神話をたどると母を殺し父に殺される悲劇の神であることが分かる。カグツチを信仰する縄文人の真情は如何なるものだったのだろうか。また縄文後期に登場する石剣も八岐大蛇の尻尾が刀という神話のイメージから容易に蛇との近縁性が導き出せる。

そのほか立石に対して、ネリーナウマン氏は「生の緒」で「さえの神」、「天の御柱」について触れられている。魔除け的なものとも解釈できるし、世界軸の象徴とも。世界を見渡した宗教学の世界につながるのだろう。おそらく、石棒の解釈はこうした大きなテーマとも関わり、何かとても楽しい話題になるのではないかと期待している。

さて、今の世の中。縄文時代の平和論争、石棒論争と同じようにいろいろな問題で白黒をはっきりさせようとする人、玉虫色にする人いろいろだ。また、自分自身のことを考えても白黒・玉虫問題は意外に大事なもので、その判断を間違えると人間関係にも大きな影響を与えるとあらためて感じている。

白黒を明確にするのは、生き方そのものに影響を与える場合は絶対に決めなければならないと思う。職業の選択、配偶者の選択、宗教や哲学の選択・・・人生の旅路では時々そういうことがある。しかし、白黒問題は個性とも深く関わり、強烈な周りとの軋轢を生じさせることも多い。我慢して玉虫色も良い結果を生むことも確実にある。このバランスは厳しい社会を生き抜いていく中で自然に身につけてくるものだが、自分の能力を越えた決断の時もあり、祈りの中で決めていくことになるかもしれない。そういうときも邪眼のなかではなく慈眼の中で決めていきたい。

7/10 生き甲斐の心理学と縄文

------------------------------------------------------

「縄文小説 森と海と月 ~五千年前の祖先の愛と魂~」

縄文中期の関東・中部地方を中心にした愛と魂の物語です。

入手方法

1.紙の本の入手については・・・

  四ツ谷サンパウロさんへ 定価(1,500円+税)送料別。

  電話:03-3357-8642(書籍・視聴覚)

    住所:〒160-0004 東京都新宿区四谷1-2  

 なお、国会図書館、八王子市図書館でも閲覧できます。

2.電子書籍版はアマゾンさんで、1000円で購入できますが、

  Kindle unlimitedなどの特典で無料でも読めます。 


       森裕行

 --------------------------------------------------------

 

 

 

 

 

 

 


皆既月蝕の感動と縄文人 (6/10 生き甲斐の心理学と縄文)

2022-11-10 | 第二章「五感と体感」

嫌なことが多いこの世だが、先日の皆既月蝕は久しぶりに楽しい経験だった。赤い皆既月蝕の月も心に残ったが、皆既月蝕が終わって光始めた細い月も実に素敵だった。普段であれば見ることのない月の諸相を短時間で垣間見る。こんな月もあったのかとこころから感動した。

人そのものは縄文時代も現代人もさほど変わってないと思うが、生活の中での月の位置づけはずいぶん違っていたと思われるので、同じ皆既月蝕を見ても縄文人は違う印象を持ったかもしれない。記紀を見ても月の神様はツキヨミ、月読みと命名されている。これは月が暦と非常に関係深いものと古代の人が認識していたことを意味するのだと思う。先日教えてもらったのだが、旧約聖書の詩編104-19にも「主は月を造って季節を定められた」とある。さらに暦というのも我々は何か数式のような理性的なものと考えがちだが、カレンダーは名著「暦と占いの科学」(永田久著)によると、カレンダエ(月が出たぞ)がカレンダーの語源だそうで、月が消えて(朔日)初めて夕方に薄い三日月を見つけ神官が叫んだ感動的な言葉のようだ。とするとツキヨミもある種の感動を持って語られる言葉だったのだろう。

暦は農耕で非常に大事なものだと思うが、考えてみれば狩猟・採取の時代でも大事だったと思う。月の動きは植物だけでなく動物の動きとも深く関係するからだ。もちろん微妙な季節の変化にも。したがって暦は20万年のホモサピエンスの歴史、認知機能が拡大した4万年の歴史とも深く関係しているはずだ。縄文人は生き抜くために月を見ていたのだろう。私のようにお気楽に月を楽しんでいるのとは違ったと思う。

そんな縄文人は皆既月蝕をどう見ていたのだろうか。満月の夜。短時間で月の死と再生のドラマを垣間見させてくれる体験。普段であれば一か月かかるのだが。特に皆既月蝕時の炎のような赤い月が再び細い糸というか蛇のような光で輝き始めること。

そういえば、私が幼かった時、家の近くに椎の木のご神木があり、そこには白蛇が住んでいるといわれていた。白蛇が神となぜ関係深いのか分からないでいたが、この月蝕や三日月と関係しているのかなぁと年を取って気付く。

さて、U先生の「生き甲斐の心理学」の中の五感の勉強はいろいろ役立っているが、こころは何で傷つくかというブログの記事を見た。人は日常的に思考・感情・行動の歯車を回しながらたくましく生きているが、ときおり心が傷つく。それは思考や行動が傷つくのではなく感情が傷つくからとある。そして感情と直結する五感が語られる。見たくもないものを見た視覚の傷。聞きたくもないことを聞いた傷。嗅ぎたくもない臭いによる傷。異常な味で傷つく味覚。嫌な触覚。・・・その傷つけられた五感はその五感を癒すことで回復するといわれる。嫌な光景には美しい光景が。・・一昨日の皆既月蝕では何か不安な赤い月のあとに細い圧倒的な糸のような光。それは希望の光でもあった。

 

6/10 生き甲斐の心理学と縄文

------------------------------------------------------

「縄文小説 森と海と月 ~五千年前の祖先の愛と魂~」

縄文中期の関東・中部地方を中心にした愛と魂の物語です。

入手方法

1.紙の本の入手については・・・

  四ツ谷サンパウロさんへ 定価(1,500円+税)送料別。

  電話:03-3357-8642(書籍・視聴覚)

    住所:〒160-0004 東京都新宿区四谷1-2  

 なお、国会図書館、八王子市図書館でも閲覧できます。

2.電子書籍版はアマゾンさんで、1000円で購入できますが、

  Kindle unlimitedなどの特典で無料でも読めます。 


       森裕行

 --------------------------------------------------------

 


五感の取説・・・縄文を楽しむためにも (5/10 生き甲斐の心理学と縄文)

2022-11-03 | 第二章「五感と体感」

五感・体感は人生を豊かにするために大切であるが、自分の人生経験からしても、その取扱いはには気を付けなければならないと思う。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚が五感であるが、それだけだと何かが足りない。最近気づいたことに土器に触れるということがある。4000年前の土器に触れても、かつてはさほど感動しなかった。たぶん、私にとってそれは単なる物体だったのだろう。そして触覚は単なるセンサーであるにすぎなかった。

しかし、この5-6年の間に土器づくりのまねごとをしたり、土器片を洗浄したり、接合したりするちょっとした経験をしたりして、私の知の部分が潜在意識も含め変わったのだろう。土器に触れるときの知覚が変わってきて、感動するようになってきた。自分の腑に落ちた知が五感に影響を与え、知覚が変わる。

一方、私は縄文小説を書く上で一つ心にとめていることがある。知的な単なる妄想に陥らないこと。生き甲斐の心理学で学んだ大事なこととして、防衛機制の知性化の問題点がある。知性化は生きるうえでも大切だが、多くの場合五感や実感の世界と遊離する傾向がある。書いているほうも実感がないのであるから、多分読み手にとってもつまらないものになってしまう。知性化ばかりしていると本当の友人ができないということにも似ている。目が死んでるような知性はつまらない。五感・体感を意識すること。そして、腑に落ちる知に関心をもつこと。

このところ家の中で本を読んだりパソコンに向かうことが多い生活。今日は、高尾山にでも行こうか。縄文時代の祖先の五感・体感に触れるには、自然に触れることが重要かも。

5/10 生き甲斐の心理学と縄文

------------------------------------------------------

「縄文小説 森と海と月 ~五千年前の祖先の愛と魂~」

縄文中期の関東・中部地方を中心にした愛と魂の物語です。

入手方法

1.紙の本の入手については・・・

  四ツ谷サンパウロさんへ 定価(1,500円+税)送料別。

  電話:03-3357-8642(書籍・視聴覚)

    住所:〒160-0004 東京都新宿区四谷1-2  

 なお、国会図書館、八王子市図書館でも閲覧できます。

2.電子書籍版はアマゾンさんで、1000円で購入できますが、

  Kindle unlimitedなどの特典で無料でも読めます。 


       森裕行

 --------------------------------------------------------