イキイキと生きる!

縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

縄文カレンダーとストーンサークル (8/10 縄文世界を感じる時)

2023-11-22 | 第二章「五感と体感」

小林達雄氏の縄文カレンダーを一つの知識として知ったのはもう10年くらい前である。私は少年時代に天文少年であった側面があり、縄文時代の遺跡で一番最初に興味を持ったのはストーンサークルであった。家の近くに田端遺跡があり、冬至に正確に丹沢山系の最高峰である蛭ケ岳に入日が落ちることを知り冬至になるとそわそわするようになった。

確かに、縄文時代の特に後期くらいになると特別の施設をつかって祭儀をすることが多くなってきており、天文の知識もそれ以前の時代とくらべ充実してきたのだと思う。しかし、縄文人を馬鹿にしてはいけない。高度の動植物に関する知識から得られる情報はどうだったのか。私の家の近くには多摩動物公園がある。私はU先生の生き甲斐の心理学を学び、その中でロジャースの人格形成論を学んでいたこともあり、多摩動物園に通った時期があった。その中で知ったこと。5月ごろになると動物園が一斉に華やいでくる。多くの動物の出産の季節なのである。縄文時代であったらウリボウや小鹿の季節。

もちろん動物だけでなく植物も季節の中で生きている。太陽や月の動き・・・その微妙なリズムの中で我々は生きている。人が生まれる時間、死ぬ時間。そのほか微妙な生活のリズムもある。最近はかつての量子力学などの知見が生物学などにもおよび生命の実体が私の若いころと比べると飛躍的に解明されている。「レジリエンスの時代」を前回紹介したが、今の時代、天文学の知識もあるかもしれないが生体時計などの知識も必要なのだろう。

小林達雄氏の縄文カレンダーは、縄文人の感じていた時に迫る一つの重要な概念であるばかりでなく、物理的な時刻でロボットのようになりがちの私たちにとって、五感体感で自然と共に生きるという感覚を再学習するためにも大事なことかもしれない。おそらく縄文時代には野焼きや山焼きが普通に行われていて(詳細は「日本の土」山野井徹著 築地書館 2015年)、その感覚は研ぎ澄まされていたに違いない。

さて、週末になるとキリスト教文化圏では新たな暦の季節になる。まずは冬至と関係も深いと言われているクリスマスが射程に入ってくる。もちろん私も田端遺跡の冬至が頭の片隅に。

そして、今の関心事。土器や土偶につけられた穴の謎。縄文人が信じる信仰ゆえに見えていた何かである。何が見えていたのか。人は信じるものによって(科学技術であれ、宗教であれ・・)見えてくるものが違う。ただ、縄文時代は高度な狩猟採取文化という、ホモサピエンスの文化の基層部分を成すところがあり、その信仰も伝統宗教と無縁のものでもないようだ。さらに、戦争などが普通の今の文化と比べると縄文時代は10000年以上戦争(人を殺傷する目的で作られた武器がない時代)がなかった特異な文化である。それゆえに我々が失ったピュアな何かがあるように思えてならない。

土偶や土器の穴(眼、口、・・・)は何の光をとらえようとしていたのか?縄文人がストーンサークルで何を見ようとしていたのか。日、月、火・・・

8/10 縄文世界を感じる時

AMOR「縄文時代の愛と魂」に(⑨縄文時代人の信仰)を掲載しました。円錐形土偶の穴の考察でもあります。こちら

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「縄文小説 森と海と月 ~五千年前の祖先の愛と魂~」

縄文中期の関東・中部地方を中心にした愛と魂の物語です。

入手方法

1.紙の本の入手については・・・

  四ツ谷サンパウロさんへ 定価(1,500円+税)送料別。

  電話:03-3357-8642(書籍・視聴覚)

    住所:〒160-0004 東京都新宿区四谷1-2  

 なお、国会図書館、八王子市図書館でも閲覧できます。

2.電子書籍版はアマゾンさんで、1000円で購入できますが、

  Kindle unlimitedなどの特典で無料でも読めます。 


       森裕行

 


レジリエンスは五感を意識することから・・・(7/10 縄文世界を感じる時)

2023-11-13 | 第九章「愛」

東日本大震災の時に「想定外」という言葉を覚えたが、それ以降「想定外」のことが頻発し当たり前になったのか、今では死語のようになっている。そして、このまさかにも負けず生き抜く力というのだろうか、訳しにくいレジリエンスという言葉をよく聴くようになった。

一万年以上続いた縄文時代。この時代のことは随分わかってきてはいるがまだまだよくわからないことが多い。それは縄文時代が文字を持たなかった文化であることにも原因があろう。しかし一万年の中には喜界カルデラの大噴火などわれわれが経験したことのないような超災害もあったが、脈々と文化は続いた。そして、そのいくつかは今でも引き継がれている。狩猟採取文化ではあるが高度の狩猟採取文化であり、その生きる知恵は素晴らしいものであったようだ。

先日、ゴリラの研究家としても有名な山極壽一先生の記念講演をYouTubeで拝見したが、その中で山極氏はホモサピエンスの脳が最大容量になったのは40万年前で決して言語を使い始めてからではないと言われていた。100人から150人の集団の中でのコミュニケーション(五感ベース)は言葉など使わなくても足り、その時代に組織的な狩猟で画期をなしたようなので、言葉なしの五感ベースのコミュニケーションは想像以上の極みだったのかもしれない。

さて、私は馬齢を重ねU先生から20年以上生き甲斐の心理学を学んでいる。その中で、五感や喜怒哀楽を大切にすること。さらに真善美との繋がりも意識することを学び、自分の成育史も研究してきた。そしてその奥の深い世界を垣間見ていると。生命(いのち)とは何か、母性、父性、生と死、生き抜く知恵などが見えてくる。

縄文時代の土器などの芸術的水準が高いのも、五感、喜怒哀楽、真善美が自然につながり頭でこねくり回したりすることなく表現できているからだと思う。観念的な概念に縛られることなく、生命体のもつ本来の勢いを表現することは素晴らしいことのようだ。

そして、自分の成育史としての五感・喜怒哀楽・真善美のありようを俯瞰していくと、不思議なことに①何のために生きていくのか?②生き甲斐は何か?③自分の身体、こころ、魂を大事にしているか?という問いかけの回答があぶりだされてくるようだ。これはまさしくレジリエンスの要諦なのかもしれない。

7/10 縄文世界を感じる時

AMOR「縄文時代の愛と魂」に(⑨縄文時代人の信仰)を掲載しました。こちら

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恥の文化の寅さん・・・(6/10 縄文世界を感じる時)

2023-11-01 | 第四章「愛とゆるし」

小学校の2年の夏。私はアラスカの小学校に突然転校した。学校に父が付き添ってくれたが、学級に入れば英語の全く話せない私は黙っているだけ。そんな私に担任の女教師は色紙を見せて何色かと問う。英語は全くわからないのでもちろん黙っていた。しかし、悲しそうな眼をするので、私のできる唯一のこと。日本語で話すことを決心した。

わからない日本語に失望するかと思っていたので、自分の発した日本語はうつろに聞こえた。しかし、次の瞬間、先生は明るい顔になり、クラスの皆に日本語をはなす私をうれしそうに紹介してくれた。なんという優しい女教師を感動したが、今になって考えると文化の差といえるかもしれない。

日本には独特の文化がある。甘えの構造、侘び寂び、・・・その中に恥の文化がある。同じようにできないことを恥るというのだろうか。皆が英語で話せる中で話せないことは、その基準でかんがえると恥である。個性の美を宝のように褒めることは余りしない。しかし、これは日本の独特の文化なのかなと思う。これは、一つのあら捜しのようでネガティブなようだが、モノづくりや品質といった面では非常にプラスに働く。この文化の原型は縄文時代まで辿れるのだろうか。縄文土器の底に、葉っぱの跡やアンギンの跡がある土器がときどきある。轆轤のない時代に土器を回転させるための簡単な道具が跡を残したのである。が、そうでない綺麗にふき取った土器のが多いという。縄文時代にまでも恥の文化があったのかもしれない。

ところで、こうした恥の文化は、他人だけでなく自分のあら捜しをする眼を育ててしまう。すると何となく息がつまってくる。そんな中で私の好きな松竹の寅さん映画を思い出した。寅さんは恥の文化の反対のキャラクター。個性の美は一流かもしれないがあら捜しにはお手上げで、すぐプイとあてのない旅に出てしまう。そして、旅先で、個性の美を大切にしてくれるマドンナに出会う・・・

行き詰っているときに、個性の美を大切にし、あら捜しをしない。そういう複眼が大事だと時々思うことがある。

ところで縄文時代には寅さんのような人はいたのだろうか。恥の文化があればいたように思うのだが。縄文の寅さん!

6/10 縄文世界を感じる時

AMOR「縄文時代の愛と魂」に(⑨縄文時代人の信仰)を掲載しました。こちら

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