喜多圭介のブログ

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四季のレクイエム(7)

2007-04-21 10:09:06 | 俳句・短歌と現代詩
白い詩集の少女 北条綾子(十八歳)

胸の扉

あなたの胸に顔を埋め
満ち足りた心地で
胸の扉をひらきました
月面の凸凹
途方もない喪失
私はこんなに
満ち足りていますのに

鼓動

胸に耳をあてていました
日々の暮らしより
静謐(せいひつ)な虚空の木霊(こだま)が
とんとんと
私の胸は鎮めようもなく
高鳴っていますのに

愛の行為

愛の行為のあとにくる喪失
あなたは窓辺で
星座を眺め
私は柔らかな布団に
身も心も埋め
じっと目を閉じています
あなたの行為に
私はなぜか不惜身命(ふしゃくしんみょう)という
言葉を思いうかべていました
あれは御仏(みほとけ)の言葉だったのでしょうか