白い詩集の少女 北条綾子(十八歳)
胸の扉
あなたの胸に顔を埋め
満ち足りた心地で
胸の扉をひらきました
月面の凸凹
途方もない喪失
私はこんなに
満ち足りていますのに
鼓動
胸に耳をあてていました
日々の暮らしより
静謐(せいひつ)な虚空の木霊(こだま)が
とんとんと
私の胸は鎮めようもなく
高鳴っていますのに
愛の行為
愛の行為のあとにくる喪失
あなたは窓辺で
星座を眺め
私は柔らかな布団に
身も心も埋め
じっと目を閉じています
あなたの行為に
私はなぜか不惜身命(ふしゃくしんみょう)という
言葉を思いうかべていました
あれは御仏(みほとけ)の言葉だったのでしょうか
胸の扉
あなたの胸に顔を埋め
満ち足りた心地で
胸の扉をひらきました
月面の凸凹
途方もない喪失
私はこんなに
満ち足りていますのに
鼓動
胸に耳をあてていました
日々の暮らしより
静謐(せいひつ)な虚空の木霊(こだま)が
とんとんと
私の胸は鎮めようもなく
高鳴っていますのに
愛の行為
愛の行為のあとにくる喪失
あなたは窓辺で
星座を眺め
私は柔らかな布団に
身も心も埋め
じっと目を閉じています
あなたの行為に
私はなぜか不惜身命(ふしゃくしんみょう)という
言葉を思いうかべていました
あれは御仏(みほとけ)の言葉だったのでしょうか