喜多圭介のブログ

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四季のレクイエム(2)

2007-04-18 11:27:03 | 俳句・短歌と現代詩
白い詩集の少女(五) 北条綾子(十五歳)

キャンドル

このほのお消えてしまうの
消えたあとの闇
わたし怖い
せんせい
わたしを抱きしめていて

十五歳

せんせい
十五歳っておとな?
それともこどもなの?
成熟した女体ってなんなの?
電車の中にぶらさがっていたの

しゃぼんだま

しゃぼんだま飛んだの
屋根まで飛んだの
屋根まで飛んでって
壊れて消えたなんて
せんせい
わたし嫌なんです
こんなの
せんせいとわたしが消えてしまうなんて

出逢い

せんせいはみんなの前で言ったよね
高校で新しい出逢いを
たくさんつくりなさいと
もう出逢いなんかいらない
ずっと
せんせいのそばにいたい

まなざし

この世でいちばん広いから
空が好き
この世でいちばん深いから
海が好き
この世でいちばんさわやかだから
髪にそよぐ春風が好き
この世でいちばんいちばん
好きなのは
私を見つめる先生の眼差し

詩作する私へ

詩は書いてはいけない
詩は歌うのだと
詩は戦いを歌い死を歌う
詩は歓びを歌い哀しみを歌う
でも私は三年間
せんせいだけを歌ってきたよ
卒業しても
先生だけを歌うわ