喜多圭介のブログ

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四季のレクイエム(8)

2007-04-21 15:51:48 | 俳句・短歌と現代詩
白い詩集の少女 北条綾子(十九歳)

フリージア

何が好きかと問われ
フリージアと応えた
きっとフロントに飾らせたのであろう

ベッドルーム 純白フリージア
バスルーム 黄色フリージア
ティルーム 赤紫フリージア

ここはあなたのお気に入り六甲山上ホテル
窓辺に神戸のネオンの夜景
あなたの演出 私の胸は開花する

あなたは純白の花に
手折ればこぼれそうだと囁いた
横顔にどこか淋しい憂いが

私ははげしく咳き込んだ
そっとあなたは私を抱いた
花びらのこぼれるのを怖れるように

ワイングラスが光っている

今宵私はフリージア
あなたに捧げるフリージア
離れられないフリージア
抱かれて眠るフリージア