採集生活

お菓子作り、ジャム作り、料理などについての記録

三つ編みニンニク2023:(1)~(33)

2023-06-28 | +三つ編みニンニクgarlic braid

ラズベリーの夏果は、ほぼ終わってきました。
赤い実はまだ少々あって、行くたびにちょこっと摘めるのですが、虫入りが多かったり、あと何より、風味がいまひとつになってきました。甘さ・酸味はさておき(甘さは結構あって、酸味が少な目)、ラズベリーらしい香りがあまりないです。
こういうのは、冷凍するまでもないかなー。
折角なので、生果実のままふんだんに食べてしまっています。

で、ラズベリー祭りのさなかから、三つ編みニンニクもコツコツ作っています。

garlic_braids

(1)~(8):ソフトネックA

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(9)~(14):ソフトネックA

 

garlic_braids

(15)~(21):ソフトネックA

この白い方をだいぶ編んだなー、というときに、毎年買って下さるお友達から連絡があり、何房もお嫁入してきました。



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(22)~(26):ナポリピンク
ナポリピンクは小玉が多かったので、(26)の輪っかリースにしてみました。
年に一回くらいはこのタイプを編んでおかないと、忘れてしまいます。
(これら小玉は、サビ病にやられちゃったグループと思われます。涙。)

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(27)~(33):ナポリピンク
ナポリピンクを編んでいると感じるのですが、それぞれの玉の比重が高い(ずっしり重め)のように思います。

garlic_braids

(30):ナポリピンク
4玉の囲みハートのつもりで編み進めたところ、小さ目2玉が目に入り、思いつきで上側に逆さ向きで配置してみました。どうでしょうか・・。
まるっこく盛り上がった形状で、ニンニクコサージュみたい??



今年も交通会館マルシェ、出店します。7月の最後の土日、7月30日(土)、31日(日)の予定です。
お近くを通られる方、お立ち寄り下さいませ。

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シャーナーメ:12.ロスタムの七つの試練(中)

2023-06-22 | +シャー・ナーメあらすじ(挿絵付き)

ロスタムのマザンダランでの試練の続きです。
白鬼を倒して、めでたしめでたし、かと思いきや、次、さらにオトナの展開が待っています。
日本語がなんかうまくこなれていないのですが、次の(下)は更に難しいので、ここはこのくらいにして、ひとまず次にいきます。

====================
12.ロスタムの七つの試練(中)
====================

■登場人物
ロスタム:白髪のザールの息子。
ラクシュ:ロスタムの愛馬。黄色地に斑点模様。

マザンダラン(地名):人間とともにディヴ(鬼)や魔術師が住む国。架空の土地で、現在のマザンダラン地方(カスピ海南岸)とは無関係。
ウラド:マザンダランの辺境地の領主。Ūlādウーラード/Owlad/Olad
アルザン・ディヴ:マザンダラン首都域(?)の護衛隊長。
白鬼:マザンダラン最強のディヴのひとり。カイ・カヴスらを魔法で盲目にした。 ホワイトディヴ/Div-e Sepidディーヴ・エ・セピド ここでは端的に呼べる「白鬼」としました。 

 

■概要
ロスタムの旅は続きます。マザンダランの領主ウラドを捕虜にし、案内役にしてアルザン・ディヴを倒します。
そして洞窟の白鬼とも死闘を繰り広げ辛くも勝利し、視力を回復させる魔力があるというその肝臓を持ってカイ・カヴス一行のもとに向かいます。

■ものがたり

□5□ロスタムの第五の試練:ウラドを捕まえる

ロスタムは夜を徹して、疾走するように旅を続け、黒人の顔のように黒い、星も月もない濁った夜にたどり着きました。
彼はラクシュに手綱を任せて歩みを進めましたが、闇夜のために地面の高低も川も見えないほどでした。

やがて明るくなってあたりを見ると、地面は緑の絹のようで、耕された土地には小麦の若芽が輝き、あちこちに小川が流れている土地でした。

ロスタムの衣服は汗で濡れそぼち、休息と睡眠が切実に必要でした。
彼は虎皮の胴衣を剥ぎ取り、兜も脱いで日干しにしました。そしてラクシュの手綱を外し、若麦の中を気ままに歩かせました。虎皮と兜が乾くと再びそれを身につけ、獅子のように草むらに寝そべり、盾を枕に、剣の柄に手をかけて一眠りしました。

麦畑の番人は、作物の中にラクシュがいるのを見て、色めき立って駆け寄り、棒で勇者の足を強く叩き、ロスタムに言いました。
「このアーリマンめ、あんたは自分の馬を麦畑の中に放って、自分に何の害もなさない人の財産を台無しにしている!」

ロスタムはその言葉に激怒し、答える代わりに立ち上がって男の耳を掴んで捻り、頭から引きちぎってしまいました。男は地面から耳を拾い上げ、ロスタムのしたことに驚き狼狽して泣き叫びました。

この土地の所有者はオラドと呼ばれる男で、立派で勇敢な若者でした。怪我をした番人は頭と手を血まみれにし、耳を持って彼のもとへ行って泣きながら報告しました。 
「黒い鬼のような男がいたのです!虎皮の胴衣と鉄の手甲をつけた完全なアーリマンでした。私は彼の馬を麦畑から追い払おうとしたのですが、彼はそれを望まず、私を見ると、何も言わずに立ち上がり、私の耳をもぎ取ってまた眠ったのです。」

●ロスタムに耳を千切られた麦畑の番人(Bayerische Staatsbibliothek, BSB Cod.pers. 10, f.84v)

 オラドは貴族の一団と草原に狩りに出ていたところでしたが、番人の報告を聞いて麦畑に向かい、そこに大男の足跡をみつけました。
番人が言っていた場所にその男を探しに行ったところ、ロスタムはラクシュに乗り、光り輝く剣を抜いて、まるで雷雲のように威嚇しながら向かってきました。

両者は近づき、互いに問いかけました。
「何者だ?」
ウラドも言いました。 
「お前こそ何者だ?どの王に忠誠を誓っているのか? 諍いを起こす乱暴者はここを通す訳にはいかない。
なぜお前は私の番人の耳を引き裂き、馬を麦畑の間に放したのか?
お前の世界はここで黒くなり、兜は塵に帰すであろう。」

ロスタムは言いました。 
「私の名前は、雲、とでもいおうか。獅子の鉤爪をもち、槍や剣を振るって戦士の頭を切り落とす雲だ。私の名を知ればお前の血を凍らせるだろう。
『強弓と投げ縄の使い手、ロスタム』とは私のことだ。
お前のような息子を産んだ母親を何と呼ぶか知っているか?『屍衣の縫い子』か『泣き女』だ。
取り巻きを連れてきて戦わせるつもりかもしれないが、ドームにクルミを投げて壊そうとするのと同じくらい無意味なことだ。」

そして、彼は投げ縄を鞍にかけ剣を抜きました。そしてその剣の一撃で、2つの首を切り落としました。

f121v

●ロスタムが斬ったウラドの取り巻きの二人(f121v)

平野は散り散りになった騎士たちの塵で埋め尽くされ、彼らは山や洞窟に逃げ込みました。ロスタムはオラドに追いつくと、投げ縄を投げつけて彼の頭を縛り上げました。そして馬から引きずり下ろし、腕を縛り上げて、命令しました。 
「白鬼の居場所、それからカヴスの幽閉場所を教えろ。もしお前が本当のことを言い、お前の中に嘘がないと分かったら、このメイスでマザンダランの王を退位させたのち、お前が代わりにここを統治するのだ。しかしもし嘘をついたり裏切ったりすれば、後悔することになる。」

f121v

●ロスタムに捕らえられたウラド(f121v)

ウラドは言いました。 
「どうか落ち着いて下さい。望むものはすべて私から得られます。白鬼の住む場所、そしてカヴスが幽閉されている場所への道を教えます。そして更にマザンダランの王が座すところも。その地には六十数万の騎士たちが闊歩し、皆立派な鎧を支給され報酬を得ており、不満を持つものは一人もいません。彼らは千二百頭の戦象を持ち、都市には彼らのための場所がないので郊外で飼っています。
道のりは険しく、道中には無数のディヴが待ち構えているでしょう。鉄のようなあなたですが、たった一人で、彼らを相手にするのは厳しいかもしれません。」

この言葉はルスタムを笑わせました。
「私と共に来るならば、私と対峙した戦士たちがどうなるかを見ることができる。彼らが最初に私の強さと威力を垣間見るとき、そして私が振るう巨大なメイスを見るとき、彼らは無様に敗走し、手綱がもつれ、恐怖に怯えるだろう。
私が望むのは、お前がカヴスのもとへ案内してくれることだ。さあ、今すぐ出発だ。」

こう言って、彼はラクシュに飛び乗り、ウラドを横に従えて風のように速く駆け出しました。そしてディヴたちがカヴスを倒したイスプルズ山に着くまで昼も夜も休まず走り続けたのです。

山裾で休んでいると、真夜中、平原から叫び声が上がり、狼煙があがって至る所で松明を灯しているのが見えました。
ロスタムはウラドに尋ねました。 
「あの火は何だ?」
ウラドは答えて言いました。
「あそこがマザンダランへの入り口です。
夜が更けるにつれ、誰も眠れないほどに騒がしくなります。ディヴ・アルザンが守備隊の隊長です。」
ルスタムたちは再び眠りました。

夜が明けるとロスタムはウラドを連れ出し、木に縛り付けてておきました。

f124r

●縛り付けられたウラド(f124r)

そして鞍に祖父が愛用していたメイスを掛け、自信と策略に満ちて出発しました。

 

□6□ロスタムの第六の試練:アルザンとの闘い

彼は隊長のアルザンを探すために出発し、ディヴの軍勢に遭遇すると、轟くような声をあげました。この叫びを聞いたアルザンが天幕から飛び出してきました。 ロスタムはそれを見て馬を進め、炎のように彼に襲いかかり、彼の頭と耳と首をつかみ、もう片方の手で肩をつかんだのです。

f122v

f122v

●アルザン・ディヴにつかみかかるロスタムと加勢するディヴたち(f122v)

そしてロスタムは、猛獣のようにアルザンの首を引きちぎって彼の軍隊に投げつけました。
大将の首とロスタムの鉄のメイスを見て、ディヴたちは恐怖に震え、誰も彼も、土地や作物のことを忘れて逃げ去ってしまいました。

 

日没後、彼は全速力でイスプルズ山に戻りました。ウラドの縄を解いて、高い木の下に座ってシャー・カヴスがいる街に行く方法を尋ね、早速オラドに先導させて足早に向かいました。

彼らがその街に到着すると、ラクシュは雷のような嘶きをあげました。これを幽閉場所で聞いたカイ・カヴスは仲間のイラン戦士たちに言いました。
「ラクシュの嘶きが聞こえた! 私の心と精神は歓びで若返ったようだ。
カイ・クバドがトゥランの王と戦ったとき、あの馬はこのように嘶いたのだ。」
戦士たちは密かに語りあいました。
「王の心は、あまりの苦難に遭って、正気を失ってしまったのだ・・。」

やがてこの場所にロスタムがやってきて忍び込みました。
彼はシャーの前に跪き、彼の長い苦難を思って激しく泣きました。
グダルズ、トゥース、勇敢なギーヴ、獅子バフラム、シャウーシュ、グスタハムら、高貴な戦士たちも見えない目で、次々に集まってきました。

f123r

●盲目にされ捕らわれているイランの戦士たち(f123r)

カヴスはロスタムを抱きしめて、ザールのことを尋ね、ロスタム自身の旅の苦難を尋ねました。

f123r

●ロスタムを抱きしめるカヴス(f123r)

そしてシャーはロスタムに内密に言いました。
「ここのディヴたちにラクシュを見せるな。『アルザンは死に、ロスタムはカイ・カヴスと共にある』と奴らに知られれば、軍勢が集まり行く手を阻むだろう。密かに白鬼の住処を探し当て、そこで闘うのだ。
汝はディヴの軍勢の総本山、七ッ峯まで行かなければならぬ。そこにある恐るべき洞窟が白鬼の住処である。
どうか汝に彼を仕留める力があるように。彼はあの軍の長であり、要なのだから。

我が兵士たちの目は悲しみで曇っており、私も暗闇の中にいる。
そして我々の薬師は白鬼の体内から抽出した血液に望みをかけている。賢明な薬師が言ったのだ。『彼の血液を3滴、涙のように目の上に降らせれば、盲目を退けることが出来る』と。」

ロスタムは出発する際にイランの戦士達に語りかけました。
「楽観はできません、私が立ち向かうのはあの恐ろしい白鬼なのです。
もし奴が私を打ち負かすならば、この惨めな窮状がずっと続くでしょう。しかし、もし神と私の良き星が私を助けるなら、この王家の木が再び実を結び名誉が回復されるでしょう。」

 

□7□第七の試練:白鬼との闘い

彼は戦いと復讐のために身支度を整え、ウラドを連れ、ラクシュを風のように進ませました。
七ッ峯に到達すると、ロスタムは深淵な洞窟の様子を伺ってみました。猛々しいディヴの軍勢が警戒にあたっているのを見て、ロスタムはウラドにこう語りかけました。
「お前はこれまで私が尋ねたことにすべて正直に答えてくれた。しかし、これからがディヴたちとの本格的な戦いだ。この先どうすればいいのか秘密を知っていれば教えてくれないか。」
ウラドは言いました。
「太陽が暖かくなるとディヴたちは眠ります。今は夜ですから、殆どのディヴが座りもせずに警護しています。日が高くなり、神があなたの味方であるならば、あなたは彼らに勝利することができましょう。」

ロスタムは先を急ぐことなく、太陽が高くなるのを待ちました。
そして、オラドをまた投げ縄で縛っておき、ラクシュに跨がり剣を鞘から抜いて出発しました。
彼は雷のように自分の名を咆哮し、眠りこけるディヴの集団の中に降り立ち、彼らの首を切り落としました。誰一人として彼に挑もうとする者はいませんでした。

ロスタムは張り詰めた様子で白鬼を探しに前へ進みました。そこには地獄のような洞穴がありましたが、暗闇の中で白鬼の姿は見えません。
ロスタムは剣を握ったまましばらくそこに立っていました。目を凝らして穴の暗闇を覗き込むと、そこに山のようなものがあり、穴の中を隠しているのがわかりました。それは夜の色をしており、髪は雪のように白く、世界はその大きさと広さで満たされているように見えました。

さて、ルスタムは眠っている白鬼を殺すのではなく、獣のような咆哮で彼を呼び起こしました。
鉄の兜と鎧を身にまとった白鬼は、石槌を手に取り、覆い被さる煙のようにルスタムに襲いかかってきました。
ロスタムはうろたえました。
「もはやこれまでか!」

しかしロスタムは気持ちを奮い起こして突進し、鋭い剣で白鬼の体に斬りかかり、その一撃は片脚の太ももを切断したのです。

白鬼は傷ついた体で彼に襲いかかり、残った片脚で洞窟を蹴り壊したので、石塊が降り注ぎました。2人は象と獅子のように組み合い、互いに肉を引き裂き、地面は血でぬかるみと化しました。

f124r

●白鬼とロスタムの死闘(f124r)

組み合いながら、ロスタムはこう思いました。
「今日、この時を生き延びれば、永遠に生き続けられよう。」
そして白鬼も思っていました。
「もはや長らえても仕方あるまい。たとえこの龍の魔の手から逃れても、片脚を失い傷ついた姿ではマザンダランでの私の権威は失われてしまうだろう。」
それは彼の惨めな慰めでした。
しかし、それでも白鬼は血と汗を流しながら格闘し、ロスタムは神の力を借りて応戦しました。しかし傷だらけのロスタムはついに、手を伸ばして白鬼の胴体を掴み、首の高さまで持ち上げて、息が止まるほどに彼を地面に叩きつけました。
そして短剣で彼の心臓を刺してとどめを刺し、腹を開いて肝臓を抜き取りました。洞窟内はすべて白鬼の巨体で満たされ、地面は血の海になりました。


ロスタムは洞窟から出てきて、ウラドを縄から解放し、投げ縄をまた巻いて鞍に括り付けました。
彼はウラドに白鬼の肝臓を持たせ、2人はカヴスのもとに向かって出発しました。
ウラドは言いました。
「無敵の勇者よ!私の体にはまだあなたの縄の跡が残っています。束縛の中で考えていたのですが、かつてあなたは私に報酬の希望を与えてくれました。気高い戦士に相応しく、約束を守ってもらえるのでしょうか。」
ロスタムは答えました。
「そうだ、マザンダランはお前のものだ。
しかし、この先もまだ試練の日々が続き、その中で幸運も不幸も訪れるだろう。マザンダランの王を玉座から引きずり下ろして葬り去り、その軍勢にも対処せねばならない。それが無事に済んでからだ。
しかしもしそうでなくとも、私はお前に誠意を尽くそう。」

 

 

■シャー・タフマスプ本の細密画

ずっと知りたいと思っていた画家の情報がわかりました。過去の表にも追記する予定です。

サムネイル ページ番号 画のタイトル※ タイトル和訳 所蔵館と請求番号 画像リンク先 備考
f121v 121 VERSO  Rustam's fifth course : the capture of Owlad  ルスタムの第五の試練:オウラドの捕獲  Tehran Museum of Contemporary Art, Tehran, Iran Hollis アブド・アル・ヴァハブ、ミール・ムサッヴィールの監督
f122v 122 VERSO  Rustam's sixth course: he slays Arzhang  ルスタムの第六の試練:アルザンを倒す  Tehran Museum of Contemporary Art, Tehran, Iran Hollis アブド・アル・ヴァハブ
f123r 123 RECTO  Kay Kavus and Rustam embrace  カイ・カヴスとルスタムの抱擁  MET, 1970.301.18 MET カディミ
f124r 124 RECTO  Rustam's seventh course: he kills the White Div  ルスタムの第7の試練:彼はホワイトディヴを殺す  Cleveland Museum of Art, Cleveland (Cuyahoga county, Ohio, United States) (inhabited place) 1988.96 CMA / Hollis アブド・アル・ヴァハブ、ミール・ムサッヴィールの監督

 

 

■その他の写本の細密画

サムネイル 連番 画のタイトル※ タイトル和訳 所蔵館と請求番号 画像リンク先 備考
BL-Add-MS-18188

他19

93r Rustam capturing Ūlād. 第五の試練:ウラドの捕獲 ②British Library, Add MS 18188
カタログ

1486, Turkman/ Timurid 様式

BSB-Cod-pers-10 他20 84v -- 第五の試練:麦畑の番人がウラドのところに戻る ⑧Bayerische Staatsbibliothek, BSB Cod.pers. 10 1560-1750
BL-Add-MS-18188

他21

93v Rustam fighting Arzhang. 第六の試練:アルザンを斃す ②British Library, Add MS 18188
カタログ

1486, Turkman/ Timurid 様式

NYPL-Spencer-Coll-Pers-ms-3 他22 Rustam's Sixth Feat: he kills the dîv Arzhang. 第六の試練:アルザンを斃す ⑬The New York Public Library, Spencer Coll. Pers. ms. 3 1616-07、シラーズ?
SbBerlin-Ms-or-fol3380 他23 077r Rustam's sixth labour: he kills Arzhang 第六の試練:アルザンを斃す ⑮Staatsbibliothek zu Berlin, Ms. or. fol. 3380 15XX、1670 年代
BL-Add-MS-18188

他24

94v Rustam killing the White Dīv. 第七の試練:白鬼を斃す ②British Library, Add MS 18188
カタログ

1486, Turkman/ Timurid 様式

SbBerlin-Ms-or-fol-359

他25

124v Rustam's seventh labour: he kills the White Div 第七の試練:白鬼を斃す ③Staatsbibliothek zu Berlin, Ms. or. fol. 359

15XX

BL-IO-Islamic-3540-f71v

他26

71v Rustam and the White Demon.  第七の試練:白鬼を斃す ④British Library, IO Islamic 3540
カタログ

15XX, シラーズ

LM-Ryl-Pers-910 他27 76v Rustam's seventh labour: he kills the White Div, Painter B. 第七の試練:白鬼を斃す ⑤Library of Manchester, Ryl Pers 910 1498?/1518?/
1570?
LM-Ryl-Pers-932-f87v 他28 87v Rustam's seventh labour: he kills the White Div. 第七の試練:白鬼を斃す ⑦Library of Manchester, Ryl Pers 932 1542、シラーズ
BSB-Cod-pers-10 他29 87r -- 第七の試練:白鬼を斃す ⑧Bayerische Staatsbibliothek, BSB Cod.pers. 10 1560-1750
PECK-shahnameh 他30 62v (p124) Rustam Kills White Div 第七の試練:白鬼を斃す ⑨Princeton Univ. Library, Peck shahnameh 1560-1750
SbBerlin-Diez-A-fol-1-102v 他31 102v Rustam's seventh labour: he kills the White Div 第七の試練:白鬼を斃す ⑩Staatsbibliothek zu Berlin, Diez A fol. 1  1593
SbBerlin-Ms-or-fol-4251 他32 208r Rustam's seventh labour: he kills the White Div 第七の試練:白鬼を斃す ⑫Staatsbibliothek zu Berlin, Ms. or. fol. 4251 1605,イスファハン
NYPL-Spencer-Coll-Pers-ms-3 他33 Rustam's Third Feat: he kills a dragon. 第七の試練:白鬼を斃す ⑬The New York Public Library, Spencer Coll. Pers. ms. 3 1616-07、シラーズ?
FWM-Ms-311 他34 59r Rustam's seventh labour: he kills the White Div 第七の試練:白鬼を斃す ⑭Fitzwilliam Museum, Ms 311 1620 - 1621
SbBerlin-Ms-or-fol3380 他35 078r Rustam's seventh labour: he kills the White Div 第七の試練:白鬼を斃す ⑮Staatsbibliothek zu Berlin, Ms. or. fol. 3380 15XX、1670 年代

 

■細密画解説(本や所蔵美術館の解説より適宜抜粋)、メモ

●121 VERSO  Rustam's fifth course : the capture of Owlad  ルスタムの第五の試練:ウラドの捕獲
〇Fujikaメモ: 
この節、児童文学の英雄の冒険ではありえない、大人の展開で、思わずぎょっとしてしまいました。
他人の麦畑に勝手にラクシュを放し、咎めてきた人の耳を千切ってしまうなんて・・・。
ここで捕虜にした辺境の農場主ウラドが、マザンダラン中央のことをなんでもよく知っているというのはずいぶんラッキーです。
シャータフマスプ本ではウラドは歩いた状態で縄をかけられていますが、このあと「ウラドを横に従えて風のように速く駆け出した」とあり、まさか駆け足のはずもなく、ウラドも馬で同行しているはずです(重たい軍装なしとはいえ名馬ラクシュについていくなんて割といい馬ですよね)。
ウラドの馬は省略されることが多いですが、(他19)では、騎馬のウラドが捕まっているし、(他24)(他25)では、洞穴の外にラクシュともう一頭、馬が描かれています。

●122 VERSO  Rustam's sixth course: he slays Arzhang  ルスタムの第六の試練:アルザンを倒す 
〇Fujikaメモ: 
文章では割とあっさり闘って勝つだけですが、この絵(f122v)はとても綺麗です。
金色の地面にサックスブルーの青い空。もふっとした木やうねうねとうねる灌木、綺麗な花も咲いています。地面の金と、ロスタムやラクシュの赤茶色を背景に、アルザン・ディヴの鮮やかな青(空とは違う青色)が綺麗です。
奥にはいろいろの容姿のディヴがいます。
(他21)は、まさにアルザンの首をもぎとりかけているところ。流血シーンです。

●123 RECTO  Kay Kavus and Rustam embrace カイ・カヴスとルスタムの抱擁
〇Fujikaメモ: 
盲目にされたカイ・カヴスと戦士たちが囚われているところにロスタムが訪ねて行くシーンです。
絵では優雅なテラスにいますが、このとき彼らは、少なくとも軟禁状態のはずですよね。なのでロスタムは護衛をどうにかするか、もしくはこっそり忍び込む必要がありますが、原文にはそのあたりの詳しい記載がありません。護衛を殺したりすると追手がかかったりするはずでややこしいので、忍び込んだということにしました。

●124 RECTO  Rustam's seventh course: he kills the White Div  ロスタムの第7の試練:白鬼を斃す 
〇Fujikaメモ: 
暗い洞窟の中で白鬼とロスタムが闘うシーンで、七つの冒険の章のクライマックスです。
他の写本にも挿絵が多く、今回調べた写本のうちほぼ全てにこのシーンの挿絵があります。(14冊中12。(他24)~(他35)。)
白鬼は片脚(版によっては片腕と片脚)を切り落とされたという文章があるため、そのような姿で描写されています。
洞穴の外には、ウラドが木にしばりつけられており、ラクシュもまた近くにつながれています。
ウラドは、だいたいどの絵でも何重にもぐるぐる巻きにされていますが、これはロスタムの投げ縄がとても長い(つまり力が強い)からです。
12枚の挿絵は、洞穴、白鬼、ロスタムと、似ているようでそれぞれ個性的できれいです。よかったらサムネイルをクリックして拡大してみてください。
(他25)は、洞窟の中に何故か若い女性が!?。文中にはそういう描写はないのですが・・・。洞窟の外にはいろいろなディヴたちがいます。
だいたいは、ロスタムが短剣でとどめを刺しているシーンですが、(他30)と(他34)は、白鬼の脚をずばっと斬りつけているシーンです。
(他24)(他25)は画面に大小の黒い穴が描かれていますが、小さい方が洞穴の入り口の描写、大きい方は洞穴内の格闘を描くための描画上の便宜的な開口部、ではないかと思います。

 

 

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パネトーネ2023:マルケージ

2023-06-21 | +パネットーネ・コロンバ

イタリアのお友達から、パネトーネを頂きました。
一時帰国する際にスーツケースに詰めて持ってきて下さって、日本についてから発送して頂いたのです。
こんなかさばる大きなものを、本当に感謝です。
(Aさん、ありがとうございます☆)

マルケージのパネトーネ

こちらのお店は、一年中パネトーネを売っているとのこと。
清楚な真っ白の包み紙と白いリボン。

マルケージのパネトーネ

マルケージ Marchesi という高級お菓子屋さんです。
創業1824年と、歴史もあるみたいですね。

マルケージのパネトーネ

開封☆
もっこり、立派なパネトーネです。
袋に入っていても、やや焼き色が強めなのが分かるかと思います。

マルケージのパネトーネ

黄色みが強い色合いで、とってもしっとり。
オレンジピールがやや大き目カットで、よく香ります。
極微塵切りのチェドロのピールも入っていましたが、これはあまり香りませんでした。

今回印象が強かったのは、こんがりした香ばしいカラメル風味。
表面がこんがり焼けたその風味が生地の中にも沁みている感じでした。
(焼きすぎると、底面や生地全体がパサついたりすることもありますが、それはないです)
こんがり風味があるので、いわゆるパネトーネの生っぽいような発酵風味はやや印象弱めでした。
この焼け具合は、このお店の特徴というよりは、たまたまその日の出来具合、なのかもしれません。

マルケージのパネトーネ

原材料:小麦粉、レーズン15%、バター、平飼い卵の卵黄、キビ砂糖、水、オレンジピール10%、天然酵母、蜂蜜、チェドロピール1%、塩、天然香料(バニラ鞘)

マルケージのパネトーネ

説明書。


一度に食べてしまうのは勿体ないので、数切れ分は冷凍してあります。
ダンナサマが出張中に、ひとつ食べてしまおうかな・・・。

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ラズベリー2023:夏果収穫(大忙し)

2023-06-20 | +ベリー類(ブルーベリー、ラズベリー、ブラックベリー、桑、ぐみ、ユスラウメ)

ラズベリーの夏果、今年はけっこう沢山とれました。
まだ採れていますが、ピークは6月中旬頃だったでしょうか。

 

ラズベリー

ぱっと見でも、赤い実がけっこうついています。
この中で濃いめの色合いのものを選んで摘んでいきます。
(夏果は展開が早くて、翌日には熟しすぎになることもあるし、収穫後の追熟も早いので、少し明るい色でも摘んでしまいます)
特に雨だと熟すのが早いです。以外にも、晴れていい天気の方が熟し方がゆっくりな気がします。

ラズベリー

浅い箱に摘んで、あまり積み重ねないのがよさそうです。
軸ごと切るため、沢山摘むと重みで軸に刺さって傷がついてしまうのです。
(軸ごと切っているのは、収穫の時間がその方が短いため。その代わりヘタ外しの時間が別途必要になりますが・・・)
3箱分くらいになると、摘むだけで2時間くらいかかります。

(ラズベリー作業にだいぶへばってきて気づいたのですが、桑とかブルーベリーならば、大粒にターゲットを絞って摘むことができるのに、ラズベリーはそれができず、徹底的に小粒まで摘んでしまうのです。あまりに貴重だった時期が長く、小粒を見捨てる習慣がなくて、自分の首を絞めてるかも・・・。)

ラズベリー

なんて綺麗☆ うっとり~。

ラズベリー

摘んでいると、2タイプのかじられ果実があります。
上は、果汁を吸うように舐めとられたような痕跡。これはカタツムリなど口の小さいヒトでしょうか。
下のタイプのかじられの方が断然多くて、粒ごともぎとるように齧るヒト。
たまに実の全部がなくなっていますが、大抵はこんな風に部分的に齧ってある状態です。
この食べ残しの実を、作業中ついもったいなくて食べちゃったりするのですが、得体のしれない動物と間接キスだし、やめといた方がいいかな。

ラズベリー

これは収穫時の事故。
誤って有望な青い実を折ってしまったり切ってしまったりすることもあります。
「うああ!」と思いますが、全体としては沢山あるし、許すね。

積んだ後は、その日のうちにヘタを抜きます。(だいぶ色が薄いのはパックに入れて冷蔵し翌日まで追熟)
その際に、立派サイズとそれ以外(小さ目)に分類。
収穫量が多いと、このヘタとり作業の時間もばかになりません。1時間くらいかかるかな?
(ヘタをとりながら状態をよくチェックできるので、摘むのとヘタとりを分けるのは、悪くない作戦ではあるのですが・・・)

夜には、昼よりもやや追熟して濃い色になっているので、基本的にその日のうちに冷凍してしまいます。
小さい方は、基本ピュレ要員。

ラズベリー

毎日どんどこたまってくるので、数日に一度はスペースを節約するため、裏ごし処理をします。
鍋一杯のラズベリー(小さ目)を軽く加熱(電子レンジ)。

ラズベリー

ぺしょっと柔らかくなったところで裏ごし。

ラズベリー

ピュレ二袋と、種一袋くらいになります。体積でいうと、ピュレ:種=3:1くらいでしょうか。
(タネもね、ラズベリーの味がまだすごくするので捨てられない・・・。自分用ジャムにしようかと・・)
最初の粒のときと比べると、カサは6割くらいに減ります。

大き目ラズベリーとこのピュレを混ぜて、種が少な目のラズベリージャムにしようかと思っています。
ピュレになっていればムースとかもすぐ作れるし・・・(作るかな・・・)。

ラズベリー

今年の大きめ粒は、自分的には瞳孔がひらいちゃうくらい大きいです。
摘んでいて、一粒でも重さを感じるくらい。
大きいものは、指先、ときには親指のさきっぽくらいあって、わー、いちごがぶら下がってるみたい~とワクワクします。
今回、この10粒の重さをはかってみたら、29gでした。一粒約2.9g。


低い鼻がにょーんと伸びる日々だったのですが、先日コストコで、アメリカ・メキシコ産だというラズベリーを見たら別物でびっくり。
指先と比べてみて下さい。

ラズベリー

何このマンモスは。大きいイチゴ?巨峰?
うちでいちごジャム用として買う小粒イチゴより断然大きいです。
大きい分中心の空洞も大きいのかと思ったら、結構果肉が厚いです。

アメリカは広大な農園で機械で収穫するらしいですが、こんな大粒がごんごろ採れたらすごいなあ・・・。
研究のため、と思わず買いそうになりましたが(この1パック340gで1198円)、ぐっとこらえました。


ラズベリー

折角の生ラズベリー、簡単おやつなどでせっせと食べています。
しっかりめの水切りヨーグルト、牛乳少々(生クリームっぽくなるので是非。生クリームがあれば尚リッチ)、蜂蜜を練って、ラズベリーを混ぜ、マリービスケット(日本のではなく輸入のがよい。大きくて甘さが薄いため)に挟み、1~2日おく、というもの。
水分をマリービスケットが吸って、ふんわりしたケーキサンドのようになります。


ケーキより低カロリーのはず・・と思ってたんだけど、最近ほっぺがぷっくりしてきたような・・。

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オオミズアオほか

2023-06-15 | ■いきもの観察

ぽてぽてと下を向いて歩いていると、時々面白いものをみつけます。

集合住宅の廊下排水口近くでおやすみになっていたこのヒト。

オオミズアオ
全体が玉というか青磁のような薄緑色で、左右に紋が入ってます。
前縁部は小豆色、触覚は黄色の、葉っぱの葉脈風。
調べてみるとオオミズアオという蛾のようです。
(調べるつもりは全くなかったのだけど画像検索でつい目に入ってしまったコノヒト子供時代は、鮮やかな緑色のアコーディオンみたいな)

蝶や蛾は、さほど好みの生物ではないのですが、綺麗だなあと思いました。

前に見た緑色の繭はこのヒトの?と思って調べてみましたが、あれはヤママユガの繭で、こちらの繭は緑色ではなさそうです。


ドクダミ
こちらは五弁のドクダミ。
通常はこの白い部分は四弁のところ、これだけ五弁でした。
四つ葉のクローバーみたいに、幸運のしるしになる・・・かな?


八重ドクダミ
これは、八重のドクダミ。
こういう品種なので、毎年同じ場所で見ることができます。
去年かな、初めて見かけました。
八重ドクダミは、知ってる範囲では、2カ所、あります。

===========

いま、ラズベリーの収穫に追われています。
青い実が(見たこともないくらい)沢山ついている記事をアップしましたが、ぽつぽつと徐々に熟すとはいえ、3畝分は、相当な量。摘むのが1時間では終わりません。
で、摘んで帰ったらヘタ抜き作業もまたひとしきり。
ひとまず冷凍するしかなくて、どんどん冷凍庫にしまうのですが、とても嵩張ります。
(この前アイスを買っちゃったのがスペース的に痛かった・・・)
時々は、全ての作業にプラスして加熱・裏ごし作業も必要・・・。
(ピュレにするとスペースが格段に節約できる)

今年のお正月、わらびさんに、
「あんなにラズベリー植えていたら大変でしょう?」
と聞かれたのですが、昨秋までは、
「それが全然・・」
だったのですが、今年は、なんか、けっこう、大変・・・・。ひー。
(今度記事にしますね。)

コメント (6)
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シャーナーメ:12.ロスタムの七つの試練(上)

2023-06-14 | +シャー・ナーメあらすじ(挿絵付き)

だいぶ間があいてしまいましたが、ロスタムがイラン王カイ・カヴスを救出に行く際の冒険のお話です。
獅子や龍と闘うというシンプルなストーリーなので、他の写本の挿絵も見てみたいよね~、と、約14冊分ほどの写本の挿絵を集めてみました。
同じ龍退治の話でも、いろいろなパターンがあってそれぞれ綺麗だし面白いです。
が。
このとりまとめが大変で。
読んで下さっている方にも少しでも面白いと思って頂けるといいのですが・・・。


====================
12.ロスタムの七つの試練(上)
====================

■登場人物
ロスタム:白髪のザールの息子。
ラクシュ:ロスタムの馬。黄色地に斑点模様。

マザンダラン(地名):人間とともにディヴや魔術師が住む国。架空の土地で、現在のマザンダラン地方(カスピ海南岸)とは無関係。

 

■概要
軽率で傲慢なイラン王カイ・カヴズは、アーリマンにそそのかされて魔術師とディヴ(鬼)の国マザンダランを侵略しに行きましたが、兵士ともども捕らえられ魔法で目が見えなくされてしまいました。
ザールは息子ロスタム(と愛馬ラクシュ)に、救出を命じました。
マザンダランへの最短の道は、数々の苦難が待ち受ける道程でした。
獅子、水のない砂漠、龍、魔女をなんとかクリアして更に進みます・・・。

 

■ものがたり

□1□第一の試練:ラクシュと獅子の闘い

シスタンを出発したロスタムは興奮で顔を紅潮させ、暗い夜も明るい昼もラクシュを走らせ、2日分の旅を1日で終わらせました。
疲れて空腹になると、前方に野ロバがたくさんいる平原が見えてきました。
彼はラクシュを駆り、野ロバに追いつきました。どんな動物もラクシュの速さとロスタムの投げ縄を逃れることはできません。ロスタムが投げ縄を投げると、その縄は勇敢な野ロバの頭を捕らえたのです。
そして、矢の先で火を熾し、その上に茨と屑を積み上げ、獣を殺して皮を剥ぐと、その炎の中で調理しました。彼はすっかり肉を平らげ、骨だけがのこりました。

彼はラクシュの手綱を外し、近くの草原を自由に歩き回らせました。
ロスタムは葦藪のひとところに寝床を作りましたが、実はその場所は安全ではありませんでした。葦の中には獅子の住処があったのです。

明け方、この獅子は巣に戻ってきました 。 
彼は象のような大男が葦原でぐっすり眠っているのを見ました。

f118r

●眠るロスタム(f118r)


そして、その前に一頭の馬が起きて立っているのを見ました。 
「馬の乗り手に爪を立てるには、まず馬を倒さねばならないだろうな。」
獅子はラクシュに向かって突進し、襲いかかりましたが、ラクシュはライオンの頭に前足のひづめを打ちつけ、鋭い歯を背中に食い込ませました。
そして獅子を地面に投げ捨て、引き裂いて、この野蛮な動物を無害にしました。

f118r

●獅子と闘うラクシュ(f118r)

ロスタムが目を覚ますと、獅子が死んで横たわっています。
彼はラクシュに言いました。 
「お前、なんという無茶を。誰が獅子と戦えと言ったか?
もしお前が殺されていたら、この兜、虎皮、弓、投げ縄、剣、そして巨大な棍棒を持って、どうやってマザンダランに行くことができようか?
私を起こしてくれれば、獅子との闘いは短かったはずだ。」

 

□2□ロスタムの第二の試練:ロスタムは泉をみつける

山の頂から陽が昇ると、ロスタムは甘い眠りから目を覚ましました。
ラクシュの体をこすり、鞍をつけ、行く道の無事を神に祈りました。

この日の道程は、暑く、乾ききった土地でした。
水のない砂漠は、鳥が粉になるほどの暑さで、平野と廃墟は焼け野原のようでした。
ラクシュは疲れ果て、ロスタムの喉は渇ききってしまいました。
ロスタムは馬を降りると、長槍を杖にしてよろめきながら進みました。
彼は救いを求め、天を仰いで言いました。
「おお神よ。あなたが我が頭上に全ての苦難をもたらし、我が苦痛に喜びを見出すならば、私の寄与は大きいはずです!
私は、神がカヴス王に慈悲を与え、神の命に従ってイラン人をディヴの手から解放することを願って旅をしています。彼らは罪を犯しあなたに見捨てられましたが、それでもあなたの奴隷であり崇拝者です。どうか私に任務を果たさせて下さい。」

ロスタムの舌は乾いてひび割れ、灼ける大地に倒れてしまいました。
やがて、目の前をよく太った雄羊が通り過ぎていくのを見ました。
彼は思いました。
「この羊はどこで水を得ているのだろう。このような時にこの動物を見せてくれるとは、これは神の慈悲に違いない。」

彼は右手に剣を握り、力を振り絞って立ち上がりました。片手に剣、もう片方の手でラクシュの手綱を引いて雄羊の後を追いました。

f119v

●ロスタムが追いかけた羊が水場に辿り着く(Bayerische Staatsbibliothek, BSB Cod.pers.10, f.83r)

雄羊は彼を小川に導き、ロスタムは顔を空に向け神に感謝しました。
「慈悲深き神よ!この羊は水辺に足跡を残していません。これは生身の砂漠の羊ではないのですね。」
そして神秘の雄羊に祝福を与えました。
「お前の牧草地が常に緑で、豹がお前を獲物と思わないように。お前を射ようとする者の弓が折れ、その矢が逸れるように。ロスタムはお前によって生き延びたのだから。
お前がいなければ、私は今頃自分の屍衣を準備していただろう。」

そして、ラクシュの馬具をはずし澄んだ水で全身を洗うと、ラクシュは太陽のようにきらきらと輝きました。
そして、ロスタムも渇きを癒やし、力を取り戻して、矢筒をいっぱいにしてラクシュに跨がり、大きな野ロバを倒しました。
皮を剥ぎ足を落とし、内臓をとりだして小川で洗い、炎の中で調理しました。

彼は手で骨を引き裂きながら食事に没頭し、また小川に戻って喉を潤しました。
彼はもう眠ろうとし、ラクシュに言いました。
「今夜は誰とも戦うなよ。もし敵が現れたら、私を起こすように。魔物や獅子にひとりで立ち向かうことはない。」
そして、横になって唇を塞いで眠り、ラクシュは夜中まであちこちの草を食みながら歩き回っていました。

 

□3□ロスタムの第三の試練:龍との闘い

眠るロスタムのもとに、近くの荒れ野に棲む龍が近づいてきました。
その龍はどんな象も逃がしたことがなく、魔物でさえもその荒れ地を通ることを恐れる程でした。
龍は、眠っている人間と、そのそばにいる馬を見て怒り狂いました。
「こいつらは何だ? 誰がわざわざこんなところで休もうとしているのか?」
というのも、魔物も象も獅子も、龍を畏れてこの道を避けていたからです。
龍は艶やかなラクシュに牙を剥きました。
ラクシュは急いでロスタムのもとへ駆け寄り、蹄で地面を踏みしめ、激しく嘶きました。
ロスタム目を覚まし荒野を見渡しましたが、周囲に何も見つけられず、自分を起こしたラクシュを叱りました。
彼は眠り、再び龍が暗がりから近づいてきました。ラクシュはロスタムの寝床に駆け寄り、大地を蹴って踏み鳴らしました。
眠っていたロスタムは目を覚まして辺りを見回しましたが、静かな暗闇のほかは何も見えません。彼は愛情深く見守っているラクシュに言いました。
「お前は夜の闇を見通すことができないのに、また私をせっかちに起こしたね。
もしこれ以上邪魔をするならば、私の鋭い剣でお前の首をはね、兜と巨大な棍棒を徒歩で運ぶことにするよ。
私は『獅子が迫ってくるなら立ち向かう』と言ったが、『夜中に駆けつけてくれ!』とは言っていないだろう。どうか私を眠らせてくれ。」
そして三たび、虎皮の胴着をかけて眠りにつきました。

恐ろしい竜は更に近づき、唸って火を噴きました。
ラクシュはすぐに牧草地を離れましたが、ロスタムに近づくのをためらいました。
彼はロスタムも龍もどちらも畏れて心を乱しましたが、やがて主君への愛情に駆られ、ロスタムの側に素早く駆け寄り、嘶いて騒ぎ、その蹄で地面を激しく踏み荒らしました。
ロスタムは甘い眠りから覚め、ラクシュを叱りつけようとしましたが、しかし今回は神が龍を見ることを望みました。ロスタムは闇の中で龍を見つけ、剣を抜いて龍に向かって大声で叫びました。
「そなたの名前を教えよ! 世界はもはやそなたのものではない。しかし名も知らずにそなたを殺すのは忍びないのだ。」
恐るべき竜は鷹揚に言いました。
「誰も私を侮ることはできない。
何世紀もの間、この荒れ地は私の家であり、私の大空であった。鷲が飛び越えることもなく、星もこの上では瞬かない。
そなたの母親はそなたのために泣くであろう。名を名乗れ。」
戦士は答えました。
「私はロスタム、ザールの息子で、ナリマンの家系のサームの孫だ。
私は戦士であり、勇敢なラクシュと共に闘う。そなたは我が武勇を見よ。そなたの頭を塵に帰すであろう。」

龍はロスタムに飛びかかりました。
ラクシュはその強靱な巨体がロスタムに迫っているのを見ると、耳を寝かせ、竜の肩に歯を食い込ませました。そして獅子のように竜の肉を引き裂き、ロスタムはその勇気と強さに驚かされたのです。
ロスタムは鋭い剣の一打ちで竜の頭を切り落とすと、頸から毒が川のように流れ出しました。

f119v

●龍と闘うロスタムとラクシュ(f119v)

くずおれた龍は大地を覆い、暗い砂漠には血と毒が溢れていました。
すさまじい光景にロスタムは恐れおののき、何度も神の名を唱えました。
彼は小川に入り、体を清めて祈りました。
「偉大なる神よ、あなたは私に力と知性と技を与えて下さいました。
しかし、敵は多く、時間はあまりありません。」

 

□4□ロスタムの第四の試練:ロスタムが魔女を殺す

ロスタムは感謝の気持ちを込めてラクシュに馬具をつけ、彼にまたがって魔術師が住む世界に乗り込んできました。
長い間馬に乗っていた彼は、夕暮れになって草木や小川が流れる風景を目にしました。
雉の目のようにキラキラ輝く小川があり、その横には葡萄酒を満たした黄金の杯がありました。また、山羊の丸焼きやパンもあり、近くには塩壺や砂糖漬けの果物もありました。それは魔術師たちの宴会場だったのですが、彼が近づいてくるのを聞いて姿を消してしまったのです。
ロスタムは馬を降り、ラクシュから馬具をほどきました。
彼は山羊肉とパンを見て驚き、小川のほとりに腰を下ろして宝石をちりばめた杯を葡萄酒で満たしました。そのかたわらにはリュートが置いてあり、まるで砂漠が宴の場であるかのようでありました。

f120v

●小川の傍らの楽器や酒器、盃(f120v)


ロスタムはリュートを手に取るとつま弾いて、自分のことを歌い始めました:

「ロスタムの歌を歌おう。
 彼はまだ故郷を遠く離れ、喜びの日々はなく、
 ありとあらゆるの悪鬼に狙われ、
 ひとときの安らぎもない。
 闘いにあけくれ、寝床は丘の中腹か砂漠の砂。
 悪魔やドラゴンが日々の獲物で、
 魔物や砂漠が彼の疲れた道を塞いでいる。
 かぐわしい花や葡萄酒、緑の草木が茂る麗しい土地、
 それらは彼のためのものではない。
 鰐と格闘している最中から、豹がつぎの闘いを待ち構えている。」

彼の歌は魔術師の一人である魔女の耳に届きました。彼女は春のように美しい若い娘に変身し、香水をつけ美しく着飾り、にこやかに挨拶してロスタムの隣に座りました。
ロスタムは密かに神に感謝しました。マザンダランの平原で、このようなご馳走と葡萄酒に出会えたこと、そして今、若く美しい女性の酌婦にも出会えたことを。
彼は彼女の手に葡萄酒の杯を置き、すべての善きものの創造者である神をともに賛美しようとしました。
しかしこのとき女の態度が変わりました。
彼女の魂はそのようなことを理解できず、彼女の舌はそのような賞賛を口にすることができません。神の名を聞いただけで、彼女は青ざめてしまいました。

ロスタムはこれを見て風のように素早く投げ縄を彼女に巻きつけ、あっという間に彼女を巻き綱で縛り上げて問いただしました。
「お前は一体何者だ!? 正体をあらわせ!」
すると投げ縄の中に、悪意に満ちて、皺だらけの醜い老婆がいました。
ロスタムは短剣で彼女を二つに切り裂き、それを見た他の魔術師たちの心は恐れおののきました。

f120v

●魔女を斬るロスタム(f120v)

 



■シャー・タフマスプ本の細密画

ずっと知りたいと思っていた画家の情報がわかりました。過去の表にも追記する予定です。

サムネイル ページ番号 画のタイトル※ タイトル和訳 所蔵館と請求番号 画像リンク先 備考※
f118r 118 RECTO  Rakhsh Slays a Lion ルスタムの第一の試練: ラクシュがライオンを倒す  The Museum of Fine Arts, Houston, Texas, United States. LTS1995.2.48 画カディミ
f119v 119 VERSO  Rustam's third course: he slays a dragon  ルスタムの第三の試練:ドラゴンを倒す  The Khalili Collections, MSS 1030, folio 119 Khalili 画アブド・アル・ヴァハブ
f120v 120 VERSO  Rustam's fourth course: he cleaves a witch  ルスタムの第四の試練:魔女を薙ぎ倒す  MET, 1970.301.17 MET

p149
画カディミ

※画家の情報は、次の本より。

The Shahnama of Shah Tahmasp : the Persian book of kings
Sheila R. Canby ; [edited by Marcie M. Muscat]
Metropolitan Museum of Art , Distributed by Yale University Press, c2014

 

 

■その他の写本の細密画

段取りのせいかどうか、とりまとめにめちゃ時間がかかりました。
写本ごと、ではなくストーリーに沿って、たとえば「獅子との戦い」がまとまっていて、比較しやすいようになっています。
サムネイル、もしくはリンク先をクリックすると大きな画像が見られますので、よかったら見てみて下さい(リンク先の方が勿論解像度がいいですが、ちょっと遅いときがあります)。

サムネイル 連番 フォリオ番号、タイトル タイトル(日本語) 所蔵館と請求番号 画像リンク先 備考
BL-Add-MS-18188

他1

90v Rakhsh attacking the lion while Rustam sleeps. 第一の試練:ラクシュがライオンと闘う ②British Library, Add MS 18188
カタログ

1486, Turkman/ Timurid 様式

LM-Ryl-Pers-910 他2 73r Rustam's first labour: Rakhsh kills a lion, Painter B. 第一の試練:ラクシュがライオンと闘う ⑤Library of Manchester, Ryl Pers 910 1498?/1518?/
1570?
CB-Per-277.22 他3 277.22 Rustam's horse Rakhsh fights a lion while Rustam sleeps, 第一の試練:ラクシュがライオンと闘う ⑪Chester Beaty,  Per 277.22 1590-1600
FWM-Ms-311 他4 056r Rustam's first labour: Rakhsh kills a lion 第一の試練:ラクシュがライオンと闘う ⑭Fitzwilliam Museum, Ms 311 1620 - 1621
SbBerlin-Ms-or-fol3380 他5 074r Rustam's first labour: Rakhsh kills a lion 第一の試練:ラクシュがライオンと闘う ⑮Staatsbibliothek zu Berlin, Ms. or. fol. 3380 15XX、1670 年代
BM 他6 第一の試練:ラクシュがライオンと闘う ⑯Blitish Museum 1948,1211,0.23 1515-1522, タブリーズ
(シャータフマスプ本のために描かれたが使われなかった?)
BSB-Cod-pers-10 他7 83r --- 第二の試練:砂漠で泉をみつける ⑧Bayerische Staatsbibliothek, BSB Cod.pers. 10 1560-1750
BL-Add-MS-18188

他8

91v Rakhsh helping Rustam defeat the dragon. 第三の試練:龍と闘う ②2British Library, Add MS 18188
カタログ

1486, Turkman/ Timurid 様式

LM-Ryl-Pers-910 他9 74r Rustam's third labour: he kills a dragon, Painter B. 第三の試練:龍と闘う ⑤Library of Manchester, Ryl Pers 910 1498?/1518?/
1570?
AKM100 他10 RUSTAM KILLS THE DRAGON 第三の試練:龍と闘う ⑥シャーイスマイル二世のシャーナーメ、Aga Khan Museum, AKM100 1576–77、カズウィン
SbBerlin-Diez-A-fol-1-99v 他11 99v Rustam's third labour: he kills a dragon 第三の試練:龍と闘う ⑩Staatsbibliothek zu Berlin, Diez A fol. 1  1593
SbBerlin-Ms-or-fol-4251 他12 205r Rustam's third labour: he kills a dragon 第三の試練:龍と闘う ⑫Staatsbibliothek zu Berlin, Ms. or. fol. 4251 1605,イスファハン
NYPL-Spencer-Coll-Pers-ms-3 他13 Rustam's Third Feat: he kills a dragon. 第三の試練:龍と闘う ⑬The New York Public Library, Spencer Coll. Pers. ms. 3 1616-07、シラーズ?
FWM-Ms-311 他14 57r Rustam's third labour: he kills a dragon 第三の試練:龍と闘う ⑭Fitzwilliam Museum, Ms 311 1620 - 1621
SbBerlin-Ms-or-fol3380 他15 75v Rustam's third labour: he kills a dragon 第三の試練:龍と闘う ⑮Staatsbibliothek zu Berlin, Ms. or. fol. 3380 15XX、1670 年代
BL-Add-MS-18188

他16

92r Rustam killing the witch woman. 第四の試練:魔女と闘う ②British Library, Add MS 18188
カタログ

1486, Turkman/ Timurid 様式

BSB-Cod-pers-10 他17 85r -- 第四の試練:魔女と闘う ⑧Bayerische Staatsbibliothek, BSB Cod.pers. 10 1560-1750
SbBerlin-Ms-or-fol3380 他18 76r Rustam's fourth labour: he thorns a sorceress 第四の試練:魔女と闘う ⑮Staatsbibliothek zu Berlin, Ms. or. fol. 3380 15XX、1670 年代

 

■細密画解説(本や所蔵美術館の解説より適宜抜粋)

●118 RECTO  Rakhsh Slays a Lion ロスタムの第一の試練: ラクシュがライオンを倒す 
〇Fujikaメモ:
愛馬ラクシュが、ロスタムが眠っている間にひとりで獅子を退治するシーンです。
シャー・タフマスプ本では、あっさりした色の背景をバックにロスタムが眠っていて、手前の川と葦・草の茂みの上で獅子とラクシュが闘っています。
(他6)はタブリーズの様式。タフマスプ本のために準備されたけれど採用されなかったとも言われる絵です。このふたつを比べると、(他6)は特に背景というか地が濃密な描き込み、f118rはすっきりあっさり、ずいぶん雰囲気が違います。
13冊のうち5冊について、このシーンの挿絵が描かれています。
構図も色合いも、様々ですよね!
でも、ロスタムはどの絵でも、前腕と脛の防具や兜などほぼフル装備のまま、盾を枕に寝ています。

●ロスタムの第二の試練:砂漠で泉をみつける
〇Fujikaメモ:
この部分を絵にしている本は少ないようで、12冊のうちひとつだけ絵がみつかりました(他7)。バイエルン州立図書館の本です。
雄羊の後をついていったら小川がみつかり、ロスタムは天を仰いで感謝する、という場面です。文章だと、ロスタムはよろよろ歩いてラクシュの手綱をひいている様子なのですが、この挿絵では、ロスタムは騎馬の状態ですね。
あと、ロスタムを導く動物は、私が読んでいる英語資料では、well-fed Ramよく肥えた雄羊/ram with fat haunches脂肪ののった臀の雄羊、とあって、すっかり普通の家畜の羊(羊毛がモコモコの)かと思っていたのですが、この絵をみると、毛は短くて野生のガゼル?鹿?のようにも見えます。砂漠に突然、家畜の羊が一頭だけあらわれるよりも、野生動物があらわれる方が自然かもしれません。


●119 VERSO  Rustam's third course: he slays a dragon  ロスタムの第三の試練:ドラゴンを倒す 
〇Fujikaメモ: 
ロスタムとラクシュが協力して龍を退治する名シーンです。
タフマスプ本の挿絵は、薄紫の地面を背景に、ゴールドの龍に、茶色(ブチはあまり目立たない)のほっそりりしたラクシュがかみついて、そして、わりとずんぐり小さいロスタムが龍の首を落とそうとしています。
ロスタムがずんぐりしていることで、龍が相対的に大きく見えます。
すぐ背後の枯れ木?が異様にウネウネして、この場面の躍動感を表現しています。
(ペルシャ細密画は、人物は概してクールに無表情だけれど場面のエモーショナルさを植物が表現したりするのだそうです)

その他写本では、12冊中、(他8)~(他15)の8枚の挿絵がありました。相当人気の場面ですね。うち3つがロスタムが騎馬のままですが、残り5つは馬から下りた状態です(文章では馬にのっていない模様)。
龍の意匠で変わっているのは(他12)。鮮やかな青で、皮膚にヒダが寄っている感じで、かなり中国風?
(他15)は、是非拡大してみて下さい。龍が小さめですが、構図の効果かな、なんとも迫力がある絵だと思いました。

●120 VERSO  Rustam's fourth course: he cleaves a witch  ロスタムの第四の試練:魔女を薙ぎ倒す 
〇Fujikaメモ: 
魔術師たちが席を外したすきに、ロスタムが彼らの宴会のごちそうやお酒を勝手に頂いちゃって、そして特に明確な悪意があった訳でもなさそうな魔女を殺してしまうというのは、現代的な感覚からはちょっと・・・という気もしますが、深く考えないことにしましょう(なにしろこれから先、もっとすごいオトナの展開が・・・)。

ロスタムに伐られる魔女は、シャータフマスプ本では、全身の肌が黒く、しぼんだ乳房でしわしわの半裸の老婆(黒人をイメージ?)。背後にいる仲間の魔術師も老人です。
他の写本では、3枚の絵がみつかりましたが、シャー・タフマスプ本の絵がいちばん特徴的です。(他16)や(他18)はツノが生えていたり耳がとがっていたりして異形の姿ですが、(他17)は見た目的には普通の女性ぽいです(歯をむき出しにした表情で、美女ではなさそうということはなんとなく分かる・・・)。
それにしても、そろそろ自分が年取ってきて、「まんが日本むかし話」でも、(いじわる)ばあさんとか山んばの方に共感できるようになってきました。老婆だからといって斬り捨てられちゃうなんて、ひどいわ・・・。

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ニンニク2023:収穫 長野在来

2023-06-12 | +ニンニク

ニンニクの収穫、台風2号によるの大雨の前日にすっかり終わりました。

今年初めての品種については記録しておきたいと思います。

ニンニク友、エガさんに頂いた「長野在来」。
いい感じに育ちました。

長野在来

植えた時はもう色あせていたのですが、フレッシュな状態はとても濃い紫色です。

長野在来

大きさもまずます!
生育途中、2,3本ほどくにゃりととろけてしまったものもありましたが、他は無事でした。

長野在来

花茎はこんな感じ。
細かいツブの珠芽が沢山ついている様子です。


長野在来

ナポリピンクとやや似て見えるのですが、長野在来は、葉っぱがやや幅広く柔らかめの気がします。
あと、玉が、心なしか扁平な、大福餅的な形状のような。
(ナポリピンクはしもぶくれで上がとんがるオムスビ型)

長野在来

鱗片数は、15個くらいでしょうか、1周半~2周に配置されています。


業務連絡:
エガさま、そちらも収穫おわりでしょうか☆
トルコ赤など、一番晩生グループの作柄は如何でしたでしょうか。
今度またニンニク談義、したいですね。試食会みたいなものをできたらいいなあ。
とはいえ、ニンニクって、生かじりの場合、2種類くらいなら味わい分けられますが、3種目以降になると、なんか混乱・・・。
多少加熱しても味が違うのか、いま試しているところです。

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ラズベリー2023:夏果がいっぱい

2023-06-07 | +きのこ以外

ラズベリー、冬の剪定で、けっこういっぱい枝を残してしまったのです。
夏果を期待しちゃおうかなー、と思って。

そうしたら。

ラズベリー
もっしゃもしゃに茂って、全ての枝先に果実の房が。

ラズベリー

欲張りすぎたので、実が小さい・・・かな・・・?

あと反省点としては、新芽の出も、もしかしたらだいぶ少ないかも。
(少な目・遅めにしたいと、枝を沢山残したのだけれど・・・・少なすぎかも・・・?)
北側の2列は日当たりのせいか(あとゾンビのような大木の切り株に栄養を吸われて)、どうしても生育が弱めなので、こちらは(部分的にでも)夏果をあきらめて切り詰めて、新芽の育成に専念すればよかったかも。


ま、秋のことは秋に考えましょう。少なければ少ないなりに。うむ。

この青い実の状態で、例によって摘果に励んでいます。
枯れた花や、小さすぎる味、形の変なものなどを、糸切バサミでカット。
どうせ、雨で腐ったりとかもするので、摘果後の実を100%回収できるわけではないのですが、それでも、摘むときに大き目傾向で揃っていたら嬉しいので。
あと、枯れた花やらで込み合っていると、虫やクモの巣の害もあるので、スカスカの状態に越したことはないのです。



期待しないようにしつつ期待してしまうのが、昨秋に植えた、一季なりのヒトたち。
こちらがグレン・モイ。トゲなしです。

ラズベリー
ほんわり白い産毛に覆われて、多数派(二季なり・トゲあり)のインディアンサマーとは違う雰囲気です。
なんか上品、かも。

ラズベリー
これがグレン・モイの赤くなってきた実です。
こうなると白い産毛は目立たなくなります。

翌日くらいに・・・と思ったら、台風の大雨が2日続いてしまって、この2個は摘みそびれました・・・。
ほかの場所にもまだ少し実があります。
この夏を逃したら、また来年だから、何粒かでも味見したい・・・。

6月7日現在、インディアンサマーの方から少しずつ赤くなってきています。
最初はまだ、摘果がゆきとどかなくて、小さかったり変な形の実が多め。
もう少ししたら大粒がとれるようになるかな~。

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台湾2023.4:国立故宮博物院南院

2023-06-06 | +海外

4月に台湾に行ったときのことです。

嘉義にある、故宮博物院南部院区に、お友達に連れて行って頂きました。

故宮博物院といえば台北ですが、台湾南部の嘉義に、2015年に別館が出来たのです。
建築家は、台湾出身の姚 仁喜(ヤオ・レンシー/ Cris Yao/クリス・ヤオ)氏。
現代建築には明るくないので知りませんでしたが、台湾で沢山の公共建築を手がけた方だそうです。
あと、台湾の大手書店・雑貨チェーン「誠品生活」の日本出店1号店(東京・日本橋。2019年)の店内設計も手がけたそうです。

故宮博物院南院

駐車場からてくてく歩いて池のほとりに出て、更に進んで池の上の橋を渡って建物に至ります。
橋の右に見えるのが目的地。
中国の書の濃墨、飛白(かすれ)、渲染(ぼかし)の三つの筆法にインスピレーションを得たのだそうです。


故宮博物院南院

建物はこんな感じ。
(Wikiからの借り物です)

ここまでで思ったことは次の通り。
・なんでこんなに広大な敷地なのに駐車場が狭いのか。
(昼の直前に到着し、いっぱいで待つほどでした。週末とはいえ特に大人気の特別展があったとは思えないのに)
・駐車場からずいぶん歩くようになっているけど、高齢者や体調不良の人にはつらいのでは。
斜路になっているので一応車椅子でもいけるけど・・・。
・しかも道中、日よけになる屋根なし。台湾の真夏、また雨の日はこの距離は楽しめなさそう。
・遠くから眺める橋はまあ綺麗だが、構造物本体は、特に印象なし(写真撮り忘れたほど)。
写真で見返しても、うーむ、まあ、なんか、ゴツゴツしてるというか・・・。
・もし美術館地下に直結の駐車場があるならば、次はそちらに停めたい(建築の鑑賞はもういいかな・・)。
   ↓
と思って調べたら、身障者用に建物近くに駐車場があるようでした。
あと、今回停めた遠い駐車場からはシャトルバスがあるようです。私がいたときは目につきませんでしたが・・。

故宮博物院南院

館内は、ロビーエリアは明るい構造でした。
展示物のエリアは、展示物保護のため外光が全く入らない設計になっているようです。

今回行ったときは、
・例の翡翠の白菜
・仏教美術(含龍蔵経
(この龍蔵経、外箱とその装飾、包み布など全ての点でとても貴重なものらしい、ということは分かるのですが、実際どう使ったのか(それともたまに見るだけ?作っただけ?)など基本的なことが分かりません。どこかに解説がないものか・・・。)
・茶道具の歴史
・清朝の七宝
などの展示をやっていました。

撮影は不可ではないようですが、気後れしてあまり撮れず。
じっくり鑑賞を楽しみました。


ちょっと面白いと思ったのは、茶道具の展示で見た、お茶の入れ方の歴史。
時代によってお茶っ葉の形状やお茶の入れ方って異なっていて、それに対応して茶器も変わってくるのです。
日本の抹茶のルーツかも、と思うものも。

故宮博物院南院

■唐代のお茶
固く押し固めた茶葉(餅茶)を遠火であぶる(プーアル茶みたいな感じかな?)
→茶葉を薬研のようなもので粉にする
→粉状のお茶をふるう
→鍋にお湯を沸かし細かい方の粉茶を入れる
→煮えているお茶をお玉に汲んで高いところから注ぐようにして泡が立つようにする
→朝顔型に開いた茶器にお茶を注ぐ

故宮博物院南院

■宋代のお茶
搗き臼のようなものでお茶を粉々にする
→茶餅の場合は薬研で、茶葉の場合は石臼で更に細かくする。
→粉茶を篩う
→粉末のお茶は容器にしまっておく(茶道の棗みたいな感じかしら)
→茶杯に粉末茶を入れる
→沸騰したお湯をそこに注ぐ
→茶筅というかササラ?のようなもので攪拌する
→独特の形状の台に、茶杯を置く

粉末のお茶にお湯を注いで攪拌だなんて、お抹茶のようです!
あと、日本のどこかにぶくぶく茶だったかバタバタ茶という泡立てるお茶もあるようですが、あれのルーツもこのあたりかな?

故宮博物院南院

■明代のお茶
お湯をわかす
→茶葉(粉ではない)を壺からすくい出し、急須に入れる
→急須にお湯を注ぐ
→急須から茶杯にお茶を注ぐ

この方法は、現代の中国や日本の通常のお茶の入れ方ですよね。

故宮博物院南院

■清代のお茶
お湯を沸かす
→茶葉を(壺から)掬いだし、急須に入れる
→急須にお湯を注ぐ
→急須から、茶こしを通して茶碗にお茶を注ぐ
→茶碗には蓋をする

明代とほぼ同じですが、茶碗に蓋をするようになっています。



展示物の中で印象に残ったのは、上記のどれとも該当しない茶器。
チベットのバター茶を作るための木製容器「ドンモ」を模して作られた、陶磁器のドンモ。

故宮博物院南院

バター茶を作るには、まずブロック状の茶葉から少量の茶葉をほぐし、大量のお湯で煮出します。
この熱いお茶と、ヤクのバター、塩、はったい粉のようなものも混ぜて攪拌して乳化させると、ポタージュスープのようなものになるのだそうです。
このバター茶は、チベットの人が大変に愛好する飲み物。一日に10杯も飲んだりするそうです。

清朝の宮廷にもチベットからお客さんが来るので、このバター茶を作って振舞ったのでしょうか。

故宮博物院南院

ひとつめの写真のドンモはまだ、木製で金属のタガがはまっている原型の様子が残っていますが、これはすっかりかけ離れたロココ調(?)の華麗な装飾。
別途、本当のドンモで攪拌してバター茶を作っておき、この装飾茶器はあたためておいて、出来上がったバター茶をこれに入れたのでしょうね。

チベット人でなくても、リッチなバター茶好きの清朝宮廷人がいたりしたのかな。

 

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台湾の蓮根澱粉(蓮藕粉)

2023-06-05 | +パン・麺・穀類

台湾の食材をご紹介します。

「蓮藕粉」、蓮根の澱粉です。

蓮根澱粉

少し色のついた、フレーク状のもの。
レンコンをすりおろして(おそらく水で揉んで)、沈殿した澱粉を浅いお盆に入れて乾かしたものです。

自分でレンコン団子を作るときも、すりおろしレンコンをザルでしばらく水切りすると、底に澱粉が溜まりますよね。
あれを乾かせは、こういうものが出来るのだと思います。
(いつも、その澱粉は回収してレンコン団子に混ぜていますが)


この蓮根澱粉、台湾では、ホットドリンクといいますか、葛湯的な使い方をするものだそうです。

カップになるべく熱いお湯を注ぎます。
(一度お湯を注いで容器を熱くし、そのお湯を捨てて新たに熱湯を注ぐ、など)

そしてそこに、この蓮根澱粉を少しずつ振り入れて行くと、即座にこの澱粉が煮えて、白かった粉が透明になっていきます。

蓮根澱粉

カップの底に、もわり、としたものが小山状になっています。
絶対にかき混ぜずに、更に粉を振り入れて、小山の頂上が水面に近づくまで入れていきます。
粉がどんどん水を吸って大きくなるので、みるみる山が大きくなる感じで面白いです。
(かき混ぜてしまうと、振り入れた粉が煮えにくいです)

蓮根澱粉

最後の方は、振り入れた粉が煮えにくくなるので、そのあたりを目安にしてかき混ぜます。
そうすると、こんな感じの色合いの、トロリとした葛湯が出来上がります。

このまま食べて(飲んで)みると、ほのかに野菜のアクのような微かに苦い風味があるのですが、ほんの少しだけ甘味を足してやると、苦みは全く気にならなく、とろりとした甘い葛湯になります。

この蓮根葛湯は、「喉にいい」と言われているそうです。
レンコンにはムチン(粘液を構成する成分)が含まれているから、といいますが、本当かな?


効能はともかく、なんだか優雅な感じの美味しい葛湯です。
うちのあたりは蓮根の産地なのですが、蓮根パウダーというものは売っているのですが、蓮根澱粉は見たことありません。

これを使って、最初に水で溶かしてから練り上げると、京都の高級レンコンちまき「西湖」が出来るのだろうか。




コメント (4)
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