【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「サラバンド」:東京タワー入口バス停付近の会話

2006-12-14 | ★渋88系統(渋谷駅~新橋駅)

このバス停からスウェーデン大使館までって、ちょっと歩くんじゃない?
ま、歩いたら20年くらいかかるかな。
それって、ベルイマンが映画を撮らなかった年月じゃない。
スウェーデン映画の巨匠が20年間も映画を撮らなかったなんて、何かあったのかな。
まあ、巨匠ほどいいかげんに映画は撮れなくなるのかもしれないわね。
おかげで、ベルイマンなんて名前知ってる人、いなくなっちゃったんじゃないか。
リヴ・ウルマンとかエルランド・ヨセフソンなんて俳優の名前を知ってる人もいないでしょうね。
なんだ、お前は知ってたみたいに言うじゃないか。
へへへ、「サラバンド」で初めて知ったんだけどね。
もしかして、ベルイマンの映画自体初めてとか。
いひひひ。
で、どうだった、「サラバンド」は?
親子の確執がこれでもかというほど、きりきりと迫ってきて、見ている間じゅう息も出来ない感じだったわ。
なんなんだろうな、この緊張感は。この空気の張りつめ方は尋常じゃないよな。
愛せない親子が延々と苦悩する映画。こんな親子、実際にいたら苦しくてやってられないわよね。
でも、気持ちをむき出しにするとは、こういうことなんじゃないか。むきだしの気持ちをアップの多用で追って、俳優もそれに応える凄い演技だ。
そうかもしれないけど、親子でここまで傷つけあうなんて、日本人じゃできないんじゃないかしら。この妥協のなさは、ヨーロッパならでのものと思うけど。
というか、ベルイマンならでのものかもな。
巨匠の巨匠たる所以ね。
いいとか悪いとか言う前に、へへえってひれふすしかないよな。
人間の本質をあぶり出す映画ってやつよね。こわっ。
20年も撮らなかったくせに、これだけ凄い映画を撮れるのもたいしたもんだ。
とかなんとか言ってるうちに私たちも着いちゃったわよ、スウェーデン大使館。
何かここに用でもあるのか?
別にないけど。
おいおい、ここまで来た時間を返してくれよ。
20年?


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4 コメント

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こんばんは♪ (ミチ)
2007-02-01 22:21:00
ベルイマンのファンしか見なさそうな作品だな~と思いました。
これを見るために30年前の『ある結婚の風景』も見たのですが、これまた息が詰まるほどの夫婦の会話劇でした。
ここまで親子で憎悪しながらも近所に住むというのが分からない所です。
決別してしまえば楽なのにねぇ。
コメントありがとうございます。 (ジョー)
2007-02-02 22:35:27
■ミチさんへ
そういえばそうですね。どうして憎しみ合ってるのに近くに住んでるんでしょうね。住宅事情?
コメントどうもです! (mezzotint)
2007-03-29 02:06:12
ジョーさん
コメントありがとうございました
少数の人間関係って、やはり濃く
なりがちですよね。この映画は
そのあたりにポイントにしている
のでしょうか?ほどよい距離を
おいて付き合えたらいいのですが・・・。
こればかりは難しいですよね。
コメントありがとうございます。 (ジョー)
2007-03-29 22:07:56
■mezzotintさんへ
なるほど。たしかに、こどもが5人も6人もいれば、こんなにはなりませんよね。冷静に考えれば、悩む余裕があるとも言えるわけで。

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