どうしたの、柄にもなく花屋なんかのぞいて。
俺はもともと、フラワー・チルドレンだからな。
フラワー・チルドレン?
ベトナム戦争時代、愛と平和の象徴として花で身体を飾り、愛と平和を訴えたヒッピーたちをそう呼んだんだ。「愛のそよ風」に出てくるような若者たちをな。
「愛のそよ風」・・・なんとも古臭いタイトルだけど、いまをときめくクリント・イーストウッドが監督している1973年の映画。
でも、日本未公開。
たまたま、ぴあフィルムフェスティバルで上映されたけど、私たちの会話を聞いて観てみたいという人が現れても映画館じゃ観られない。
じゃあ、話を続けてもムダか。
ううん、DVDでなら観られるわよ。
ふとしたことから知り合った孤独な中年男とヒッピー少女が、互いに惹かれ合うものを感じて愛し合う日々を過ごす、というお話が、イーストウッドっぽいといえば、イーストウッドっぽい。いまなら、彼自身がウィリアム・ホールデンの役を演じるところだよな。
ところが1973年といえば、イーストウッドは43歳だから、自分で演じるにはまだちょっと若い。
映画も、まだまだ円熟の境地にはほど遠い。
若い女に振り回される中年男の気持ちとか彼に惚れるヒッピー少女の気持ちとか、じゅうぶんに描ききれていないんだけど、でも、そのぶんほほえましいところもあって、決して憎めない。
いまに至る習作時代の一本っていう感じだな。
注目すべきは、ヒッピー少女役のケイ・ロレンツ。
あれは、典型的な70年代ヒッピー女優の顔だ。
まるで、「明日に向って撃て!」のキャサリン・ロスの妹みたいな顔つきだもんね。
全然美人じゃないけど、人懐っこくて、蓮っ葉なところがな。
っていうと、けなしているみたいだけど、あのころの人気女優はみんなそうだった。
まったく知らない女優だったから、他の映画には出ていないのかもしれないけど、あのころだったらもっと話題になってもよかったんじゃないのか。
「スクリーン」とか「ロードショー」といったファン雑誌でね。
つば広の帽子を被って髪を長く伸ばし、ギターを抱えてヒッチハイクするなんて、もう典型もいいとこ。
なんの工夫もないじゃないの、と思っちゃうけど、イーストウッドは彼女がいとおしくてしょうがなかったんでしょうね。
30歳近くも年の離れた男女の恋なんて、考えてみれば相当気持ち悪いはずなんだけど、男も女もぎこちないというか、照れくさい部分を感じさせるから、不思議にさわやかな後味になっている。
ミッシェル・ルグランの軽快な音楽も貢献しているのかもね。
ミッシェル・ルグラン!「おもいでの夏」!いまごろその名を聞くなんて、想像もしなかった。しかもイーストウッドの映画で。
道端に咲く小さな名もない花のような映画といったら、ほめすぎかしら。
いいや、その表現、フラワー・チルドレンとしては、大歓迎だね。
そんなこと言って、ほんとにフラワー・チルドレンだったの?
ンなわけにだろう。年齢を考えてみろよ。
やっぱりね。どうしてそんな嘘つくの?
仮にそうだったらなあ、と思っただけだ。
仮のフラワー・チルドレン?カリフラワー・チルドレンってわけだ。
はは、うまいこと言うね。
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