漢方薬剤師の日々・自然の恵みと共に

漢方家ファインエンドー薬局(千葉県)
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漢方薬の郵送購入・改正薬事法その2

2009-06-05 | 漢方的話題
電車を乗り継いで来局される方が、
「6月から漢方薬を送ってもらえなくなるって聞いて、大変ですう」
と困り顔。

さきに結論を書いておけば、

これまで漢方薬を継続利用されている方であれば、
利用経験のある漢方薬など医薬品第2類も、今後2年間は郵送購入が
可能になりました。



それにしても今回の改正薬事法をみると、政府は、
薬による治療は、保険調剤薬(いわゆる病院薬)と一般販売の風邪薬とか頭痛薬とかだけで
成り立っていると思ってるらしく(やや言いすぎかもしれないけど)、
漢方薬(伝統医療薬とか表現されている)は、「蚊帳の外」って感じなのです。

漢方薬などは、未病対策や老化問題など政府の思惑にも大いに貢献していると思うのだけど。
(たとえばテレビでよく宣伝している「トクホ」(特保健康食品)とか、それ以上に・・・)

なんせ、何千年もの経験を積み重ねた実践医療だし、究極の養生法だもの。

だけど、現状では
日本人にあまり漢方薬が根付いていない(というか昔からの知恵が途絶えている)せいか、
取り扱っている店舗数は少ない。
したがって、遠方からの依頼は多く、電話などでやりとりしながら郵送することも多々ある。
また、
「引っ越すのでそちらの住所に送ってほしい」とか
「子供が仕事で遠くに住むようになったので送ってやりたい」とか
いろんな場面に遭遇する。



そのため、今回の郵送販売禁止に対して、
全国から漢方薬の利用者や販売業を中心に多くの反対意見が集まり
その結果、
土壇場になって、2年の経過措置で妙な条件付きのコメントが
発表されるにいたりました。

これはあくまで経過措置であって、まだまだ不便は絶えません。
今後も意見や要望を政府(厚生労働省)に向けて届けてゆきましょう。
けっして「妙な」販売や購入を助長してるのではないのですから。

      

今回の改正薬事法では、「危ない薬を売り買いするネット販売」を
規制しようという狙いがありました。

その結果、ネットのみならず第3類以外の医薬品の郵送による購入を
すべて禁止する方向となったのですが、

医薬品を売るということは医療に従事することで、
「患者の体調を伺う」という健康を思いやる気持ち、そして
「妙な購入の仕方に対してはきぜんと拒否する」意思がなければ、
ネットだろうが、コンビニでの直接販売だろうが、薬局内であろうが、
おそらく結果は変わらないと思います。

この騒ぎで、
私たちはこれからも、もちろん薬事法にのっとりながら、
健康を守る者として、少数派であっても漢方の知恵を広げていきたいと
強く思いました。

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5 コメント

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対面販売で買う心境 ()
2009-06-07 13:18:56
西洋薬の副作用に翻弄された身としては、漢方薬はありがたいものです。
(婦人科薬はお世話になっています)
中国の友人曰く、診る人が診て、ちゃんと調合すると、本当によく効くのだと言っていました。

今回の改正で、ひとつだけ気になるのは、
今迄、ドラッグストアの棚で、薬を手に取り、あれこれ選べた物が、対面販売になって、
似たようなものでも高い薬の方を勧められるのではないかという危惧です。
もちろん、症状に合わせて選んで下さるのでしょうけれど、
風邪薬や胃薬や頭痛薬のように、買い置きしておきたい薬は、
新機能満載の高いものではなく、ベーシックな物でいいと思わないでも無いのです。
薬って、箱に値段が書いてないので、いくつか出された時は、戦々恐々とします。
値段も聞くようにはしていますが。

でも、漢方は効能が大方の一般人にはわからない分、まずは相談ありきだと思うので、
このような心配はないのかも知れませんね。
やくさんのような薬局があれば、安心して相談できるのですが。

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認識不足!? (FUCOY dondon)
2009-06-07 23:18:12
中国の友人が言っていました。
薬を出す医者はヤブ医者で良い医者は
未然に防ぐと!
以前は調子が悪いとすぐに薬に頼って
いましたが・・・。

日本は明治時代にも偽薬が横行し
西洋医学を中心に本物としそれ以外を
淘汰したと聞きました。
偏った情報に右往左往する国民性は・・・。
個々人が自分の考えで行動するように
なるともより良い環境になるのだと
思います。

西洋医学と薬が本物とされ
以外を代替医療と呼ぶ現在ですが、
自分自身はすべてが
代替医療であり急性のもの意外は
日々の生活習慣で自分自身の免疫力で
ほぼ改善出来ると思うのですが
いかがでしょうか?
返信する
翠さん、素直なご意見ありがとうございます (やく)
2009-06-08 18:39:05
気持ちすごくわかります。

相談する場合、買い置きなのか、今症状があって苦しいのかを遠慮なく話した方がいいでしょう。
買い置きならば、大人だけで使うのか子供も使うことがあるのかなどなど、確認すべきことはあるものです。

相談される方としては、たとえば今風邪を引いているとして、いったいどんな状態なのか、
体力も消耗してぐったりしてるんじゃないかしら?
風邪薬だけ渡してお帰りいただいては薄情じゃないかしら?
と思いめぐらしているのです。そんなに押し売りして喜ぶ気はないと思いますよ。

体のことなのですから遠慮なく相談なさってみてください。
意思の疎通がうまくいって、その対策が必要であることが分かればお値段も納得していただけるのでは?
もちろん金額が書いてないのは良くないですね。

翠さんの気持ち、販売するものとしては忘れないようにしたいです。
返信する
FUCOY dondonさん、心強いコメントありがとうございます。 (やく)
2009-06-08 18:50:13
個人的には、漢方薬は食事療法の延長上にある、または積極的な食事療法だと思っています。

日本でも健康養生訓はたくさんあったのに、すっかり忘れ去られています
中国の漢方医療では、食事はこうしなさいとか、寝る時間をこうしなさいとか、必ず養生法が付いてきます。
そのことによって、自分の体を自分で養生する気持ちが生まれます。
薬さえ飲めば治る、という他力本願は違っていると私も思います。
返信する
健康養生訓 (FUCOY dondon)
2009-06-08 21:37:00
本当にそうですよね!
平成養生訓と題して
活動されている医師の方も
いますし。是非多くの方に認識して
ほしいものですね。
漢方薬が食事療法の延長線上にある!
本当に良い表現だと思います。
食べ物が身体を形成する土台ですからね。
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