スパニッシュ・オデッセイ

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我が国における姓と名の間の「の」

2014-07-17 10:16:36 | トリビア
 スペイン語にも出自を表す“de”がつく姓があり、ドイツの場合、スペイン語の“de”に相当する“von”がつく姓は貴族であることはすでに述べた。そこから、大分脱線してしまったが、本線に戻そう。
 わが日本の場合、藤原道長、源頼朝、平清盛などは、姓と名の間に「の」を入れて読む。姓は天皇が臣下に与えるものであり、姓のあとには「の」を入れる。徳川家康や織田信長の場合は「の」が入らないが、これは「徳川」や「織田」が姓ではないからである。「徳川」さんの姓は、嘘っぽいが、一応「源」ということになっている。織田の方は「平」である。ちなみに、「豊臣」は天皇にいただいた姓なので、本来「豊臣の秀吉」というべきなのだが、習慣として「の」を省いている。これは、「織田」、「豊臣」、「徳川」と並べた場合の語呂を考えた結果だろうか。
 藤原鎌足はもともと「中臣の鎌足」だったが、「中臣」は姓ではなく、氏である。豪族の氏のあとにも「の」を入れるのが慣例だろう。また、貴族とは思えないが、千利休や小野小町なども姓と名の間に「の」を入れるのが通例になっている。確かに「の」が入った方が高貴な感じがする。
 現代人では、綾小路きみまろさんも「の」を入れれば、もっとおもしろいかもしれない。ちなみに、「綾小路」は村上源氏の血を引く実在の貴族名である。藤原紀香さんなどは「藤原の」と「りか」に分けた方がいいのではなかろうか。特に結婚式のときのあの衣装では、絶対にそうだ。
 日本には「~藤」さんが多いが、明治以降、適当に「~藤」を名乗った方々は別として、彼らの姓は「藤原」であって、「~藤」は苗字である。姓と氏と名字、苗字は本来違うものなのだが、今では混同している。


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