雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

桜姫

2012-04-26 19:29:30 | 
近藤 史恵
角川書店
発売日:2002-01

近藤史恵著"桜姫"を読みました。
"ねむりねずみ"、"散りしかたみに"に続く小菊、今泉の
歌舞伎シリーズの1冊です。
二つの話が交差します。
小乃原笙子と芸名中村銀京の蔵元京介の二人が
笙子の兄音也の死の真相を探す話が一つ目です。
小菊の師匠の瀬川菊花が共演していた子役の景太郎が
大道具部屋で死んでいるのが見つかった事件の
真相を探すのが二つ目です。

音也は15年前に5歳で亡くなっています。
病死とされています。
笙子のまわりの誰もがこのことにふれようとしません。
京介は音也の家の別荘の近所に住んでいました。
1年に1度ほど音也が別荘にやってくる時に
いっしょに遊んだ仲です。
二人には強い絆がありました。
銀京は音也が死んだとされる日以降に撮った音也の
写真を持っています。
笙子は自分が兄の音也を絞め殺す夢を見続けています。
笙子は愛人の子とされています。
兄とは会ったことがないはずです。
義理の母は笙子にやさしくしてくれましたが心を病んで
自殺しています。
「笙子を愛することが出来ない」と父が言っているのを
聞いてしまいました。
二人が真相を探るのを周りから妨害されます。

景太郎は年の割りに小さくいじめに会っていました。
両親は離婚しています。父はいじめられるのは
景太郎自身に問題があるのだといいます。
母は今歌舞伎役者の市村月之助と付き合っています。
子供のいる人と付き合っていることを反対されています。
景太郎は父親の元へやられるのではないか、自分は
じゃまではないかと追い詰められています。

音也の死の真相は意外なものでした。
ショックを受けた笙子です。当時のことをポツポツと
思い出しました。
京介との絆がきっとささえになるでしょう。

景太郎の死の真相も哀れでした。
小さな子が心を痛めたまま死んでしまいました。
もう何年か生きていたなら生きる力もついたかも
しれません。

いたましい話でしたが前の本より話の流れがすっきり
していて読みやすかったです。