雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

濱次お役者双六 花合せ

2012-04-17 19:59:17 | 

田牧大和著"濱次お役者双六 花合せ"を読みました。
田牧さんの本だな、と内容は知らなくて棚から手に
とって借りました。
驚いたことにこの話の中心は変り朝顔です。
なんで"夢の花、咲く"に続いて朝顔が主題の話を読む
ことになるんだろうとびっくりしました。

主人公は大部屋女形の梅村濱次です。
ひそかにいまに大物になると見込まれていますが本人
にはあまり望みがありません。
道で出合った娘に濱次は鉢を預かって欲しいとむりやり
渡されてしまいます。
預けたのは植木屋の娘のお菊です。
父親が朝顔に夢中になるあまり他の仕事を顧みなくなり
やはり植木屋の息子との縁談が壊れそうになっています。
朝顔は濱次から歌舞伎の奥役の清助にあずけられます。
調子のいい清助はこの花で何かもうけられないかと
考えます。
清助はこの朝顔を花合せに出品します。
質問ぜめにあってほうほうのていで逃げ出してきます。
そのうち鉢が消えてしまいます。
この朝顔はとてもめずらしい花を咲かせているのです。

濱次は女形の姿をしていても男の姿でいる時もとても
人をひきつける美しさがあります。
踊りの師匠の仙雀は濱次をとてもかわいがっています。
濱次がいずれ一流の女形になるとを信じています。
やさしい物腰の仙雀の家に濱次はよく行って泊まって
います。
座元の勘弥も濱次に期待しています。

朝顔はあちらこちらへ移動しています。
お菊たちの結婚問題と朝顔の行方の問題、それに
濱次の踊りへの取り組みがからまった話です。

出て来る人たちは好感が持てます。
濱次もかっこいいけど、おっとりしていながら
物事を見抜く仙雀がすてきです。
朝顔はめぐりめぐって現れます。
楽しい話でした。