鬼平や竹鶴~私のお気に入り~

60代前半のオヤジがお気に入りを書いています。

お気に入りその1264~大沼ワルツ

2016-10-17 12:26:08 | 鬼平・竹鶴以外のお気に入り
今回のお気に入りは、「大沼ワルツ」です。

札幌出身、谷村志穂の最新作。
妻の蔵書を拝借して読みました。

AMAZONの内容紹介を引用します。
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北海道絶景の地の実話を元にした奇跡の物語
大沼は、明治時代、手つかずの美しい自然に魅せられた開拓民が入った地。
香川県から移り住んだ、倉島家に育った三兄弟の長男・秀雄は、第二次世界大戦中、東京で溶接学校に通っていた。
秀雄は、よく行く寿司屋で、山梨から住み込みで働きにきていた、坂田家の長女・以久子と出会う。
恋に落ちて結婚した二人は、大沼に戻って暮らし始める。
そして、長男長女に続き、どうしたことか、次男には次女が、三男には三女が、順に嫁いでいくことになる。
三夫婦は、様々な困難に見舞われながらも、この地に新風を注ぎ込んでいく……。
北海道を舞台に数々の小説を発表してきた著者が、5年の歳月をかけて紡ぎ上げた、実話を元にした渾身の作品。
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大筋として「その昔、大沼のほとりで3組の夫婦が幸せに暮らしたとさ」という穏やかな物語。
小さな出来事がつながり、淡々と時間が流れます。
とても読みやすかったです。
大沼の3兄弟と山梨の3姉妹が3組の夫婦になった、ということは驚くべき「事実」。
それを超える衝撃的な出来事がなかったのは「物語」として残念でした。
もっと脚色を凝らして、ドラマチックで感動的な作品に仕上げて欲しかったです。
ただモデルの3姉妹が今も健在なので、彼女たちが誤解を招くような記述を避けたのかもしれません。
それを考えるとやむをえませんが・・・。
少し前に「霧 ウラル」で強烈な3姉妹が登場したばかりなので、なおさらそう思ったのでしょう。

本書は「5年の歳月をかけて紡ぎ上げた」と紹介されています。
5年前と言って思い出すのは、あの大震災。
引き裂かれた家族や地域を再生することができるのか?
そんな不安に対し、遠い地から移り住んだ3姉妹が助け合って幸せな家庭を築いていくこの物語は光となるでしょう。
普通の人々が普通に生活し幸せになる、という実話だからこその説得力。
そう思いました。

ちなみに長男・秀雄が作品の中で経営していた「イクサンダー大沼ユースホステル」。
主人公のモデルたちと同様、実在したユースホステルです。
このユースホステル、偶然ですが若いころに泊まったことがあります。
学生時代、サイクリング同好会のツーリングで。
あの日は、向かい風の中での走行で到着が大幅に遅れました。
疲労困憊のため、ミーティングもそこそこにベッドに倒れこみました。
さらに翌日、大雨の中でツーリングを強行したことを覚えています。
逆に言うと、ユースホステルの特徴的な外観や優しかったはずのペアレントのことは全く覚えていません。
実に残念なことです。
あの日、もう少しゆとりのある計画を立てていれば、全国2位の人気を誇るユースホステルがすばらしい思い出になったはずだったのに・・・。



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