猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

the EYE【アイ】

2019-05-11 23:22:31 | 日記
2002年の香港・シンガポール合作映画「the EYE【アイ】」。

2歳の頃に失明した女性マン(アンジェリカ・リー)は、20歳の時に角膜移植手術を
受け、視力を回復する。しかし、それ以来彼女は死者の姿が見えるようになってし
まう。心理療法士のワ・ロー(ローレンス・チョウ)はそれを信じようとしなかった
が、マンは手術中のインイン(ソー・ヤッライ)の死を直感したりと、重い試練にう
なされる日々。その現実を受け入れようとした時、マンは、鏡に映る自分の顔が、
他人が見ている本来の自分の顔ではないことに気づく。

オキサイド・パンと双子の弟ダニー・パンの共同監督によるオカルト・ホラー映画。
これはすごく怖かった。まず「手術をしたら目が見えるようになったが、見えては
いけないものまで見えるようになった」というシチュエーションが怖い。子供の頃
に失明したマンは、角膜移植手術を受けて視力を取り戻すが、同時にこの世ならぬ
ものまで見えるようになってしまう。心理療法士のワ・ローは初めは信じていなか
ったが、彼女と過ごすうちに信じるようになる。そしてその原因は角膜の提供者に
あるのではと思い、調べ始める。
臓器移植をしたら、元の持ち主の人格の一部などが移ってしまうのではないだろう
か、と思わせられる。角膜を移植したら提供者が生前見ていたものが、心臓を移植
したら提供者の心が反映されるようになるのではないか、と思ってしまう。科学的
にはどうなのかわからないが。マンの移植された角膜の持ち主はタイの女性で、彼
女は霊が見えたり予知能力があったりしたことがわかる。
霊の現れ方がとてもリアルな感じで、怖かった。マンがエレベーターに乗っている
時後ろにいるシーンなど、本当にゾッとした。ジャパニーズ・ホラーに似ているが、
また違う恐ろしさ。そして怖いだけではなく悲しいエピソードや感動的なエピソー
ドもあり、とてもおもしろかった。霊が見えたり予知能力があったりするのって、
不幸なことなんだなあ、色々と。タイの女性はそれで村人たちから嫌われ、悩んで
いた。私は見えなくて良かった。これは佳作だと思う。大好きな香港映画の1つで
ある。


良かったらこちらもどうぞ。オキサイド・パン監督作品です。
タイムリセット 運命からの逃走
レイン
(「レイン」は兄弟共同監督です)




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レイン

2017-02-14 16:42:57 | 日記
1999年のタイ映画「レイン」。
タイ、バンコク。生まれつき耳が聞こえないコン(パワリット・モングコンビシ
ット)は、この大都会でたった1人で生きていた。ある日、コンが働く射撃場に1
人の男が現れ、次々と的を射抜いていく。男の正体は殺し屋のジョー(ピセーク
・インタラカンチット)。コンの視線に気づいたジョーは彼に銃を差し出す。コ
ンは最初の1発で的を撃ち抜く。それを見たジョーはコンを殺し屋として育て上
げ、一緒に仕事をするようになる。凄腕の殺し屋に成長したコンはある日、薬局
で働く少女フォン(プリムシニー・ラタナソパァー)と出会う。フォンは障害のあ
るコンに優しく接し、初めて人の優しさに触れたコンは人を愛することを知る。

オキサイド・パン、ダニー・パン共同監督作品。この人たちの映画って暗いなあ。
好きだけど。耳と口が不自由で、孤独に生きてきた青年コン。コンは射撃場で清
掃の仕事をしていたが、そこに現れた殺し屋のジョーに才能を見込まれ、殺し屋
として成長する。そんなある日コンは薬局で優しい少女フォンと出会う。コンは
フォンと度々会うようになり、筆談や身振り手振りで話をするようになる。人に
愛されたことも人を愛したこともないコンにとって、それは初めての心の安らぎ
だった。
ストーリーも暗いが映像も暗く、バンコクの繁華街の物騒な様子が伝わってくる。
障害のある孤独な主人公が殺し屋になってしまうところから、ハッピーエンドは
ないだろうと想像はつくが、コンの人生の悲しさが本当に繊細に描かれている。
セリフのないコン役の俳優はとてもうまいと思った。そして、人が死にすぎるの
も観ていて辛い。でも香港映画とかもこんな感じだなー。この暗さ、やるせなさ
がいいのだけれど。ラストはとても鮮烈で、そして切ない。このラスト、私はか
なり好きである。


良かったらこちらもどうぞ。オキサイド・パン監督作品です。
タイムリセット 運命からの逃走



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タイムリセット 運命からの逃走

2015-12-13 05:40:54 | 日記
1997年のタイ映画「タイムリセット 運命からの逃走」。
ジアップ(サンヤー・クンナゴン)とワーン(ナンタリガー・タンマプリーダナン)
は家族公認の恋人同士。信心深いワーンはデートの時、必ずお寺で手を合わせる
のが習慣で、今日も2人で寺へ向かった。その帰り道、ワーンは車にはねられそう
になる。だがぶつからなかったはずなのに、彼女は突然血を出し、意識不明になっ
てしまった。ジアップは彼女を抱え、病院に運んだ。ワーンの家族も病院に駆け
つけるが、医師は原因不明の重体だと言う。絶望的な気持ちになって寺へ向かった
ジアップは、初めて心から手を合わせる。するとどこからともなく僧が現れ、原因
は彼女が前世で人を5人殺した因果応報であり、彼女を助けるためには、代わりに
死ぬ運命にある人間を5人助けるしかないと言う。そこでジアップは、未来の出来事
が載っている新聞の死亡記事をもとに、人助けに奔走する。

タイ映画らしく、とても仏教色の濃い物語だった。輪廻転生をテーマにしたオカ
ルト・ファンタジーであり、おもしろかった。急に原因不明で意識不明になって
しまった恋人。普段は信心深い訳ではない青年だが、寺に祈りに行く。そこで
僧に恋人が死にかけている理由を聞かされる。青年は「彼女は今は信心深い
善人です」と言うが、僧は「運命だ」と。
未来の出来事が載っている新聞の死亡記事って、監督のオキサイド・パンは
つのだじろう氏の「恐怖新聞」を読んだのだろうか。オキサイド・パンはホラー
映画を作る人なので、読んだかもしれない。主人公のジアップは恋人を助ける
ために、新聞を読んでは死ぬ予定の人の命を救う。そして時間との戦いでもあ
り、ジアップは常に汗をかいて走り回っている。迫りくるタイムリミット。ワーン
のために、そしてジアップのためにもこちらも必死で応援したくなる。香港出身の
監督の作品らしく、物語はスピーディーに進んでいく。そしてラストのどんでん
返しは感動的だ。
タイで大ヒットした映画らしい。ジアップ役の俳優はハンサムではないが、とて
も人気があるとのこと。私は輪廻転生を信じている。現世の徳は積まないと
いけないな~。



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