元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「グリーンフィッシュ」

2011-10-06 06:28:07 | 映画の感想(か行)
 (英題:The Greenfish )97年韓国作品。兵役を終えたものの働くき口がない主人公がヤクザの情婦の紹介で職を得るが、思いがけず組織同士の抗争に荷担することになる。彼はその愛人に心惹かれつつも、世話になったヤクザの兄貴分のために、自暴自棄的な行動に出る。

 内容はさんざん使い古されたヤクザ映画のルーティンなのだが、丁寧な演出と主演のハン・ソッキュの好演により、味わい深い佳篇に仕上がった。特に、ドラマの背景に激しく移り変わる韓国社会の情勢を織り交ぜているところがうまい。

 主人公が兵役に就いていたわずかな間に実家周辺の風景は一変。かつての田園地帯には高層団地が林立する。都市部では社会の底辺にうごめいていたチンピラたちがアッという間に街の顔役に。その急成長(およびその後の凋落)の陰で家族や人間同士の絆は分断されてゆく。この苦い現実。ラストはわずかに救いはあるものの、イ・チャンドン監督の人間を見つめる目は相変わらず冷徹だ。

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