団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

地層・化石

2017年06月12日 | Weblog

①    カナダ ドラムヘラー

②    アメリカ グランドキャニオン

③    モロッコ 化石テーブル

①    私は幼い頃、地層を見ると固まったようになって気が遠くなるような地層が形成された時代に想いを馳せた。それがどういう時代だったのか、今の瞬間がこれら過去の時代の蓄積なのか。自分たち人間がいかに微々たる存在なのかと、宇宙を想うのと同じ気持ちになった。小学校の5,6年生の担任教師Yは、異色の教員だった。理科一科目に執着して他の授業をいろいろな理由をつけて理科に替えた。小、中学校の理科は、高校の生物、化学、物理と違って科学全般をひとくくりにしている広範囲の科目である。Y先生は、野外授業も好きで、生徒たちをあちこち連れまわした。ある時、化石を見つけようと教室を出て山に行った。地層がむき出しになっていた。Y先生が化石のありそうな地層を示した。岩石採集の特別な金槌を各班に渡された。手や棒切れや石を使って化石が入っていそうな石を探す。私は他の生徒が見つけてきた石を金槌で割る。女子生徒が持ってきた石は固くてなかなか割れなかった。私は大きく金槌を後ろに振り上げた。その金槌が後ろに立っていた女子生徒のおでこに当たった。カマイタチ。彼女の額が割れ、血が噴き出した。Y先生は狂ったように彼女を抱きかかえ病院へ行った。私はクラス全員から殺人者を見るような目つきの一斉射撃にあって、無視された。その晩Y先生が家に来た。私は家族に何も言ってなかった。Y先生は家族に私のやったことを報告し、私を責めた。次の日家族と女子生徒の家に謝りに行った。もう二度と化石探しはしないと心に誓った。高校生になってカナダの高校へ留学することになった。ある休暇の時、同級生に誘われてアルバータ州のドラムヘラーという小さな町へ泊りがけで行った。その生徒はそのドラムヘラー出身で町を案内してくれた。いまやドラムヘラー近辺は恐竜の化石が出土するという事で世界的に有名である。1985年にロイヤル・ティレル古生物博物館が開館した。ここには恐竜の卵の化石が展示されている。友人歩いた平原のあちこちに恐竜の化石がゴロゴロしていた。小学生の時の化石探しのスケールの小ささに苦笑した。化石への興味が再びよみがえった。

②    アメリカのグランド・キャニオンの地層の重なりも凄かった。高所恐怖症なのか高い所は嫌だが、あの地層の重なりは、恐怖を吹き飛ばし太古の時代へタイムスリップさせてくれた。

③    モロッコへ妻の出張について数回訪れた。私がどうしても行きたかったイスモール山へは行く事が出来なかったが、そこで出土した化石を買う事が出来た。化石のお土産には、偽物が多いと聞いていた。化石に詳しい人の案内で化石の専門店へ行った。4個のアンモナイトが繰り出されたテーブルがあった。重さは40キロを超えていた。買った。妻にブーブー言われながら、飛行機でチュニジアに持ち帰った。日本へ持ち帰った。今も家のリビングに置いてある。

 地層や化石を見ると自分のちっぽけさを思う。おそらく私の生きる時間に堆積する地層なんぞ1ミリにもならないだろう。鍾乳洞の鍾乳石は100年で1ミリと言われている。ミリ単位であろうが今の自分の時間が無ければ、地層はできない。たとえ1ミリであろうが、私のすべてが凝縮された厚みである。大切に生きたい。


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