豊富な運転実績と先端技術研究,検証に基づく 絶え間ないガスタービン開発を通じて,
地球環境保全及びエネルギーの安定供給。
最近では 2004 年から参画した国家プロジェクト“1700℃級超高温ガスタービン要素技術 開発”の成果を活用して,
世界初となるタービン入口温度1600℃の高効率機M501J形を開発し, 世界各国で運転実績を積み上げているでつ。
実績あるJ形をベースに,燃焼器強制空 冷システム,超厚膜 TBC(Thermal Barrier Coating),
高圧力比圧縮機を中核技術として適用した,次世代 1650℃級の JAC(J Air Cooled)形ガスタービン開発状況を
報告するでつ。
これらは 個々の要素としては検証済であり,最終的な検証として,2020年 高砂工場内設備にて実機検証開始を予定。
近年,地球環境保全及びエネルギー安定供給の観点から,従来火力と比べ高効率かつ運用性に優れる
ガスタービンコンバインドサイクル発電プラント(GTCC)の重要性が高まっているでつ。
GTCC の高効率化にはガスタービンの高温化が重要な役割を果たしており,1980年代に
1150℃級大容量ガスタービン M701D 形を開発後,タービン入口温度 1350℃の M501F 形,
蒸気冷却式燃焼器を採用したタービン入口温度1500℃のM501G形を開発(図1)。
高いプラント熱効率と信頼性及び低公害性を実証してきたでつ。
2004 年からは国家プロジェクト“1700℃級超高温ガスタービン要素技術開発”に参画して
高温・高効率化に欠かせない最新技術の研究開発に取り組み,その開発成果を活用して,
世界初のタービン入口温度 1600℃となる高効率機 M501J 形ガスタービンを開発。
高砂工場内のガスタービン複合サイクル発電プラント実証設備(T地点)にて 2011 年から実証運転を開始し,
その後 M501J 形 GTCC の運転実績を着実に積 み重ねているでつ。
J形ガスタービンは燃焼器の冷却に蒸気冷却方式を採用しているでつが,高いタービン入口温度を
維持したまま空冷化できれば,GTCC の更なる高効率化と運用性改善が期待できるでつ。
そのため,は高温ガスタービンの空冷化を実現する次世代 GTCC の開発に取り組み,
その中核技術 である強制空冷システムを考案。
2015 年春に 高砂工場内のT地点にてシステム全体の検証試験を完了し,その後,
現在まで 10000 時間以上の長期運用を実施。
最新鋭の高効率ガスタービンの開発と運用状況,及び実績あるJ形をベースに,
燃焼器強 制空冷システム,超厚膜 TBC,高圧力比圧縮機を中核技術として適用,次世代
1650℃級 JAC 形ガスタービンの開発状況を以下に記載するでつ。
M501J 形は,豊富な運転実績のあるタービン入口温度 1400℃級F形,1500℃級G形・H形で
実証済みの要素技術を基盤とし,国家プロジェクトで開発された 1700℃級の最先端の技術開発成果を
適用することにより,タービン入口温度 1600℃が達成可能となったでつ。
タービン入口温度の上昇及び最新の要素技術の採用により,GTCC 発電端熱効率は従来機と比べて大きく上昇。
CO2 排出量は,従来型石炭焚き火力発電所を天然ガス焚きJ形コンバインドサイクル発電所に置き換えた場合,
約6割の削減が可能。
図2にM501J 形の技術的特徴について示すでつ。
M501J 形ガスタービンの開発は,基本設計の段階で各要素の検証試験を実施し,その結果を詳細設計に反映,
最終的に実証発電設備にてガスタービン全体の実機検証実施というステップを踏んできたでつ。
図3に 高砂工場内のガスタービン複合サイクル発電プラント実証設備(通称 T地点)の外観を示すでつ。
M501J形初号機に対して,2300点に及ぶ特殊計測を実施し,性能,機械特性,燃焼特性が目標値を満足することを
実証した上で,商用機を出荷。
J形ガスタービンは国内外合計 57 台受注,順次出荷してて,現在まで 39 台が商用運転に入ってて,
累計 76.8 万時間以上の運転時間を達成(図4)。
次世代 1650℃級 JAC 形ガスタービンの基本コンセプトは、実績のあるJ形に対し,
検証済の要素技術:①燃焼器強制空冷システム,
②超厚膜化 TBC,
③高圧力比圧縮機,を適用することによってJ形よりも高効率化,
運用性を改善させる 1650℃級次世代 JAC 形ガスタービンの開発を進めているでつ(図5)。
本ガスタービンの基本コンセプトについて以下に述べるでつ。
①強制空冷システム採用により,運用性を向上させるとともにタービン入口温度を上昇させるでつ。
②タービン入口温度が 501J 形から+50℃となるでつが,国家プロジェクト技術をベースに開発された超厚膜化 TBC の
採用により,高性能化と信頼性を両立させるでつ。
③圧縮機はH形と同等の高圧力比設計を採用することにより,ガスタービン出口排気ガス温度 の上昇を抑制するでつ。
図6に示す通り,上記の個々の要素技術は検証完了しており,JAC 形へ反映,適用されているでつ。
J形とJAC 形のガスタービン性能比較を,表1に示すでつ。
JAC 形ガスタービンに適用する要素技術の検証状況について述べるでつ。
図6に示すように,これらは個々の要素としては検証済であり,最終的な検証として 2020 年り実機検証を
予定しているでつ。
燃焼器強制空冷システムJ形ガスタービンは燃焼器の冷却に蒸気冷却方式を採用しているでつが,
高いタービン入口温度を維持したまま空冷化できれば,GTCC の更なる高効率化と運用性改善が期待できるでつ。
そのため, 高温ガスタービンの空冷化を実現する技術として,強制空冷システムを考案。
強制空冷シス テムの採用により,タービン入口温度 1650℃級であっても空冷化を実現でき,
高い複合発電効 率の達成とともに,プラント全体の運用性改善が可能となるでつ。
本システムは 2015 年春に,T地点にてシステム全体の実機検証試験を完了しており,その概要を紹介するでつ。
強制空冷システムは圧縮機出口(燃焼器車室)から抽気した空気を強制冷却空気冷却器(クー ラー)にて冷却し,
その後強制冷却空気圧縮機で昇圧して燃焼器の冷却に用いたのち車室に戻す冷却系統としているでつ。
図7に強制空冷システムの概略図を示す強制空冷システムの特徴について以下に述べるでつ。
(1) 強制冷却空気冷却器の排熱をボトミングサイクル側で回収させ効率のよいシステムとすることが可能
(2) 燃焼器冷却構造を最適化することで既存の蒸気冷却と同等以上の冷却性能達成が可能
(3) 蒸気冷却に比べ GTCC 全体の起動時間短縮が可能 強制空冷システムを採用した次世代 GTCC の効率向上には,
少ない冷却空気量で効率的に 冷却可能な燃焼器を開発し,強制冷却空気冷却器の排熱低減と回収効率向上,
強制冷却空気 圧縮機の動力を低減していくことが重要。
強制空冷システムの実機検証 図8にT地点で実施した強制空冷システム検証設備全景及び系統概略を示すでつ。
2015 年春,このT地点検証設備にて,強制空冷システムの運用性,すなわち起動停止,負荷変化,
負荷遮断といった過渡的な変化に対する追従性を検証し,すべて問題ないことを確認したでつ。
ガスタービントリップ試験時の強制冷却空気圧縮機運転点挙動についても試験を実施し,ガスタービン 100%負荷からの
トリップにおいて,強制冷却空気圧縮機がサージに入ることなく,安全に停止できることを確認。
T地点では今なお強制空冷システムにて運転,長期検証を実施しており,10000 時間以上の 運転実績を積み上げているでつ。
この強制空冷システムをベースとし,負荷運転時のクリアランスコントロールを可能とする系統についても検証。
本系統では,冷却空気を,タービン翼環をバイパスさせて直接燃焼器へ導 入する供給方法と,
負荷運転中のタービンクリアランスを低減することで性能を最大化するため, タービン翼環に通気した後に
供給する方法の2系統があり,負荷運転中でも切換弁(三方弁)にて切り換え可能。
前者では,クリアランスを開けておくことで大きな負荷変化運転に対応可 能である(Flexible Mode)。
一方後者では負荷運転中にクリアランスを詰めることができ,性能を最 大化できる(Performance Mode)。
図9に負荷運転時の三方弁切り換えによるクリアランス挙動を示す。本システムにより性能を最大化したまま
従来以上の運用性向上が期待できるでつ。
1650℃級 JAC 形ガスタービンは 501J 形からタービン入口温度が+50℃となるでつが,超厚膜化 TBC の採用により,
高性能化と信頼性を両立。
一般的に TBC を厚くすると耐久性が低下するが,国家プロジェクト技術をベースに開発された TBC は従来以上の
耐久性を有し,超厚膜化が可能。
なお,超厚膜化 TBC の検証は,施工検証としてクーポン試験片を採取し,ミク ロ組織,気孔率を確認したのち,
熱サイクル試験を実施して耐久性に問題ないことを実翼適用前 に確認。
実機検証では燃焼器,タービン1~3段動静翼,分割環に超厚膜化 TBC を施工し, 長期検証によって信頼性を確認。
図 10 にタービン1段静翼にて実施した超厚膜化 TBC の検 証状況を示すでつ。
1650℃級 JAC 形ガスタービンの圧縮機は,運転実績のあるH形と同等の高圧力比設計を採用し,圧力比を
J形の23 から 25へ上昇させることにより,ガスタービン入口温度上昇に伴う排 気ガス温度の上昇を抑制。
高圧力比の圧縮機は出口流路面積を相対的に絞った設計とすることから,圧力比の低い起動中には流量が減少し,
旋回失速が相対的に悪化する懸念があるでつが, 2001年T地点H形圧縮機(圧力比 25)にて検証済。
これに加え2018 年5 月にはT地点にてJ形ベース,圧力比 25 として設計した圧縮機の実機検証を実施し,
起動特性及び空力性能が良好であることを確認(図 11)。
ガスタービン高温部品(静翼,分割環)の冷却空気削減による性能向上を狙いとし,現工法では製作不可能な
複雑冷却構造の3D金属積層造形技術の開発を進めているでつ。
課題の一つである 造形物の材料強度確保のため,材料組成の調整と造形・熱処理プロセスの適正化に取り組み,
高温環境での3D金属積層造形物の要求強度を確保。
現在,ガスタービン高温部品(1段分 割環)にて実証試験実施中。
今後は,複雑構造の高精度造形技術の開発に取り組む計画 。
1650℃級 JAC 形は,運転実績のあるJ形に対し,検証済の要素技術を適用したガスタービン であり,
個々の要素としては検証されているでつが,最終的な検証として 2020 年より初号機の実機検 証を予定。
本章ではガスタービン初号機の製作状況,及び実証のための高砂工場内設 備の更新状況について述べるでつ。
次世代 1650℃級 JAC 形ガスタービンの初号機製作状況 1650℃級 JAC 形初号機は,3章のガスタービン設計基本コンセプト,
及び4章の要素開発検 証結果に基づいて圧縮機,燃焼器,タービン翼の開発設計を進め,初号機の製作を完了。
回転部品については 2018 年 12 月に高速回転試験を実施し,ロータ軸,圧縮機動翼,タービン動翼の加振試験によって
離調成立性に関して問題ないことを確認(図 13)。
この結果を踏まえ,2019 年6月に実証試験設備に向けて本体出荷を完了。(図 14,15)
GTCC 実証設備の更新状況 新たに開発する GTCC の実証試験運転を行うには,ガスタービン本体だけでなく,
既存の発電 機,主変圧器,排熱回収ボイラなどの主要機器も次世代機の仕様に合うよう更新する必要。
このため,既設のT地点実証設備を廃止し,新たな実証設備建設のため更新工事を実施中 。
図 16 に新実証設備の建設状況を示すでつ。
現在,2020 年の次世代 1650℃級 JAC 形の実証開始に向けて準備を進めてて,これまでの G形,J形同様,
新たな実証設備にて着実に検証を行っていき,更なる省エネルギー・低公害化 の社会的ニーズに応えていくでつ。
GTCC の高効率化にはガスタービンの高温化が重要な役割を果たしており, MHPS は 2004年から参画した国家プロジェクト
“1700℃級超高温ガスタービン要素技術開発”の開発成果を活用して,世界初のタービン入口温度1600℃の高効率機M501J形を
開発し,その運転実績を着実に積み重ねてきているでつ。
GTCC の更なる高効率化と運用性改善のため,実績あるJ形をベースに,燃焼器強制空冷システム,超厚膜 TBC,
高圧力比圧縮機を中核技術として適用した,次世代 1650℃級 JAC 形ガスタービンの開発を進めているでつ。
これらは個々の要素としては検証済であるでつが,最終的な検証として実機検証を予定してて,
既設のT地点実証設備を廃止し,新たな設備にて 2020 年実証開始予定。
さらなる進歩と効率化が必要になるでつが、この技術をダウンサイジング化できれば、
分散型エネルギーの効率アップにつながるんだけど…
地球環境保全及びエネルギーの安定供給。
最近では 2004 年から参画した国家プロジェクト“1700℃級超高温ガスタービン要素技術 開発”の成果を活用して,
世界初となるタービン入口温度1600℃の高効率機M501J形を開発し, 世界各国で運転実績を積み上げているでつ。
実績あるJ形をベースに,燃焼器強制空 冷システム,超厚膜 TBC(Thermal Barrier Coating),
高圧力比圧縮機を中核技術として適用した,次世代 1650℃級の JAC(J Air Cooled)形ガスタービン開発状況を
報告するでつ。
これらは 個々の要素としては検証済であり,最終的な検証として,2020年 高砂工場内設備にて実機検証開始を予定。
近年,地球環境保全及びエネルギー安定供給の観点から,従来火力と比べ高効率かつ運用性に優れる
ガスタービンコンバインドサイクル発電プラント(GTCC)の重要性が高まっているでつ。
GTCC の高効率化にはガスタービンの高温化が重要な役割を果たしており,1980年代に
1150℃級大容量ガスタービン M701D 形を開発後,タービン入口温度 1350℃の M501F 形,
蒸気冷却式燃焼器を採用したタービン入口温度1500℃のM501G形を開発(図1)。
高いプラント熱効率と信頼性及び低公害性を実証してきたでつ。
2004 年からは国家プロジェクト“1700℃級超高温ガスタービン要素技術開発”に参画して
高温・高効率化に欠かせない最新技術の研究開発に取り組み,その開発成果を活用して,
世界初のタービン入口温度 1600℃となる高効率機 M501J 形ガスタービンを開発。
高砂工場内のガスタービン複合サイクル発電プラント実証設備(T地点)にて 2011 年から実証運転を開始し,
その後 M501J 形 GTCC の運転実績を着実に積 み重ねているでつ。
J形ガスタービンは燃焼器の冷却に蒸気冷却方式を採用しているでつが,高いタービン入口温度を
維持したまま空冷化できれば,GTCC の更なる高効率化と運用性改善が期待できるでつ。
そのため,は高温ガスタービンの空冷化を実現する次世代 GTCC の開発に取り組み,
その中核技術 である強制空冷システムを考案。
2015 年春に 高砂工場内のT地点にてシステム全体の検証試験を完了し,その後,
現在まで 10000 時間以上の長期運用を実施。
最新鋭の高効率ガスタービンの開発と運用状況,及び実績あるJ形をベースに,
燃焼器強 制空冷システム,超厚膜 TBC,高圧力比圧縮機を中核技術として適用,次世代
1650℃級 JAC 形ガスタービンの開発状況を以下に記載するでつ。
M501J 形は,豊富な運転実績のあるタービン入口温度 1400℃級F形,1500℃級G形・H形で
実証済みの要素技術を基盤とし,国家プロジェクトで開発された 1700℃級の最先端の技術開発成果を
適用することにより,タービン入口温度 1600℃が達成可能となったでつ。
タービン入口温度の上昇及び最新の要素技術の採用により,GTCC 発電端熱効率は従来機と比べて大きく上昇。
CO2 排出量は,従来型石炭焚き火力発電所を天然ガス焚きJ形コンバインドサイクル発電所に置き換えた場合,
約6割の削減が可能。
図2にM501J 形の技術的特徴について示すでつ。
M501J 形ガスタービンの開発は,基本設計の段階で各要素の検証試験を実施し,その結果を詳細設計に反映,
最終的に実証発電設備にてガスタービン全体の実機検証実施というステップを踏んできたでつ。
図3に 高砂工場内のガスタービン複合サイクル発電プラント実証設備(通称 T地点)の外観を示すでつ。
M501J形初号機に対して,2300点に及ぶ特殊計測を実施し,性能,機械特性,燃焼特性が目標値を満足することを
実証した上で,商用機を出荷。
J形ガスタービンは国内外合計 57 台受注,順次出荷してて,現在まで 39 台が商用運転に入ってて,
累計 76.8 万時間以上の運転時間を達成(図4)。
次世代 1650℃級 JAC 形ガスタービンの基本コンセプトは、実績のあるJ形に対し,
検証済の要素技術:①燃焼器強制空冷システム,
②超厚膜化 TBC,
③高圧力比圧縮機,を適用することによってJ形よりも高効率化,
運用性を改善させる 1650℃級次世代 JAC 形ガスタービンの開発を進めているでつ(図5)。
本ガスタービンの基本コンセプトについて以下に述べるでつ。
①強制空冷システム採用により,運用性を向上させるとともにタービン入口温度を上昇させるでつ。
②タービン入口温度が 501J 形から+50℃となるでつが,国家プロジェクト技術をベースに開発された超厚膜化 TBC の
採用により,高性能化と信頼性を両立させるでつ。
③圧縮機はH形と同等の高圧力比設計を採用することにより,ガスタービン出口排気ガス温度 の上昇を抑制するでつ。
図6に示す通り,上記の個々の要素技術は検証完了しており,JAC 形へ反映,適用されているでつ。
J形とJAC 形のガスタービン性能比較を,表1に示すでつ。
JAC 形ガスタービンに適用する要素技術の検証状況について述べるでつ。
図6に示すように,これらは個々の要素としては検証済であり,最終的な検証として 2020 年り実機検証を
予定しているでつ。
燃焼器強制空冷システムJ形ガスタービンは燃焼器の冷却に蒸気冷却方式を採用しているでつが,
高いタービン入口温度を維持したまま空冷化できれば,GTCC の更なる高効率化と運用性改善が期待できるでつ。
そのため, 高温ガスタービンの空冷化を実現する技術として,強制空冷システムを考案。
強制空冷シス テムの採用により,タービン入口温度 1650℃級であっても空冷化を実現でき,
高い複合発電効 率の達成とともに,プラント全体の運用性改善が可能となるでつ。
本システムは 2015 年春に,T地点にてシステム全体の実機検証試験を完了しており,その概要を紹介するでつ。
強制空冷システムは圧縮機出口(燃焼器車室)から抽気した空気を強制冷却空気冷却器(クー ラー)にて冷却し,
その後強制冷却空気圧縮機で昇圧して燃焼器の冷却に用いたのち車室に戻す冷却系統としているでつ。
図7に強制空冷システムの概略図を示す強制空冷システムの特徴について以下に述べるでつ。
(1) 強制冷却空気冷却器の排熱をボトミングサイクル側で回収させ効率のよいシステムとすることが可能
(2) 燃焼器冷却構造を最適化することで既存の蒸気冷却と同等以上の冷却性能達成が可能
(3) 蒸気冷却に比べ GTCC 全体の起動時間短縮が可能 強制空冷システムを採用した次世代 GTCC の効率向上には,
少ない冷却空気量で効率的に 冷却可能な燃焼器を開発し,強制冷却空気冷却器の排熱低減と回収効率向上,
強制冷却空気 圧縮機の動力を低減していくことが重要。
強制空冷システムの実機検証 図8にT地点で実施した強制空冷システム検証設備全景及び系統概略を示すでつ。
2015 年春,このT地点検証設備にて,強制空冷システムの運用性,すなわち起動停止,負荷変化,
負荷遮断といった過渡的な変化に対する追従性を検証し,すべて問題ないことを確認したでつ。
ガスタービントリップ試験時の強制冷却空気圧縮機運転点挙動についても試験を実施し,ガスタービン 100%負荷からの
トリップにおいて,強制冷却空気圧縮機がサージに入ることなく,安全に停止できることを確認。
T地点では今なお強制空冷システムにて運転,長期検証を実施しており,10000 時間以上の 運転実績を積み上げているでつ。
この強制空冷システムをベースとし,負荷運転時のクリアランスコントロールを可能とする系統についても検証。
本系統では,冷却空気を,タービン翼環をバイパスさせて直接燃焼器へ導 入する供給方法と,
負荷運転中のタービンクリアランスを低減することで性能を最大化するため, タービン翼環に通気した後に
供給する方法の2系統があり,負荷運転中でも切換弁(三方弁)にて切り換え可能。
前者では,クリアランスを開けておくことで大きな負荷変化運転に対応可 能である(Flexible Mode)。
一方後者では負荷運転中にクリアランスを詰めることができ,性能を最 大化できる(Performance Mode)。
図9に負荷運転時の三方弁切り換えによるクリアランス挙動を示す。本システムにより性能を最大化したまま
従来以上の運用性向上が期待できるでつ。
1650℃級 JAC 形ガスタービンは 501J 形からタービン入口温度が+50℃となるでつが,超厚膜化 TBC の採用により,
高性能化と信頼性を両立。
一般的に TBC を厚くすると耐久性が低下するが,国家プロジェクト技術をベースに開発された TBC は従来以上の
耐久性を有し,超厚膜化が可能。
なお,超厚膜化 TBC の検証は,施工検証としてクーポン試験片を採取し,ミク ロ組織,気孔率を確認したのち,
熱サイクル試験を実施して耐久性に問題ないことを実翼適用前 に確認。
実機検証では燃焼器,タービン1~3段動静翼,分割環に超厚膜化 TBC を施工し, 長期検証によって信頼性を確認。
図 10 にタービン1段静翼にて実施した超厚膜化 TBC の検 証状況を示すでつ。
1650℃級 JAC 形ガスタービンの圧縮機は,運転実績のあるH形と同等の高圧力比設計を採用し,圧力比を
J形の23 から 25へ上昇させることにより,ガスタービン入口温度上昇に伴う排 気ガス温度の上昇を抑制。
高圧力比の圧縮機は出口流路面積を相対的に絞った設計とすることから,圧力比の低い起動中には流量が減少し,
旋回失速が相対的に悪化する懸念があるでつが, 2001年T地点H形圧縮機(圧力比 25)にて検証済。
これに加え2018 年5 月にはT地点にてJ形ベース,圧力比 25 として設計した圧縮機の実機検証を実施し,
起動特性及び空力性能が良好であることを確認(図 11)。
ガスタービン高温部品(静翼,分割環)の冷却空気削減による性能向上を狙いとし,現工法では製作不可能な
複雑冷却構造の3D金属積層造形技術の開発を進めているでつ。
課題の一つである 造形物の材料強度確保のため,材料組成の調整と造形・熱処理プロセスの適正化に取り組み,
高温環境での3D金属積層造形物の要求強度を確保。
現在,ガスタービン高温部品(1段分 割環)にて実証試験実施中。
今後は,複雑構造の高精度造形技術の開発に取り組む計画 。
1650℃級 JAC 形は,運転実績のあるJ形に対し,検証済の要素技術を適用したガスタービン であり,
個々の要素としては検証されているでつが,最終的な検証として 2020 年より初号機の実機検 証を予定。
本章ではガスタービン初号機の製作状況,及び実証のための高砂工場内設 備の更新状況について述べるでつ。
次世代 1650℃級 JAC 形ガスタービンの初号機製作状況 1650℃級 JAC 形初号機は,3章のガスタービン設計基本コンセプト,
及び4章の要素開発検 証結果に基づいて圧縮機,燃焼器,タービン翼の開発設計を進め,初号機の製作を完了。
回転部品については 2018 年 12 月に高速回転試験を実施し,ロータ軸,圧縮機動翼,タービン動翼の加振試験によって
離調成立性に関して問題ないことを確認(図 13)。
この結果を踏まえ,2019 年6月に実証試験設備に向けて本体出荷を完了。(図 14,15)
GTCC 実証設備の更新状況 新たに開発する GTCC の実証試験運転を行うには,ガスタービン本体だけでなく,
既存の発電 機,主変圧器,排熱回収ボイラなどの主要機器も次世代機の仕様に合うよう更新する必要。
このため,既設のT地点実証設備を廃止し,新たな実証設備建設のため更新工事を実施中 。
図 16 に新実証設備の建設状況を示すでつ。
現在,2020 年の次世代 1650℃級 JAC 形の実証開始に向けて準備を進めてて,これまでの G形,J形同様,
新たな実証設備にて着実に検証を行っていき,更なる省エネルギー・低公害化 の社会的ニーズに応えていくでつ。
GTCC の高効率化にはガスタービンの高温化が重要な役割を果たしており, MHPS は 2004年から参画した国家プロジェクト
“1700℃級超高温ガスタービン要素技術開発”の開発成果を活用して,世界初のタービン入口温度1600℃の高効率機M501J形を
開発し,その運転実績を着実に積み重ねてきているでつ。
GTCC の更なる高効率化と運用性改善のため,実績あるJ形をベースに,燃焼器強制空冷システム,超厚膜 TBC,
高圧力比圧縮機を中核技術として適用した,次世代 1650℃級 JAC 形ガスタービンの開発を進めているでつ。
これらは個々の要素としては検証済であるでつが,最終的な検証として実機検証を予定してて,
既設のT地点実証設備を廃止し,新たな設備にて 2020 年実証開始予定。
さらなる進歩と効率化が必要になるでつが、この技術をダウンサイジング化できれば、
分散型エネルギーの効率アップにつながるんだけど…