現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

間中ケイ子「猫町五十四番地」

2017-08-10 16:42:29 | 作品論
 2008年の日本児童文学者協会賞を受賞した少年詩集です。
 ここでいう少年は、老年、壮年、青年、幼年と同様にたんに年齢区分をあらわすもので、特に男の子を対象にしたものではありません。
 66編からなるこの詩集は、以下のように三部構成になっています。
1.猫小路
2.十五夜
3.一番星
「猫小路」は、すべて飼い猫を観察したところから生まれた作品のようです。
「十五夜」は、元旦から大晦日まで、歳時記風に並べてあります。
「一番星」は、その他の詩ですが、これらもすべて季節とかかわりがあります。
 全体としては、副題にあるように「詩の歳時記」としてまとめられたもののようです。
 この中で一番すぐれているのはやはり「猫小路」で、短詩と俳句を組み合わせたアイデアが素晴らしいと思いました。
 その他の部分も含めて優れた詩集だとは思いますが、疑問もあります。
 これが「少年詩集」なのだろうかという疑念を、どうしても拭い去ることができませんでした。
 この詩の背後から浮かびあがってくるのは、今現在の間中の視線であって、子どもの視点はまったくありません。
 また、年少の読者に対する配慮も決定的に欠けているように思えました。
 どうも、あとがきを書いている皿海達哉などの同人(学芸大出身者を中心とした児童文学同人誌「牛」)をはじめとした「大人の読者」に向けて書かれたようにしか思えません。
 そういった詩集が、「児童文学者協会賞」を受賞するのは、この賞が仲間内(協会員の大人の児童文学者たち)に向けたものであり、そこでは子どもの存在はすっかり忘れ去られているようです。

猫町五十四番地―間中ケイ子詩集 (子ども詩のポケット)
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