クァルテット・レストロ・アルモニコ
第3回定期公演「スパイラル&シークエンス」
2019年1月27日(日)15:00〜 東京コンサーツ・ラボ 自由席 1列 中央 3,000円
クァルテット・レストロ・アルモニコ
ヴァイオリン:伊藤亜美
ヴァイオリン:須山暢大
ヴィオラ:安達真理
チェロ:山澤 慧
【曲目】
モーツァルト:弦楽四重奏曲 第15番 ニ短調 K.421
ヤナーチェク:弦楽四重奏曲 第1番 ホ短調「クロイツェル・ソナタ」
シューベルト:弦楽四重奏曲 第14番 ニ短調 D810「死と乙女」
《アンコール》
シューベルト:弦楽四重奏曲第13番 イ短調 「ロザムンデ」D804より 第2楽章
私にとってはすっかりお馴染みになった「クァルテット・レストロ・アルモニコ」。早稲田にある東京コンサーツ・ラボでのコンサートもまたお馴染みとなった。
今日のコンサートは「スパイラル&シークエンス」と名付けられた定期公演の3回目という位置付けになる。クァルテットのコンサートトしては、昨年の2019年の10月に浦安音楽ホールで開催された無料の公演があり、その時のメイン曲がシューベルトの「死と乙女」への初挑戦ということだった。主催公演の本番としては、本日のコンサートで再び「死と乙女」が正式に披露されるという位置づけになる。
本日のプログラムは、全体的に負のイメージで描かれている短調の曲だけで構成されている。
モーツァルトの「弦楽四重奏曲 第15番 ニ短調 K.421」は、モーツァルトとしては数少ない短調の曲であり、暗い色調には違いないが、この時代の音楽は感情をリアルに表現するという程でもないので、あくまで純音楽として短調を選んだということだと思うが、心の中に屈託を抱えていたのであろう。
ヤナーチェクの「弦楽四重奏曲 第1番 ホ短調」には「クロイツェル・ソナタ」という名前が付けられているが、これはベートーヴェンの「ヴァイオリン・ソナタ 第9番」の「クロイツェル・ソナタ」に関連しているのではなく、トルストイの小説『クロイツェル・ソナタ』に触発されて書かれた曲だからである。これは4楽章の弦楽四重奏曲という形式ではあるが、そこに描かれている世界観は純音楽ではなく、もはや標題音楽というべきで、小説の物語を音楽で表現するという手法で書かれている。妻の不倫に苦悩する主人公が、嫉妬と狂気にかられて妻を殺害してしまうという物語。強烈な不協和音と激しく暴力的な曲想がかなりリアルな物語の描写に使われていて、聴く者にも狂気の世界を体感させる。まあ、聴いていて決して気持ちのよい曲ではない。
演奏の方も、物語の世界観をはっきりと意識していたようで、とくに感情的な表現に力点を置いていたように思う。アンサンブルをキチンと整え、純音楽的に弦楽四重奏のカタチを創り上げるというようなアプローチではなく、物語の登場人物の心情の動きや狂気に向かって破壊的になっていく心の表情を、流れの任せて、あるいは他の奏者とのやり取りの中から、内側にだけではなく半分は外側にも向けられていたような、押し出しの強い表現になっている。だから聴く側にも、何か負の情感が伝わってきて、筋肉が硬直してくるような緊張感を感じた。ある意味で、強烈な演奏だったといえる。
シューベルトの「死と乙女」については前にも書いたので今回は簡略に。一言でいうなら、回数を重ねることによって求心力が強まり、完成度が高くなっていたということだろう。
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第3回定期公演「スパイラル&シークエンス」
2019年1月27日(日)15:00〜 東京コンサーツ・ラボ 自由席 1列 中央 3,000円
クァルテット・レストロ・アルモニコ
ヴァイオリン:伊藤亜美
ヴァイオリン:須山暢大
ヴィオラ:安達真理
チェロ:山澤 慧
【曲目】
モーツァルト:弦楽四重奏曲 第15番 ニ短調 K.421
ヤナーチェク:弦楽四重奏曲 第1番 ホ短調「クロイツェル・ソナタ」
シューベルト:弦楽四重奏曲 第14番 ニ短調 D810「死と乙女」
《アンコール》
シューベルト:弦楽四重奏曲第13番 イ短調 「ロザムンデ」D804より 第2楽章
私にとってはすっかりお馴染みになった「クァルテット・レストロ・アルモニコ」。早稲田にある東京コンサーツ・ラボでのコンサートもまたお馴染みとなった。
今日のコンサートは「スパイラル&シークエンス」と名付けられた定期公演の3回目という位置付けになる。クァルテットのコンサートトしては、昨年の2019年の10月に浦安音楽ホールで開催された無料の公演があり、その時のメイン曲がシューベルトの「死と乙女」への初挑戦ということだった。主催公演の本番としては、本日のコンサートで再び「死と乙女」が正式に披露されるという位置づけになる。
本日のプログラムは、全体的に負のイメージで描かれている短調の曲だけで構成されている。
モーツァルトの「弦楽四重奏曲 第15番 ニ短調 K.421」は、モーツァルトとしては数少ない短調の曲であり、暗い色調には違いないが、この時代の音楽は感情をリアルに表現するという程でもないので、あくまで純音楽として短調を選んだということだと思うが、心の中に屈託を抱えていたのであろう。
ヤナーチェクの「弦楽四重奏曲 第1番 ホ短調」には「クロイツェル・ソナタ」という名前が付けられているが、これはベートーヴェンの「ヴァイオリン・ソナタ 第9番」の「クロイツェル・ソナタ」に関連しているのではなく、トルストイの小説『クロイツェル・ソナタ』に触発されて書かれた曲だからである。これは4楽章の弦楽四重奏曲という形式ではあるが、そこに描かれている世界観は純音楽ではなく、もはや標題音楽というべきで、小説の物語を音楽で表現するという手法で書かれている。妻の不倫に苦悩する主人公が、嫉妬と狂気にかられて妻を殺害してしまうという物語。強烈な不協和音と激しく暴力的な曲想がかなりリアルな物語の描写に使われていて、聴く者にも狂気の世界を体感させる。まあ、聴いていて決して気持ちのよい曲ではない。
演奏の方も、物語の世界観をはっきりと意識していたようで、とくに感情的な表現に力点を置いていたように思う。アンサンブルをキチンと整え、純音楽的に弦楽四重奏のカタチを創り上げるというようなアプローチではなく、物語の登場人物の心情の動きや狂気に向かって破壊的になっていく心の表情を、流れの任せて、あるいは他の奏者とのやり取りの中から、内側にだけではなく半分は外側にも向けられていたような、押し出しの強い表現になっている。だから聴く側にも、何か負の情感が伝わってきて、筋肉が硬直してくるような緊張感を感じた。ある意味で、強烈な演奏だったといえる。
シューベルトの「死と乙女」については前にも書いたので今回は簡略に。一言でいうなら、回数を重ねることによって求心力が強まり、完成度が高くなっていたということだろう。
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