Bravo! オペラ & クラシック音楽

オペラとクラシック音楽に関する肩の凝らない芸術的な鑑賞の記録

4/28(木)本田早美花Vnリサイタル/溢れるフランスの香り/珍しいアーンのソナタと技巧的なサン=サーンス

2016年04月28日 23時00分00秒 | クラシックコンサート
本田早美花 ヴァイオリン・リサイタル

2016年4月28日(木)19:00~ 東京オペラシティ・リサイタルホール 自由席 1列中央 3,600円(会員割引)
ヴァイオリン:本田早美花
ピアノ:エマニュエル・クリスチャン
【曲目】
シューマン:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 ニ短調 作品121
アーン:ヴァイオリン・ソナタ ハ長調
サン=サーンス:ハバネラ 作品83
サン=サーンス/イザイ編:ワルツ・カプリス 作品52-6
《アンコール》
 イザイ:子供の夢

 久し振りにヴァイオリンの本田早美花さんのリサイタルを聴く。というのも本田さんは生まれは日本だが英国で育ち、2000年からはパリに在住し、ヨーロッパ中心に音楽活動を行っていて、国際的な評価は高い演奏家である。前回彼女の演奏を聴かせていただいたのは、2013年1月のことで、王子ホールでのリサイタルだった。その時はフランクのヴァイオリン・ソナタで素晴らしい演奏を聴かせてくれたことが印象に強く残っていて、次の機会も必ず聴くべきだと思っていた。今日はNHK交響楽団のBプロ定期があったが、そちらを飛ばしてオペラシティに駆け付けた。自由席なので早めにいったのだが、18時ちょっと前に着いたら2番目。・・・・うーん、日本での知名度はいまひとつのようである。
 本田さんのもうひとつの顔は、アンサンブル・モンソロのメンバーだということ。デュオを組むピアノのエマニュエル・クリスチャンさんに加えて、ヴィオラのシルヴァン・デュランテルさん、チェロのジュリアン・ラジニアックがメンバーとなっている。CDも何枚か出している実力派ユニットで、昨年9月に来日ツアーを行っているが、聴くことが出来なかった。
 本田さんはこの5月からフランスの国立ストラスブール・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターに就任する。住居もストラスブールに引っ越しするとのことだ。ひつとの転機を迎え、また新たなステップに踏み出していくのであろう。

 プログラムの前半は、シューマンの「ヴァイオリン・ソナタ第2番」。第1楽章の序奏から、立ち上がりの鋭い音でグンと出してくる。ソナタ形式の提示部に入れば第1主題のエキセントリックな雰囲気を漂わせつつもロマン派らしい抒情性を見せてくる。第2主第はもっとロマンティックである。リズム感も良く、流れに乗るようなスムーズさで推進力を持って曲を進めていく。展開部は自由度が高く、クリスチャンさんのピアノとともにヒラメキを感じさせる即興的な雰囲気を創り出している。激情を内側に向けたような楽章ではあるが、本田さんの演奏にはドイツ的な内向性ではなく、どこか色彩的な鮮やかさが漂っていて、華やかである。
 第2楽章はスケルツォ。本田さんのヴァイオリンはキレが良く、メリハリも明瞭なのに、ひとつひとつの動機やフレーズに細やかなニュアンスに彩られていて、多彩な表情を見せている。
 第3楽章は緩徐楽章に相当するが、ピツィカートで抒情的な主題を訥々と提示する変奏曲。ピツィカートにも変化を付けて歌わせていて、弓で弾く第1変奏、重音になり深みが増す第2変奏というふうに、表現力の幅も広くとても豊かな音楽性を感じる。
 第4楽章は再び激情が内側に向けられ、激しい曲想のソナタ形式。本田さんのヴァイオリンは、やや翳りを帯びた色彩が豊かに展開し、感情が迸るようなリズム感と推進力がある。強烈に押し出す力強いイメージとナイーブな感性が同居しているようなところがあり、やはり全体的には自由な感情の発露が感じられる。とても豊かな表情を持った演奏である。

 後半は得意のフランス音楽。まず、アーンの「ヴァイオリン・ソナタ ハ長調」。これはかなり珍しい曲が出てきたものだ。レイナルド・アーン(Reynaldo Hahn/1874~1947)はベネズエラの首都カラカスの生まれだが、幼少期よりパリに移り住み、フランスの音楽界で活躍した作曲家・歌手・指揮者である。歌曲の「我が詩(うた)に翼ありせば/私の詩に翼があったなら」や「クロリスに」がとくに有名で、声楽家(ソプラノやメゾ・ソプラノ)のリサイタルではしばしば耳にするが、器楽曲はまったく知らなかった。さすがにパリでの音楽生活の長い本田さんである。素敵な曲を紹介してくれることになった。このヴァイオリン・ソナタは1926年の作である。
 第1楽章はsans lenteur, tendrement(遅くなく、優しく)。速度指示も曖昧で感覚的なところはいかにもフランス風。器楽的な華やか旋律と歌曲的な息の長い旋律が適度に混ざっていて、とても洒落ていて美しい音楽である。本田さんのヴァイオリンも、先ほどのシューマンとはガラリと変わって、角のないマイルドなタッチで、ふわりと流れるように旋律を歌わせる。音色も透明感を増して、確かに「優しい」。第2主題は、サロン的な文化を思わせつつ若干の憂愁が漂う。展開部は第1主題を中心に展開し抒情性たっぷりの盛り上がりを見せる。再現部ではふたつの主題が回帰してくるが優しさが増して穏やかに終わる。
 第2楽章はveloce(速く)で、スケルツォに相当する感じだが、間奏曲的な短さでもあり、曲想は無窮動的。副題に「12C.V. 8 cyl .5000 tours」とあり、これは作曲当時に登場した最速モデルの自動車のエンジン番号なのだとか。フランスだからシトロエンの12CVだろうか。8気筒、5000回転。演奏を聴いていると、確かにヴァイオリンもピアノも細かなリズムを刻んでいるのはクルマのエンジン音のようであり、曲想が変わるとクネクネと曲がる山間の道をクルマが走り抜けていくような快走感がある。
 第3楽章はModere-Très Calmet(中間的な速さで/とても穏やかに)となり、夢見るような抒情的で美しい旋律が、穏やかに歌う。主題は息が長く、草原を吹き抜けるそよ風のような情景も目に浮かぶようである。最後に、第1楽章の第1主題が回帰してきて、穏やかに曲が終わる。このような循環主題の手法もフランク以降のフランス音楽らしい。本田さんのヴァイオリンは、実に自然体で、逆に美しい曲に身を委ねるように、自然に音楽が生まれてくるような雰囲気で、音色には繊細で優美、そしてロマンティックに曲想によく似合った淡いトーンの色彩感がある。楽器の生々しい音ではなく、音楽が楽器を歌わせている感じが、聴いていてとても心地よいのである。

 続いて、サン=サーンスの「ハバネラ 作品83」。こちらは一転してリサイタル・ピースとしてお馴染みの曲。このスペイン風味の曲が、序奏の部分などは都会的に洗練された感じで、粋に感じられる演奏。主部に入ってテンポが上がれば、低弦をカリカリと刻んで、熱い情感も出てくるが、それでもどこか洒脱で、粋な雰囲気を持っている。これは最後までその感じが続いた。本田さんのヴァイオリンだけでなく、クリスチャンさんのピアノもパリの都会的なセンスが溢れている。二人とも技巧性を感じさせない洒落た演奏であった。
 最後は、サン=サーンス/イザイ編の「ワルツ・カプリス 作品52-6」。こちらはイザイらしさが前面に出てくる曲でもあり、演奏でもあった。本田さんはイザイにはかなり思い入れがあるらしく、この曲ではまたまったく違った「顔」を見せていた。ワルツの洒落た雰囲気を余所に、超絶技巧を見せつけるような押し出しの強い演奏を聴かせる。立ち上がりが鋭く、エッジを効かせた鋭角的な表情を前面に押し出す。フランス風のお洒落なワルツの部分との対比が極端で、非常に鮮明な印象を残した。素晴らしい演奏だったと思う。

 アンコールは、イザイの「子供の夢」。独特の浮遊感で、優しい旋律が歌っていく。大らかな節回しが、単調な曲想に豊かな彩りを加えていく。そんな印象の演奏であった。


 終演後は、恒例のサイン会。本田さんのCDは、「イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 作品27 全曲」とイザイに献呈された曲を集めた「イザイに捧ぐ」の2枚と、アンサンブル・モンソロによる室内楽のものが何枚かある。2枚のCDには3年前のリサイタルの時にすでにサインをいただいてあったので、まあ、あまりサイン会に並ぶ人もいなかったから・・・・「イザイに捧ぐ」のブックレットの方にお二人のサインをいただいた。
 本田早美花さんというヴァイオリニストは、独特の風合いを持っている。幼少時より海外生活が長く、とくに15年以上に及ぶパリでの音楽活動は、「音」を変えてしまうし、音楽へのスタンスも日本人のそれとは違っているように思える。とにかく、普段から聴いている「音」が日本とは違うのだろう。自然に身についている音楽が、たとえシューマンであっても、アーンであっても、サン=サーンスであっても、イザイであっても、自由で、即興性があって、絵画的な色彩感が溢れている。同時に、お天気によって左右されてしまうような自然体の部分と、実は緻密で繊細で情感豊かな感性が、背中合わせでくっついているのである。日本にはなかなか見られないタイプの演奏だと思う。この後は、ストラスブール・フィルのコンサートマスターとして新たなステップに踏み出す。かの地はパリからは遠く離れたドイツ国境の街。本田さんのヴァイオリンにまた新しい色が加わるのだろうか。今後も注目していきたい。

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【お勧めCDのご紹介】
 本文でも紹介したように、本田早美花さんのCDは2枚。「イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 作品27 全曲」は、ジャケットのイメージに近い、エキセントリックな演奏で、とても主張の強い演奏だと思います。「イザイに捧ぐ」の方はエマニュエル・クリスチャンさんのピアノとのデュオで、洒脱で色彩感豊かな演奏を聴かせてくれます。
Ysaye: Six Violin Sonatas
Polymnie
Polymnie

イザイへ (Pour Ysaye - Ropartz, Chausson, Lekeu / Samika Honda, Emmanuel Christien) [輸入盤] [日本語解説書・帯付]
ロパルツ,ショーソン,ルクー,本田早美花 (Vn),エマニュエル・クリスチャン (Pf)
SAMIKA HONDA



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4/27(水)3.11被災者のためのチャリティコンサート/村治佳織&奏一/川久保賜紀/天皇皇后両陛下もご来臨

2016年04月27日 23時00分00秒 | クラシックコンサート
認定NPO法人 難民を助ける会 3.11被災者のためのチャリティコンサート

2016年4月27日(水)18:30~ 紀尾井ホール B席 2階 BR 1列 9番 4,000円
主催:難民を助ける会(AAR Japan)
共催:社会福祉法人 さぽうと21
特別協賛:日本ロレックス株式会社
【出演】
ギター:村治佳織 ♥
ギター:村治奏一 ♠
ヴァイオリン:川久保賜紀 ♦
【曲目】
[第1部]
パガニーニ:協奏曲的ソナタ イ長調 作品61 ♦♠
西村 朗:玉響(TAMAYURA)♠
ファリャ/コハンスキ編:スペイン民謡による組曲 ♦♠
   「ムーア人の衣装」「アストゥリアス地方の歌」「ホタ」「子守歌」「カンシオン」「ポロ」
[第2部]
村治佳織:バガモヨ ~タンザニアにて~ ♥
村治佳織:雨を見つける&一輪のスノードロップ ~E.R.Grosholz:詩集『こどもの時間』より~ ♥
村治佳織:島の記憶 ~五島列島にて~ ♥
C.ドメニコーニ:コユンババ I・II・III・IV ♥
藤井眞吾:ラプソディー・ジャパン
   ~序奏・さくら・花・通りゃんせ・かごめかごめ・浜辺の歌・ずいずいずっころばし・ふるさと~ ♥♠
《アンコール》
 J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ ♥♠♦

 認定NPO法人 難民を助ける会(AAR Japan)の主催による「3.11被災者のためのチャリティコンサート」に参加。「聴く」というよりは「参加」というイメージが強かったのは、コンサート自体がチャリティ目的であることと、AAR Japanの活動報告を兼ねていたからである。コンサートの[第1部]と[第2部]の始めにAAR Japanの代表の方から、今回は特に、東日本大震災の被災地での支援活動が紹介され、積極的に関わることになった村治香織さんの被災地訪問などについても紹介された。
 私は、お馴染みの川久保賜紀さんと村治奏一さんのデュオが聴けるということで、普通のコンサートのつもりでいたのだが、普段とはやや様子が違っていた。会場に集まってきていたのは、チャリティ参加を第一としていて音楽にはあまり詳しくはない人たちと、村治香織さんのファン層の人たちが多かったようで、賜紀さんのコンサートでいつも見かける顔ぶれは私と友人のYさんくらい。また、コンサートの開催告知もチャリティの世界が優先的だったようで、私が知ったときにはチケットはほとんど残っていなかった。主催者のAAR Japanに問い合わせたところ、2階バルコニーのB席なら取れるが、指定席なのに席は選べないという。まあそれでも、ということで「参加」することにしたのであった。

 久し振り、おそらく10年ぶりくらいに紀尾井ホールの2階バルコニー席に着く。ステージの右側の真横から見下ろす位置。ギターのためのPA用マイクロフォンとスピーカーが2台設置されているのが見える。ヴァイオリンはもちろんPAなしである。距離的にはステージのすぐ近くなのだが、聞こえ方は1階の前方席とはまったく違っていた。広い空間に拡散してしまうヴァイオリンの音と、PAを通してもなお音量の小さなギターの音が、残響音と渾然一体となって遠くから聞こえてくるというイメージで、どうにも心許ない。今日のところは「参加すること」に意義があるということで割り切ることにする。帰りがけに、些少ながら寄付も。

 演奏についてはあまり多くを語れない。何しろ、音の芯がぼやけてしまっていてキレイに聞こえないのである。賜紀さんのヴァイオリンでは装飾的な速いパッセージが残響音に埋もれてしまうし、奏一さんのギターは弱音のハーモニクスなどはほとんど聞こえないレベル。パガニーニの「協奏曲的ソナタ」とファリャの「スペイン民謡による組曲」は、お二人のデュオで何度か聴いているので、演奏のイメージはしっかりとアタマにインプットされているのに、肝腎の音が聴き取れないのである。
 というわけなので、想像力で補って聴くことにすれば、賜紀さんのヴァイオリンは、相変わらずエレガントで歌心に溢れていて、繊細で流れるように滑らかな旋律の歌わせ方や、重音のバランスと深み、艶やかで潤いのある音色など、どこを見ても一級品の演奏である。演奏中のヴァイオリンは上を向いているので、2階席でも音は来るが、残響音と一緒になってしまい、音に霧がかかったようになってしまう。一方ギターは楽器が前を向いているので、2階に来るのはスピーカーを介したこもったような音。このお二人の演奏も、いつも目の前で聴いているので、余計に聞こえ方の違いが気になってしまうのだろう。
 西村 朗さんの「玉響(たまゆら)」も奏一さんの演奏で、もちろんもっと良い条件で聴いたことがある(その時も賜紀さんと共演だった)。非常に繊細なイメージの曲なので、音響の乱れは少々つらいものがあった。細やかな音色の変化やかすかなハーモニクスなどが聞こえづらく、残響が曇ると不協和音の濁りが目立ってしまうのが残念であった。
 しかも、来場者にはクラシック音楽をよく知らない人が多かったようで、パガニーニでは楽章毎に、ファリャでは1曲毎に拍手が入るような状況であった。

 香織さんのオリジナル曲は初めて聴く曲ばかりだったが、こちらは旋律と和声が明瞭なので、まだ聴き取りやすかった。[第2部]の方が少しボリュームを上げていたかもしれない。
 「バガモヨ ~タンザニアにて~」は、香織さんがタンザニアを訪れた時の印象を曲にしたもので、自然の空気感がとても清涼に描かれている。「雨を見つける」と「一輪のスノードロップ」はE.R.Grosholzの詩集『こどもの時間』の中の2編の詩にインスピレーションを得て曲にしたもの。「雨を見つける」では外で楽しげにはしゃぎ回っている子供が振り出した雨に気づいて空を見上げる、といった情景が描かれている。「一輪のスノードロップ」は静寂の中、ひらひらと雪が舞う情景が、映像のように描かれる。いずれも優しい視線で情景を見ている感じがして心が温まるようだ。「島の記憶 ~五島列島にて~」は何度も訪問している五島列島の歴史や人々の思いを描いたもの。バロック調の曲が(宗教的な)雰囲気を盛り上げている。
 続いてドメニコーニの「コユンババ」という曲。ドメニコーニはイタリアのギタリスト。この曲では調弦を変えた楽器を使用した。6本の弦の内5本の調弦を変えているのだという。低弦がかなり低い印象があったので、6弦をEからC♯まで下げていたような感じであった。4つの楽章を持つ長い曲であった。
 最後は香織さんと奏一さんギター・デュオで「ラプソディー・ジャパン」。現代的な序奏に続いて、日本の童謡や歌曲の名曲がメドレーで続く。演奏は独特の日本的な滋養感が込められていてなかなか良かったと思うが、ギターが2本になると、低弦の開放弦の音が強調されてスピーカーから出てくるような感じで、聴いていても辛いものがあった。
 アンコールは、賜紀さんも参加して3名で、バッハの「主よ、人の望の喜びよ」。最も個音域の声部を受け持つ、賜紀さんのヴァイオリンが神々しく思えるほどの清らかな音色で、心が洗われるようであった。

 最後になってしまったが、本日のチャリティコンサートには、[第2部]から天皇皇后両陛下がご臨席された。休憩時間に2階の通路に報道関係者が大勢控えていたので何事かと思ったのだが、まさか両陛下のご来場とは。会場が急に厳かな雰囲気に変わり、良い意味での緊張感に包まれることになった。
 今日4月27日には赤坂御苑で「春の園遊会」が催されたはずなので、ご公務にお忙しく健康面は大丈夫なのか心配に思うが、お元気そうな姿で私たちに手を振ってくださったのには感激である。園遊会に招待されるのは社会貢献や活躍著しい方たちなので、私たち一般庶民には縁のない世界だが、クラシック音楽の世界では、時折こうした嬉しいハプニングがあり、皇族の方々と同じ空間と時間、同じ音楽を共有できることがある。両陛下が私たちと一緒に、香織さん、奏一さん、そして賜紀さんの演奏を聴き、拍手を送られたのである。3名も名誉なことであったろうと思う。
 ところがそのような僥倖に水を差すような出来事があった。畏れ多くも(とは少々時代がかった言い方だが)天皇皇后両陛下に対して「待ってました」とか「良く来たな」などという下品なヤジを飛ばした男が私のすく近くの席にいたのである。あまりにも下卑て野蛮な行為に周囲が凍り付く。見るといかにも軽薄そうな中年男でしたり顔でヘラヘラ笑っている。クラシック音楽のコンサートには絶対にいないタイプの男で(そもそもコンサート会場でヤジなど聴いたことがない!)、芸能界の周辺にでも蠢いていそうな、程度の悪そうな輩だ。もちろんAAR Japanの関係者であるはずもないし、チャリティのために来たとも思えない。香織さんには盛んにブラボーやフォーというゴリラみたいな叫び声を送っていたから香織さんのファンなのかもしれないが、香織さんもこんなヤツにブラボーと言われても嬉しくも何ともなく迷惑なだけだろう。まったく不謹慎極まりない、言語道断のバカ者である。両陛下のお気持ちを察するに、怒りを通り越して悲しくなってしまった。断言しておくが、クラシック音楽ファンには、こんなヤツは絶対にひとりもいない。

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4/25(月)東京フィル/サントリー定期/巨匠プレトニョフ、満を持しての『ペール・ギュント』全曲演奏

2016年04月25日 23時00分00秒 | クラシックコンサート
東京フィルハーモニー交響楽団 第879回サントリー定期シリーズ

2016年4月25日(月)19:00~ サントリーホール A席 1階 1列 21番 5,355円(定期会員)
指 揮:ミハイル・プレトニョフ
ソプラノ:ベリト・ゾルセット(ソールヴェイ)
バリトン:大久保光哉(ベール・ギュント)
メゾ・ソプラノ:富岡明子(アニトラ)
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
コンサートマスター:荒井英治(ゲスト)
合 唱:新国立劇場合唱団
語り:石丸幹二
【曲目】
グリーグ:劇付随音楽『ペール・ギュント』作品23 全曲演奏(日本語字幕・語り付)

【一口コメント】
 東京フィルハーモニー交響楽団のサントリー定期シリーズを聴く。今期(2016/2017シーズン)から定期会員になった。これで東京フィルは、サントリー定期、オペラシティ定期、オーチャード定期、響きの森シリーズすべての会員になってしまった。もとより全部行けるはずもなく、また同プログラムの場合もあるので、その際は調整するつもり。シーズン開幕の今月も3つの定期シリーズが同プログラム。すなわち、特別客演指揮者のミハイル・プレトニョフさんによるグリーグの『ペール・ギュント』全曲演奏というものである。
 これは1年前、プレトニョフさんがこのポストに就いて最初の演目とする予定だったのだが、ご母堂の逝去と体調不良によりキャンセルになってしまったものを、復活実現したプログラムである。彼がどうしてもやりたかった曲なのだという。
 『ペール・ギュント』といえば、小学校の音楽の授業以来、お馴染みの曲ではあるが、全曲を通して聴くというのは、生まれて初めての体験である。「朝」「オーセの死」「アニトラの踊り」「ソールヴェイの歌」など、有名な旋律が含まれているが、本来の「劇」との関連で聴くとまた印象が異なり、より鮮明なイメージが出来上がる。
 その「劇」部分を俳優の石丸幹二さんが、朗読劇として受け持った。つまり石丸さんの語りと音楽が交互に、時には重なって、曲自体が進行していく。ただ、語りの部分がとてもストーリー展開を分かりやすくしていた分だけ、長く、ときにはやや冗長に者になってしまっていたのが惜しかった。
 演奏は、東京フィルらしく、濃厚な音色と質感の高いアンサンブルで、極めてハイクオリティ。プレトニョフさんの指揮は、やや抑制的でオーケストラを見事なバランスにコントロールし、その中で豊かに旋律を歌わせるし、ドラマティックに盛り上げる。
 3名の歌手はとても素晴らしかったと思う。ノルウェー語の歌詞と発音についてはまったく分からないが、物語の上での情感は見事に感じられた。とくにソールヴェイ役のベリト・ゾルセットさんは声が澄んでいてとても美しく、ノルウェー出身ならではの北欧的な透明感を湛えた歌唱が素敵だった。
 通常通りの19時開演で、終わったのは21時40分。ちょっと長いな、という印象もあり、語りの部分をもう少し切り詰めて音楽をつないだ方が・・・疲れずに済んだかも。
 非常に珍しい『ペール・ギュント』全曲演奏は、とても貴重な体験だったといえる。もう二度と聴けないかもしれないではないか。

 詳細は、後日改めてレビューする予定です。

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4/23(土)女神との出逢い/川久保賜紀ベートーヴェン:ソナタ全曲演奏会(3)/究極の美音と限りない集中の先に

2016年04月23日 23時30分00秒 | クラシックコンサート
土曜ソワレシリーズ/女神たちとの出逢い
川久保賜紀 ベートーヴェン: ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会〈3〉


2016年4月23日(土)17:00~ フィリアホール S席 1階 1列 10番 3,500円(シリーズセット券)
ヴァイオリン:川久保賜紀
ピアノ:江口 玲
【曲目】
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 イ長調 作品12-1
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第10番 ト長調 作品96
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第7番 イ長調 作品47「クロイツェル」
《アンコール》
 クライスラー: ベートーヴェンの主題によるロンディーノ
 クライスラー: 愛の喜び
 クライスラー: 美しきロスマリン

 横浜市青葉区にあるフィリアホールの主催による「女神たちとの出逢い」シリーズは、今期(2016年前期)も素敵な女神〈ミューズ〉たちによる公演が予定されていて、嬉しい限りである。本日の川久保賜紀さんは一昨年から続くシリーズものへの連続出演だが、6月にはソプラノの中村恵理さん、7月にはピアノの松田華音さんというフレッシュな顔ぶれが出揃い、9月には仲道郁代さんが弦楽四重奏を従えて登場するなど、魅力的なプログラムがいっぱいである。

 さて、賜紀さんと江口 玲さんのデュオによる「ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会」は、一昨年2014年4月が第1回、昨年2015年4月が第2回、そして本日第3回をもって完結となる。足かけ3年にわたるシリーズであったが、それぞれたった1回のコンサートのために、お二人が創り上げて来た音楽は極めて純度が高く、私たちを楽しませてくれた。他のリサイタルの時とはちょっと雰囲気の違う集中の高さで・・・ベートーヴェンのソナタ全曲はそれほど重い位置づけにあるということだろう・・・ヴァイオリニスト川久保賜紀の真髄を見せてくれたように思う。ベテランと呼ぶには若く、若手と呼ぶには円熟味を増している30歳代の賜紀さんならではの、今が正に演奏家として最も充実している時期に、ベートーヴェンの「ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会」を企画してくれたフィリアホールの慧眼に感謝したい。まだ、全3回の演奏会をすべて最前列センターのほぼ同位置で聴くことができたのは、友人のRさんの特別の計らいによるもので、ありがたい気持ちでいっぱいである。私もフィリアホールの会員になってはいるが、毎回希望の席が取れるわけではないからである。

 ここであらためて、「ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会」の全容をまとめておこう。

 ●第1回 2014年4月26日(土)・・・・ヴァイオリン・ソナタ第1番、第4番、第5番「春」、第3番
 ●第2回 2015年4月25日(土)・・・・ヴァイオリン・ソナタ第6番、第8番、第7番
 ●第3回 2016年4月23日(土)・・・・ヴァイオリン・ソナタ第2番、第10番、第9番「クロイツェル」(本日)

 まずはじめに今日の演奏の全体像を述べておきたい。過去の2回と比べてみてもも、今回の演奏はとくに素晴らしかったと思う。賜紀さんのヴァイオリンは始めから集中力が高く、ppからffまでが均等に、美しく艶やかな音色で統一されていた。この音色の美しさが特筆もので、潤いのある艶やかな音で、楽器が素直によく鳴っていた。ひとつひとつの音に神経が行き渡り、完成度が高いといえる。集中しているといっても固さは微塵もなく、いつも通りの「流麗」という言葉がピッタリの演奏で、流れるようなレガート、しなやかなフレージングで、旋律が歌心に溢れている。とくに今日は、弱音の精細な美しさが素晴らしく、これまでずーっと聴き続けてきた賜紀さんの演奏(何十回聴いたか数知れないくらいだが)の中でも、最高の出来だったのではないかと思う。
 同時にこのシリーズの始まった頃から江口さんが好んで使うようになった1887年製のニューヨーク・スタインウェイ、通称「ローズウッド」が、今日は特に素晴らしい音を出していた。2年前には、乾いた木を叩くような、あるいはフォルテピアノのような、古色然としたアコースティックなサウンドだったように記憶しているが、そのような特性に加えて今日は、ピアノ本来の金属的な音色が増し、「響き」が豊かで深みが増しているように感じた。使い込んでいく内に、楽器が生き返ってきたのかも。もちろん、演奏も超一級である。


 1曲目は「ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ長調 作品12-1」。作品12の3つのヴァイオリン・ソナタ(第1番~第3番)の内のひとつで1797年~1798年頃に作曲されたとされている。ボンに生まれたベートーヴェンがウィーンに移り住み5年ほど過ぎた頃の作だが、この頃にはすでに難聴がかなり悪化している。全体としては可憐な小品といったイメージだが、明るい曲想の部分には若い息吹が溢れているが、ふと見せる翳りや、第2楽章に短調を採用するなど、ベートーヴェンの苦悩の一端がすでに表れている。
 第1楽章はAllegro vivaceのソナタ形式。ピアノによる軽快な第1主題で始まりヴァイオリンは伴奏的な役割が強く、この時期のヴァイオリン・ソナタはまだ、ヴァイオリン付きのピアノ・ソナタとしての色合いが濃い。江口さんが軽やかに煌めくような音をこのヴィンテージ・ピアノから引き出し、軽快に曲を運ぶ。そこに賜紀さんのヴァイオリンも軽快にリズムを刻み、さりげない調子で絡みついていく。しかしその音が純粋であまりにも美しく、鮮やかだ。
 第2楽章はイ短調の緩徐楽章。前楽章の明るさが暗転して重い雰囲気が広がる。単純化された音楽だが、賜紀さんのヴァイオリンが繊細に旋律を扱い、悲しげだが暗くなりすぎないように艶やかに歌わせる。弱音に込められたニュアンスに、情感がたっぷりと乗せられていた。
 第3楽章はロンド。Allegro Piacevoleだが、必要以上にテンポを速めず、陽気さを抑え込む。全体的にやや抑制的な演奏に終始し、時折ふっと見せる翳りが、憂愁を感じさせる。内面的な苦悩を、表面的な陽気さで覆い隠そうとしているが、うまくいかずに憂いが滲み出てしまう。そんな印象の表現であった。
 若き日のベートーヴェンの作品であり、ハイドンの影響も残っているとされているが、今日の演奏はもっとロマン的であり、感情表現を前面に出していたように思う。

 2曲目は「ヴァイオリン・ソナタ第10番 ト長調 作品96」。ベートーヴェンは10曲のヴァイオリン・ソナタの内、第9番までを1797~1803年の間に作曲しているが、最後のヴァイオリン・ソナタである「第10番 作品96」だけはだいぶ間を開けて1812年の初演となっている。作曲年代は交響曲第7番と同じ時期にあたるので、「傑作の森」と呼ばれる充実した中期の終わりの方の作品ということになる。従って、第9番までのヴァイオリン・ソナタとは作風が異なり、ロマン主義的な自由な精神の発露が見られる。
 第1楽章はAllegro moderatoのソナタ形式。ヴァイオリンのトリルで始まる第1主題が優しく聞こえてくる。澄んだ音色は心の平安を表しているようだ。すぐに曲想が変わる経過句は八分音符で分散和音を刻むがやがて3連符の連続になり緊張感が高まる。第2主題は弾むような軽やかさで入るが、旋律は細やかなニュアンスで豊かに歌っている。穏やかで明るく、心の趣くままに春の風を感じるような演奏だ。
 第2楽章は緩徐楽章。変ホ長調に変わる。穏やかにリズムを刻むピアノの伴奏に乗るヴァイオリンは、遠くから聞こえてくるような優しい音色だ。歌謡的な美しい旋律が幻想曲のように自由に変化していく。ロマン的な自由度の高い音楽に対して、賜紀さんのヴァイオリンは控え目で決して強く何かを主張することはないが、とげとげした心をもふわりと包み込むような、女性的な優しさに満ちている。
 アタッカで演奏される第3楽章はスケルツォ。ト短調で3拍子が細かく刻まれるがあまり暗い曲想ではないし、諧謔的でもない。どこか淡々としている。トリオ部は変ホ長調になり、ヴァイオリンが羽ばたくように歌う。スケルツォを繰り返した後、ト長調に転じてコーダとなる。
 第4楽章はト長調で始まる主題と変奏。ピアノで提示される主題は可憐で初々しい曲想。ヴァイオリンも可憐に主題を繰り返す。途中、様々に変化する曲想に対して、賜紀さんのヴァイオリンはあくまでしなやかだ。中間部でテンポが遅くなる変奏では、緩やかな旋律に実に細やかなニュアンスが与えられていて、ひとつひとつの音符に歌うような解釈が加えられている。装飾的な速いパッセージにも細やかな情感が込められていて、強く主張はしないけれども、聴く者の心に自然に染み込んでくる音楽性こそ、賜紀さんの真骨頂であろう。この楽章は後半になるとこの曲全体と同じように、ト長調→変ホ長調→ト長調→ト短調→ト長調と、目まぐるしく転調を繰り返し、最後は駆け抜けるように終わる。


 後半は「ヴァイオリン・ソナタ第9番 イ長調 作品47『クロイツェル』」。言わずと知れた名曲であり、ベートーヴェンの残したヴァイオリン・ソナタの最高傑作であるばかりか、長いクラシック音楽史上においてもこの曲を凌駕するヴァイオリン・ソナタは見あたらない。ブラームスもフランクもR.シュトラウスも・・・みな素晴らしい曲だが、「クロイツェル」は曲自体が持つエネルギーというか、訴えかけてくるチカラが圧倒的に強く感じられる。ベートーヴェンの魂に直接触れるような、下手に触れると火傷をしてしまいそうな曲なのである。おそらくは演奏家にとっても同じような感慨を持たれるのではないだろうか。その辺の音大生たちばかりではなく、プロの演奏家でも、けっこう火傷してしまっている人がいる、いる。では賜紀さんはどうなのかというと・・・・。
 賜紀さんにとって3年がかりで取り組んだ「ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会」のフィナーレを飾るのは、やはり「クロイツェル」である。実際、誰が全曲演奏会を行っても、最後は「クロイツェル」にするだろうけど(過去に聴いた中でも、アリーナ・イブラギモヴァさんも最後に「クロイツェル」を演奏した)。ところが、私は賜紀さんのヴァイオリンを長年聴いてきたが、「クロイツェル」は今日が初めてなのである。賜紀さんほどのヴァイオリニストでも、リサイタルで気軽に採り上げることのできない曲なのだと思う。それだけに、満を持しての登場。ご本人もこの曲にかける意気込みは、並大抵のものではなかったのだろうと思う。実際に聴いてみたら・・・・その想いの深さに、心が締め付けられる。いつものような、優しく包み込んでくれるような、温かくエレガントな演奏であることに違いはないのだが・・・・。
 第1楽章。非常にゆっくりとしたテンポでヴァイオリンのソロの序奏が始まった。重音が極めて美しく澄んでいる。ピアノもガツンと入ってくる。思わせぶりたっぷりの序奏のみがイ長調で、ソナタ形式の主部はイ短調に変わりPrestoとなる。第1主題から快速のリズムに乗って賜紀さんのヴァイオリンが、とても悲劇的な表現なのに、流麗なタッチでエッジを柔らかくしている。第2主題は単調な旋律に歌うようなニュアンスが込められる。経過句は目まぐるしい速さで展開するが流れは自然体だ。展開部に入るとヴァイオリンにチカラが漲るようになり、推進力も加わってくる。曲自体はとても尖っていて一瞬も気が休まらないような緊張感があるが、賜紀さんのヴァイオリンはしなやかで、あくまで美しい音を保ち、迫力いっぱいであってもエレガントさを失ってはいない。
 第2楽章はAndanteの変奏曲。ピアノに続いてヴァイオリンが主題を提示する。江口さんのピアノが和音で構成されている主題をさりげなく歌わせ、賜紀さんのヴァイオリンが気持ち良さそうにそこに乗る。嫌味にならない程度に歌心に溢れた、心地よい音楽が流れていく。ヘ長調という調性は、「春」を連想させる音感がある。第3変奏はヘ短調になり、ピアノは重々しく、ヴァイオリンには憂いの表情がしっとりと流れるが、第4変奏からまたヘ長調に戻り、優しい明るさを取り戻す。ヴァイオリンの澄んだ音色が清らかなイメージを増幅させていく。
 第3楽章はタランテラ風の躍動的なリズムに支配された舞曲風だが、ソナタ形式になっている。若干の翳りを持った第1主題が弾む。ピアノとヴァイオリンが素早く入れ替わり、交互にお捕り手が移っていくような曲想は、ピアノとヴァイオリンがまったく対等に、互いを補完し合うことで成り立っている。第2主題はちょっと一休みするような感じ。賜紀さんと江口さんの掛け合いは息もぴったりで、弾むように、流れるように、ノリの良い演奏を展開していく。Prestoの速いテンポで疾走しつつも、小さなフレーズや装飾的なパッセージまでもが実に丁寧に演奏されていて、旋律が歌っているのには驚かされた。駆け抜けるようにフィニッシュに向かうスピード感も素晴らしい。
 ベートーヴェンの熱情が詰まったこの曲であっても、賜紀さんの解釈・表現は自然体で、激情をエレガンスでくるみ、尖ったところがなくなる。しかし表面を覆うエレガントな優しさの内側には、激情の炎がチラチラと見え隠れしている。そして究極ともいえる美しい音色。これほど美しい音色のヴァイオリンは滅多に聴けるものではないと思うが、それが激情的な「クロイツェル・ソナタ」でのことなのだから、ちょっと想像ができないようなイメージである。賜紀さんの満を持しての「クロイツェル」は素晴らしい集中力で、やはり最高の演奏。Braaava!!

 アンコールはクライスラーを3曲。ある意味で、全曲を終えてホッとした気持ちが表れる選曲でもあり、また肩の力が抜けた演奏でもあった。聴く方も心が安まる。「ベートーヴェンの主題によるロンディーノ」はちょっと珍しい。「クロイツェル」の緊張感がウソのような、優しくほのぼのとした演奏に、思わず頬が緩む。こういう曲を弾くときの賜紀さんは、エレガントで優しさいっぱい。
 「愛の喜び」はお馴染みだ。自由度が高く、実に楽しげ。粋で洒脱で上品なワルツをおひとつ、という感じ。若手の演奏家には出来ない、大人の女性のエレガンスである。
 「美しきロスマリン」もう何もいうことはない。先ほどまでのベートーヴェンと同じ人が演奏しているとは思えないくらいにオシャレな演奏であった。

 足かけ3年、「ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会」は素晴らしいフィナーレをもって終了した。3回の演奏会、全10曲を目の前で聴くことができたのは、本当に幸せな事だったと思う。改めて思うのは、すべての曲の完成度の高い演奏。全曲演奏だとどうしても普段演奏しない曲が加わるので、流してしまう曲があっても仕方がない。しかし、賜紀さんの演奏は、どの曲も間違いなく、細部までしっかりと解釈・表現された一級の演奏であり、またそのすべてが「川久保賜紀流」の心温まる演奏であった。
 今日の演奏会にはNHKのテレビ収録が入っていた。BSプレミアムの『クラシック倶楽部』で、放送は2016年6月29日(水)の午前5時~5時55分の予定となっている。この演奏会を聴けなかった人には是非鑑賞していただきたいものである。

 終演後は恒例のサイン会。賜紀さんが「encore!」というCDをリリースして、もう1年も経ってしまった。このCDにサインをいただいたのが前回の「ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会」だったのである。今回も、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタの楽譜に、賜紀さんと江口さんのサインをいただいた。サイン会の後は、いつものように記念写真の撮影会。気さくなお人柄故のこの和気藹々とした雰囲気もいつものことなので、ファンとしては嬉しい限りだが、先ほどまでの演奏を思い出せば、賜紀さんは間違いなく世界の超一流の演奏家。雲の上の存在のようにも思えるのだ。まさに「女神との出逢い」なのかも。



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【お勧めCDのご紹介】
 今回も川久保賜紀さんの「encore!」をご紹介します。ヴァイオリンの小品を集めたものですが、とくにアンコール・ピースばかりということでもなく、ガーシュウィン/ハイフェッツ編「3つのプレリュード」(アメリカ生まれの賜紀さんが好きそうな曲)や、バルトークの「ルーマニア民族舞曲」等は聴き応えのある曲目ですね。副題に「Virtuoso Pieces」とありますが、技巧的な面をオモテに出さないのが賜紀さんらしさ・・・・というところを感じながら聴くのも面白いと思います。
アンコール!
avex CLASSICS
avex CLASSICS


【お勧めスコアのご紹介】
 「ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ全集 第3巻」全音楽譜出版社。
2001年発行。校訂・解説: 浦川宣也、ピアノ・パート校訂: 岡本美智子。
ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第4番、第9番「クロイツェル」、第10番が収録されています。スコアとヴァイオリン譜がセットになっています。
ベートーヴェン ヴァイオリンソナタ全集 第3巻 (Violin library)
浦川 宜也,岡本 美智子
全音楽譜出版社



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4/23(土)CHANEL Pygmalion Days/田原綾子/フンメル、ウェーバー、ビーバー、ヴュータン/ヴィオラの魅力を

2016年04月23日 23時00分00秒 | クラシックコンサート
CHANEL Pygmalion Days/田原綾子

2016年4月23日(土)14:00~ CHANEL NEXUS HALL 自由席 3列左ブロック 無料招待
ヴィオラ:田原綾子
ピアノ:島田彩乃
【曲目】
フンメル:ヴィオラとピアノのための幻想曲 ト短調 作品94
ウェーバー:アンダンテとハンガリー風ロンド ハ短調 作品35
ビーバー:「ロザリオのソナタ」よりパッサカリア ト短調(ヴィオラ・ソロ)
ヴュータン:ヴィオラ・ソナタ 変ロ長調 作品36
《アンコール》
 岡野貞一/森 円花編: ふるさと(ヴィオラとピアノのための)

 ファッション・ブランドのCHANELが若い音楽家への支援と育成を主旨として毎年展開している「CHANEL Pygmalion Days」シリーズは、無料で一般に公開されている。会場は東京・銀座3丁目にあるシャネル銀座ビルディングの4階にある「CHANEL NEXUS HALL」。方形のフラットな部屋だが、稼働椅子を並べて200名程入るだろうか、天井は2階分くらいの高さがあり、ある程度の音響が確保されている。シリーズでは、毎年5名前後の若手アーティストが選任され、各自が年間に6回の1時間のリサイタルを開く。今年2016年は5名の演奏家が選ばれていて、珍しく全員が弦楽器奏者になった。例年のようにピアノや声楽はない。選ばれたのは、ヴァイオリンの城戸かれんさん、土岐祐奈さん、富井ちえりさん、チェロの上野通明さん、藤原秀章さんの5名である。今シーズンのコンサートは既に2月から始まっているが、そこに特別参加して本日1回だけのリサイタルを行うことになったのが、ヴィオラの田原綾子さんである。ヴィオラは単独の曲が少ないため、6回のシリーズを組むことは難しいということで、1回だけの参加になったようだ。
 それでも曲目を見ればわかるように、聴き慣れない曲ばかり。一般招待者向けのコンサートであるだけに来場者はクラシック音楽マニアばかりではないし、CHANELが顧客サービス目的で招待される方たちもいるので、田原さんも選曲には苦労したようである(中にはヴァイオリンとヴィオラの区別がつかないような人も招待されていたようで・・・・)。最終的に彼女が選んだ曲は上記の通りになったわけだが、どの曲も一般的には有名な曲ではないものの、分かりやすくてとても素敵な曲ばかりであった。

 田原綾子さんは2013年の「第11回 東京音楽コンクール」の弦楽部門で優勝ならびに聴衆賞を受賞した時の本選会で初めて聴いて以来、積極的に聴き続けたいアーティストのひとりとなったので、機会がある度に、できるだけ聴かせていただいているが、私にヴィオラの魅力を知らしめてくれた演奏家である。コンクールの時は桐朋学園大学音楽学部の1年生だったが、現在は4年に在学中。その間、何度も聴く機会があったが、ヴィオラという楽器の性格上、室内楽の演奏会が多く、協奏曲は2回(バルトークのヴィオラ協奏曲/シェルイ補筆版モーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲)、リサイタルも1時間のものが1回しかない。その唯一のリサイタルは、昨年2015年5月の東京文化会館・小ホールの「モーニングコンサート」であった。その時に、ヴィオラの有名な曲を演奏してしまっていたこともあったからであろう。今回の選曲も、ヴィオラは有名な曲が少ないという課題を反映しているのである。

 というわけで、今日は田原さんのヴィオラ・リサイタル。1時間の演奏会だが、ヴィオラ音楽をたっぷりと楽しませていただいた。


 1曲目はフンメルの「ヴィオラとピアノのための幻想曲 ト短調 作品94」。フンメル(1778~1837)はハンガリー(現在ではスロヴァキア)出身の作曲家・ピアニスト。モーツァルトやベートーヴェンと同時代の人で、ウィーンなどで活躍した大家であるが、現在ではフンメルの曲が演奏される機会はあまりない。作品94の幻想曲は、実際はヴィオラとオーケストラのための協奏曲風の作品である。本日はもちろんピアノ伴奏で演奏された。
 序奏に続いて、ヴィオラが歌謡的な旋律の主題を提示していく。朗々と歌うように、田原さんのヴィオラが、基本的には深みを帯びた明るい音色で豊かに鳴り出す。ヴィオラは音域が人の声域に近いとよく言われるが、歌謡的な旋律を演奏すると、ヴァイオリンでは出せない大らかさが魅力だ。途中からガラリと曲想が変わって、モーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』のドン・オッターヴィオのアリア「わたしの恋人を慰めて」の旋律が登場する。テノールの声域もヴィオラの高音域のふくよかな音色が似合っているようだ。その後も聴いたことのある旋律が引用されている。他人の作品をモロに引用してしまう辺りはこの時代ならではのことだ。歌うようなヴィオラが、時には切々と、時には軽快に弾むように歌い、早いパッセージは協奏曲風に、技巧的に刻まれる。この曲は始めの部分がフンメルのオリジナルで、後は他人のオペラからの転用ばかりだが、ヴィオラを主役にするために、その歌謡的な特徴を発揮するように作られているのである。

 2曲目は、ウェーバーの「アンダンテとハンガリー風ロンド ハ短調 作品35」。ウェーバー(1786~1826)はオペラ『魔弾の射手』が有名だが、演奏会用の作品としてはあまり有名なものはないようで、私も聴く機会は少ない。この曲も元はヴィオラとオーケストラのためのもので、ピアノ伴奏版の編曲はプリムローズであろうか。
 前半の「アンダンテ」は主題と3つの変奏からなる。主題の抒情的な美しさはいかにもドイツ・ロマン派といった風情で、詩情に溢れた歌謡的な旋律は、ヴィオラのふくよかな音色がよく似合う。田原さんのヴィオラは暖色系の音色で、聴いていて心にすーっと染み込んでくるような温かさがある。2番目の変奏で旋律が高音域に移っても、ヴァイオリンとは違う線が太くマイルドな音色が心地よかった。
 後半の「ハンガリー風ロンド」は、陽気な舞曲のようなロンド主題が軽快に弾み、ヴィオラも跳ね回るよう。楽曲自体が底抜けに明るいイメージではあるが、田原さんの明るい音色が自然と微笑みを呼ぶ。中間部に現れるハンガリーの民族風の曲想も、中低音域の豊かな鳴らせ方や弾むようなリズム感が楽しげの雰囲気を醸し出し、中高音域のレガートの効いた流れるようなフレージングも陽気だ。田原さんの演奏は、いつも楽しげなところがよい。音楽が好きで、ヴィオラが大好き、といった気持ちが演奏によく表れている。

 プログラムの後半は、まずビーバーの「『ロザリオのソナタ』よりパッサカリア ト短調」。この曲は無伴奏、ヴィオラのソロである。ビーバー(1644~1704)は少し時代が遡るバロック期の作曲家。この曲は、聖母マリアの生涯の秘跡を称えた全16曲のヴァイオリン・ソナタ集の終曲で、最後のこのパッサカリアだけが無伴奏になっている。原曲(ヴァイオリン)はト短調だが、今日はヴィオラでの演奏なので、5度低いハ短調となる。ヴァイオリンと比べるとヴィオラの方が重厚な響きになる。「ド」-「シ♭」-「ラ♭」-「ソ」という下降する4つの音を基盤に、その上に変奏曲が展開されていく。
 出だしの4小節から4つの音が豊かに響くが、最初の変奏から重音に展開してそこには高い緊張感が漂う。歌謡的とは正反対のバロック期の純音楽。対位法的な2声の構造が続き、「ド」-「シ♭」-「ラ♭」-「ソ」を通奏低音にして、その上に装飾的な変奏が技巧的に演奏されていく。心地よい緊張感の中で、単純かつ単調な低音部と高音域の華麗な変奏が鮮やかな対比で描かれていた。

 最後は、ヴュータンの「ヴィオラ・ソナタ 変ロ長調 作品36」。ヴュータン(1820~1881)はぐっと時代が下ったロマン派時代のフランス=ベルギー楽派の作曲家で、フランク(1822~1890)と同じ世代である。ヴァイオリニストでもあったので、ヴァイオリン協奏曲やヴァイオリン・ソナタなどに優れた作品を残している。ヴィオラにも通じていて、ヴィオラのために書かれた曲もいくつかあり、作品36のヴィオラ・ソナタは1863年の作。とても素敵な曲であり、もっと演奏機会があっても良いと思う。有名なフランクのヴァイオリン・ソナタが1886年の作だから、ヴュータンの影響を受けているようにも感じられる。3楽章構成で25分くらい。ヴィオラの歌謡的な性格をしっかりと捉えていて、旋律が美しく歌うようである。
 第1楽章は、序奏とコーダに同じ主題が使われていて、これがマエストーソで息の長い歌謡的な美しい旋律。感傷的でロマンティックである。田原さんのヴィオラがここぞとばかりに、優しく、柔らかく歌う。人肌の温もりのような感性が心地よく響く。中間部はアレグロになり、ソナタ形式のように複数の主題が現れ展開し再現される。それぞれの主題もまた美しい旋律だ。ふわりとした軽快なリズム感の中で、抒情性が大らかに描かれて行く。経過句には高速パッセージが登場してかなり技巧的な要素も盛り込まれている。様々な要素が入り組んで複雑化しているので曲想がどんどん変化していくが、田原さんの表現力の幅は広く、柔軟性もある。
 第2楽章は舟歌。緩徐楽章に相当する。こちらも息の長い歌謡的な主題。ヴィオラが並に揺られるようにテンポを揺らし、浮遊感を感じさせつつ、たっぷりと歌わせていた。
 第3楽章はスケルツァンド・アレグロで、洒脱で諧謔的な、それでいて美しい主題を中心に、ピアノがフランス風の色彩感を見せると、ヴィオラが丸みのある音で応じ、一方では華やかで技巧的に、縦横に走り巡る。駆け抜けるようなフィニッシュが印象的であった。

 アンコールは、岡野貞一の「ふるさと」。田原さんの学ぶ桐朋学園大学の作曲科の森 円花さんの編曲で、この日のためにヴィオラとピアノのための作品に仕上げられたもの。昨年の「モーニング・コンサート」に続いての森さんの編曲は、ヴィオラの特性をたっぷりと活かすような音域の設定と、重音やピツィカート(左手のピツィカートまで出てくる)などの技法を効果的に配置しているのと、ピアノの和声にキラキラと煌めくような透明感があって、とても素敵なのである。「モーニング・コンサート」の時は「浜辺の歌」だったので、意外な選曲だと思ったのだが、こうしてまた「ふるさと」を聴かせていただくと、日本の歌曲のもつ優しく美しい旋律を、歌謡的なヴィオラでしっとりと演奏するのは、理に適っているようにも思えるし、また実際にとても素敵である。今後は、田原さんのリサイタルでのアンコールは、森さん編曲の「日本の歌曲シリーズ」が聴けたら良いなどと勝手に思う。次は「初恋」か「からたちの花」をリクエストしたいところ。

 こうして1時間のリサイタルを聴き終えてみると、ヴィオラ音楽の魅力がいっぱい詰まっていたように思う。事前に曲目を聞いた時には、ヴィオラのリサイタルだとやはり聴いたことがないような曲ばかりなので、マニアックな内容になってしまうのかと思ったものだが、聴いたみればとても素敵な曲ばかり。何回か聴けばすっかり覚えてしまいそうである。「CHANEL Pygmalion Days」という特別な客層に向けての意味でも、とても場らしい選曲であったと思う。どの曲も(パッサカリア以外は)歌謡的な旋律が美しく、演奏は基本的に明るい音色で、女性的な柔らかさと温もりを感じる。ホールの空間があまり響かないところはちょっと辛そうだったが、中低音を豊かに鳴らし、中高音域はふくよかに響く。ヴィオラは人の声(アルト)に音域が近いということが常に意識されているようで、どの曲も旋律を意識的に大きく歌わせていた。とても素敵な演奏であった。

 終演後は、田原さんとお話しする時間が持てたのでとても楽しかった。彼女の、とにかく前向きで明るいキャラクタには元気づけられる。演奏にもよく表れていて、音楽がとても楽しいものなのだということを改めて感じさせてくれるのである。キーンと張り詰めたような緊張感の高い音楽や、攻撃的な音楽もまた感動を呼ぶものだけれども、聴いていて心地よく、心が安らぐような音楽が私は好きである。
 また森さんとも久し振りにお会いできたので、いつものように楽しく記念撮影などを楽しんだ。


左から森円花さん、田原綾子さん、島田彩乃さん(ピアノ)

 
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