本田早美花 ヴァイオリン・リサイタル
2016年4月28日(木)19:00~ 東京オペラシティ・リサイタルホール 自由席 1列中央 3,600円(会員割引)
ヴァイオリン:本田早美花
ピアノ:エマニュエル・クリスチャン
【曲目】
シューマン:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 ニ短調 作品121
アーン:ヴァイオリン・ソナタ ハ長調
サン=サーンス:ハバネラ 作品83
サン=サーンス/イザイ編:ワルツ・カプリス 作品52-6
《アンコール》
イザイ:子供の夢
久し振りにヴァイオリンの本田早美花さんのリサイタルを聴く。というのも本田さんは生まれは日本だが英国で育ち、2000年からはパリに在住し、ヨーロッパ中心に音楽活動を行っていて、国際的な評価は高い演奏家である。前回彼女の演奏を聴かせていただいたのは、2013年1月のことで、王子ホールでのリサイタルだった。その時はフランクのヴァイオリン・ソナタで素晴らしい演奏を聴かせてくれたことが印象に強く残っていて、次の機会も必ず聴くべきだと思っていた。今日はNHK交響楽団のBプロ定期があったが、そちらを飛ばしてオペラシティに駆け付けた。自由席なので早めにいったのだが、18時ちょっと前に着いたら2番目。・・・・うーん、日本での知名度はいまひとつのようである。
本田さんのもうひとつの顔は、アンサンブル・モンソロのメンバーだということ。デュオを組むピアノのエマニュエル・クリスチャンさんに加えて、ヴィオラのシルヴァン・デュランテルさん、チェロのジュリアン・ラジニアックがメンバーとなっている。CDも何枚か出している実力派ユニットで、昨年9月に来日ツアーを行っているが、聴くことが出来なかった。
本田さんはこの5月からフランスの国立ストラスブール・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターに就任する。住居もストラスブールに引っ越しするとのことだ。ひつとの転機を迎え、また新たなステップに踏み出していくのであろう。
プログラムの前半は、シューマンの「ヴァイオリン・ソナタ第2番」。第1楽章の序奏から、立ち上がりの鋭い音でグンと出してくる。ソナタ形式の提示部に入れば第1主題のエキセントリックな雰囲気を漂わせつつもロマン派らしい抒情性を見せてくる。第2主第はもっとロマンティックである。リズム感も良く、流れに乗るようなスムーズさで推進力を持って曲を進めていく。展開部は自由度が高く、クリスチャンさんのピアノとともにヒラメキを感じさせる即興的な雰囲気を創り出している。激情を内側に向けたような楽章ではあるが、本田さんの演奏にはドイツ的な内向性ではなく、どこか色彩的な鮮やかさが漂っていて、華やかである。
第2楽章はスケルツォ。本田さんのヴァイオリンはキレが良く、メリハリも明瞭なのに、ひとつひとつの動機やフレーズに細やかなニュアンスに彩られていて、多彩な表情を見せている。
第3楽章は緩徐楽章に相当するが、ピツィカートで抒情的な主題を訥々と提示する変奏曲。ピツィカートにも変化を付けて歌わせていて、弓で弾く第1変奏、重音になり深みが増す第2変奏というふうに、表現力の幅も広くとても豊かな音楽性を感じる。
第4楽章は再び激情が内側に向けられ、激しい曲想のソナタ形式。本田さんのヴァイオリンは、やや翳りを帯びた色彩が豊かに展開し、感情が迸るようなリズム感と推進力がある。強烈に押し出す力強いイメージとナイーブな感性が同居しているようなところがあり、やはり全体的には自由な感情の発露が感じられる。とても豊かな表情を持った演奏である。
後半は得意のフランス音楽。まず、アーンの「ヴァイオリン・ソナタ ハ長調」。これはかなり珍しい曲が出てきたものだ。レイナルド・アーン(Reynaldo Hahn/1874~1947)はベネズエラの首都カラカスの生まれだが、幼少期よりパリに移り住み、フランスの音楽界で活躍した作曲家・歌手・指揮者である。歌曲の「我が詩(うた)に翼ありせば/私の詩に翼があったなら」や「クロリスに」がとくに有名で、声楽家(ソプラノやメゾ・ソプラノ)のリサイタルではしばしば耳にするが、器楽曲はまったく知らなかった。さすがにパリでの音楽生活の長い本田さんである。素敵な曲を紹介してくれることになった。このヴァイオリン・ソナタは1926年の作である。
第1楽章はsans lenteur, tendrement(遅くなく、優しく)。速度指示も曖昧で感覚的なところはいかにもフランス風。器楽的な華やか旋律と歌曲的な息の長い旋律が適度に混ざっていて、とても洒落ていて美しい音楽である。本田さんのヴァイオリンも、先ほどのシューマンとはガラリと変わって、角のないマイルドなタッチで、ふわりと流れるように旋律を歌わせる。音色も透明感を増して、確かに「優しい」。第2主題は、サロン的な文化を思わせつつ若干の憂愁が漂う。展開部は第1主題を中心に展開し抒情性たっぷりの盛り上がりを見せる。再現部ではふたつの主題が回帰してくるが優しさが増して穏やかに終わる。
第2楽章はveloce(速く)で、スケルツォに相当する感じだが、間奏曲的な短さでもあり、曲想は無窮動的。副題に「12C.V. 8 cyl .5000 tours」とあり、これは作曲当時に登場した最速モデルの自動車のエンジン番号なのだとか。フランスだからシトロエンの12CVだろうか。8気筒、5000回転。演奏を聴いていると、確かにヴァイオリンもピアノも細かなリズムを刻んでいるのはクルマのエンジン音のようであり、曲想が変わるとクネクネと曲がる山間の道をクルマが走り抜けていくような快走感がある。
第3楽章はModere-Très Calmet(中間的な速さで/とても穏やかに)となり、夢見るような抒情的で美しい旋律が、穏やかに歌う。主題は息が長く、草原を吹き抜けるそよ風のような情景も目に浮かぶようである。最後に、第1楽章の第1主題が回帰してきて、穏やかに曲が終わる。このような循環主題の手法もフランク以降のフランス音楽らしい。本田さんのヴァイオリンは、実に自然体で、逆に美しい曲に身を委ねるように、自然に音楽が生まれてくるような雰囲気で、音色には繊細で優美、そしてロマンティックに曲想によく似合った淡いトーンの色彩感がある。楽器の生々しい音ではなく、音楽が楽器を歌わせている感じが、聴いていてとても心地よいのである。
続いて、サン=サーンスの「ハバネラ 作品83」。こちらは一転してリサイタル・ピースとしてお馴染みの曲。このスペイン風味の曲が、序奏の部分などは都会的に洗練された感じで、粋に感じられる演奏。主部に入ってテンポが上がれば、低弦をカリカリと刻んで、熱い情感も出てくるが、それでもどこか洒脱で、粋な雰囲気を持っている。これは最後までその感じが続いた。本田さんのヴァイオリンだけでなく、クリスチャンさんのピアノもパリの都会的なセンスが溢れている。二人とも技巧性を感じさせない洒落た演奏であった。
最後は、サン=サーンス/イザイ編の「ワルツ・カプリス 作品52-6」。こちらはイザイらしさが前面に出てくる曲でもあり、演奏でもあった。本田さんはイザイにはかなり思い入れがあるらしく、この曲ではまたまったく違った「顔」を見せていた。ワルツの洒落た雰囲気を余所に、超絶技巧を見せつけるような押し出しの強い演奏を聴かせる。立ち上がりが鋭く、エッジを効かせた鋭角的な表情を前面に押し出す。フランス風のお洒落なワルツの部分との対比が極端で、非常に鮮明な印象を残した。素晴らしい演奏だったと思う。
アンコールは、イザイの「子供の夢」。独特の浮遊感で、優しい旋律が歌っていく。大らかな節回しが、単調な曲想に豊かな彩りを加えていく。そんな印象の演奏であった。
終演後は、恒例のサイン会。本田さんのCDは、「イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 作品27 全曲」とイザイに献呈された曲を集めた「イザイに捧ぐ」の2枚と、アンサンブル・モンソロによる室内楽のものが何枚かある。2枚のCDには3年前のリサイタルの時にすでにサインをいただいてあったので、まあ、あまりサイン会に並ぶ人もいなかったから・・・・「イザイに捧ぐ」のブックレットの方にお二人のサインをいただいた。
本田早美花さんというヴァイオリニストは、独特の風合いを持っている。幼少時より海外生活が長く、とくに15年以上に及ぶパリでの音楽活動は、「音」を変えてしまうし、音楽へのスタンスも日本人のそれとは違っているように思える。とにかく、普段から聴いている「音」が日本とは違うのだろう。自然に身についている音楽が、たとえシューマンであっても、アーンであっても、サン=サーンスであっても、イザイであっても、自由で、即興性があって、絵画的な色彩感が溢れている。同時に、お天気によって左右されてしまうような自然体の部分と、実は緻密で繊細で情感豊かな感性が、背中合わせでくっついているのである。日本にはなかなか見られないタイプの演奏だと思う。この後は、ストラスブール・フィルのコンサートマスターとして新たなステップに踏み出す。かの地はパリからは遠く離れたドイツ国境の街。本田さんのヴァイオリンにまた新しい色が加わるのだろうか。今後も注目していきたい。
← 読み終わりましたら、クリックお願いします。
【お勧めCDのご紹介】
本文でも紹介したように、本田早美花さんのCDは2枚。「イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 作品27 全曲」は、ジャケットのイメージに近い、エキセントリックな演奏で、とても主張の強い演奏だと思います。「イザイに捧ぐ」の方はエマニュエル・クリスチャンさんのピアノとのデュオで、洒脱で色彩感豊かな演奏を聴かせてくれます。
★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★
当ブログの筆者がお勧めするコンサートのご案内です。
↓コチラのバナーをクリックしてください。↓
★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★
当ブログの人気ページをご紹介します。
↓コチラのバナーをクリックしてください。↓
2016年4月28日(木)19:00~ 東京オペラシティ・リサイタルホール 自由席 1列中央 3,600円(会員割引)
ヴァイオリン:本田早美花
ピアノ:エマニュエル・クリスチャン
【曲目】
シューマン:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 ニ短調 作品121
アーン:ヴァイオリン・ソナタ ハ長調
サン=サーンス:ハバネラ 作品83
サン=サーンス/イザイ編:ワルツ・カプリス 作品52-6
《アンコール》
イザイ:子供の夢
久し振りにヴァイオリンの本田早美花さんのリサイタルを聴く。というのも本田さんは生まれは日本だが英国で育ち、2000年からはパリに在住し、ヨーロッパ中心に音楽活動を行っていて、国際的な評価は高い演奏家である。前回彼女の演奏を聴かせていただいたのは、2013年1月のことで、王子ホールでのリサイタルだった。その時はフランクのヴァイオリン・ソナタで素晴らしい演奏を聴かせてくれたことが印象に強く残っていて、次の機会も必ず聴くべきだと思っていた。今日はNHK交響楽団のBプロ定期があったが、そちらを飛ばしてオペラシティに駆け付けた。自由席なので早めにいったのだが、18時ちょっと前に着いたら2番目。・・・・うーん、日本での知名度はいまひとつのようである。
本田さんのもうひとつの顔は、アンサンブル・モンソロのメンバーだということ。デュオを組むピアノのエマニュエル・クリスチャンさんに加えて、ヴィオラのシルヴァン・デュランテルさん、チェロのジュリアン・ラジニアックがメンバーとなっている。CDも何枚か出している実力派ユニットで、昨年9月に来日ツアーを行っているが、聴くことが出来なかった。
本田さんはこの5月からフランスの国立ストラスブール・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターに就任する。住居もストラスブールに引っ越しするとのことだ。ひつとの転機を迎え、また新たなステップに踏み出していくのであろう。
プログラムの前半は、シューマンの「ヴァイオリン・ソナタ第2番」。第1楽章の序奏から、立ち上がりの鋭い音でグンと出してくる。ソナタ形式の提示部に入れば第1主題のエキセントリックな雰囲気を漂わせつつもロマン派らしい抒情性を見せてくる。第2主第はもっとロマンティックである。リズム感も良く、流れに乗るようなスムーズさで推進力を持って曲を進めていく。展開部は自由度が高く、クリスチャンさんのピアノとともにヒラメキを感じさせる即興的な雰囲気を創り出している。激情を内側に向けたような楽章ではあるが、本田さんの演奏にはドイツ的な内向性ではなく、どこか色彩的な鮮やかさが漂っていて、華やかである。
第2楽章はスケルツォ。本田さんのヴァイオリンはキレが良く、メリハリも明瞭なのに、ひとつひとつの動機やフレーズに細やかなニュアンスに彩られていて、多彩な表情を見せている。
第3楽章は緩徐楽章に相当するが、ピツィカートで抒情的な主題を訥々と提示する変奏曲。ピツィカートにも変化を付けて歌わせていて、弓で弾く第1変奏、重音になり深みが増す第2変奏というふうに、表現力の幅も広くとても豊かな音楽性を感じる。
第4楽章は再び激情が内側に向けられ、激しい曲想のソナタ形式。本田さんのヴァイオリンは、やや翳りを帯びた色彩が豊かに展開し、感情が迸るようなリズム感と推進力がある。強烈に押し出す力強いイメージとナイーブな感性が同居しているようなところがあり、やはり全体的には自由な感情の発露が感じられる。とても豊かな表情を持った演奏である。
後半は得意のフランス音楽。まず、アーンの「ヴァイオリン・ソナタ ハ長調」。これはかなり珍しい曲が出てきたものだ。レイナルド・アーン(Reynaldo Hahn/1874~1947)はベネズエラの首都カラカスの生まれだが、幼少期よりパリに移り住み、フランスの音楽界で活躍した作曲家・歌手・指揮者である。歌曲の「我が詩(うた)に翼ありせば/私の詩に翼があったなら」や「クロリスに」がとくに有名で、声楽家(ソプラノやメゾ・ソプラノ)のリサイタルではしばしば耳にするが、器楽曲はまったく知らなかった。さすがにパリでの音楽生活の長い本田さんである。素敵な曲を紹介してくれることになった。このヴァイオリン・ソナタは1926年の作である。
第1楽章はsans lenteur, tendrement(遅くなく、優しく)。速度指示も曖昧で感覚的なところはいかにもフランス風。器楽的な華やか旋律と歌曲的な息の長い旋律が適度に混ざっていて、とても洒落ていて美しい音楽である。本田さんのヴァイオリンも、先ほどのシューマンとはガラリと変わって、角のないマイルドなタッチで、ふわりと流れるように旋律を歌わせる。音色も透明感を増して、確かに「優しい」。第2主題は、サロン的な文化を思わせつつ若干の憂愁が漂う。展開部は第1主題を中心に展開し抒情性たっぷりの盛り上がりを見せる。再現部ではふたつの主題が回帰してくるが優しさが増して穏やかに終わる。
第2楽章はveloce(速く)で、スケルツォに相当する感じだが、間奏曲的な短さでもあり、曲想は無窮動的。副題に「12C.V. 8 cyl .5000 tours」とあり、これは作曲当時に登場した最速モデルの自動車のエンジン番号なのだとか。フランスだからシトロエンの12CVだろうか。8気筒、5000回転。演奏を聴いていると、確かにヴァイオリンもピアノも細かなリズムを刻んでいるのはクルマのエンジン音のようであり、曲想が変わるとクネクネと曲がる山間の道をクルマが走り抜けていくような快走感がある。
第3楽章はModere-Très Calmet(中間的な速さで/とても穏やかに)となり、夢見るような抒情的で美しい旋律が、穏やかに歌う。主題は息が長く、草原を吹き抜けるそよ風のような情景も目に浮かぶようである。最後に、第1楽章の第1主題が回帰してきて、穏やかに曲が終わる。このような循環主題の手法もフランク以降のフランス音楽らしい。本田さんのヴァイオリンは、実に自然体で、逆に美しい曲に身を委ねるように、自然に音楽が生まれてくるような雰囲気で、音色には繊細で優美、そしてロマンティックに曲想によく似合った淡いトーンの色彩感がある。楽器の生々しい音ではなく、音楽が楽器を歌わせている感じが、聴いていてとても心地よいのである。
続いて、サン=サーンスの「ハバネラ 作品83」。こちらは一転してリサイタル・ピースとしてお馴染みの曲。このスペイン風味の曲が、序奏の部分などは都会的に洗練された感じで、粋に感じられる演奏。主部に入ってテンポが上がれば、低弦をカリカリと刻んで、熱い情感も出てくるが、それでもどこか洒脱で、粋な雰囲気を持っている。これは最後までその感じが続いた。本田さんのヴァイオリンだけでなく、クリスチャンさんのピアノもパリの都会的なセンスが溢れている。二人とも技巧性を感じさせない洒落た演奏であった。
最後は、サン=サーンス/イザイ編の「ワルツ・カプリス 作品52-6」。こちらはイザイらしさが前面に出てくる曲でもあり、演奏でもあった。本田さんはイザイにはかなり思い入れがあるらしく、この曲ではまたまったく違った「顔」を見せていた。ワルツの洒落た雰囲気を余所に、超絶技巧を見せつけるような押し出しの強い演奏を聴かせる。立ち上がりが鋭く、エッジを効かせた鋭角的な表情を前面に押し出す。フランス風のお洒落なワルツの部分との対比が極端で、非常に鮮明な印象を残した。素晴らしい演奏だったと思う。
アンコールは、イザイの「子供の夢」。独特の浮遊感で、優しい旋律が歌っていく。大らかな節回しが、単調な曲想に豊かな彩りを加えていく。そんな印象の演奏であった。
終演後は、恒例のサイン会。本田さんのCDは、「イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 作品27 全曲」とイザイに献呈された曲を集めた「イザイに捧ぐ」の2枚と、アンサンブル・モンソロによる室内楽のものが何枚かある。2枚のCDには3年前のリサイタルの時にすでにサインをいただいてあったので、まあ、あまりサイン会に並ぶ人もいなかったから・・・・「イザイに捧ぐ」のブックレットの方にお二人のサインをいただいた。
本田早美花さんというヴァイオリニストは、独特の風合いを持っている。幼少時より海外生活が長く、とくに15年以上に及ぶパリでの音楽活動は、「音」を変えてしまうし、音楽へのスタンスも日本人のそれとは違っているように思える。とにかく、普段から聴いている「音」が日本とは違うのだろう。自然に身についている音楽が、たとえシューマンであっても、アーンであっても、サン=サーンスであっても、イザイであっても、自由で、即興性があって、絵画的な色彩感が溢れている。同時に、お天気によって左右されてしまうような自然体の部分と、実は緻密で繊細で情感豊かな感性が、背中合わせでくっついているのである。日本にはなかなか見られないタイプの演奏だと思う。この後は、ストラスブール・フィルのコンサートマスターとして新たなステップに踏み出す。かの地はパリからは遠く離れたドイツ国境の街。本田さんのヴァイオリンにまた新しい色が加わるのだろうか。今後も注目していきたい。
← 読み終わりましたら、クリックお願いします。
【お勧めCDのご紹介】
本文でも紹介したように、本田早美花さんのCDは2枚。「イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 作品27 全曲」は、ジャケットのイメージに近い、エキセントリックな演奏で、とても主張の強い演奏だと思います。「イザイに捧ぐ」の方はエマニュエル・クリスチャンさんのピアノとのデュオで、洒脱で色彩感豊かな演奏を聴かせてくれます。
Ysaye: Six Violin Sonatas | |
Polymnie | |
Polymnie |
イザイへ (Pour Ysaye - Ropartz, Chausson, Lekeu / Samika Honda, Emmanuel Christien) [輸入盤] [日本語解説書・帯付] | |
ロパルツ,ショーソン,ルクー,本田早美花 (Vn),エマニュエル・クリスチャン (Pf) | |
SAMIKA HONDA |
★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★
当ブログの筆者がお勧めするコンサートのご案内です。
↓コチラのバナーをクリックしてください。↓
★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★
当ブログの人気ページをご紹介します。
↓コチラのバナーをクリックしてください。↓