読書日記☆こんな本読んでます

2004年1月からの記録です。
この頃積ん読が多くっていけません....

シェイクスピア『ハムレット』 2014年12月

2015-02-28 | その他
シェイクスピア『ハムレット』 2014年12月 (100分 de 名著)
クリエーター情報なし
NHK出版
『ロマン主義以来、ハムレットは意志の弱い優柔不断な青年とされてきた。彼はなぜ復讐を先延ばしにするのか。そこに「理性」と「感情」に引き裂かれる近代人の姿が、そして神ならぬ人間が正義の実現を目指す過程が描かれているという。シェイクスピアの人間観と、新たなるハムレット像を探る。 』



観劇して、意味がよくわからなかったので本書。
河合さんの訳で上演しているはずだが、昨年放送され出版された上での今回の上演だったのに、演出がこの解釈に沿ってはいないことを確認。

本書、『ハムレット』上演時の時代背景とくに宗教的背景についての解釈が頷けた。

この400年以上前に出版された『ハムレット』に未だに侃々諤々様々な解釈がなされ続け、上演され続けているところがシェークスピアのシェークスピアたり得ているところかもしれない。
こんなファーイーストの国までも。



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2015年2月の読書記録

2015-02-28 | その他
2015年2月の読書メーター読んだ本の数:38冊読んだページ数:12442ページ
三毛猫ホームズの遠眼鏡 (岩波現代文庫)三毛猫ホームズの遠眼鏡 (岩波現代文庫)感想寡聞にして岩波書店の『図書』という雑誌を知らず、このエッセイが連載されていることも知らなかったのだが、まとめて読むことができてよかった。「あれほどの大震災も、継続中の原発事故も忘れ、被災地への回帰を怠るこの状況をつくってきたのは、想像力の欠如という傲慢な現代の病理である。」ごくあたりまえの考えがどうして多数派になれないのだろう。フクシマがアンダーコントロールだと言いきったオリンピック招致・・・。1月16日に出版された本書を読んだ人数がこちらでたったの7人。一人でも多くの若い人に読んでほしい。読了日:2月27日 著者:赤川次郎
忍者物語忍者物語感想荒唐無稽な忍者の物語ではなく地に足がついたというか・・・。歴史の大舞台ではなく、地味な傍証の数々が面白かった。名が残った忍者はすなわち落第忍者であったということという言には膝を打った。読了日:2月26日 著者:東郷隆
シェイクスピア全集 (1) ハムレット (ちくま文庫)シェイクスピア全集 (1) ハムレット (ちくま文庫)感想観劇の予習に。読了日:2月23日 著者:W.シェイクスピア
赤ん坊は川を流れる (創元推理文庫)赤ん坊は川を流れる (創元推理文庫)感想ライトミステリとあるが、北欧だもの、そう能天気に明るいわけでもなく・・・。シリーズ化される。読了日:2月23日 著者:エルスベツ・イーホルム
遣唐使 阿倍仲麻呂の夢 (角川選書)遣唐使 阿倍仲麻呂の夢 (角川選書)感想専門家が書いた割には読みやすく、よく知られている阿倍仲麻呂の生涯の重み、なぜ阿倍仲麻呂がよく知られているのか、わかりやすかった。ただ、読点が多すぎで思考が途切れて読みづらい。読了日:2月23日 著者:上野誠
覇道の槍覇道の槍感想戦国前期は(ややこしそうで)ほとんど知らない。三好氏も長慶はかろうじて知っているがその父元長は聞いたこともなかった。そんな時代を描いて、支離滅裂に陥らせることなく一定の感動を呼び起こす技量はすごいとしか言いようがない。終盤松永久秀の登場に驚く。次は新解釈の松永久秀を描いてくれるものと思う。楽しみ。読了日:2月20日 著者:天野純希
皇帝ネロの密使 下 (竹書房文庫)皇帝ネロの密使 下 (竹書房文庫)感想ダヴィンチコード以降、この手のは次々出るなぁと思いながら次々に読んでいる。これはサスペンスの作りようが安直だけれど、イエスについてここまで懐疑的なのかと思うほどだった。エンターテインメントとしては及第点かな。読了日:2月20日 著者:ジェームズ・ベッカー
皇帝ネロの密使 上 (竹書房文庫)皇帝ネロの密使 上 (竹書房文庫)感想竹書房はこの手好きだなぁ。読了日:2月20日 著者:ジェームズ・ベッカー
白頭の人白頭の人感想大谷刑部吉継についてほとんど何も知らなかったことに気づかされた。小説としては淡々とその生涯を概観したといわざるを得ず、もう少し強弱をつけられなかったかと思う。読了日:2月19日 著者:富樫倫太郎
ウッドストック行最終バス (ハヤカワ・ミステリ文庫)ウッドストック行最終バス (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想私にはムリ。読了日:2月18日 著者:コリンデクスター
のっぺらぼう とげ抜き万吉捕物控のっぺらぼう とげ抜き万吉捕物控感想世話物の芝居を見ているようなセリフ回し・・・。慣れるまでは鼻につく。(ドールズの)目吉さんと久しぶりに会った(笑) 幕末~明治初期の世相は興味深い。読了日:2月17日 著者:東郷隆
ぼくは建築家ヤング・フランクぼくは建築家ヤング・フランク感想子ども向けとは知りながら、MoMA発の本ということでもう少し内容があるかと期待したのだが、小さい子向けの絵本でした。私的にはちょっと残念。読了日:2月16日 著者:フランク・ビバ
浮かれ坊主法界浮かれ坊主法界感想要するに法界坊。勘三郎さんで読む。8編は多いなぁ。もうちょっと長い方がいいと思うが。読了日:2月14日 著者:東郷隆
災厄の町〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)災厄の町〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想越前訳でクイーンを読み直す(個人的)シリーズ12作目。ライツヴィルものは好きではないという印象のみが残っていたが、年を重ねて読めるようになったのかと期待してはみたものの・・・。クイーンがMysteryではなくNovelを書きたかったのは理解するけれど、クイーンである以上手がかりはフェアでなければならず、結局は共倒れになってしまったなぁと思う。犯人はすぐにわかるし、ノーラやジムにリアリティーは感じられない。読了日:2月14日 著者:エラリイ・クイーン
旅のお供に殺人を (創元推理文庫)旅のお供に殺人を (創元推理文庫)感想今回はメキシコにバスツアーで、メキシコの近さやエキゾチックな様子等楽しめる。なかなか<海の上のカムデン>の中で殺人事件を作るのは難しかったようで、シリーズ8作目の本書で(たぶん)終了。残念。年を取って再読すればもっと笑えるのかも(自虐的に(笑))読了日:2月14日 著者:コリン・ホルト・ソーヤー
天を衝く(3) (講談社文庫)天を衝く(3) (講談社文庫)感想【再読】読了日:2月13日 著者:高橋克彦
天を衝く(2) (講談社文庫)天を衝く(2) (講談社文庫)感想【再読】読了日:2月13日 著者:高橋克彦
天を衝く(1) (講談社文庫)天を衝く(1) (講談社文庫)感想『冬を待つ城 』を読んで、読み返したくなって。やはりわかりやすい。 読了日:2月12日 著者:高橋克彦
ポアロのクリスマス (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)ポアロのクリスマス (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)感想初読。クリスマスにはクリスティーを!にふさわしいストーリー。でもジョージとマグダリーンはその後どうなったでしょうね。私はヘイスティングズが嫌いだなぁって改めて思った(本書には登場しない)読了日:2月12日 著者:アガサ・クリスティー
名探偵クマグスの冒険名探偵クマグスの冒険感想このところ気に入っている東郷さん。こういう軽めの明治時代のものはどうだろうと思って読んでみたが面白かった。熊楠の生涯を基に想像力&創造力を駆使して、見事に当時のロンドンを彷彿させている。続編、書けますよね? それにしても熊楠さん、今の目で見てイケメンだし、すごい人ですよねぇ。   (蛇足)マンドレイクってハリーポッターでの創造だと思っていたのだが、実存だということにビックリ。読了日:2月12日 著者:東郷隆
スタイルズ荘の怪事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)スタイルズ荘の怪事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)感想ポワロとクリスティの原点。昔読んだが全く覚えていなかった。読了日:2月11日 著者:アガサクリスティー
家―四季のインテリアを楽しむ家―四季のインテリアを楽しむ感想某所(ブログ)で見たので。私にはちょっと合わないなぁ。例示も少なすぎる。2002年刊。絶版。危うくマーケットプレイスで古書価のを買いそうになって、念のため図書館のを先に見てよかった。読了日:2月11日 著者:甘露寺芳子,DanielVolonakis
洛中の露―金森宗和覚え書洛中の露―金森宗和覚え書感想『本朝甲冑奇談』が面白かったので。本書は茶道具をキーワードに、主人公は金森宗和という人。東郷さんは歴史小説のメインを張っている人ではなく、ひとつ離れた位置にいる人のメインの出来事の余話的な物語が上手く、面白い。もちろん読者はメインの話や登場人物を知っていることが前提となるわけで、何をもってメインと言うかは、ま、言ってしまえば主観だが。読了日:2月11日 著者:東郷隆
冬を待つ城冬を待つ城感想「天を衝く」の九戸政実とはちょっと趣が違うけれど、奥州仕置の背景等新しい見かたで興味深かった。網野史観にたっている。読了日:2月10日 著者:安部龍太郎
北条早雲 - 悪人覚醒篇北条早雲 - 悪人覚醒篇感想軍配者の富樫倫太郎が早雲の一生を描く第2部。面白くないはずがない。読了日:2月9日 著者:富樫倫太郎
願かけ 新・酔いどれ小籐次(二) (文春文庫)願かけ 新・酔いどれ小籐次(二) (文春文庫)感想東海道を駆け回った小籐次はよかったが、この設定で話を作り続けるのは難しいのかもしれないなぁ。敵があまりに小物で少々がっかり。読了日:2月9日 著者:佐伯泰英
杉の柩 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)杉の柩 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)感想たぶん初読。イギリスの中産階級が確かに存在した時代を懐かしんだ。犯人をポワロがポケットから出す類ではあるけれど。読了日:2月9日 著者:アガサ・クリスティー
ゼロ時間へ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)ゼロ時間へ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)感想昔読んだがなんの印象も残していないのに、けっこう覚えていて自分で驚いた。乱歩評に乗っかるのもなんだが 「気のきいたメロドラマとトリックの驚異の組み合わせであるが、それが極めて巧みに行われている」 読了日:2月9日 著者:アガサ・クリスティー
パーカー・パイン登場 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)パーカー・パイン登場 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)感想初めて読んだということはないはずなのだが・・・。座ったままでクロードやマドレーヌを使って解決するというのは面白かったのだが、続けるのは難しかったのかしら。トラベル・ミステリになると、ポワロと区別がつかなくなり、消えざるを得なかった・・・。読了日:2月8日 著者:アガサクリスティー
信玄の首信玄の首感想時代というより伝奇。筆力は感じるが。  このカバー絵はなんとかならなかったのか。読了日:2月8日 著者:矢野隆
クマにあったらどうするか: アイヌ民族最後の狩人 姉崎等 (ちくま文庫)クマにあったらどうするか: アイヌ民族最後の狩人 姉崎等 (ちくま文庫)感想「アイヌはもういない」と発言したのは札幌市議だったが、立派なアイヌの狩人のクマについての考察の数々はたいへん興味深く、その知恵をちゃんと北大の研究者たちが引き継いでくれていることを心から願う。その姉崎さんもアイヌとしてはハーフ、アイヌの社会では差別を受ける立場らしい。様々な視点で興味深かった。読了日:2月7日 著者:姉崎等,片山龍峯
アート鑑賞、超入門!  7つの視点 (集英社新書)アート鑑賞、超入門! 7つの視点 (集英社新書)感想「アート」と「アートを見る」ことは違うという立場で書かれた「アート鑑賞、超入門!」。 私のアートの見方は(本能的に)ほぼここに書かれている鑑賞法なので、目からウロコの新・鑑賞論って書かれてもなぁって感じだが、ま、本書でお墨付きを得たわけなので堂々と表明しよう(笑)私がいいアートを見つけた時は、「買おう」といわずに「ほしい」というけれどね(美術館にあるものが買えないことは自明じゃない?) 光琳の《紅白梅図屏風》に金箔・銀箔が使われているかどうかで紆余曲折があったことは知らなかったので面白かった。 読了日:2月4日 著者:藤田令伊
ビッグ4 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)ビッグ4 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)感想初読。夢オチにでもなるかと思ったのだけど、まさかの冒険活劇(笑) クリスティーも路線に迷ったことがあるらしい。読まなくてよかったなぁ。読了日:2月3日 著者:アガサ・クリスティー
本朝甲冑奇談 (文春文庫)本朝甲冑奇談 (文春文庫)感想織豊から幕末までの甲冑をキーワードにした6編。作る側からの視点、ヨーロッパの甲冑についての考察等もあり、全く関心を持ったことがなかったので面白かった。我が家に五月人形の甲冑ひとそろいがあるが、あれは誰の写しなのだろう・・・妙なことが気になった。読了日:2月2日 著者:東郷隆
言霊たちの夜言霊たちの夜感想図書館で通りすがりに見て中を確かめもせずに借りてきたのだけど・・・まさしく衝撃でした。笑えなかった。よくがんばったなぁとは思うけれど。これって言霊でしょうか??? ここを見てたくさんの方が読んだ本に登録されているのにビックリ!読了日:2月2日 著者:深水黎一郎
利休の茶杓 とびきり屋見立て帖利休の茶杓 とびきり屋見立て帖感想シリーズ4作目。京都の幕末の歴史、茶道具のこと、お道具屋のこと・・・ほんとうにいい話でした。憎まれ役たちも今回はそんなに毒が強くなく・・・。続きが読めないのは非常に非常に残念。読了日:2月1日 著者:山本兼一
チェーザレ 破壊の創造者(11) (KCデラックス モーニング)チェーザレ 破壊の創造者(11) (KCデラックス モーニング)感想大河、やっと緒ですね。町や建物等の時代考証もしっかりしていると知っているので安心して読むことができます。読了日:2月1日 著者:惣領冬実
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井上章一 現代の建築家

2015-02-15 | 建築
本書は残念ながら読んだ本ではない。
↓の書評を読んで読みたくなった本。
ただし、¥5538  う~ん・・・
特記しておこう。

井上章一 現代の建築家
クリエーター情報なし
ADAエディタトーキョー
『日本の現代建築を、ふりかえる。
今、建築家たちはどこにむかおうとしているのかを、考える。
そんな文章を、古い建築にもこだわりつつ、
これから書きついでいくつもりである。(「ささやかな前口上」より)

私たちには、モダニズムの前後、第二次世界大戦の前後で断絶しがちだった、建築の見方があります。
そんな中、長野宇平治、伊東忠太からはじまり、坂倉準三、丹下健三、菊竹清訓は勿論、磯崎新、安藤忠雄に至る、
明治から新しい国家をつくりあげてきたキラ星のような建築家たちを一緒くたにし、ひとつながりの視点でつづられた
井上流のものがたりは、これまでの建築界内の通説や、一般化したイメージを覆す、かつてない目からウロコの建築家論になりました。
明治に生まれ、モダニズムの波を越えて、現代に至る日本の建築家たち。
日本の自我は、どのように建築や都市にあらわされてきたか。
建築家のあゆみを、社会のありようから考える、画期的な日本近代化論としても読める一冊です。


ささやかな前口上

長野宇平治
「建築の解体」にさきがけて
世界のなかでとらえれば/あふれるロマンを、ふうじこめ/形式とのたわむれ
立方体へいたるまで/古典形式がくずれる時

伊東忠太
ロマンティックにアラベスク
バシリカやラテン十字をとりいれて/なにより、アジアを見てみたい/ブルーノ・タウト
ジョサイア・コンドル/東と西の物語/WTCにもイスラムは

吉田鉄郎
保存をめぐる政治学
郵政民営化のなかで/モダニズム建築の旗手/タイルとサッシュ
国会議員の先生がた/吉田鉄郎って、だれですか

渡辺仁
様式の黄昏をのりこえて
「日本趣味」の建築家/大正デモクラシーのなかで/ポトマック河畔の記念堂
国家になびくモダニズム/近代日本の国家意志/北品川のバウハウス

松室重光
コロニアリズムと建築家
かがやくホテル/王宮と総督府/建築自慢
海のむこうの祇園祭/ロシア正教でつなぐ糸

妻木頼黄
オリエンタリストたちの夢の跡
日本橋の下、江戸はながれるか/「和三洋七の奇図」に書きかえて/オリエントとたわむれる建築家
夢ふたたび/あふれるジャポニカ

武田五一
軽く、うすく、たおやかに
茶室語りの世紀末/数寄屋と書院/様式建築に期待されるもの/もうひとつの数寄屋に目をむけて

堀口捨己
メディアの可能性ともむきあって
和辻先生の桂離宮/墓と家/想いは、作品集にたくされて
日本美と脱亜論/出版にかけた建築家/きらめく截金を、どう読むか

前川國男
コルビュジエかラスキンか
戦後の読みかえ/ムンダネウムの日本版/屋根のかたむきをいやがって
建築部材生産の工業化/クラシックやゴシックには、かなわない/ブリュージュに魅せられて

坂倉準三
モダンデザインに日本をにじませて
万国博の日本館/モダンデザインの、その次は/グリル格子とナマコ壁
六角形のテーブルで/ムンダネウムと輝く都市/メディアのなかでは、かがやいて

丹下健三
ローマへ道はつうじるか
国賊的な建築家/戦時と戦後の五重塔/桂離宮か、テラーニか
ミケランジェロへの想い/都市をめざして/空間はけだかく、おごそかに

谷口吉郎
ファシズムかナチズムか
一揆への途/「野蛮ギャルド」へいたるまで/ヒトラーへのプレリュード
ティブルティーナをふりかえり/明治建築への想い

白井晟一
民衆的な、あまりに民衆的な
うまい人、へたな人/精一杯のソシャリズム/王侯や貴族の建築家
佐世保のコミュニティバンク/世界史への伝統拡大とは/天国への階段も

村野藤吾
戦時をくぐり、マルクスを読みぬく
ナチスの建築を意識して/コルビュジエの作品集を、横におき/ベルリンから橿原へ
丹下が、大阪歌舞伎座の前にたつ/一パーセントにかけた建築家

吉田五十八
数寄屋は明るく、艶やかに
数寄屋の自由と、大壁と/関西文化は東漸する/モダンエイジの道楽息子
「吉田流私見」/花柳界の新時代

菊竹清訓
スカイハウスは、こう読める
「狂気を生きのびる道」/かがやく「抜け殻」/ムーブネットにたくしたもの
コア・システムにあらがって/男と女/コールハースへの告白から

黒川紀章
言葉か、建築か
アーキテクチュアへの前史/カプセルと、住まい手の主体性/テクノ表現主義からはしりぞいて
スター・アーキテクト/桂離宮の澱着席

篠原一男
日本の「虚空」に魅せられて
「先生のいいなりになる」施主たち/「虚空」にこだわる建築家/幅木と散り
「批評家を兼ねる」建築家/写真の効用/もういちど、白の家

磯崎新
ユーモアにこそ賭ける
民主主義にことよせて/国家が姿をけしていく/「なまぐさい仕事」
大衆社会の建築観/思わず笑った、その途へ

安藤忠雄
大阪から世界へはばたいて
建築家の学歴を考える/お好み焼きに文房具/コンクリートの肌ざわり
「のらりくらり」の、その極意/空間は、あくまで荘厳に/具体につうじる赤い糸

あとがき
日本の自我を考える/社会科学への橋わたし/連載をふりかえる 』





 評・隈研吾(建築家・東京大学教授)@朝日新聞

◇従来の建築史覆す、勇気ある論

 「現代の建築家」が、1867年生まれの長野宇平治、伊東忠太から始まるのに驚いた。現代建築家は、第2次大戦後という通常の建築史の書き方を井上はなぜ逸脱したのか。

 建築デザインにおいても戦前と戦後とがつながっていることを示したかったのである。戦前を全否定して、戦後は断絶した反転、というのが現代史の大前提であった。しかし、40年体制論をはじめとする「断絶史観」を覆(くつがえ)す論が建築史にもあらわれた。

 従来の建築史は、戦前の悪(あ)しき民族主義が、コンクリートに瓦屋根をのせた和風建築を生み、戦後の民主主義が、コルビュジエ派のモダニズム建築を生んだと説いた。

 井上は正しいはずのモダニズムのリーダーたちの戦前を分析し、彼らこそが国粋主義によっていて、その国家総動員的発想が、戦時下におけるスピードとコストを重視したシンプルなモダニズム建築に直結したと看破する。

 明治以来、日本のエリートは一貫して西洋崇拝であり、それが明治にはギリシャ・ローマ風を生み、西洋の主流が、モダニズムへ転換するのと平行し、日本でもモダニズム建築が主流になったと井上は説く。合理主義と国家総動員の遭遇が転換のバネになったというわけである。西洋崇拝の伝統は、1980年代の磯崎新のつくばセンタービルの、ギリシャ・ローマ風のポストモダニズム表現にしっかりと受け継がれたという指摘は、目からウロコだった。

 戦後建築家は、難解な言説を駆使して、「反権力、反国家の自分」を演出し、建築界はその洗脳下にあった。井上は、その構図自身をくつがえし、日本の建築家は、西洋に追いつけという明治以来の大いなる国家意志を、何者にも強制されることなく、自発的に体現していった「いい子」だったと総括する。日本の現代建築史を覆す勇気ある論である。


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アート鑑賞、超入門! 7つの視点

2015-02-04 | その他
アート鑑賞、超入門! 7つの視点 (集英社新書)
クリエーター情報なし
集英社
『日本は世界でも有数の美術館への入場者数を誇る国だが、訪れた人々の「鑑賞」実態は、無意識のうちに世評に導かれていて、自分自身の目でアートに向き合っているとは言いがたいのではないだろうか。本書は、アートを「見る」ことに焦点を当て、7つのポイントから芸術作品へのアプローチを説き明かす。モネ、ミレー、ベラスケス、歌川国芳といった歴史上の画家から、スゥ・ドーホ、アントニー・ゴームリーといった現代作家の作品までを幅広く取り上げながら、実践的なアート鑑賞術を提示する。 』


「アート」と「アートを見る」ことは違うという立場で書かれた「アート鑑賞、超入門!」。 

私のアートの見方は(本能的に)ほぼここに書かれている鑑賞法なので、目からウロコの新・鑑賞論って書かれてもなぁって感じだが、ま、本書でお墨付きを得たわけなので堂々と表明しよう(笑)

私がいいアートを見つけた時は、「買おう」といわずに「ほしい」というけれどね(美術館にあるものが買えないことは自明じゃない?) 

光琳の《紅白梅図屏風》に金箔・銀箔が使われているかどうかで紆余曲折があったことは知らなかったので面白かった。


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