「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

片見月の十三夜

2008年10月12日 | みやびの世界


 仲秋の明月は台風13号の接近で雨月となってしまい、待つ宵も十六夜も、雲に向っって月のありかを探っていました。
 昨晩の十三夜は、いかにも秋の月らしい明るく冴えた十三夜の月が澄んだ空高く天心に冴え、「貧しき町」を照らしていました。
 後の月のみの片見月となりましたが、栗ご飯と、庭の瓶一杯に投げ入れた薄がかろうじての風流です。
 折りしも出光美術館では「仙名品選」(門司)を開催中です。また指月布袋の飄逸に会いに行って、この世の憂さをひととき忘れるとしましょう。


金銀泥下絵和歌色紙 月図 光悦筆・宗達下絵 五島美術館蔵

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4 コメント

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Unknown (metabo)
2008-10-12 22:42:39
昨夜は寒いくらいで、月も冴え冴えとしていましたね。秋は凡人も物思う人にしてくれます。
出光美術館、小さいけれどいつも良い展示をしていますよね。素朴で飄々としている所は熊谷守一と通じる物をかんじます。
夢の世界 (boa !)
2008-10-13 06:00:18
metaboさん 県展での佳作受賞おめでとうございます。熱心な研鑽の賜物ですね。陶芸の出品の多い山口県のことです。入選だけでも大変なことなのに、心よりお祝い申し上げます。

メダリストの北島選手が夢と目標は違うといっていましたが、到底、到達できない世界が夢の世界なのだそうで、目標は精進すれば到達できる世界だとか。所詮、守一や、まして仙の世界は、遠く憧れて望み見る夢の世界です。

metaboさんもこの季節は各展覧会でご多忙でしょう。よいお仕事への土壌を豊かになさって、さらに上を「目標」にご精進くださいませ。楽しみにしています。
樋口一葉 (香hill)
2008-10-14 07:40:24
十五夜と十三夜のお月様を眺めてワンセットなんですか?

そう言えば、15+13=28。この28は完全数とか、”博士の愛した数式”で評判になりましたが。

28と29は、2x8=16歳・・2x9=18歳。女性にとって一番の”旬”って昔の人は上手い事言いますね。
そう、化粧とエステで美しく・若く見せる偽装工作が全く不要のお年頃でしょう。

主題から脱線しました。

”十三夜”に戻すと、樋口一葉女史の小説にこの題名がありましたね。
漱石の"夢十夜”も思い出しますが、お月さんは無関係だったか?
一葉さんは、片月見の事を少し記して、小説の題名にしたのかな?

既に、北から紅葉前線南下中との報道。NHKFMの”今週の短歌”も先週から”秋の夕暮れ”名歌
ビッグ3の朗読が始まりましたね。アハレの本番です。
主宰がご活躍される環境が整いました。さーGO・GO。

大阪は今日、小雨の一日とか。アウトドアはキャンセルとの電話を受けたので、・・雨読としますか。

未完の美 (boa !)
2008-10-14 19:49:47
昨年のブログでも十三夜を記事にしたことを思い出させてくださいました。(10月24日)
一葉の「十三夜」に触れた事があったと記憶を辿りました。お関と録之助の悲しいめぐり合わせに十三夜が切なく重なります。
完璧なものを必ずしも最上とはしない日本人の感性が、十三夜を賞す風習を生み出したものでしょうが、色里がたくらんだのではなどと考証しています。

GO!GO!などとそそのかすのはお止めください。さらでも、すぐその気になる軽佻浮薄の身上ですから。

望月が中天で笑っています。秋蒔きの種のためには一雨欲しいところですが、明月を見せなかった雨はその気配もありません。