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「骨」展

2009年08月22日 | 美術(09年)
 六本木の東京ミッドタウンの北隅に設けられている「21_21 DESIGN SIGHT」という「デザインのためのリサーチセンター」(設計:安藤忠雄)にて開催されている「」展に行ってきました。  

 この展覧会は、慶大の山中俊治教授がディレクターとなって開催されたもので、「洗練された構造を持つ生物の骨をふまえながら、工業製品の機能とかたちとの関係に改めて目を向けます。キーワードは「骨」と「骨格」」だと、その趣旨が述べられています。  

 私の方では、本年のお正月に、東京都現代美術館(MOT)で開催された「ネオ・トロピカリア─ブラジルの創造力」展で展示されていた「リヴァイアサン・トト」の作者であるブラジルのエルネスト・ネトの作品が、今回の展覧会でも見られるということもあって、関心がありました。  

 会場の中に入ると、入口には、車(フェアレディーZ)の車体の骨格が実物で示され、さらには動物の骨格の写真から始まって、椅子の骨格や精密機械の内部構造などが示され、その奥にはお目当てのエルネスト・ネトの作品も見つかりました。  

 彼の作品は、「リヴァイアサン・トト」に比べたらズット小振りですが、お馴染みの薄い布を使いながらも骨組みが明示されている点が異なっています。1個所空いている入口から中に入ると、薄いソフト皮膜の感触が伝わってきて、優しさに身体が包まれた感じを持つことが出来ます。  

 ネトの作品以外にも興味深い作品がいくつも並べられています。特に、本来骨格を持たない蜘蛛の骨格を示している「骨蜘蛛」が面白いと思いました。  

 昔から機械の構造がどうなっているのだろうかと、ラジオなどを壊してみることが好きでしたから、今回の展覧会には興味がありましたが、ただいまごろなぜこんな展覧会が開かれて若い人たちが大勢入場しているのか、なかなか理解しがたいところもあります。  
 あるいは、写真集『BONES』などに見られるような動物の骨格にあらためて美しさを感じるようになったこと(撮影技術の向上等によって)が一つの背景としてあるのかもしれません。
 さらに、もしかしたら、様々な精密な機械が身近に溢れているにもかかわらず、その中の機構が殆どブラックボックスになっていて仕組みを把握しがたくなっていることに対する反発といった側面があるのかもしれません。  

 なお、この展覧会の内容はそのHPで見ることが出来ますし、またディレクターの山中俊治教授のブログ「デザインの骨格」でも、各作品についての解説が与えられています。

 (画像は「骨蜘蛛」)


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