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映画的・絵画的・音楽的

映画を見た後にネタバレOKで映画を、展覧会を見たら絵画を、など様々のことについて気楽に話しましょう。

重力ピエロ

2009年06月07日 | 邦画(09年)
 新宿武蔵野館で「重力ピエロ」を見てきました。

 映画を見ている内に、ああこの舞台は仙台だなとわかり〔原作者の小説『ゴールデンスランバー』を以前読んだこともあり〕、安心して映画の中に入っていくことが出来ました(映画を見ると、舞台はどこかという点が直ぐに気になってしまうのです!)
 こうした点に加え、久しぶりに鈴木京香を見ることが出来、また若い岡田将生のフレッシュな演技にこれからの成長を期待出来そうなこともあって、実に良い映画を見たなと思いました。

  ただ、渡部篤郎が演じる人物がかなり酷いヤツだとしても、人を殺したわけではありませんから、まず兄の加瀬亮が彼を密かに殺してしまおうとして準備に取りかかったり、次いで弟の岡田将生が実際にバットで殴り殺してしまったりするのは、かなり短絡的な行動ではないかと私には思えました。

 まして、弟が自首しようとするのを、「警察や検察にあれこれ云われる筋合いはない」として兄が止めてしまうシーンには、随分と違和感を感じました(憎いヤツに私的制裁を加えることは、相手にどんなに非があろうとも現代社会では許されないのでは〔ブッシュの始めたイラク戦争に通ずるところがあるように思えてしまいます〕?←勿論、こんなモラルを個々の映画に振り回しても意味がないのかもしれません。むしろ、自分たちで殺さなくてはと兄弟が思い詰めずにはおられないほどの極悪非道さが描き出されているかどうか、この私的制裁を観客が納得出来るような仕上がりになっているのかどうか、という点を問題にすべきなのでしょう)。


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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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ピエロはどこまで見通すのか? (火の鳥々)
2009-08-05 21:46:40
映画を観る基本姿勢が、娯楽もので、かつ、ストーリーがしっかりしているという点を評価するものですから、そうした意味で、「重力ピエロ」はたいへん高く評価できます。もちろん、細かく見ていくと、突っ込みどころがないわけでもありませんが、ストーリー展開のなかでそこまで目くじらを立てなくてもと感じる範囲内のことだと思われます。
 実は、本作では、倫理観の問題がストーリーの受けとめ方の基礎にあるように思われます。主人公兄弟が犯した罪がどのように対処されるべきかの問題ということです。警察・検察が公的に行う断罪には限界があると秘かに感じるところもありますので、フィクションとしては、あのような私的な処罰もありかという気がしないでもありません。だから、ストーリー的にまぁ許せると思うので、そちらのほうは違和感がないのですが、人によっては、あのままだと終わりが納得いかないという声もあるように感じています。
 いまの社会は複雑だから、作者はああいう解決(物語の中では、兄弟は断罪されない)を許しているのではないかと感じていますが、この辺も含め、人によって多様な受け取り方でよいのではないかとも思います。

  登場人物の配役がそれぞれに適役だと感じました。例によって、原作が優れているという論調もないわけではありませんが、本作については、併せて映画脚本のほうもかなり高く評価するものです。
 主人公兄弟の弟のほうの子供時代の子役も可愛かったのと、出演を予想していなかったのですが、今後の成長が期待される吉高由里子が面白い役柄で出ていたことでも、満足しました。
 これまで見てきた伊坂幸太郎作品の映画化では、「フィッシュ・ストーリー」も良かったですが、総じていえば、内容的には「重力ピエロ」の出来のほうを高く評価するくらいで、独断と偏見で、いまのところ、今年見た作品では最高水準のものだと思っています。
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難しい問題 (クマネズミ)
2009-08-06 15:00:49
コメントありがとうございます。
おっしゃるように、「主人公兄弟が犯した罪がどのように対処されるべきかの問題」がこの映画ではポイントになると思います。
「警察・検察が公的に行う断罪には限界がある」のは確かでしょうし、そして兄弟が渡部篤郎に私的制裁を加えようとするのも分からないではありません。ただ、この場合になされた私的制裁が適切なものなのかよく分かりませんし、特に映画制作者(原作者?)が、それを肯定するように描いているのを見て、酷く違和感(これを許せば社会が壊れてしまうのではないかとの危惧)を感じた次第です。
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