2つ重ねる

2015年04月08日 13時50分40秒 | 黒猫のひとりごと

                                           ヒュルル   ・・・・

                      クァ ーー

      ザク

外に出た・・・

「・・・」

空気はつめたい。

だけど僕は暖かい。

2つの帽子の中に入っているからである。

毛糸の帽子に入って、さらに内側にモコモコの付いた帽子の中にいる。

外側の帽子のあごのひもをつなげて、男がそこを持っている。

そこから吊られているので、見晴らしはよくない。

     モグ    モグ

そして男は、もう片方の手に平べったいポテトを持って食べている。

ホクホクしてる。

「ニャー」

僕にはくれないのかな。

斜め後ろを見ると、湾曲した大きな建物。

男たちは、ここでたくさん買い物をしていた。

斧さんのフードの中から見ていたから、僕は知っているのだ。

雪バスに戻ったら、ごはんくれると思うのだ。

だから抗議はしない。

                サクリ

                             クァ  ・・・

駐車場には集められた雪がいくつかあって、そこに鳥。

滑って遊んでるみたいである。

            ―――    ブン

――ニャ

鳥がさかさま――

                       サク      サク

「・・・」

男が、僕の入った帽子を1回転させたみたいである。

・・・今のはおもしろかったのだ。

「ニャー」

            パチ パチ

前足を出して、腕をたたく。

「・・・・」

                ―――    ブン

ニャ~

また回った。

              パク

                          モグ  モグ

          ブゥン  ――

今度は横に回った――

「ニャ~」

たのしい。

            サク     サク

                            スルルル ―――

                                              クァ

ドキドキ・・・

           サク    ・・・・

                         サク

                                             ヒュルルル   ・・・・

もう回らない。

でもいいのだ。

あとで斧さんに頼もう。

男は雪バスに向かっている。

コックさんのカートが到着していて、バスの中にのせてる。

空にはお日様がいて、雲も少なくていい天気。

「!」

フワリさんが僕を見た。

「持ったげる」

「うん」

ニャ

男が僕の入った2重の帽子を、フワリさんに渡した。

「♪」

フワリさんは僕の帽子を腕にかけた。

ニット帽からは、前足2つを出している。

「ミャ~ゥ」

僕にシッポを向けているニャッティラが鳴いた。

雪バスで留守番していたのだ。

      ――

                  サク

フワリさんはバスの中に入るみたい。

「・・・・」

寒い外で石像になってるガードさんが、僕をチラッと見た。

「・・・」

          パタン

                    ト  ・・・

                              トコ

中は暖かい。

「キキ」

イスの手すりにリスがいる。

後ろの座席には荷物がたくさん。

       ――

フワリさんが頭を撫でてくる。

              スルル

「!」

帽子から出る。

                        ――  トン

床に下りた。

「もうすぐ出発だって」

「うん」

後ろの窓から外みてよう・・・

            ♪ ♪  ――   ・・・・

                            ゥゥゥゥゥゥ   ・・・・・

                                                     ―――  ・・・・


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