サヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・ ヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・ サヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私の周りの草は、2メートルは超えている。
イネ科の草である。
でも、私が立っている場所の草は、焼けてなくなっている。
ヘリコプターが墜落し、爆発した場所だからだ。
しかし、雨季が終わったばかりで草も大地も水を十分に含んでいる。
その後激しい雨が降ったこともあり、それほど広くは焼けてない。
そして、機体はバラバラになっている。
かなりの部分が深い草の中に飛び散っていて、これでは空から見ても分からないかもしれない。
サヮサヮサヮサヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・ ヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・
私は、ぽっかり開けた空を、見上げる。
朝の霧は晴れて、青空がよく見える。
おや・・・鳥。
・・・・・・・・・そういえば、望遠鏡はなかった。
ヘリコプターから脱出する際、置いてきたものだ。
ダン ダン ・・・・・・・
半分草に隠れるようにして、一番大きな残骸がある。
コックピットの部分のよう。
その上で、モランが跳ねている。
ダン ダン ・・・・・・・
あれは、遊んでいるのだろうか・・・・
森に入る前に、少し寄り道をしてもらった。
でも、そろそろ出発しないと、日没までに森を出られないかもしれない。
「もう行こう・・・」
草の無い地面で、やはり跳ねていたイオニが、うなずいた。
ひと休憩で水を飲んでいたので、皆がそれを斧さんのカバンに戻す。
私のは、自分のカバンに入れる。
650ミリリットル入る、薄っすら緑がかったナルゲンボトルである。
ナルゲンは、研究者が実験で使うような頑丈なプラスチックで、中身がもれる心配が無い。
水だけでなく、その他の食品などを入れておくのにも最適である。
ガサガサ・・・・・・・ ガサガサ・・・・・・・・・・・・・・・・・
歩き出す・・・・
草を掻き分けながら・・・・
ブルゾンを着ているので、腕を切ったりすることは無い。
でも、少し暑いな・・・
そうかと思うと、急に寒くなったりもする。
モランがつけている赤いマントは、寒いと体に巻きつけて、暑いと風に翻している。
かなり便利だ。
赤いチェック柄。
彼らのマントはチェック柄が多いのだが、これは、最初に伝道師が赤いタータン柄の毛布を配ったためだという。
その時期は、少なくとも2世紀はさかのぼるらしい。
ガサガサ・・・・・・・・ ガサガサ・・・・・・・・・
モランは、腕に、白に模様の入った腕輪を着けている。
上腕のひじに近い場所にも、わっかを着けてる。
首にはカラフルなひもを着けていて、肩にかけて斜めにも、同様のものをかけている。
髪は・・・・言い方を良く知らないのだが、女の子のように何束にも細長く結った髪を、グルグル頭に巻いてる。
・・・・・いや、何束か垂れている。
とにかく、髪にしてもアクセサリーにしても、おしゃれである。
彼ら遊牧民全体にいえることだが、特に若い戦士は気を使っているようだ。
スポッ
ああ!
モランが、槍の先っぽを取った。
そして、片手に刃の付いた先っぽ、もう片方に残りの棒と盾を器用に持って、草を払っている。
ガサガサ・・・・・・・・・ ガサガサササ・・・・・・・・・・・・
外せるのか・・・・
そりゃそうだな・・・・
イオニは、先っぽが大きくて丸い杖で、草をどけている。
高い草と草の間から、森が見えてきた。
もうすぐだ・・・
ガササ・・・ ガササ・・・ ガサガササ・・・・・ ・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・ サヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・