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小麦畑がさわさわしてる・・・
風が強いから。
ハットさんと合流した私たちは、バスで農村まで来た。
広い畑の周りは山で、ノッポさんとシャープさんとシャープネコは森の中を探しに行った。
私と斧さんとノロマさんとハットさんは、農村を歩いてる。
ハットさんも大きなケースを持って来ていて、ホテルに部屋を借りた。
背中に背負う長方形のカバンも持って来ていた。
だけど斧さんがカバンを持っていないのを見て、斧さんに渡した。
そして、ハットさんはハットじゃなくてキャスケットを被っている。
ジャケットやコートは来ているけど、昨日よりカジュアルで動きやすそう。
・・・農村にひとつだけあるという、アンテナを目指している。
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・・・食べるものがなくて生活に困っている人は沢山いる。
サブサハラアフリカでは、それが特に深刻である――サハラ砂漠以南のアフリカ。
この地域には、農地に適しているけどまだ手が付けられていない土地がたくさんある。
先進国のように化学肥料を沢山使える経済力がないので、森林農業など、その地域や土壌にあった方法を選んで農地を開発する必要がある。
生産量を増やせる可能性は十分にあるけど、収穫後の損失を減らす事でも、飢餓への抵抗力を高めることができる。
収穫後の損失をポストハーベスト・ロスと言う。
先進国では、見た目が悪い作物が捨てられ、食べられる魚も価値が低いものは捨てられる。
パンのミミはたくさん捨てられているし、スーパーなどの過剰発注による売れ残り、家庭でも買いすぎ作りすぎによる廃棄がでる。
だけど先進国では、主要穀物を収穫後、市場に届けるまでに腐敗するなどの理由によるロスは、僅かに0.07%ほどでしかない。
殺菌したり、冷蔵や冷凍による保存施設の利用、乾燥させたり最適な温度と湿度を保てる貯蔵施設の利用、優れた輸送手段、保存性に優れた品種、加工技術など、数十年かけて培われた知識を利用できる。
これに対して、貧困国では収穫から市場に届くまでの間に、多くの作物が腐って食べられなくなっている。
アジア全体では、コメのロスは13%ほどになる――極端なケースでは、8割近いロスもある。
国によっては、野菜や果物の半分前後が腐る――カビなどによって、栄養価も下がる。
サブサハラアフリカの国々では、数字が把握さている場合で、3割前後のロスが出ている様である。
―――食べ物の廃棄量は、支援を引き出すために水増ししたり、非難をかわす為に過少に報告されたりするケースもあるため、データの信頼性に問題がある場合が多く、古い推定に基づいた推計値が公表されている―――
世界全体で見た場合、農作物による1人当たりの供給カロリーの平均は、約4600kcalと推定される。
この内、ポストハーベストロスが600kcal。
加工や流通、家庭でのロスが800kcal。
畜産向けの飼料として1700kcalが使われて、畜産が生産するのが500kcal。
4600-600-800-1700+500=2000で、摂取するのは1人当たり2000kcal/日となる――分配には偏りがあるので、先進国と貧困国では大きな差が出る。
ポストハーベストロスを減らすことで、追加の生産を行わなくても、食糧の供給源にすることができる。
プラスチックや木の箱を使って運ぶとか、日陰を作るとか、収穫の適切な時期を農家に教えると言った基本的な取り組みでも、ロスをかなり減らせると思われており、実際に成果も出ている――一度に収穫せずに、順次必要なだけ収穫すると言った取り組みでも。
ドライフルーツを太陽光で作る事で、不足しがちなビタミンを保持することができる。
高価な貯蔵施設をつくらなくても、煙や清掃機械、殺虫剤などの利用でも効果は出る。
高価な酸化防止剤を使用しないでもいいように、入手しやすい安い保存料の研究も進んでいる。
牛乳は低温殺菌しないと、すぐ腐敗が始まる。
冷蔵や低温殺菌の施設がないために、乳製品が廃棄される場合は多い。
NGOのケア・インターナショナルと、合衆国の国際開発庁と私の祖国の政府が、農村での集乳施設の建設を支援している。
まだ一部の地域だけど、これまで乳を出荷したことのない小さな農家も、この施設を利用できるようになった。
その他、取り組みは多岐に渡っているのだけど、この分野への投資はまだ少ない。
食糧問題の資金援助は、多くが農産物の増産に向けられる。
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サブサハラアフリカの多くの国で、女性の地位が低い。
土地を持つ資格が与えられていない国も多い。
だけど女性の農業者は多く、家族の生活を支えている。
農村の女性は孤立している場合が多い。
これを改善するために、携帯電話が大きな力を発揮し始めている。
従来は、ラジオを使って情報を送るしかなかった――ラジオは現在も重要な手段で、多くの農家が同じ情報を得ることが出来る。
携帯電話は双方向でコミュニケーションをとることができる。
貧しい農家は、市場に農作物を運ぶ手段を持たない。
このため運搬をする業者が買いに来るのだけど、農家は立場が弱いので安く買われる。
計算ができないために騙される場合もあるけど、不当な価格だと農家が不満を持っていても、文句を言えば買ってもらえないので黙っている場合も多い。
フェアトレードを行う企業や、支援する団体は増えている。
女性農家が団結してこれらの組織と繋がったり、より大きな市場での取引、適正な価格を知る手段として、携帯電話は力を発揮している。
西アフリカのある地域では、少女の妊娠が珍しくなかった。
学校に行くための交通手段がなかったので、その提供と引き換えに性行為を強要されることが多いのである。
だけど、アラフィアが提供した3000台の自転車によって、状況は改善されつつある。
この自転車を受け取った女性は、ひとりも妊娠していない。
アラフィアはこの地域で生まれた企業で、100人以上の農村女性が働いている。
設立者チャラの母親は、私の祖国で缶ジュースを1本買うお金を得るために、約45時間働いていた。
チャラは合衆国の大学を卒業して、この地域の女性たちがシアバター女性共同組合を立ち上げる支援をした――組合の女性は、チャラの母親が45時間かけて得ていたお金の2.7倍の収入を、1日で得れるようになった。
組合のシアバターは、アラフィアがフェアトレードによって買い取っている。
アラフィアが製品化し、直接小売業に卸している。
税金や輸送費や通関手数料などは、すべてアラフィアが支払っている。
そして売り上げの最低10%を、地域の発展のプロジェクトに還元している。
女性農家が団結することで、市場関係者への発言力も持つことができる。
訓練を受けていない農家が多いので、訓練セミナーも開かれる――こうした取り組みで、文字を書くことを覚えた人もいる。
タネはばらまかずに一列にまくとか、肥料を使うといった簡単な改善で、生産量は増えている。
ボロちゃんの住んでる国では、携帯電話を貯金通帳に、電話の代理店が銀行支店の機能を果たす、新しいサービスも始まっている。
これによって、農村の貧しい女性たちも、銀行と同じようなサービスを受けられるようになってきている。
インターネットの普及は、さらに女性の地位を向上させる力になると思われる――このための支援も始まっている。
サブサハラアフリカでは、農業者の75%が女性で、その労働力の60~80%、基本的な食事の準備のほぼ100%、運搬の80%、畑の耕耘や除草の90%、収穫と販売の60%を女性が担っている。
なのに長い間、女性はあらゆる機会から排除されてきた。
女性の収入が増えると、子供の栄養状態が改善される。
そして、未来に希望を持てるようになる。
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・・・おや。
パトカーが一台。
農村に来てから、初めて警察官を見つけた。
「あれだけですかね・・・」
「・・・今日もデモが予定されてるからね」
「・・・・」
デモの警備で人手不足なのだろうけど・・・
「これかな」
私は、アンテナらしいのを見つけた。
パトカーのすぐ近く。
木の様な形をした大きなアンテナ。
「木みたい」
「・・・ァゥ」
それと知らなければ、近づくまでアンテナだとは思わないだろうな・・・
警官が私たちに気付いて、こっち見てる。
「ミャ~ゥ」
警官が2人に、私服警官らしい人が1人。
私服の人が、私を見てる。
サク サク
こっち来る。
「どうも・・・」
「こんにちは」
「・・・もしかしてマロックさんではないですか?」
「はい・・・」
私の名前を知ってる・・・
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