海風で

2019年03月23日 20時55分54秒 | マーロックの日記

                              クァ ~~

                                  ゥゥゥウウウ

                  ザヮザヮ ♪

海の方を見る・・・

船が浮かんでいて、海鳥が飛んでる。

                           マロックさん

下から、ボーダさんの声。

こっちに歩いてくる。

高齢の男性とネコもいる。

黒猫に会いたがっていたという人だろう。

        カタン

私は、階段を下りる。

「ニャ~」

ボーダさんの大学のある街の外れに、ネコレースの開催地がある。

地面が平らにされ、草もほぼなくなっている。

周りの森は、そのままの様。

コースが敷かれる場所の周りには、客席の骨組みが設置されていた。

その周りにボードが張られて、もう下のパイプは外からは見えなくなっている。

       カタ

まだ、コースはない。

ネコレースの主催者がコースをつくる。

どういうものになるのかは、直前までわからない。

「こんにちは」

「こんにちは」

「君がマーロックくんか」

・・・マとロの間を、ちゃんとのばした。

「はい」

「ニャ~」

黒猫も、イスの上を跳ねて下りて来た。

「・・・教授、あのネコですよ」

「うん」

首からルーペを提げた男性が、体をかがめて黒猫を見てる。

「・・・」

ルーペさんの足元にも、ネコ。

「ニャァアァァ」

鳴いた。

「きみがチャンピオンネコか・・・」

「そうです」

ボーダさんが、答えた。

「ふふふ」

かがめていた体を伸ばして、ルーペさんが笑った。

「立派なネコだ」

黒猫をほめてる。

「でもね、今回はネコニアンが優勝するよ」

「ニャァァァ」

足元のネコを紹介してくれた。

「ネコニアンですか」

「うん」

あまり筋肉質そうではないネコ。

長めの毛に覆われて、分からないのか。

「おっと」

私が手を伸ばして確認しようとすると、ルーペさんが遮った。

「さぁ、帰ろうか」

「ニャァァァン♪」

ルーペさんが、ネコニアンを抱えた。

「今日は会えてよかった」

「・・・はい」

「今度は、レースで会おう」

      ザッ

そういって、ルーペさんは背中を見せた。

もう帰るみたい。

「また後で」

ボーダさんも、ルーペさんを追って去った。

                                              クァァ

海から風が吹いていて、周りの森がずっとゆれてる。

「行こう」

「ニャ~」

少し、この予定地を散歩する。

今日来た目的は、ルーペさんに会うため。

それも終わったし、また大バスで老紳士の屋敷に戻る。

往復の移動だけで、今日はほとんどの時間を使うことになる。

私とは違う方向に歩いていたボーダさんが、こっち見た。

腕を、こっちに向けた。

横にいた3人もこっちを見て、手を振った。

ボーダさんに、私の事を尋ねたらしい。

         

私に用があるみたいなので、そっちに向かう。

女性1人と、男性2人。

きっと学生だろう。

                              ヮィ  ヮィ   ♪

他にも手伝ってくれている学生がたくさんいて、食べ物や雑貨を売るお店も出すみたい。

ノロマさんやノッポさんも一緒に来ていて、そういった場所を見学してる。

                    ミャ~ォ

しまネコが駆けてくる。

ウェーブさんたちと一緒にいたようだけど。

「こんにちは、マロックさん」

「こんにちは」

「彼らは、開会式の準備をしてくれているんです」

ボーダさんが紹介してくれた。

「そう」

待っていたルーペさんが、返事した。

「開会式で流すファンファーレができたんで、聞いてみてください」

そう言って、女性が持っていた小型スピーカーを見せてくれた。

「まだ完成ではないんですけど」

「それは興味深いね」

ルーペさんが返事する。

再生するみたい――

  ニャニャ ニャ~  ニャ~ ニャ~  ♪

         ニャ~~  ♪

                ニャ~~  ニャ~~  ♪

                    ニャ~~  ニャ~~  ♪

                                   ニャ~~~~  ♪

        ニャ~~~ ♪

                  ニャ~~~  ♪   ニャ~~~  ♪

                                ニャ~~~~~~~  ♪

「ニャ~!」

「ニャァァァン!」

「ミャ~!」

ネコ3匹が、興奮してる。

「どうですか?」

            ニャゥゥゥ

ネコたちの様子を見ると、悪くないのだろう。

「いいと思う」

「♪」

「すばらしいよ」

「前回チャンピオンのマロックさんにも登場してもらいますから」

「・・・そう」

「その時の音楽もつくってますからね」

「うん」

「じゃぁ」

       タ   タ

3人は去った。

「私も急ぐので」

そう言って、ネコニアンを抱えたルーペさんは去った。

飛行機の時間かな。

ボーダさんも後を追う。

「ミャ~ォ」

しまネコが鳴いてる。

「レースは今日じゃないよ」

教えてあげる。

「ミャ~」

お腹を掴んで、抱える。

しましまネコに成長したけど、まだどこに行くか分からない。

「・・・」

黒猫は、付いてくる。

みんなの所に行こう。

屋敷に戻のは、夜になる。

                     

右を見ると、ウェーブさんとノロマさん。

しまネコを探していたのだと思う。

「行こう」

「ニャ~」

黒猫が返事した・・・・

              

                          ヮヮヮヮヮ  ・・・・・

                            ピピチュ

 


耳が出てる

2019年03月19日 13時33分20秒 | 黒猫のひとりごと

             ミャ

                     ブロロロロロ    ・・・・・・

         ――  ♪ 

白い雲・・・

窓から見える。

「キキ」

僕は大バスに乗って、移動しているのだ。

どこに行くのかは分からない。

男やノッポさんたちも一緒だけど、マッチョさんたちはいない。

リュックも持って来ていないし、そんなに遠くには行かないのだと思う。

ノロマさんとウェーブさんも一緒に来ているけど、エレガントさんやフワリさんはいない。

だから一番後ろの長イスは、いつもよりは静か。

人数がそんなにいないから、大バスは広々しているのだ。

僕の座っているイスの横も、人は座っていない。

背もたれにリスがいるけど、もしかしたら真ん中の通路の向こうのイスに移動したいのかも。

ジャンプすれば渡れると思うけど、そうしないのは僕の橋を待っているかもしれないのだ。

前足と後ろ足を伸ばして、通路に橋をかけるのだ。

「クゥ」

チワワの声。

一番後ろのイスで、くつろいでいるみたい。

チワワも窓の外を見ればいいのに。

海が見えるし、空も見える。

その境目も。

色が少し違う。

       スルリ

でも僕は、後ろを向いてイスの手すりに向かう。

「・・・」

背もたれにいるリスが動いた。

                   ―――

                            トン

手すりにのせた後ろ足を伸ばして、前足を通路の向こうの手すりにのせる。

僕はブリッジネコになるのだ。

      スル

シッポを背もたれに伸ばして、少し動かす。

  パタタ

「キキ」

              ト ト ト

リスがシッポから僕の背中に移動する。

背中を通って、向こうのイスに移動できるのである。

「♪」

リスはゆっくり進む。

僕は右を見る。

                ―――    

ノロマさんの膝の上で丸まっているチワワが見えた。

「・・・」

僕の動きに気付いて、見てる。

こっちに来るかな。

「・・・」

僕が呼べば、きっとチワワは来る。

でも、呼ばない。

チワワは自分でこっちに来るまで待つのだ。

「♪」

リスはまだ僕の背中の上。

ウロウロして、下を見ているみたい。

下は大バスの通路で、川ではない。

           スルル

リスが前足側のイスに移動した。

          タッ

                      ゴロン

後ろ足で手すりを蹴って、前のイスに転がり込む。

       スルル

そのまま背もたれに前足をかけて、後ろを覗く。

この位置からだと、チワワが見えない。

すぐ横には、リスがいる。

     バシ

シッポが動くと邪魔なので、前足で押さえる。

             

リスがひとつ後ろのイスに下りた。

体が伸びたり縮んだりしてる。

眠いのかな。

           

僕は背もたれの端っこに行く。

端っこからなら、チワワが見えると思うのだ。

「・・・」

いた。

「・・・」

こっち見てる・・・・

                      ―――   

                            ロロロロロ  ・・・・・

               ミャ~


風が吹く

2019年03月17日 20時38分48秒 | マーロックの日記

                          チチチ

                          ヮヮヮヮヮ   ・・・・・

            ガタン

「わかりました」

電話を渡す・・・

                   ―――

それを受け取ったエレガントさんは、話しながら去った。

「ピョ♪」

空が少し明るい。

太陽が出てきた。

昨日は早く寝て、早起きした。

久しぶりに、大きなサイズのベッドで眠った。

私たちが泊っているのは老夫婦の屋敷の客用の部屋で、それぞれにシャワールームもある。

部屋自体も広い。

運んでもらっていた荷物はそのままで、そのうち少し整理する。

今日はトラックを返すので、中の荷物を屋敷に運んでいる。

1階にとても広い部屋があるので、そこに積んでる。

財宝木箱も。

午前中にトラックをとりに業者がくる予定。

タイヤを交換した経緯なども説明しないといけないけど、買い取ってもいいと老紳士は言っていた。

森を含んだこの屋敷の敷地はとても広く、置く場所には困らない。

みんなで運んでいるから、もう終わりそう。

                     ガタン

木箱を島の様に積んだ所も、空っぽ。

枠台車の裏に隠しておいた秘密のゴミ袋も、すでにほかのゴミ袋の中に紛れさせている。

コッソリ食べたチョコアイスとかの証拠は、直になくなる。

      

               ピョ

道の真ん中に行く。

斧さんたちが運んでいる箱で、最後。

「・・・」

一緒に起きた黒猫が、そこで空を見てる。

まだ暗めの空には、雲がいくつか流れてる。

今日は母テムのお店の開店準備をみんなで手伝う予定だったけど、私はボーダさんの大学に行く。

ハットさんやハンスさんらも一緒。

ぜひ黒猫に会いたいという人がいるらしい。

ボーダさんの先生だった人で、今度のネコレースに参加するそう。

数日前にボーダさんを訪ねて来ていたようだけど、廃墟に行っていたから会えなかった。

今日帰る予定らしく、昨日戻ったボーダさんがその話を聞いて電話してきた。

「ニャ~」

だから、黒猫も一緒に行く。

ポールさんとプルームさんは、もういない。

仕事があるので。

プルームさんは、ポールさんから連邦捜査局の捜査官にならないかと言われていた。

どうするのかは分からない。

      ソョョ

影がゆれてる。

グリとブラウとヘテロも、探偵社の仕事があるので別行動。

そして明日には、財宝日記の著者の子孫であるファームさんが来る予定。

財宝をどうするかは、彼に決めてもらう。

箱と一緒に入っていた手紙と写真も、彼ファームさんに渡す。

「おはよう」

・・・コニの声。

「ピョョ♪」

後ろを見ると、小鳥に話しかけた様。

リフとコニは、まだ学校には行かない。

もうすぐ秋の試験があって、そのあと1週間くらい休みがある。

その休みが終わったら学校に行く。

テムとレウは、うらやましがっていた。

ハンスさんとゴムさん夫婦も屋敷に泊まるから、ゴムさんの授業は続くだろうけど。

                 ガタン

「私も手伝おうと思ったけど、もう終わったのね」

「ァゥ」

            

黒猫の前に行く。

風が少しつめたいけど、気温はそうでもない。

「・・・・」

黒猫の前に左手を出す。

        パチ

タッチした・・・・

               ニャ~

                            ザヮヮヮヮ  ・・・・・

         チチチ ♪


縦に

2019年03月14日 13時34分13秒 | 黒猫のひとりごと

                     ブルルル

                               ァァァァァァァァ   ・・・・・

          パサ

水を飛ばす・・・

雨の中、外の散歩をしていたのだ。

「・・・・」

斜め上を見ると、フードをかぶった男が僕を見てる。

傘を持たずに出たので、水粒がいくつも服についてる。

                 ――――  バサササ

ニャ

僕がブルブルするような感じでいきなり動いたから、上から水粒が降ってきたのだ――

「ニャー」

僕は抗議する。

せっかく水を飛ばしたのに。

「・・・・」

                  トコ

一瞥して、男は去った。

                 ブルブル

もう一度水を飛ばす。

          ト   ト

僕も歩く。

食堂に行くはずである。

お屋敷に戻ってきた僕らは、まだごはんを食べていないのだ。

                        タッ

                                  ミャ~ォ

とても広いお屋敷は、しまネコたちがトレーニングをするのにいい場所である。

ネコレースがいつ始まるか分からないし。

             ミュ

オッドネコも元気に走ってる。

大バスに乗っているとき、ゴロゴロくつろいでいたから走りたいのかも。

僕は、ちゃんと窓から外を眺めていたのだ。

「ニャ~」

何度も走れば、もっと速く走れるようになるよ。

「ミャ~」

しまネコが返事した。

                                   ―――    

温かい空気が流れてる。

玄関から食堂までは、遠くない。

人間たちも集まっている様で、にぎやか。

                                               ォォォォ  ・・・・・

                             ピチュ

「クゥ♪」

食堂に入るドアはいくつかあって、中に入る。

            パタ  パタ

チワワのシッポがよく動いていて、僕はそれを見た。

「ずいぶんたくましくなったようね」

老婦人の膝にのって、撫でられているのだ。

「クゥ♪」

「ふふふ♪」

横に、ノロマさんが座ってる。

広い食堂には長いテーブルがある。

イスもたくさんあって、木の足がいくつもある。

人の足もたくさん。

まだごはんはできていないみたい。

                  ウィィィィィ   ン

お掃除ロボットが掃除してる。

         トン

僕の方に来たから、上に乗る。

この部屋広いし、お漏示ロボットに乗って移動する。

      パタタタ

短いシッポを振って、掃除してる。

僕は浮かせる・・・・

                ウィィィン

                                                ォォォォォ  ・・・・

                             ――――

 


散歩する

2019年03月11日 00時17分56秒 | マーロックの日記

                                     ポ   ポ

                                                  ヮヮヮヮヮ   ・・・・・

                チチチ

風がしっとり・・・

頭に、雨がいくつかあたる。

降るのかな。

「キキ」

後ろを振り向くと、大きな屋敷。

老夫婦の家に戻ってきた。

西海岸の大きな街の郊外。

森の中にある。

                  リ  リリリ

セコイアの森の近くで一泊した私たちは、今日はずっと移動していた。

さっき屋敷に戻って、もうシャワーも浴びた。

なので雨にあたっても、そう変わらない。

「ニャ~」

黒猫とリスも、一緒に散歩に来た。

                             ―――    

誰か、外に出てる。

食事をする広い部屋からも、外には出れる。

これから食事。

        

客船の出航はまだ先で、しばらく私たちはここで暮らす。

コニもここから学校に通えるので、ここに住むことになった。

親族の家は遠く、転校することになるので。

テムとレウも、もう屋敷に戻ってる。

母テムはお店の準備で、まだ戻ってない。

引っ越す予定だったようだけど、コニも屋敷に住むことになったのでやめたらしい。

開店の日は近く、明日は私たちも手伝いに行く。

                    

          ピョョ ♪

屋敷の前は舗装されたで、私たちが使っていたトレーラーやトラックがいる。

レンタルしたものだけど、大バスとトラックは老紳士が買い取った。

ボーダさんの大学はここよりも北にある。

これからネコレースの準備とかで移動することも多くなるので、バスやトレーラーがあった方が便利だということで。

トラックの中の荷物は、明日、屋敷に運ぶ。

                                    サァァァァァァァァ    ・・・・・・・

「・・・・」

ポツポツだった雨が、少し強くなった。

               バサ

フードをかぶる。

コットンとナイロンの混紡なので、このくらいの雨なら大丈夫。

               ゴソ

肩に乗っていたリスが、フードの中に隠れた。

「♪」

ややゆったりしたフードなので、リスも入れる。

「・・・」

足元を見ると、黒猫が上見てる。

フードの中で丸まろうとしていたのかもしれないけど、私がかぶったからそれはできない。

肩に乗って前足でフードを外して中に入ったら、そのまま入れておいてあげよう。

     ト   ト

・・・黒猫はそのまま歩いた。

   

私も追う。

森の中にも舗装路は続いていて、あそこに行けば樹冠が傘の代わりになるだろう。

黒猫は、前回のネコレースのチャンピオンなので、予選は走らなくていいらしい。

メガネさんやボーダさんたち、大学が行うレース。

ただ、本来のネコレースの主催者にも協力してもらうことになっている。

なので、前の時よりもずっと規模の大きな大会になる。

「♪」

黒猫がとまって、草をみてる。

   ぺチ

前足で弾いた。

「・・・」

私を見た・・・・

                              

                                                 ァァァァァ   ・・・・・

                          ポォ


移動する

2019年03月06日 13時49分01秒 | マーロックの日記

                                          ザヮヮヮヮヮ   ・・・・・・

                                                   ピィィィ

    

海が見える・・・

                              ―――     

そっちに太陽が沈みかけていて、反対側に向けて空は暗くなっている。

お昼ごろにタイヤの交換をしてもらって、私たちはさっそく西海岸に戻っている。

今夜は、ここで泊まる。

まだ高い場所にいるから、海から遠いけど見える。

南西方向には、セコイアの森がある。

ここからでもわかるほど、大きな木。

それらの中でもさらに大きなのがいて、森から伸びてる。

私たちはあの森よりも高い場所にいるから、それがよく見える。

                ピョョ

     チチチ

「ニャ~」

黒猫も外に出ていて、トレーラーの屋にいる小鳥をみてる。

いい広さがある屋根だから、くつろいでいるみたい。

「いい景色だわ」

コニも海を見てる。

         ト    ト

「ドーナツたべる?」

「ええ」

荷台から出てきたらしいノロマさんがこっちに来て、そのままトレーラーに向かった。

ドーナツをつくるみたい。

            

荷台の方を見ていたら、フワリさんが出てきた。

夜の食事の準備のために、コックさんたちが荷台の箱島に集まっているから。

     タ  タ

こっちに来る。

「りんごがひとつ無くなってる!」

おや。

「・・・そうなの?」

「昨日、ちゃんと数えていたから間違いないわ」

昨日は、荷台にのこっている食べ物を多めに消費した。

あのどさくさに紛れて、りんごの数は把握していないだろうと思っていた。

そして私は、今朝りんごをひとつ箱から取り出した。

レトリバーたちと一緒に、コッソリたべるために。

「マロックさんたべたでしょ」

理由も証拠もなしに、いきなり私に疑いの言葉を向けた。

「・・・俺はたべてないよ」

「・・・・」

       

証拠がないから、フワリさんはそのまま去った。

りんごを食べたときに出た芯は、土袋を戻した場所の土の中で、養分になっている。

不自然に土を掘り返す必要はなかったから、万が一出発前にばれても証拠が見つかる可能性は少なかった。

「ふふふ」

          

「あ、いた」

フワリさんが去った方から、ゴムさんが来た。

あっちに、トレーラーがある。

「ごはんまで時間があるから、勉強しましょう」

「え」

コニを呼びにきたらしい。

リフは、もうトレーラーの中にいるんだろう。

「夕陽がきれいだわ」

「そうね」

          ピョョ ♪

   チチチ  ♪

屋根から、小鳥が下りてきた。

「あら・・・あなたたちトロッコ駅にいたこじゃない」

「そうなの?」

       

私は去る。

今朝コニにりんごをたべているところを見られたけど、内緒にしてくれている。

その借りに、ゴムさんの説得の協力をさせられるのは困る。

          ニャ~

黒猫も、一緒に付いてくるみたい。

      

キッチンに行ってみる。

キャラメルのドーナツをつくっているかもしれないし。

                           キャン

トレーラーの家部分のドアは、前の方にある。

その横で、レトリバーがお腹を見せてひっくり返っている。

横でフワリさんがしゃがんで、何か話してる。

りんごを食べたことを、問い詰めているのかもしれない。

         ――――

             パタ パタ

レトリバーは、シッポをパタパタさせている。

キッチンに行くには、あのドアを開ける必要がある。

      

私は進行方向を変えて、南西に向かう。

大バスがそっちにある。

セコイアでも見ていよう。

「・・・」

黒猫も付いてくる・・・・

                                       ポ  ポ

                                                  ヮヮヮヮヮ   ・・・・・・

                     リリリリ ・・・

 


目撃する

2019年03月04日 11時22分01秒 | 黒猫のひとりごと

                                             ォォォォォ  ―――――

                              トコ

    

メジロがいた・・・

僕らが目覚めて行動していたから、目が覚めたのかも。

「・・・」

荷台の中は明るくないけど、動くと点くライトがあちこちに置いてあるから困らない。

           ――――

箱島の上で、体を伸ばす。

僕はぐっすり眠った。

男は朝のシャワーを浴びて戻ってきたけど、僕は一緒には行かなかった。

                     パカ

ゴロゴロしていたかったから。

「ピィ♪」

コックさんたちのいない荷台の木箱から、男がりんごをひとつ手に取った。

                 コト

そして、フタを戻した。

朝ごはんの前に、つまみ食いするのだ。

メジロもそれを目撃するために、ここに来ているのだ。

「・・・・」

僕とメジロが見ていると、男がこっち見た。

口止めに、りんごを分けてもらうのだ。

         トコ

扉の方に向かう。

ついて行こう。

            

                             ガチャ

                                                ヮヮヮヮヮヮ   ・・・・・

・・・森の音。

                バタン

僕とメジロが出るのを待って、男は閉めた。

                          チチチ

                                     ピチュ

外はすこし明るい。

もう、空の端っこにお日様が来ているみたい。

「♪」

レトリバーがいる。

フサフサのシッポを振って、僕らを見てる。

りんご食べようとしてるのだ。

             

歩き出した男を、僕らは追う。

                

                                        ザヮヮヮヮヮ   ・・・・・

トレーラーと反対方向に行くと、大バスがいる。

僕らは、そっちに歩く。

きっと、コックさんやエレガントさんは、もう起きて朝ごはんの準備をしている。

すこしでもそこから離れているのだ。

                  パカ

「クゥン♪」

半分に割れたリンゴを、レトリバーの前に置いた。

       シャリ ♪

レトリバー大きいから、半分もらったのだ。

「♪」

おいしそうにたべてる。

                パカ

残りの半分は、さらに半分にして僕らで分けるのだ。

       シャリ

りんごをかじりながら、残った方を僕らの前に置いた。

芯は、レトリバーのについてる。

         シャリ

かじる。

                  ツツツン

メジロもつつく。

「♪」

「♪」

おいしい。

                           ―――― ジャリ

「うふふふふ♪」

ニャ

「!」

           

「ピィ♪」

僕らの背後で、不気味な声――

「りんごを勝手にたべてるのね」

コニがいる。

「・・・」

手に、フサフサのポメラニアンを抱えてる。

「・・・・」

             シャリ

男がりんごをかじった。

うっかりしていたのだ。

りんごに注目するあまり、足音の接近に気付かなかったのだ。

「ニャ~」

僕らはりんごたべていたわけではないよ。

一応、伝えてみる。

「・・・でも、黙っておいてあげるわ」

「クゥン♪」

レトリバーの頭を撫でてる。

「うん」

      タ

「♪」

「♪」

ポメラニアンと一緒に、コニは僕らに背中を向けて去った。

「・・・」

僕のことを信じてくれたみたい。

   ツン  ツン

                   

ふふん。

         シャリ

もうひとかじりする。

みずみずしくておいしい。

左上に空。

今日もいい天気・・・・

                  ピピ

                                                ヮヮヮヮヮヮ   ・・・・・

            シャリ ♪