クァ ~~
ゥゥゥウウウ
ザヮザヮ ♪
海の方を見る・・・
船が浮かんでいて、海鳥が飛んでる。
マロックさん
下から、ボーダさんの声。
こっちに歩いてくる。
高齢の男性とネコもいる。
黒猫に会いたがっていたという人だろう。
カタン
私は、階段を下りる。
「ニャ~」
ボーダさんの大学のある街の外れに、ネコレースの開催地がある。
地面が平らにされ、草もほぼなくなっている。
周りの森は、そのままの様。
コースが敷かれる場所の周りには、客席の骨組みが設置されていた。
その周りにボードが張られて、もう下のパイプは外からは見えなくなっている。
カタ
まだ、コースはない。
ネコレースの主催者がコースをつくる。
どういうものになるのかは、直前までわからない。
「こんにちは」
「こんにちは」
「君がマーロックくんか」
・・・マとロの間を、ちゃんとのばした。
「はい」
「ニャ~」
黒猫も、イスの上を跳ねて下りて来た。
「・・・教授、あのネコですよ」
「うん」
首からルーペを提げた男性が、体をかがめて黒猫を見てる。
「・・・」
ルーペさんの足元にも、ネコ。
「ニャァアァァ」
鳴いた。
「きみがチャンピオンネコか・・・」
「そうです」
ボーダさんが、答えた。
「ふふふ」
かがめていた体を伸ばして、ルーペさんが笑った。
「立派なネコだ」
黒猫をほめてる。
「でもね、今回はネコニアンが優勝するよ」
「ニャァァァ」
足元のネコを紹介してくれた。
「ネコニアンですか」
「うん」
あまり筋肉質そうではないネコ。
長めの毛に覆われて、分からないのか。
「おっと」
私が手を伸ばして確認しようとすると、ルーペさんが遮った。
「さぁ、帰ろうか」
「ニャァァァン♪」
ルーペさんが、ネコニアンを抱えた。
「今日は会えてよかった」
「・・・はい」
「今度は、レースで会おう」
ザッ
そういって、ルーペさんは背中を見せた。
もう帰るみたい。
「また後で」
ボーダさんも、ルーペさんを追って去った。
クァァ
海から風が吹いていて、周りの森がずっとゆれてる。
「行こう」
「ニャ~」
少し、この予定地を散歩する。
今日来た目的は、ルーペさんに会うため。
それも終わったし、また大バスで老紳士の屋敷に戻る。
往復の移動だけで、今日はほとんどの時間を使うことになる。
私とは違う方向に歩いていたボーダさんが、こっち見た。
腕を、こっちに向けた。
横にいた3人もこっちを見て、手を振った。
ボーダさんに、私の事を尋ねたらしい。
タ
私に用があるみたいなので、そっちに向かう。
女性1人と、男性2人。
きっと学生だろう。
ヮィ ヮィ ♪
他にも手伝ってくれている学生がたくさんいて、食べ物や雑貨を売るお店も出すみたい。
ノロマさんやノッポさんも一緒に来ていて、そういった場所を見学してる。
ミャ~ォ
しまネコが駆けてくる。
ウェーブさんたちと一緒にいたようだけど。
「こんにちは、マロックさん」
「こんにちは」
「彼らは、開会式の準備をしてくれているんです」
ボーダさんが紹介してくれた。
「そう」
待っていたルーペさんが、返事した。
「開会式で流すファンファーレができたんで、聞いてみてください」
そう言って、女性が持っていた小型スピーカーを見せてくれた。
「まだ完成ではないんですけど」
「それは興味深いね」
ルーペさんが返事する。
再生するみたい――
ニャニャ ニャ~ ニャ~ ニャ~ ♪
ニャ~~ ♪
ニャ~~ ニャ~~ ♪
ニャ~~ ニャ~~ ♪
ニャ~~~~ ♪
ニャ~~~ ♪
ニャ~~~ ♪ ニャ~~~ ♪
ニャ~~~~~~~ ♪
「ニャ~!」
「ニャァァァン!」
「ミャ~!」
ネコ3匹が、興奮してる。
「どうですか?」
ニャゥゥゥ
ネコたちの様子を見ると、悪くないのだろう。
「いいと思う」
「♪」
「すばらしいよ」
「前回チャンピオンのマロックさんにも登場してもらいますから」
「・・・そう」
「その時の音楽もつくってますからね」
「うん」
「じゃぁ」
タ タ
3人は去った。
「私も急ぐので」
そう言って、ネコニアンを抱えたルーペさんは去った。
飛行機の時間かな。
ボーダさんも後を追う。
「ミャ~ォ」
しまネコが鳴いてる。
「レースは今日じゃないよ」
教えてあげる。
「ミャ~」
お腹を掴んで、抱える。
しましまネコに成長したけど、まだどこに行くか分からない。
「・・・」
黒猫は、付いてくる。
みんなの所に行こう。
屋敷に戻のは、夜になる。
! !
右を見ると、ウェーブさんとノロマさん。
しまネコを探していたのだと思う。
「行こう」
「ニャ~」
黒猫が返事した・・・・
ト
ヮヮヮヮヮ ・・・・・
ピピチュ