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2020年11月23日 12時35分31秒 | 黒猫のひとりごと

                ―――   

                             コト

          グッ グッ ♪

スープのにおい・・・

              ガサ  ・・・

孤児院のキッチンで、朝ごはんの準備をしてる。

他の部屋には町の人たちがもう集まってきていて、ごはんを待っているのだ。

いつもなら早起きして準備するノロマさんたちが、寝坊したみたい。

「パンがたくさん♪」

パンみたい。

孤児院の先生や子供も手伝ってる。

             ジュゥゥゥ ・・・

フライパンで小さくなった野菜が温められている。

かわいそう。

      

僕は通路を進む。

うっかりフライパンに乗せられたらいやなので、外にいるのだ。

         

                                ヒュゥゥゥ  ―――

キッチンを出れば、すぐ外にでるドア。

             キャン

ボルピノが鳴いてる。

おじいさんとおばあさんも起きていて、屋根付き通路で森を見てる。

僕らが寝ている間に雨は止んでいて、でも雲が多くてまた降りそうな風。

              コケ コッコ ~~

ニワトリがうるさい。

飼い主のレッドさんと一緒で、屋根の外に出て散歩している様。

部屋のある建物から通路は長くて、町の人がたくさんいる。

お日様は今日も元気に出てきたけど、雲がいるから隠れてることが多い。

「おはようございます」

「ああ・・おはよう」

ハットさんの声。

「ニャ~」

リフやコニもいる。

「ごはんはまだ時間がかかるわ」

「そう」

「ゆっくりでいいわ」

コニたちはごはんの準備手伝わないのかな。

「・・・」

ひとつ向こうの柱の側に、バングルさんもいた。

ほかの子供たちは手伝ってるのに、さぼってるのだ。

          

「・・・」

ドーベルマンがいた。

早起きして、朝のパトロールをしているのだ。

                   カラ  カラ

木から落ちて来た葉っぱがカラカラ転がる。

「今日は寒いわねぇ」

「雨、またふりそうね」

コニたちが空見てる。

                    ―――

音がする。

              ガゥ

ドーベルマンも気づいて、吠えた。

                           ブロロロ

車が来る。

「誰か来たわね――」

             

「誰かな?」

ロッドさんが屋根から出て、向かってくる車に手を挙げた。

止まるように促している様。

                   ブロロロォォ   ン

暗い青色の車。

後ろには荷台があって、ロッドさんが運転しているのに似てる。

           

ドーベルマンがこっちに来る。

                    ガチャ

エンジンの音が切れて、中に乗っていた人間が出てきた。

1人だけ。

「・・・・」

長袖だけど上着は来ていなくて、寒そう。

ずいぶんひげが伸びていて、疲れている様子。

「どこから来たの?」

一番近くにいたレッドさんが、話しかけた。

                   ――  

ニャ

手に銃を持ってる――

                  まぁ!

         キャン

             

「お前は下がれ――」

銃をロッドさんに向けて、もう片方の手でレッドさんを掴んだ。

「ああ――!」

「コケ!」

ひげが銃をレッドさんの頭に向けたのだ――

「何か食うものを持ってこい」

「――落ち着け」

「近寄るな!!」

またロッドさんに向けた。

               なに?

                        ――  ガャャ

     ガゥゥ

後ろの屋根通路の人たちが、ざわざわしてる。

      コ コ

「なんでもいいから持ってこい!」

「――いま食事の準備をしているんだ・・・少し待ってくれ」

ロッドさんが後退しながら、話してる。

レッドさんを人質にして、なにか要求しているのだ。

         マロックさんたちはどこかね?

       ―――

ハットさんたちがこそこそ話してるのが聞こえる。

「ニャ~」

「?」

ひげがこっち見た。

  コケ

「うまそうなチキンがいるじゃねえか・・・こいつを揚げてこい――」

「――ああ!!」

「コケ!」

僕じゃなくてニワトリ見てるのだ――

「この子は私の大事な家族なのよ・・・許して」

「うるさい早くしろ」

ひげがニワトリ見て叫んでる。

から揚げにするつもりなのだ!

「ニャ~」

逃げて――

「コケ!」

レッドさんが捕まって、ニワトリは抗議してる。

                  ―――

通路からは悲鳴も聞こえる。

      ―――

チラッと見ると、おばあさんは通路に座ってしまっている。

銃が怖いのだ。

リフは、コニやハットさんの前にいる。

                   ―――

そろそろ来ると思った男の足音がする――

         ――  ザッ

僕は大きく左に跳ねる――

「――――」

ひげがこっち見た。

                  タン  ――

「あ!」

後ろ見ると、通路の人の間から男が跳び出した――

            

「なんだお前――」

       ―――  ガァ  ァ

                         ―― 

                              ―― 

            ドサァァ ――

ひげが地面に倒れた。

                     ガタン

そして、少し離れた場所に銃が落ちた。

           !?

         !          

「もう大丈夫ですよ」

男の攻撃と同時に地面にへたり込んだレッドさんに、何か言った。

                            ヒュルルルル ・・・・

男の手には、木の剣。

たぶん、朝の練習をしていたんだと思う。

           ダッ

                     マロックさん ――

ガードさんと斧さんも出てきた。

         タッ

地面に落ちていた銃を、ガードさんが拾った。

「彼は?」

「食べるものを要求してました・・・」

      ガゥ

                          ザヮ  ザヮ

            ―――

通路の人たちが、ざわざわしてる。

みんな驚いている様子。

「・・・・」

    

男が来た方に去る。

斧さんとガードさんが来たから。

                     ―――

           ・・・・

たぶん、男が一度に2回攻撃したように見えたので驚いているのだ。

たまに練習しているから、僕は知ってる。

銃を持つ手を下から打った後、すばやく頭を横から打ったのだ。

一振りの様に攻撃するから、通路の人たちにはよくわからなかったみたい。

上から振り下ろしてからあれをやることもある。

レッドさんにあてずに、上手く攻撃したのだ。

「ありがとう」

リフの手を持っておばあさんが立ち上がってる。

「今のはどうやって・・・?」

「やっぱり彼はニンジャなのね」

「――――」

ハットさんが頷いた。

「!」

リフも驚いているみたい。

「まぁ」

「うふふ」

「教授、それは違うよ・・・」

「?」

ハットさんたちが、おじいさんを見た。

「あれは、ブシのワザだよ」

              !?

「ブシ?」

「・・・サムライの事ね、おじいさん」

                    !!

おや。

いつの間にか近くに来ていたバングルさんが、リフたちの後ろで驚いてる。

「しかし・・・もう、彼らはいないと聞いているよ」

「あの剣の速さを見たでしょう」

「・・・・」

「教授、サムライって?」

ハットさんまで驚いてる。

           コケ ♪

ニワトリの声。

「ニャ~」

たべられなくてよかったね。

「マロックさんが森に行くよ・・・追ってみよう」

         ザッ

ハットさんたちが屋根から出る。

男を追うみたい。

「・・・・」

僕が見ると、バングルさんが気づいた。

    

何も言わずに、ハットさんたちを追って行く。

「・・・」

僕も行こう。

森がゆれてる。

冷たい風が吹くから。

飛んでいく葉っぱもいる・・・・

            ジャリ

                               ゥゥゥゥ  ―――――

        キャン

      


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