空から

2019年01月28日 01時57分14秒 | マーロックの日記

                                                    タァン

               タ  タ

銃声・・・

トロッコ駅の方から。

音は減っているけど、どうなっているだろう。

         

「・・・あれか」

「ァゥ」

キャンピングカーが見えた。

廃墟の西側に向かう途中で、ニャッティラが斧さんを見つけた。

さらにコニたちも見つけて、そこにいたポールさんの指示でツイードたちを追っている。

二人と言っていたから、もう一人はローガだろう。

                              ロロロロロ  ・・・・

エンジンの音。

すでに運転席に人がいて、でも車は動いていない。

フェルトが戻ってくるのを待っているのか。

                ダァン

「!」

後ろ――

            タッ

                     バァン

バランスを崩していた斧さんが蹴られたけど、両腕で防いでる。

「―――」

ローガ。

杖を引く――

          ――――

                              ギィィン

斧さんの棒を奪ったローガが打ってきた。

杖で打ち返したけど。

「あいつは戻らないぞ」

そこに隠れていたらしい。

キャンピングカーに乗っているのは、ツイードらしい。

ローガの奥で、斧さんも立ち上がった。

大丈夫そう。

「そう」

しゃべった。

                    ―――――

                                   ギィン

            ギィン

                                            ォォォオオオ  ン

エンジン音が来る――

            タッ

                     ザァァァァァァ  ―――――

私の方に突っ込んできたキャンピングカーは、ギリギリの辺りで後輪をスライドさせて止まった。

「乗れ」

ちゃんと閉まっていなかった家部分のドアが開いてる。

       タ ―――

ローガが乗る。

ツイードは銃を持っているだろうけど、こっちには向けてこない。

「このまま帰るのか」

「・・・・」

下がった窓から、こっちを見てる。

「財宝がほしかったんだろう」

ツイードはトレジャーハンターらしい。

「それ以外にも価値のあるものはある」

                       ガラン

「これはかえす」

ローガが斧さんの棒を地面に落とした。

「お前らとは目が違う」

                            ブォォォォン

後輪を滑らせて向きを変えていたから、そのままキャンピングカーが走り去る。

                                            ォォォォォ  ・・・・・

「・・・戻ろう」

「ァゥ」

私が車をよけるために蹴った地面の跡に、タイヤの跡が重なってる。

よけなければ、少しぶつかられていた。

上手く滑らせたな。

             

少し北東方向に行くと、ポールさんやフェルトがいる。

コニとリフも。

斧さんが自分の棒を拾った。

                ダッ

走る。

ここからそう遠くない。

                 ピピピ

ツイードは、少し笑ってた。

この辺りの廃墟をウロウロしていたみたいだから、ほかにも何か見つけたのかもしれない。

100年以上前のものが、置きっぱなしになっている。

      

それか、コニの事なのかもしれない。

                                             ―――――――

音がする。

「ァゥ」

空から。

「・・・・」

ヘリコプターが見える。

「やっと来たな」

「ァゥ」

誰かが、助けを呼んでくれたらしい。

よかった。

     

建物の屋根の上を、小鳥たちが飛んでる。

それよりずっと高いところにも、大きい鳥がいる。

もう霧は晴れていて、空もよく見える。

いい天気・・・・

                  

                                               ゥゥゥウウ  ―――

                                          ピィィィィ


流れる様に

2019年01月19日 09時20分01秒 | 黒猫のひとりごと

                                                          ピィィィ

                                                 ゥゥゥウウ  ・・・・・

             

空が青い・・・

いい天気である。

フェルトたちと出会った僕らは、古い家の前で待ってる。

ローガとツイードが、屋根から下りてくる。

何度も銃を撃っていたけど、もうやめたみたい。

       

「・・・まだいたのか」

「全員で動いた方が安全だろう」

「そう・・・」

         

二人が下りてきた。

「みんなだいじょうぶそう?」

「・・・ここからじゃわからない」

「行こう」

「うん」

「・・・・」

屋根から下りてきた2人が歩き出した。

「安全になったら、2人は帰すよ」

「・・・はい」

フェルトとリフが話してる。

「パパは?」

「・・・捕まらないといけない」

「・・・・」

            

リフとコニも、フェルトと一緒に付いていく。

     

僕とレトリバーも、歩く。

「ピョ」

レトリバーの頭に、小鳥がのってる。

「今までどこにいたの?」

「キャンピングカーに泊まって、コニたちのトランシーバーの会話を聞いていたんだよ」

「・・・盗聴ね」

              ジャリ

「クゥン」

おや。

ツイードたちが止まってる。

「あ、刑事さん」

その先に、ポールさんがいる。

手に、短い銃。

「・・・・」

ツイードが、こっち見た。

       

手でコニとリフをとめて、フェルトだけ歩いてく。

「2人は無事です」

「パパが助けてくれたのよ」

「そう」

ポールさんの銃は、こっち向いてる。

「銃を置け・・・もういいだろう」

       

「俺は残る・・・お前たちは行け」

「・・・わかった」

「じゃぁ」

         

「動くな」

ツイードとローガが、向きを変えて建物の壁の向こうに駆けていく。

ポールさんが何か言ったけど、そっちに向けた銃は撃たない。

「少しだけ時間をください」

フェルトが、ポールさんの銃の向いた方に立った。

「あの2人を逃がすのか」

「はい」

「コニは助かった・・・これ以上罪を重ねるな」

ポールさんとフェルトが話してる。

「パパ、もう捕まって」

また、コニに目に涙。

「・・・・」

フェルトに声をかけたようだけど、反応はない。

                   ガタ

ポールさんが銃を地面に置いた。

「銃を置け・・・お前を撃ちたくはない」

「・・・・」

                 ゴト

フェルトも、腰にあった銃を地面に置いた。

すでにコートを着てないポールさんは、硬い服を外してる。

              ボト

それも地面に捨てた。

             ダッ

ポールさんが跳ねた――

                          ダァン

「!」

フェルトを蹴った。

腕で弾かれたけど。

               ゴン

                              ダァン

フェルトとポールさんが戦ってる。

「ニャ~」

フェルトは、僕らを助けてくれたんだよ。

僕は、ポールさんに教える。

                ダァン

二人とも動きが速い。

腕や足が何度もぶつかってる。

              ダン  ダン

                        ダァン

ポールさんのお腹に、フェルトの攻撃が何度もあたった―――

    シュッ

思わず、僕の左前足が空を切る。

                     ドン

「―――」

         ガサ

さらにお腹を打たれて、ポールさんが片方の膝を突いた。

・・・苦しそう。

     

「パパ、もうやめて!」

コニがポールさんの所に行く。

フェルトがこれ以上攻撃しないように、盾になっているのだ。

「・・・・」

フェルトが、リフの方を見てる。

「・・・・」

リフが、持っていた短い銃を向けてる。

「銃を置け」

ポールさんもそっちを見て、何か言った。

                          ガゥゥゥ

ニャ

「?」

「?」

「あ、あのイヌ」

ドーベルマンがまた来た―――

                    ドォン

                                 ザァァァァ

「キャン」

ドーベルマンが横に飛ばされて、転んだ。

「ミャ~ゥ」

ニャッティラがいる。

体当たりして、ドーベルマンを転ばしたのだ。

ドーベルマンは、ひっくり返ってシッポ振ってる。

「ニャッティラだわ」

足音が2人。

「・・・・」

「ァゥ」

左の壁から、男と斧さんも出てきた。

「あ、マロックさんも来たわ」

「・・・マロックさん」

駆けるのをやめた男が、歩きながら僕らを見てる。

「ツイードの奴が逃げた・・・追ってくれ」

ポールさんが男に話しかけた。

まだ、苦しそう。

「2人を追うのはあきらめてください・・・私は逃げませんから」

フェルトは男の方を向いた。

「パパ、もうやめて」

「・・・・」

「私、ママにパパのこと頼まれてるんだからね」

「・・・あの手紙なら、昔コッソリ読んだよ」

「え」

「あの2人は、俺が困っていた時に手を貸してくれた・・・今裏切ることはできない」

「・・・・」

「無事でよかった」

男が、コニとリフを見てる。

「・・・マロックさん、パパを捕まえて」

「わかった」

                ――――

男が輪から杖を引いた。

斧さんも棒を持っていて、でも後ろで待ってる。

「マロックさん・・・もうあなたたちとは争いたくはない」

                ギィン

男が杖を捨てた。

「俺はコニの味方だ」

              ―――  タ

                                ダァン

「―――」

いきなりフェルトを蹴った――

                

                        タン  タン

                                         ダァン

男がフェルトを攻撃する。

すばやく、滑らかに動いてる。

               ダダン

                             ダァン

腕や足がすばやく動くけど、男の攻撃だけフェルトのお腹にあたる。

                    ダァン

「!」

                               ドン

頭を蹴った足を腕で弾いたフェルトのお腹を、男がそのまま手で打った―――

                                          ドスン

「――――」

さらに左足でお腹を刺すように蹴った。

            タ  ・・・

さっきのポールさんみたいに、フェルトが足を曲げて膝を突いた。

「・・・・」

苦しそう。

「パパ」

               カラ

男が杖を拾った。

「追うぞ」

「ァゥ」

「向こうだ」

「・・・・」

ポールさんが、ツイードたちの去った方を指した。

            ダッ

斧さんと一緒に、男がそっちに走り去った。

「パパ・・・だいじょうぶ?」

「・・・うん」

コニは、今度はフェルトの所に駆けた。

「ひどいわ、あんなに何度も」

「頭を蹴ればすぐだったろう」

「・・・大丈夫ですか」

立ち上がったポールさんを、フェルトが見てる。

「でも、そうしたくなかったんだろう」

「・・・・」

「・・・・」

     

「あっちはどうなってる」

「・・・直に助けが来るでしょう」

「お前が呼んだのか」

「いえ・・・ただ、誰かがあなたたちのトレーラーに向かっていました」

         ドサ

少し歩いて、ポールさんが銃を拾って座った。

硬い服も拾って、また着るみたい。

「パパが負けたの初めて見たわ」

コニは、フェルトのお腹を撫でてる。

「彼は・・・何者なんです」

「・・・・」

リフも、僕らの方に来る。

もう、銃は向けてない。

「・・・ニンジャらしいな」

「ああ・・・」

「そうなの?」

「!!」

もう戦わないみたい。

「ニンジャを知ってるの?」

リフが、コニに話しかけた。

「?」

「キャン」

ドーベルマンはまだシッポを振っていて、ニャッティラがにらんでる。

「あなた、私をかじろうとしたでしょ」

「キャン」

リフには返事せず、コニはドーベルマンに話しかけた。

「ピョ」

あの揺れ続けるシッポを、踏んづけに行こう・・・・

        

                    パタ タ

                                             ゥゥゥウウウ  ・・・・・


ネコの前足

2019年01月13日 22時45分14秒 | マーロックの日記

                                              タァン

                   ――――

銃声・・・

トロッコ駅から。

どっちに撃ったんだろう。

駅のある建物の近くまで来た。

3方向から撃たれて、危険を感じた連中が逃げ出すかもしれない。

誰か捕まっていないか、確認しに来てる。

グリも一緒。

もしも一緒に連れていかれそうになっていたら、拳銃でトラックのタイヤをパンクさせる。

そうでないなら、見てるだけ。

水は引いている様なので、みんなで大タープに戻って次に備える。

財宝の金は、一度どこかに隠しておくのがよさそう。

あの量を運んでいては、時間がかかる。

                                 ピピ

                                                      タァン

また音がした。

「?」

       パタ タ

「・・・・」

おや。

ニャッティラが動いて、私たちの注意を引いている。

西の方。

少し離れて、呼んでいるみたい。

「・・・ここは俺が見てるよ」

大きな耳のネコだから、何か聞こえたのかも。

「うん」

        カタ

「・・・・」

グリは拳銃を持っているけど、私が奪った拳銃も渡す。

   

ここはグリに任せて、私はニャッティラの方に行く。

                 ト     ト

やはり来るのを待っていたようで、ニャッティラはすぐに移動し始めた。

 廃墟の西側に向かってる・・・・

            ト    ト

                                               ゥゥゥウウウ   ・・・・・

                                            タァン


2019年01月07日 00時49分09秒 | マーロックの日記

                                             タァン

                                                       タァン

銃声・・・

音の大きさは、違うものがある。

「みんな駅に集まってるみたい」

グリが戻ってきた。

「・・・うん」

ヘテロは、私が渡したライフルを持ってトロッコ駅の方を見てる。

廃墟の南側、教会の上にいる。

この建物自体は頑丈なつくりではないけど、塔の部分がコンクリートでできてる。

厚さもあって、これならライフルの弾も止まるだろう。

「二人は捕まってはいないみたいだよ」

「うん」

私も様子をみていたけど、グリはしばらくトロッコ駅がよく見える位置から確認していたみたい。

           ガタ

やや斜めの屋根を、下りる。

「・・・俺も行くか」

「いい」

ブラウが言ったけど、断る。

       

箱とかを積んで、教会の屋根に上れるようにしてある。

そこを、下りていく。

跳び下りても大丈夫な高さではある。

                                                       タタァン

水汲み場にいたポールさんたちは、みんなうまく逃げているみたい。

銃声やトランシーバーの会話から異変に気付いたヘテロとブラウは、水の引いていた川を渡ってこっちに向かっていた。

グリはその2人と偶然出会って、そこに私が通りかかった。

     

私が気絶させた2人が発見されたのか、30分くらい前から坑道の土壁が激しく撃たれている。

そして少し前から、南西の方角から別の銃声が聞こえる様になった。

たぶんポールさんが、そっちから撃っている。

ライフルは、グラスの誰かから奪ったのかもしれない。

おそらく、もうこの周囲にサングラスの連中はいない。

みな、トロッコ駅に戻っている。

南西からの銃声に危険を感じて、ボスグラスのいる場所に集まっているんだろう。

トロッコ駅の壁では、弾を防ぐ盾にはならない。

連中が逃げだせば、それでいい。

                              タァン

・・・ヘテロが撃った。

南側にいるヘテロたちが撃ち始めれば、トロッコ駅は3方向から撃たれる状態になる。

私は駅に近づいて、様子を見る。

すでにコニとリフが捕まっていた場合、一緒に連れていかれないようにしないといけない。

斧さんもどこにいるか分からず、ポールさんも捕まっている可能性はある。

その場合、別の誰かが南西から撃っていることになる。

連中の乗ってきたトラックは、駅の東側にある。

ここから、そう遠くない。

ヘテロたちに反撃しようと連中が出てくるかもしれないから、通りを一つずらして接近する。

    

もう1台のトラックがどこかにいるはずだけど、わからない。

大タープの方に向かってはいなかったようである。

「・・・」

ニャッティラは、私に付いてくる。

                                    タタァン

                                                         タァン

連中はトロッコ駅に集まっているようだけど、誰か外にいるかもしれないから警戒はする。

           

連中は犬も連れてきていたし。

このまま北に向かうと、水汲み場がある。

トラックは、その先。

                 

地面には小鳥たちがいる。

近くにイヌがいれば、あの小鳥たちは飛ぶだろうか。

              

「・・・・」

後ろ。

グリだ。

付いてきてる。

ニャッティラの耳は、よく動いてる・・・・

            

                                        タタァン

                                                 ゥゥゥウウ  ・・・・