透明な傘

2019年10月31日 14時51分43秒 | マーロックの日記

              ニャ~

                                 ―――  ァァァァ

                   ―――

目を開く・・・

「ニャ~」

イスの横に黒猫がいる。

座ってこっちを向いていて、鳴いた。

「・・・・」

バスに揺られて眠ってしまった様。

瞬きをした黒猫の頭が、動いてる。

・・・外は暗い。

バスは止まっている。

           

「今夜はここで泊まることになったよ」

バスの前の方からハットさんが歩いてきた。

「そうですか」

               ミャ~

ネコの声。

バスで遊んでいたネコたちを、トレーラーに移動させるために捕まえようとしているみたい。

「・・・」

黒猫は、私の横で座ってる。

まだぼんやりするけど、外に出よう。

荷物はトレーラーにある。

スーパーで買ったものなどが、少し大バスにもある。

だけどそれは置いて行こう。

「・・・・」

雨か。

窓に少し水滴。

外がとても暗く感じたのは、そのせいらしい。

      トコ

                   ト   ト

私が立ち上がるのを待っていたらしい黒猫も、来る。

バスの真ん中よりも、少し前のイスに座っていた。

最後尾の辺りでにぎやかだった女性たちはもういなくて、バスの中はネコとハットさんの音が聞こえる。

      トコ  ・・・

後ろを見ると、イスの背もたれにトラネコがいる。

捕まえようとするハットさんと、遊んでいる様。

         カタ

「・・・・」

運転席にはノッポさんがいて、寝てる。

   トン

声をかけることはせず、外に出る。

最後に、ハットさんが起こすだろう。

                        ―――――

                                  ァァァァ   ン

海の音。

        

「・・・・」

雨はそれほど強くはなく、傘は必要ない。

ただ空に星はなく、とても暗い。

目的の孤児院のある町には、明日には着くだろう。

この辺りには人の家はないみたい。

道路の近くだとは思うけど、車が走る音もしない。

トレーラーの明かりで、足元は分かる。

         

「起きたんですね」

クラゲ傘。

エレガントさんがその中にいて、こっちに向かってくる。

手に別の傘を腕にかけているから、バスに運んできてくれたよう。

「ニャ~」

「一緒に行こうと思ったんですけど、ネコさんマロックさんの横から動かなかったんですよ」

少し体をかがめて、黒猫を見てる。

        

私は歩く。

「俺はいい」

エレガントさんが傘を渡そうとしたけど、断った。

             

空気が冷たい。

老夫婦の屋敷の街は暖かかったのに。

だいぶ北に来たのもあるけど、もともとこのそういう季節。

トレーラーに行けば、コートもある。

              ニャ~

後ろから黒猫の声。

撫でられているのかも。

ブルゾンのポケットを探る。

「・・・・」

腕ライトがない。

荷物の中に入れてしまっているらしい。

少し周りを歩こうかと思ったけど、トレーラーの中に入ろう。

           

今着ているブルゾンはコットンナイロンなので、多少の雨は弾く。

ポリエステルとナイロンのも持ってきた。

あっちなら、強い雨でも平気。

「・・・・」

寝起きだから、つめたい風が寒い。

    

後ろを見る。

黒猫が来ない。

エレガントさんはバスの方に向かっているから、どうやら抱えられたみたい。

     ジャリ

クラゲ傘から揺れるシッポが確認できたので、前進することにした。

               カチャ

ドアを横に動かす。

トレーラーの牽引車も、少しスペースがある。

だけどそっちではなくて、家部分のドア。

         

「ガゥ」

中に入るとあまり広くはない玄関で、そこにドーベルマンがいた。

廊下部分で横になっていて、くつろいでいる。

           チュ

マヒワもいる。

1階の後部は広めの部屋があって、エレガントさんやノロマさんたち女性が、そこを使ってくれる。

2回にも小さな寝室がいくつもあって、私の部屋はそこ。

         カタ

スリッパを履いて、廊下に行く。

「チュ♪」

マヒワが床にいるから、足が当たらないように注意して。

     パタ

このまままっすぐ行ったキッチンから、にぎやかな声。

食事の準備をしてくれているのだと思う。

キッチンの奥からも2階に行けるけど、玄関側からも行ける。

     ―――

とりあえず2階に向かう。

トレーラーには排水を処理する装置が備えてある。

発電機もあって、中は快適に過ごせるようになってる。

ブラウ達は自分たちのキャンピングカーで来ているけど、そっちの排水もこのトレーラーの装置で処理できる。

かなり高価な車だけど、老紳士が買い取ってくれた。

私は、木の階段をのぼる・・・・

                 パタ

                                 ―――  ォォォォォ

                         


木製

2019年10月22日 14時28分02秒 | 黒猫のひとりごと

                  ブロロロロロ  ・・・・・

                                    

「・・・」

リスが丸い木のかたまりを持ってる・・・

木の実っぽい形だけど、あれは食べれない。

大バスに乗ってずっと移動している。

後ろの長いすでコニたちがしゃべってるから、暇なチワワがひとつ前のイスに来ているのだ。

イスの上にはポメラニアンとシロネコがいるから、床にいるけど。

僕はさらにひとつ前のイスの背もたれから、見てる。

リスは木の実の模型を持って、ポメラニアンに近づいているのだ。

あれで、ポメラニアンの鼻に一撃しようとしているのだ。

僕やチワワは、みんなたたかれているのだ。

シロネコとミニ2匹は、まだ。

「キュ♪」

シロネコの横で寝ていたポメラニアンは、さっき目覚めた。

どっちもフサフサしていて、横に並んでいると暖かそう。

少しづつ近づくリスに気付いていて、模型を見てる。

本物の木の実だと思っているのかもしれず、それをプレゼントしてもらえるのだと期待しているのかもしれない。

「――」

リスが木の実模型を高く掲げた――

「・・・」

ちょっとポメラニアンから離れている。

「・・・」

シロネコが見てるからなのだ。

「キュ♪」

模型を持ち上げたリスは動きをとめて、チャンスをうかがっている。

「キキ・・・」

ポメラニアンと一緒に、シロネコもリスを見てる。

      ――

リスが少し後退した。

「ニャ~」

がんばるのだ――

                      ―――

                                 パチン

僕の方に飛んできた模型を叩く――

「キキ」

            タ   タ

      コロン

リスは去った。

思わず僕の方に投げた木の実模型は、ネコパンチで弾いた。

「クゥ」

ちょうどチワワの近くに落ちたから、チワワがタッチしている。

リスの挑戦は、失敗したのだ。

「キュ♪」

ポメラニアンは、そのままごろりとなった。

くつろいでいるのだ。

僕は背もたれからシッポをたらす。

シロネコがいなくなったら、ポメラニアンを連れて耳ネコの所に連れて行く。

一緒にトレーニングするのだ。

それまでは、窓見てよう・・・・

                        ブロロロロロ  ―――――

                  ――  


青い

2019年10月15日 14時37分53秒 | マーロックの日記

                  ブロロロロロ  ・・・・・

                                    ―――   

鳥が動く・・・

窓の外。

海に近い道を走っていて、似たような景色が続いてる。

「ミャァ」

私はイスに座って、耳ネコを捕まえている。

だいぶ大きくなって、シロネコも常に側にはいなくなった。

ポメラニアンと一緒に遊んでいることが多いけど、たぶん今寝てるんだろう。

バスの通路やイスの下をウロウロしていた。

私を見つけた耳ネコは、イスに上ってきた。

それで掴んでいる。

両手で挟むように掴んで、少し浮かせている。

折れた耳が少し動いている。

後ろ足を少し伸ばして私の膝にのせていて、左を向いて窓を見てる。

楽しそうにしているから、ジッとつかんで浮かせてる。

しまネコや黒猫たちと違って、活発に跳ねたりはしないネコ。

シロネコもそうで、のんびりしているのが好きらしい。

黒猫と比べると、小さなネコ。

「・・・」

左を見ていた耳ネコが、さらに頭を動かして私を見てる。

「・・・・」

耳ネコの足が膝から離れてる。

うっかり、浮かせすぎたらしい。

     

私は手を少し下げて、また後ろ足が膝にのるようにした。

「♪」

耳ネコは、また窓を向いた。

     ゴロ

横にして手を離す。

「ミャ~」

鳴いた。

         パタ

シッポが動いたけど、自分で起き上がって窓の外を見には行かない。

「・・・・」

私は窓を見る。

海と空の境目辺りには、雲がある。

                           ―――  

バスの後ろはにぎやか。

今日は、ずっとバスで移動する。

長い道を、バスは走り続けている・・・・

                       ニャ~

                           ロロロロロ  ・・・・・

               ――


ネコとタイヤ

2019年10月08日 15時03分35秒 | 黒猫のひとりごと

                                        クァーー

                 ブロロロロ   ・・・・・

「♪」

上見る・・・

人間たちがなにか食べてるのだ。

朝に食べ物を買った後、僕らは大バスで移動していた。

ここは大きな駐車場で、休める様にお店もある。

僕らも休憩しているのだ。

コニやノロマさんは、クレープとかを買って食べているのだ。

まるいアイスが積んであるのも見える。

下側はコーンだけど、上だけ見るとお月様みたい。

「ニャ~」

まだお昼だけどね。

「?」

バレッタさんがこっちみた。

「お腹すいたの?」

しゃがんだ。

「ニャ~」

僕はいらないよ。

「これはあげないからね」

       

頭を撫でようとしたので、避けて去る。

                 

チワワも外に出ていて、お日様の照らす場所で丸まってる。

お屋敷は朝から暖かかったのに、ここはすこし冷たい風。

ポカポカ照らされて、温まっている様である。

お店の中でも食べれるみたいだけど、バレッタさんたちは外に持って来て食べてる。

                                        クァーー

空は青く、雲は少し。

海は近くて、鳥も飛んでる。

しまネコたちはバスの中にいるけど、僕は外に出て散歩しているのだ。

僕は来た方を振り向いて、お月様アイスを見る。

かじれば半分の形になりそうなのに、まだまるいまま。

バレッタさんもたべるのが遅いのだ。

「ニャ~」

指摘する。

それで素早く食べるわけでもないと思うので、僕は前を向く。

タイヤにネコタッチしよう・・・・

                                     クァーー

                ブロロロロ ・・・・