つめたいスプーン

2020年07月29日 12時43分36秒 | 黒猫のひとりごと

                          ピィィ

                                ゥゥゥゥ  ・・・・

      ソョョ

草がゆれる・・・

水の粒は付いていなくて、軽やか。

      ピョ

「・・・・」

男が上見た。

灯台に来たのだ。

孤児院から坂を上ってきた。

遠くない。

                          ザヮヮヮ  ―――

風が強くて、お日様がよく照らす。

パネルが置いてあって、ポカポカ照らされている。

充電してるみたい。

知ってるのだ。

あれで機械が元気になる。

「ここにしよう」

     ガタ

木箱を置いた。

男が持ってきたもの。

イスにするみたい。

反対の手には、ゼリーと金属のスプーン。

僕らはさっき、おじいさんとおばあさんの家らしい所に行ってきた。

斧さんと男が、リュック一杯に入れた荷物を運んできたのだ。

おじいさんとおばあさんの家から、いろいろ持ってきたみたい。

             ぺリ

フタがはがれる音。

僕はそれがよく見える位置に移動して、見る。

トレーラーのキッチンから、こっそり持ってきたのだ。

誰にも見られてない。

「ピョ」

鳥以外には。

冷蔵庫じゃなくて、冷凍庫の奥に手を伸ばして取っていた。

ゼリーは冷蔵庫に入れておくと、プルプルしてる。

でも、男の手にあるのは硬そう。

うっかり入れる場所を間違えたわけではなさそう。

意図的にカチコチにしたのだ。

     シャリ

                パク

たべた。

「・・・・」

おいしそう。

            シャリ

「・・・」

僕もほしい。

       ピョ

                  シャリ シャリ

金属のスプーンで、削ってたべてる。

凍ったカットパイナップルが出てきたのだ。

       ポコ

それをスプーンにのせた。

僕は頭を向ける。

               パク

男がたべた。

                            ヒュゥゥゥ  ・・・

         ソョョ

「ニャ~」

僕もほしいのだ。

「・・・・」

              ――

男が、木箱イスの横にあるコンクリートの上にフタを置いた。

       

僕は前足でそれを押さえる。

風で飛んでいかないように。

             ポト

すると、冷凍みかんが落ちて来た。

「♪」

うれしい。

        シャリ

かじる

           シャリ

ひんやりしておいしい。

                     ピョ

         シャリ

   ぺロ

                 パク

「ニャ~」

みかんおいしい。

「ピョ」

                             ザァァ  ――  ン

ここから、海が見える。

きっとお魚がたくさんいる。

巨大マグロは黒雲の上だと思うけど、今日は白雲。

空と海も青い。

      パク

凍ったみかんが無くなっても、僕はフタを押さえておく。

風で飛んでいかないように。

最近男は画面で本を読むから、本が閉じないように僕が押さえておいてあげる必要がないのだ。

ジッとフタを押さえておく・・・・

                  シャリ

                                ゥゥゥゥ  ――――

           ピョ ♪


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