雨の下で

2009年07月29日 15時10分57秒 | 黒猫のひとりごと

ゴォォォォォ・・・・・・ン    ・・・・・・          ゴロロロロロロロロ・・・・・・・・・・・

・・・・       ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・さっきから、ずっと雨が降っている。

ものすごい勢いで、おかげで暑くなくなった・・・・

チャチャチャチャチャ・・・・・・          ・・・・・・・・・・・・・

男がご飯を炊いていた焚き火穴は、すっかり水たまり。

僕はそこにシッポを浮かべて、左に右に、ゆっくりと動かしている。

ピカピカと雷が光っているけど、最初に大きく返事しておいたので、いじけてやってくることも無いのだ。

・・・耳を動かしてみる。

左側を向く・・・・・

ここから、車が見える。

中にはガードさんとマッチョさんが乗っていて、密談してる。

ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・          クゥゥ・・・・・         ・・・・・・・・・・・ァァァァ・・・・・・・・・

・・・・おや。

雨音の中に、かすかにチワワの鳴く声・・・・・

僕は正面を向き、少し右の方を見る。

すると、チワワがいた。

背中には、子ネコを乗せている。

ゴォォォォォォ・・・・・・・・ン     ・・・ゴォォォォ・・・・・      ・・・・・・・・ン

        ・・・・・・・・・・ザァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ニャー

僕は、おどろいたのだ。

チワワが・・・僕の助けなしに、ノロマさんたちの手から逃れてきたのである!

・・・・・子ネコなんて・・・ずぶ濡れのチワワの上に、4つの足を伸ばして凛々とたたずんでいる。

チャチャチャチャチャ・・・・・・・・

・・・・2匹は、僕のシッポの動きに注目しているようだ。

チャプン―――

僕は、シッポを水の中にいれ、少し勢いをつけてはね上げた・・・・・

「・・・・・・ニャ・・・ニャー」

一緒に行くかい?

「・・・・・クゥー」

「ミャ~ォ」

ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・               ゴォォ・・・・ン・・・・・・・・     ・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・2匹の意思を確認した僕は、立ち上がる。

そして、さらに激しさを増した雨の下、歩き出す。

シッポを立てて・・・・

後ろには、子ネコを乗せたチワワ。

・・・・右手には、男のテント。

テントの表面には、動き回る光が確認できる。

おそらく中で、男がライトを動かしまわしているに違いない。

ニャ・・・

左ずっと奥から、誰かが見ている。

・・・・あれは・・・斧さんのテントである。

ちょこっと顔を出して、見ているようである。

・・・・・斧さんを誘うのは、やめておく。

ピカピカ・・・    ゴロロロロォォォォォォ・・・・・・・・・       ・・・・・・・・・ン

        ・・・・・・・・・・・・・・・ァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ノロマさんたちの中に入った、大きなテント。

僕らは、その前を堂々と歩き去る。

・・・・・・ニャ

再び僕は、すばやく左手を見る。

・・・・・シャープさんのテントの中から、シャープネコがちょこっと顔を出して、見ている。

ニャー・・・・・            ・・・・・・・・・ザァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・               ァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・この雨である。

声は届かないと分かっていたけれど、僕は鳴いておいた。

・・・・・少し後ろを見ると、頼もしいチワワと子ネコ。

正面に向き直れば、もう樹が見える。

おや・・・・・

また、根っこにヘビがいる。

「ニャー」

    ・・・・・・・・・・・    シュルシュル・・・・・・・・・  シュシュル・・・・・・・・

去った。

   ――――トン

僕は、ヘビのいた根の上に跳び乗る。

少しブルブルして、後ろを見る。

「・・・・・・・アゥ・・・・」

おや・・・斧さん。

カッパを着てる。

「・・・・・ニャー」

来てしまったんだね・・・・・

・・・・・しょうがないのだ。

僕はシッポで、付いてくるように斧さんに伝える。

「・・・・ァ・・・ァゥ・・・」

おや。

斧さんは、僕を連れ戻しに来たらしい。

「・・・・ニャー」

ムダだよ・・・・

僕らは、子ネコにダンス先生である鳥に会わせなければいけないのだから・・・・・

斧さんが、ちゅうちょしている。

「ニャー」

もう行くのだ!

「ァゥ」

すると、付いてきた。

ビュォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

          ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・

空のずっと上のほうで、とても大きな風の音・・・・・

斧さんはカッパを脱いで、木の根の間に挟みこんだ。

「ニャー・・・・」

要らないんなら、着てこなければいいのに・・・・

・・・・そうは言ったものの、森の中ではだいぶ雨粒が減るからだということは、知っている。

パチッ・・・・

斧さんはチワワから子ネコを離して、手のひらに載せた。

・・・・まあ、チワワは遅いから、丁度よかった。

そして、僕らは雷の鳴り響く森の中へと入った・・・・・・・

ゴォォォォォォ・・・・・・・・・・・ン              ・・・・・・・・・・ァァァァァァァァァ・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・             ザァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・

   チャッチャッチャッ・・・・          ・・・・・・・・・・ァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・


強い雨と風

2009年07月28日 13時25分34秒 | マーロックの日記

ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・              ァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・夕食後に降り始めた雨は、勢いを増してきている。

風も強く、発達した低気圧が近くに来ているようだ。

もしかしたら、サイクロンなのかもしれない・・・・・

・・・・・私は、自分のテントの中にいる。

雨粒がテントを叩く音が、四方から聞こえてきて、にぎやか。

仰向けに寝転がって、しばらく音を聞いていた。

カチ・・・

・・・ライトを点けると、明るい。

ネコ時計を見ると、もうすぐ9時。

・・・・少し寒い。

テントの下に水が入ってきていて、温度が下がっているのだろう。

ジィィィ・・・・

起き上がって、テントの扉を開ける。

ビュゥゥゥゥゥゥゥゥ――――――――        ・・・・・・・・・・・ァァァァァァ・・・・・・

・・・・            ザァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・ここは、3方を木に囲まれている。

坂の下の小屋に向かう道と、車の出入りするデコボコ道以外は、森に囲まれているのだ。

それが風を、防いでくれている。

・・・・それでも風は強く、少し顔を出しただけで、ぬれる。

私のテントは、出入り口に屋根が付いている。

ポール2本で張っているのだけど、風にあおられると危ないので、畳んである。

ポールはテントの中に入れて、重りにしてる。

・・・・テント自体はしっかり張ってあるので、中に風が入らなければ、大丈夫だと思う。

ゴォォォォン・・・・・・                   ・・・・・・・・・・・・・・ァァァァァァ・・・

・・・・・・・・・・           ・・・・・・・・ァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・雷だ・・・・

いい音。

右の方に大きなテントがあって、その中には女性3人がいる。

・・・こんな暴風雨に合うとは思わなかったけど、丁度よかった。

その近くには、屋根つきテーブルがあるが、これも畳んである。

長テーブルやベンチなど、畳める物はそうしてある。

左に目を移すと、奥に車が止めてあり、エンジンが掛かっている。

・・・・中にはマッチョさんとガードさんがいるようで、多分ラジオでも聞いているのだろう。

・・・あの車、多くても中には6人しか乗れない。

後は、荷台に乗ってきた。

・・・・これ以上風が強くなるようだと、今夜は小屋に移動して寝た方が、安全だろう。

ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・             ァァァァァ・・・・・・・・・・・・

・・・・それにしても、よく雨が降る。

こういう激しい雨や風は、土壌を激しく侵食する。

長い時間をかけて作られた土壌は、それほど厚くない。

豊かな栄養を持ったこの表面がはがれると、植物が育たなくなり、生態系が失われる。

けれど、森林がそれを防ぐ。

・・・・・・・太陽のエネルギーによって海から蒸発する水は、年間約43万立方キロメートル。

―――1000km3で500mlのペットボトル2000兆本分で、世界の平均水使用量なら、約22億2561万人分の水資源になる。

74年前に1000km3に達した人類の取水量は、現在約3800km3に増えている――――

その内約39万km3が、雨として海に落ちる。

残りの約4万km3が、陸に降る。

陸地の水も蒸発して雨を降らすので、陸地の年間総雨量は、約11万5000km3になる。

地下水を涵養したりしながら、海に流れていく。

4万km3は地球の総水量の約0.0029%で、この水が、陸の生態系を支えている。

海から蒸発した水は、多くが海沿いの陸地に落とされるが、その半分以上は森林が吸収する。

森林には多くの植物が生きているので、彼らが水を吸い上げるのだ。

その後それらの水の多くは、森林の土壌や植物の葉から気化して、大気に戻る。

そうした水はさらに内陸へ運ばれて、そこで雨となって大地に降り、内陸の森林を潤す。

そこでも水循環は働き、地下水を涵養しながら、川の流れとなって海に戻る。

よく雨の降るところに森林が出来たのだろうけど、森林自体の保水力によって水が循環し、より豊かな生態系をきずいていったと思われる。

ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・             ――――ゴォォォォォォ・・・・・・      ・・・・・・・

雷が光ると、周りの森の輪郭が分かる・・・・・

・・・・・黒猫を探したのだけど、見つからない。

雨がひどすぎるのだ。

・・・私はテントの中に顔を引っ込めて、また仰向けに寝転がる。

もう少し、待ってみよう。

・・・・・この島では、木炭の生産や農地の開拓のために、森林が切り開かれている。

採鉱目的のために、森が丸ごと焼き払われてもいる。

森林による被覆が失われると、土壌を失うだけでなく、水が直接海に流れもどる量が3倍近くになり、水循環が損なわれる。

主に途上国で、薪材の需要や農地の開拓のために森林が切り開かれており、その影響で水循環が弱まっている。

森の力が、弱くなっている。

土壌も侵食によって失われるため、新たな農地や薪材を手に入れるため、別の森林を伐採するという、悪循環に陥っている。

・・・・・この島には固有の生物も多く、今は豊かな生態系を残しているが、このままでは徐々にそれが失われ、悪循環に陥るだろう。

かつて森林に覆われていたある島国は、薪材と農地開拓によって生態系が崩壊し、その影響で経済も崩壊した。

国内を覆っていた森林はほぼ失われ、国土の4%を残すのみとなっている。

現在は国際支援に頼って、生きている。

・・・ちなみにこの島、東側には別の国があって、こっちは豊かな森林を残している。

それほど大きくない島なのに、為政者の行動によって、正反対の結果となった。

西の国は森林伐採によって一時的に繁栄したが、今は破綻したといっていい。

・・・・・だいぶ先だけど、船が近くを通るので、その時詳しく考えることにする。

・・・・・・・・・ァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・         ・・・・・・ゴロゴロロロ・・・・

・・・・・・         ザァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この国の危機を忠告する人は、多い。

後は為政者の判断に期待するしかないが、国際的な働きかけも重要である。

木炭や薪の使用量を減らすことを目的とした、太陽熱調理器というのがある。

段ボールとアルミホイルで作られたもので、電気鍋の代わりになる。

約2時間の太陽光で、1食分の食事を作れる。

・・・・飲み水の殺菌にも、使える。

風力発電で動く調理器具でも、代わりになる。

国際社会が、比較的安価なこれらの調理器具を支援することも、薪材目的の森林伐採圧を、軽減する助けになる。

・・・・・テントの扉は、少し開いたまま。

再びそっちに顔を向けて、ちょっと外を見る。

・・・・・・おや。

斧さんのテントから、斧さんが顔を外に出している。

彼も、黒猫を探しているのかな。

ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

       ・・・・・・・・・・・・・ザァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

見当たらないな・・・・

意外と、テントの裏にいたりして・・・・

・・・・・ためしに、ネコの鳴きまねでもしてみよう。

にゃ~

・・・・・・・・・・・     ゴォォォ・・・ン―――――           ・・・・・・・・・・・

     ・・・・・・・・・・・・・・ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・

私の鳴きまねは空しく響くこともなく、雨音に消された・・・・・

・・・・・外に出て、探してみようか。

カッパも傘も、斧さんのカバンの中にある。

・・・斧さんが気を利かして、持ってきてくれないかな。

多少濡れるのは平気だが、この豪雨は嫌だ・・・・・

ゴォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・          ォォォン・・・・・・   ゴロロロロ・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


隠れた果物

2009年07月26日 12時27分26秒 | 黒猫のひとりごと

ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

             ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

強い風の下、ガイドさんが去っていく・・・・・

晩ご飯を食べ終えたので、帰ったのである。

僕は長テーブルの上で、丸くなっている。

上のほうでは、人間の会話が飛び交っている。

おいしい焼き魚は、少し冷ましてから食べた。

僕は、熱いの嫌である。

「ニャー」

おいしいお魚を思い出して、鳴く。

すでにお皿は片付けられていて、ちょっとした軽食と、飲み物が並んでいる。

ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

       ・・・・・・・・・・・・・・・ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

強い風が、森の木々を大きく揺らした・・・・・

人間は、しゃべるのが好きである。

こんなに風が強いのに、長テーブルで長々会話。

他の日も、夕食の後はこんな感じである。

テーブルの下でご飯を食べたチワワも、今はテーブルの上にいる。

子ネコは紐から離されていて、エレガントさんが捕まえている。

・・・・左上を見る。

この角度だと、顔を上に向けなくても、空が見えるのである。

ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

            ・・・・・・・・ヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

暗い空に、雲がすばやく流れていて、星の光が隠されたり出てきたり・・・・・

   ――フワリ    ・・・・

僕はシッポを少し浮かせて、下ろす。

・・・・・雨がまだ降らないけれど、そろそろ降るに違いない。

右の方へ目をやると、マッチョさんの前にカットパイナップルが載せられた小皿。

おいしそうなので、ひとつもらいたいのだ。

ゴソ・・・

僕は丸まったまま、マッチョさんの方へ体の向きを変える。

周りの人間は会話をしていて、僕のこの少しの変化に気がついてないけど、マッチョさんはこっち見た。

僕は、パイナップルをくれるだろう期待をこめて、マッチョさんの目を見る。

・・・・・・・・  サッ   ――――

・・・・・すると、マッチョさんは僕と目が合った後、小皿をその大きな手の甲で、僕に見えなくなるように隠した。

「・・・ニャー」

ひとりで食べる気なのだ!

ケチである。

ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

          ・・・・・・・ォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

スゥ――――            ・・・・・・・

ゆっくり、僕は立ち上がって、ソロソロと動き出す。

左の手で小皿を隠したマッチョさんは、右手にフォークを持って、コソコソと食べている。

・・・・けれど、目は僕の動きを追っている。

左に小皿を置きながら、僕は右の方を向く。

そのままそっぽを向いて、徐々にマッチョさんの左腕に近づく・・・・

そして・・・・こっそりマッチョさんの様子を伺うと、しっかり僕を見ている。

ニャ

そっぽを向いたのは、意味が無かったようである。

   ・・・・トッ  ――――

太い腕の向こうに、僕は左足を置く。

        ・・・・・スタ・・・     タ・・・・・・

腕をまたぐ間、ちょっとブルブルしてやったのである。

ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

        ・・・・・・・・ゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・          リィリィリィリィ・・・・・・・・

・・・・・風の音の切れ間に、少し虫の鳴き声がとどいた。

少し耳を立ててそれを聞いた後、僕は左を向く。

・・・・すでにマッチョさんの左腕の囲みの中に進入した僕の目の前には、小皿。

「ニャー」

すでにマッチョさんの囲いは、意味を成してないのだ。

・・・・・ふふん。

マッチョさんのフォークは、その動きを止めている。

僕の大胆な突破に、衝撃を受けているのだろう・・・・・

             ・・・・・・・パクッ――――

                          ・・・・・・・モグモグモグ   ・・・・・・・・・

カットパイナップルを一切れ、食べる。

「ニャー」

おいしい。

パン――

お座りした僕は、おもわずシッポでテーブルを打つ。

・・・・後ふた切れ。

パクッ

もうひとつ、頂く。

モグモグ・・・・

―――僕が食べている間に、最後の一切れを口に運べばいいものを、マッチョさんは、まだ動けずにいる。

「ニャー」

おいしい。

・・・・・・ パシ・・・   パシ・・・

僕はシッポで2回、マッチョさんの左腕を叩いて、軽々と、今度は上を跳び越えて去る。

ニャー

最後の一切れは、かわいそうだからマッチョさんにゆずるのだ・・・・・

長テーブルの中ほどで、右の方を見ると、チワワがこっち見ている。

・・・・風に流されたのか、僕の耳にはとどかなかったけれど、きっと、鳴いたはずである。

あの角度なら、きっと、ネコの情けを目の当たりにしただろう。

・・・・できれば子ネコに見せてやりたかったけれど、エレガントさんに捕まってしまっているので、望むべくもない。

ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ~~~~~~~~~~ゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・             ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・ちょっと気になった僕は、後ろをさりげなく見る。

マッチョさんは腕の囲いと解いて、おいしそうに最後の一切れを食べている。

      トッ・・・  ト・・ ト・・ ト・・・・・・

ゆっくり、左に方向を変えながら歩くと、フォークに刺されたパイナップルがいる。

「ニャー」

そのフォークは、男の左手が持っている。

・・・・僕はそっぽを向いて、側を通り過ぎる。

「・・・・・・・・」

男はその一切れを、食べた。

僕は通りすがりに、男の小皿から一つ銜えて去る。

   パクッ・・・    パクッ・・・

少し移動して、食べる。

「ニャー」

3切れも食べて、僕は満足である。

・・・・・おや。

どこからともなく伸びてきた手が、僕のシッポをさわったようである。

後ろ側なので、誰の手かは分からない。

スル――――

シッポを動かしてそれを外した僕は、また丸くなる・・・・・・・・・

ビュゥゥッ――――               ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・               ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・

           ・・・・・・・・・・・ヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


風の夕暮れ

2009年07月21日 15時39分50秒 | 黒猫のひとりごと

パチンッ・・・         パチッ・・       パチパチパチ・・・・・・・・・・

                      ・・・・・・・・・・・・・ヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ニャー」

もう雨が降りそうだから、早くご飯食べた方がいいよ・・・・

・・・僕は、ご飯を炊いている男に、意見する。

コンコン・・・・

泡を吹いた飯ごうのふたを、男が叩いてる。

ニャァ

僕は、去る。

・・・・魚のいいにおい。

ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

           ・・・・・・・・・・・・ヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

魚のにおいもどこかに流す、強い風・・・・

ズルル・・・・

おや。

右側のテントの近く、ガードさんが立っている。

ジャリィィ・・・・・

・・・・ゆっくり、足を動かしている。

ガードさんの靴のひもに、子ネコが噛み付いているのだ。

チワワとのひもは外されていて、チワワは少し離れた所から様子を見ている。

子ネコは・・・ひもを銜えながら、前足で靴を攻撃しているのだ!

ニャー

がんばるのだ、子ネコ。

ズルズル・・・・

ガードさんは、方向を変えながら、足を動かして子ネコを離そうとしている。

ジャリィィィ・・・  ・・・・・・バタタ・・・・         ジャリィィ・・・

ニャ

すると、足をばたつかせて、子ネコが靴の上に乗っかった。

・・・・すばらしいのだ。

あれなら、引きずられない。

これは、子ネコの勝ちである。

「・・・・・・・」

おや・・・

ガードさんが、僕の方を見ている。

・・・・しょうがない。

「ニャー」

子ネコの勝ちだから、もう離れたら?

・・・・・しかし、子ネコは離れない。

僕は、チワワの方を見る。

すると、チワワは遠くを見ている。

・・・・そうなのだ、もうあれしかないのだ。

ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ~~~~~~~~~~~~・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・              ・・・・・・・・・・・・ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・

ずっと高い所から聞こえる風の音の下、僕は、ガードさんの反対側の足に近づく。

ちょっと、ひげをさわる。

シュッシュッシュッ―――

そして、3回ネコパンチで空を切る。

靴の上に乗っかった子ネコが、僕の方を見た。

「ニャー」

右を向いて――

シュッシュッシュッ

左を向いて――

シュッシュッシュッ

後ろ足で立ち上がって――

シュッシュッシュッ    ――ゴロン

仰向けに寝転がって――

シュッシュッシュッ

すばやく起き上がって――

シュッシュッシュッ

右を見ながら左の方で――

シュッシュッシュッ

左を見ながら右の方で――

シュッシュッシュッ

後ろを向いて、シッポで靴を――

パンッパンッパンッ

振り向いてガードさんの足に――

バシッバシッバシッ――――

「ニャーー」

――――決まったのだ!

「・・・ミャ~ォ・・・・・」

感激のあまり、子ネコは紐を離して鳴いた・・・・

ジャリ・・・

その隙に、ガードさんが足を引いた。

「ミャ~ォ」

ニャ

興奮した子ネコが、僕の方に来た。

パシパシパシ・・・

ネコダンスの練習を始めたのだ!

僕の背中で。

パシパシパシ・・・

もしかしたら、ネコパンチの練習かな・・・

パシパシパシ・・・

ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ~~~~~~~~~~~~~・・・・・・・・・・・・・・・・・

             ・・・・・・・・・・・・・ヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ニャー」

子ネコは、やたらにネコパンチを続けるだけで、ダンスの練習になってないのだ。

これは・・・・ダンスの名人である、この森の鳥に会わせてあげたいのだ。

ジャリ・・・          ジャリ・・・

・・・・・ガードさんが、去る。

僕の方をちょっと見て、歩いていった。

「クゥー」

焚き火の様子でも見に行こう。

トトトトト・・・・・・

僕が歩き出すと、子ネコとチワワもついて来た。

男が暇そうに空を見上げているので、僕も見てみる。

・・・・お日様が、空の縁に。

クル・・・・

反対側の空は、もう薄っすら暗い。

そろそろ、星が見える頃である。

・・・・男の側を通り過ぎて、僕はカールさんに意見する。

「ニャー」

もうすぐ雨が降りそうなので、早くご飯食べたら・・・

「あんまり近づくとあぶないよ・・・・」

「・・・・・ミャ~ォ」

・・・・・カールさんは、子ネコを持ち上げて、チワワのもとへ。

そして、チワワと子ネコを紐でつないだ。

パンッ・・  パンッ・・  パンッ・・・

おや・・・・

チワワがシッポで、3回土を叩いた。

「クゥー」

もしかして、チワワもダンスの練習かな・・・・

ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ~~~~~~~~~~~~~・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・               ・・・・・・ォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・             パチッ・・・     パチチチチッ・・・・      パチパチパチ・・・・・


夕食前

2009年07月19日 14時30分46秒 | マーロックの日記

ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

        ・・・・・・・・・・・ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・風が、強くなってきた。

先ほど森から出て、夕食の準備に取り掛かったところである。

今日は、私は2番目にシャワーを使ったので、早々とご飯を炊く準備をしている。

カールさんはまだ順番待ちをしているはずで、昨日は彼がかなり準備をしておいてくれたから、今日は逆である。

     ・・・・トントン

できた・・・・

洗ったお米を飯ごうに入れて、しばらくほっとく。

「ニャー」

一緒にシャワーを使ったので、黒猫もいる。

・・・・1番最初にシャワーを使ったのはコックさんで、彼も手際よく準備をしている。

今日は焼き魚。

おいしいご飯を炊いて、食べたい所である。

・・・・・・・・・・・・ヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・                 ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・夕方の雨は、少し早く降った。

濡れた薪を持って、焚き火穴に向かう。

昨日の焼け残りもあるので、そんなにはいらない。

風が良く吹くけど、穴を掘った中で火をおこすので、大丈夫だとは思うけど、風で火が飛んで、山火事にならないよう注意しよう・・・

気候が温暖化しているので、山火事も発生しやすくなっている。

・・・・・人間の活動によって、火災の規模が増す場合もある。

木の幹は比較的火に強く、樹冠に火が移らなければ、小規模な火災ですむ。

人間の消火能力の発達によって、小さな山火事がすぐに消されるようになった。

このため地域によっては、落雷によってある頻度で起きていた山火事が、ほぼ抑えられている。

そうすると、大木の陰にいる中程度の高さの木が、焼かれること無く生長する。

下草も、焼き尽くされることが少なくなる。

このような燃えやすいものが、ある程度密集した所で再び山火事が起きると、生長した中程度の木が導火線のような役目をして、大樹の樹冠に火を移す。

林冠に火のついた大規模な山火事は、消すのは容易ではない。

・・・・・それは別として、温暖化によって、火災が増えているようである。

ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

         ・・・・・・・・ボゥ・・・・      パチパチ・・・       パチチチ・・・・・

・・・火が、ついた。

長テーブルには、マッチョさんが戻ってきている。

今朝は風が強かったので、折りたためる物はたたんで、森に入った。

マッチョさんは、それらをまた戻している。

私はイスを一つ持ってきていて、それに座って火を見ている。

太陽は傾いているけど、昨日よりは炊き始めるのが早い。

・・・    パチパチパチパチ・・・・・・・・・          パチッ・・パチチッ・・・・・

火が強くなりすぎないよう、注意する・・・・

・・・・風が強いので、少し涼しい。

     ・・・・・・・・・・・・・・・・        ビュゥゥゥゥゥゥゥゥォォォォォォォォォ・・・・・

・・・・・・・・・・・            ・・・・・・ォォォォォォォ~~~~~~・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・温暖化によって、地球全体の光合成生物による純一次生産量は、上がっていくと思われる。

私たちが消費する穀物の生産量も、今後しばらくは増産できると考えられている。

ただ、温暖化の影響が無い場合に比べて、今世紀だけで4%は減収すると、予想されている。

・・・・そして多分、実際はこの予想を上回る減収になると思う。

水不足が深刻なのと、温暖化の影響が、予想より速まっているからである。

世界の穀物生産量は、現在約20億トン。

その内トウモロコシが約7億トン、小麦が約6億トン、コメが4億トン強と、3大穀物が85%を占めている。

これらの作物は、最適な温度か、それに近い温度で収量が最大となるように、品種改良されている。

このため、温度変化に弱い。

トウモロコシは、気温が上昇すると水分の気化を抑えるため、葉の裏の気孔を閉じる。

そうすると二酸化炭素の吸収量も減少し、光合成は低下する。

また、強い太陽光を避けるために葉を丸める事もあり、それでも光合成は低下する。

トウモロコシが受粉するには、雄穂から落ちた花粉が、雌穂から出ている絹糸に届けられ、絹糸の中を通り、穀粒に達する必要がある。

それぞれの絹糸が、穂軸の穀粒にそれぞれ繋がっている。

絹糸の先端は湿っていて受粉しやすくなっているが、気温が上がると乾燥し、役目を果たせなくなる。

ピィィィ・・・・             ジィィィ・・・・・          ジィィィィ・・・・・

・・・・・・・・・・            ・・・・・・・・・・ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・そろそろ飯ごうをかけよう。

   ・・・・・・ジャリ   ・・・・・・・・

立ち上がって長テーブルを見ると、女性3人が戻っていて、にぎやか。

・・・・まだ、カールさんは戻ってない。

「クゥー」

折りたたみのベンチの下で、チワワが鳴いた。

・・・ベンチの上には子ネコがおり、ウトウトしている。

もう、寝そう・・・・

「・・・アゥ」

おや。

斧さんが、飯ごうを2つ持ってきてくれた。

全部で4つあるので、残りは私が運ぶ。

ジャリ・・・    ジャジャリ・・・・         ジャリ・・・・・

・・・コメは、この島の人たちの主食である。

イネは、20℃以下では、ほぼ不稔・・・・種子を生じない。

23~34℃では、ほとんどのモミが受精して、稔る。

35℃を越えると不稔歩合が上昇し、40℃に達すると、受粉はほぼ0になる。

国際稲研究所の調査によると、3大穀物は、標準気温が1℃上がると、収量が10%減る・・・というものであった。

この数字は、多くの農業研究者の経験にも、一致する。

二酸化炭素の増加と大気からの降下窒素化合物の肥料効果が起きるが、2℃の温度上昇でほぼ相殺され、減収となると予想される。

パッチパチチチチ・・・・・・・             パチチチパッチ・・・・・・

飯ごうを並べておいて、木を通す。

斧さんが反対側を持ってくれたので、木を持ち上げて、火にかける。

「・・・ありがとう」

「アゥ」

  ・・・・・   ジャリ・・・・             ジャリ・・・・

斧さんは、去った。

   コンコン――――

私はイスに座り、突っつき棒で飯ごうのふたを叩く。

・・・・たいして、意味は無い。

温暖化によって、低緯度地域では減収となるだろう。

温度変化に強い作物の品種改良も試みられているけど、歩みは遅い。

・・・そして人類は、大変なエネルギーを使って、地下水をくみ上げている。

このため、地下水は急速に減っている。

地下水が枯渇すれば、大幅な穀物の減収となる。

光合成は、水を酸素と水素に分解し、水素と二酸化炭素を結合させる。

水がないと、作物は育たない。

パチパチチチチ・・・・・・・・・         パチチチチ・・・・・・・・・

・・・・坂を見ると、カールさんが歩いている。

「ニャー」

黒猫が、右側から歩いてくる。

私と遊びたいのかな・・・

・・・・・黒猫は私の側を通り過ぎて、どうやらカールさんの所に向かう様である。

パンッ――――          ・・・・・パチパチパチ・・・・・・・・・・・・・

        ・・・・・・・・・・・ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・ヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


根っこ

2009年07月15日 14時39分12秒 | マーロックの日記

ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・                  クォクォクォ・・・・・・・

カチッ   ・・・・・

ボトルのふたを、閉じる。

中には、クーラーボックスの中で冷やしてあった、スポーツドリンクが入っている。

私は、フルーツジュースが好きであるが、こうも暑いと、水分補給に適した飲み物が、いい。

私のボトルには、650ml入る。

それだけだと足りないので、斧さんのカバンの中に、大きなボトルがあって、無くなるとそこから足している。

ヒュルルルルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・            リィィィ・・・        リィィィ・・・・・

・・・・朝ほどではないけど、風は強い。

おかげで、昨日よりは涼しいと思う。

今は休憩中で、お弁当を食べている。

・・・私は、もう食べ終わった。

昨日の大木ほどではないけど、大きな樹が2つ・・・・

その根が、ベンチのように上手く伸びている。

その上に座って、食事した。

サンドウィッチと、ノロマさんが作ってきたらしいおにぎりを食べた。

暑いので、この位の軽い食事が、丁度よかった。

ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・         ピピピ・・・

        チュンチュンチュン・・・・         ・・・・・・・・・ヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・

・・・・私は樹の幹の近くに、来ている。

右手にある根を下っていくと、途中から高さが一定になっていて、ベンチ代わりになっている。

・・・更に進むと、さすがに低くなる。

ノロマさんが座っているあたりから、幹までの半分くらいのところに、黒猫がいる。

ハムを、食べている。

・・・・いつもなら真っ先に食事に来るのに、このお昼は、ずっと根の上の方にいて、ついさっき食事を始めたのだ。

なにか、おもしろい物でもあるのかと、私はここに来たわけである。

でも・・・根の付け根は高さが数mあり、黒猫の視点で観察できない。

・・・・デコボコしてるし、登ってみようかな。

クァッ・・   クゥゥァッ・・・・          ピチュピチュ・・・・

       ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・ガリッ・・・・

・・・・不安定だけど、上手く根の上のほうに来た。

  ・・・・カツッ・・・

・・・頭が、根っこの上に出た。

黒猫の視点なら、これで十分だろう。

ザヮヮヮ・・・・・・                ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

          ――――トン・・・      ピピチュ・・・

・・・目の前に、小鳥。

樹冠の下で暮らす植物が、風にゆれているのが、よくわかる。

光と影の模様が、下から見ていたのとは違う。

・・・見晴らしはいい。

「チュンチュン」

「・・・・・こんにちは」

・・・・・何となく返事してみたけど、小鳥は首をチョコチョコ動かすだけ。

――――ザッ   ・・・・・

バランスが崩れかけたので、腕の力で元に戻す。

・・・なんだろう。

私は、上を見上げる。

ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

         ・・・・・・・・・・・・・・ヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

頭上に広がる葉の覆いが風に揺れて、葉から漏れる太陽の光も、揺れる・・・・・

「・・・ピチュピチュピチュ」

                     ・・・・・・・・・・バササササ・・・・・・・・・・・・・

・・・・小鳥が、飛んでった。

ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・樹の幹の周りを、らせんを描くように上へ上がっていく。

・・・・・・・・・                   ―――――タッ     ・・・・・タッ――――

                              トン――――

地面に、着地した・・・・

「・・・・・・・・・・・・・・・」

・・・・・知らなかった。

黒猫が、食事よりもながめを楽しむのを優先するなんて・・・・・

「ニャー」

おや・・・

食事を終えた黒猫が、再び樹の幹の辺りへと登ってきた。

また、そこからの眺めを楽しむのかな・・・・・

・・・・・私は、黒猫の邪魔にならないよう、隣の根に移動することにした。

・・・・・・・・・・・・・       ヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    ・・・・・・・・        リィィィ・・・・         リィリィリィリィィィィィ・・・・・・・・・

ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・        ・・・・・・・・・・・


跳びあがる

2009年07月13日 14時42分45秒 | 黒猫のひとりごと

ゴォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

                     ・・・・・・・・・・・・・・ヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・上のほうが、すごい風。

僕を背中のカバンの上に乗せたノッポさんが、立ち止まった・・・・・

だから、すぐ後ろを歩いていた男も、止まる。

「ずいぶん風が強いですね・・・・・」

「・・・・・そうですね」

ニャ

もう朝ごはんを食べ終えて、森の探検に来ているというのに、今頃朝の挨拶をして、2人は再び歩き出した・・・・

「・・・・・ニャー」

僕も、鳴いておく。

キィィ・・・        キィィ・・・                ザヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・

・・・・・・・・・              ・・・・・・・・・・・・ヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・

パシ・・・・    パシ・・・・

・・・・僕は、ノッポさんの頭を、後ろから叩く。

ゴソ――

そして向きを変えて、丸くなる。

細い根の沢山ある木が、よくいる。

もっと朝早くには、森からサル達の声が沢山聞こえたけど、今はそれ程でもない。

・・・・木の幹にくっ付いてる小さな植物が、揺れる。

上から聞こえる葉っぱの音が、行ったり来たり・・・・・

風の動きにあわせて、音も揺れている。

・・・・・僕はカバンの上で立ち上がり、耳を立てる。

ザヮザヮザヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・            ・・・・・ヮヮヮヮヮ・・・・・・・・

・・・・・・                      ・・・・・・・・ヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

耳にいい葉の音に気分を良くした僕は、シッポを動かす。

クネクネ・・・・

・・・・・ニャ

さっきまでよそを見ていた男が、僕を見ている・・・・

・・・・僕のシッポが良く動くから、見てるのかな。

シッポの動きを止める。

ジャリ・・・・       ザザ・・・・・

すると、男はまた森の観察を始めた。

ニャー

僕は、さっきより大きくシッポを動かしてみる。

僕も森の中を見ていると、大木に倒れかかった小さな木がある。

・・・・その木の細い枝が、歩く僕らの頭上にある。

ジャリ・・・・    ジャリ・・・・

・・・・ノッポさんが、その下を通る――――

                                  ――――パシ   ・・・・・・

タイミングよく跳び上がった僕は、その枝にタッチした――――

スタッ     ・・・・・・・・

そして、見事地面に着地したのである。

・・・・見事な跳躍なのだ。

ガシ・・・

「・・・なかなか跳ぶもんだな・・・」

すぐ後ろを歩いていた男が驚嘆の声を上げて、僕をつかみ上げた・・・・

「ニャー」

丁度いいので、4つの足を動かして、空を歩くネコを始める・・・・

            ――――バサッ・・・・

「・・・・ニャー」

男がすぐに放したから、あまり歩けなかった・・・・

ジャリ・・・・     バシッ・・・    ジャリ・・・・

男の足に一撃を加えて、僕はノッポさんのカバンの上に戻ることにした・・・・・

・・・・・・・ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・            ・・・・・・・・・・ヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・             ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


風の強い朝

2009年07月12日 11時40分55秒 | マーロックの日記

ザヮザヮザヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・               ピチュピチュ・・・・・・

     チュチュチュチュチュ・・・・・・・・・・・

朝の7時。

もう日は昇っており、暑い。

でも、先ほどシャワーを浴びてきたので、さわやか。

・・・・そろそろ、車が返ってくる頃である。

マッチョさんに女性3人、それにコックさんとガードさんが、食べ物を買いに街に戻っている。

街までは車で1時間ほどで、夜明け前に出発していたので、もう戻ってくる頃である。

ついでに、石のホテルでお風呂に入れるので、女性3人も付いていった。

朝ごはんは彼らが持ってきてくれるので、ここで作る必要は無い。

私がご飯を炊くのは、今日の晩ご飯の時。

なので、今は暇である。

ピチュピチュ・・・・・・・・・

                                  ・・・・・・・・・・ヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・

・・・・よく、風が吹く。

私は長テーブルに背を向けて、座っている。

そして足元には、チワワがいる。

・・・・ブルブルルル・・・・

ブルブルした。

・・・そして、ずっと同じ場所を見ている。

車を置いていた場所である。

きっと、車が帰って来るのを待ってるんだろう。

ピヨピヨ・・・・            サヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・              ヒュゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・・・

山小屋へ続く坂道を見ると、カールさんが上って来ている。

シャワーを使って、帰って来たのだ。

ガタ――――

・・・・・私は暇なので、体を伸ばしたりして、体操することにした。

両腕を空に向けて、思いっきり伸ばす・・・・・

ピチュ・・・・       チュンチュン・・・・

・・・・朝ごはんを食べたら、また山に入る。

昨日とは違う道を、行く。

お昼ごはんは、森の中になる予定。

明日はテントを片付けて、石のホテルに戻る。

・・・昨日より時間がしっかり取れるから、より奥の方までいけそうである。

おや。

左の方を見ると、黒猫が歩いている。

「おはよう・・・」

「・・・ニャー」

私を少し見た黒猫は、そのまま歩いて行った・・・・

ジャリ・・・

・・・暇なので、後をつけてみる。

トットトトト・・・・・・

黒猫の後を、なるべく足音を出さないように注意して歩く。

トトトトト・・・・・

・・・黒猫が立ち止まった。

私も、止まる。

すると、黒猫の耳が少し動いて、また歩き出した。

方向を変えて、森の方へ向かう・・・

進行方向の先にはある樹の根っこに、ヘビがいる。

・・・・おおきいな。

「ニャー・・・」

・・・シュルシュル・・・・・

ヘビは、去った。

黒猫は前足でひげをさわって、歩き出す。

私も、その後に付いて歩く。

・・・・黒猫は、私が後ろを歩いているのに気付いているようだが、無視している。

ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

           ・・・・・・・・・・・・・・ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・良く風が吹く。

       ジャリ・・・     ジャリ・・・

黒猫が無視するので、足音を出すことにした。

トトトト・・・・・・         ・・・・・ジャリ・・・・・

悠然と歩く、黒猫・・・・・

・・・ふふん。

ジャリ・・・・    ジャリ・・・・

私は、少し歩く速度を上げて、黒猫に接近する。

「・・・・・」

すると、黒猫は少し歩くのを速めた。

ジャリ・・・ジャリ・・・・        トトトットトトトットトト・・・・

――――私は、さらに歩くのを速める――――

    ――――ダッ         ・・・・・・・・

・・・・・

黒猫は思わず前に跳ねて、私との距離を広げた・・・・

「ニャー」

そして振り向いて、鳴いた。

満足した私は、追いかけるのを止めて、長テーブルの方へ戻る・・・・

「クゥー」

おや、チワワがシッポを振っている。

・・・・車が、戻ったらしい。

まだ姿は見えないが、エンジンの音と、タイヤが地面を擦る音が聞こえる。

朝ごはんは何だろう・・・・・

ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・ヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ピーョ ピョッ   ・・・・             サヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


動く光

2009年07月07日 15時44分26秒 | 黒猫のひとりごと

シンシンシンシンシン――――                ・・・・・・・・・・・・・・・

              ポォ・・             ポォ・・

・・・・・もう深夜。

雨が止んで、風が吹いて、雲が流れていく・・・・・・

          トン――

僕は長テーブルの上に乗って、仰向けに寝転がる。

空にはいつものように、ミルクがこぼれている。

「ニャー」

僕は、あれが落ちてこないことを願うばかりである・・・・

ポォ・・・・            ポォ・・・・

おや。

薄い雲の切れ間から、小さな光が空を横切っているのが見える・・・・

なにかな。

けっこう速いのだ。

・・・・・ニャー

もうすぐ、ミルクの川にぶつかる。

シュッ  シュッ    ・・・・

僕は思わず、前足で空を切った・・・・

・・・・空はとても遠いから、気付くはずないけど。

ザヮヮ・・・・           ザヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ミ、ミルクの前に、良く光る星があるのだ!

「ニャー」

動く光がそれにぶつかるので、僕は思わず両目を閉じて、前足で頭をさわる。

・・・・流れ星になって、落ちてくるのかな。

リィリィ・・・・           リィ・・・・・・

僕は恐る恐る、目を開く・・・・

ニャ

大きな星はそのままに、光はミルクの川を突っ切っている・・・・

・・・・すごいのだ。

――――なにか黒いのが、横切った・・・・・

                     ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・                 ・・・・・・・・・・・・・・ヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・

・・・・雲が大きく動いて、空一面に星が戻った。

ミルクを突き進む光の先には、もう一つ大きな星が居る。

川の、反対側・・・・

・・・ニャー

どうやら、あそこを目指しているらしい。

僕は、合点がいった。

でも、ミルクの中を進むなんて、僕は嫌。

        ――――パンッ

そう思って、テーブルをシッポで叩く。

サヮサヮサヮ・・・・・・・・・・

無事に、川の反対側に出れそう・・・・・

・・・・・ニャ

目的地のはずの大きな星に着いたのに、光はそのまま進んでいく・・・・・

不思議な僕は、瞬きする。

「・・・ニャー」

あの光、どこに行くのかな・・・・

ヒュルルルルルルル・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そう思って見ていると、薄い雲がかかって、光は見えなくなった。

とりあえず、ミルクが落ちてこなくて一安心な僕は、テーブルの上でゴロゴロすることにした・・・・・

                    ポォ・・・・・

ポォ・・・・・                           リィィィ・・・・・       ・・・・・・・・・

・・・・・・サヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・                ポォ・・・・・


雨と傘

2009年07月06日 14時30分03秒 | 黒猫のひとりごと

・・・・・・・・           ビュゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・              ザヮヮ・・・・       ザヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・

少し風が強くなって、テントがパタパタ言ってる。

チーフさん達がいる、大きなテントに向かう。

パタパタ・・・・    パタタタタ・・・・・・

少し出入り口が開いていて、そこが風にあおられてる。

・・・少し、明かりがもれている。

中にはエレガントさんとノロマさんもいて、まだ話し込んでいる様子。

「・・・・・・ニャー」

チワワを、呼んでみる。

タッタタタ・・・・

「クゥー・・・」

すると、隙間からチワワが顔を出した。

・・・・・散歩に行くのだ。

僕は、テントから離れる。

そして、チワワが付いてきた・・・・・

ルールールー・・・・・           リーンリンリンリンリン・・・・・・・・・・・・・・・

屋根つきテーブルの周りは、メッシュで覆われている。

やはり入り口は少し開いていて、中にはシャープネコがいる。

イスにはシャープさんやコックさんがいて、ぼんやりしてる。

・・・シャープネコが、こっち見た。

僕は耳を動かしてみる。

すると、シャープネコは丸くなった・・・・

・・・・その内気が向いたら、出てくるのだ。

ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ~~~~~~~~~・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

        ・・・・・・・・・・・・~~~~~~~ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

長テーブルの横には折りたたみベンチがあって、その上でノッポさんが寝てる。

「ニャー」

星はきれいですか?

僕が尋ねると、ノッポさんはこっち見た。

そして、僕の質問には答えず、手を僕の方に伸ばしてきた・・・・

・・・・バシッ

強力なネコパンチで一蹴して、僕は去る。

「・・・・クゥー」

僕は後ろを振り返りはしないけど、チワワがシッポを振って、ノッポさんの手で遊んでいるのが、分かるのだ。

パタタタタ・・・・・・・・

左斜め前、男のテントが、風に鳴っている。

あれは少し高級で、出入り口の前にポールが2本立っている。

そして、屋根が張ってあるのだ。

でもヒラヒラの屋根なので、風にパタパタしているのである。

パタパタ・・・・・

そして男は、ご飯を炊いた穴で、小さな焚き火をしている様である。

タッタッタッ・・・・・・

僕は、見に行く。

リィリィリィリィリィリィ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・もう火は消えそうで、男も、これ以上燃やす気はないようである。

細い枝で、火を突いてる。

・・・・・ニャー

楽しそう。

・・・・僕の接近に気がついた男が、チラリとこっち見た。

「ニャー」

もう、焚き火は終わるの?

「・・・・・雨が降るな・・・・・」

僕が尋ねると、男は返事した。

ゴソ――

僕は、男の座っているイスの下にもぐりこんで、男の両足の間から顔を出して、火を見る・・・・・

パチッ・・・・・           パチッ・・・・・

もう・・・消えそう・・・・・

「ニャー」

また明日ね・・・・

僕は火にお別れをして、その場を去る。

トトトトト・・・・・・

しばらくノッポさんと遊んでいたチワワが、やって来た。

「ニャー」

あんな見え透いた手に乗るなんて、迂闊なのだ。

「クゥー」

僕はチワワの頭の上に両前足を乗せて、注意する。

・・・・チワワも反省したようなので、僕は歩き出す。

男の焚き火から、右側へ・・・・・

ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

              ・・・・・・・・・・・・・・・ヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・歩いていると、森の中から、斧さんが出てきた。

マッチョさんも一緒。

川へ、水汲みに行っていたみたい。

斧さんが、タンクを持っているから・・・・

「ニャー」

「アゥ」

・・・・どうやら、明日の朝使う水を、今のうちに汲みに行っていたようである。

「・・・・・・・・」

・・・・・マッチョさんが、手をチワワの方へ伸ばした。

「クゥー」

さっき注意したにもかかわらず、チワワはシッポを振って、マッチョさんの手に乗った。

・・・・こまったイヌである。

            ポツン――――

ニャ

天から、雫・・・

     ポツン――――              ポツン・・・・         ポツン・・・・

         ポツポツ・・・                  ポポポポポ・・・・・・・・・・・・・・・

「・・・・・雨か・・・」

「ニャー」

雨が降ってきた。

マッチョさんはチワワを連れて、去った・・・・

・・・・ニャ

チワワが、さらわれた。

「・・・・ァゥ・・・・」

ジャッ・・・    ジャッ・・・    ジャッ・・・

斧さんも、タンクを持って去った。

ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

      ・・・・・・・・・・・・・・ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・・・・・・・・

ずっと上のほうが、唸ってる。

風に、僕の黒い毛もなびいてる・・・・・

           ・・・・・・・・・・ポツポツポポポポポポ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・                ザァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・

雨の中を歩いて、戻る・・・・

・・・・長テーブルにいたノッポさんは、屋根テーブルの中に入っていった。

焚き火は・・・・もう、消えてる様・・・・・

・・・・男は、自分のテントの屋根の下に手ごろな石を置いて、その上に座っている。

あの屋根、いい音出しそう・・・・

バッチバチバチババチバチッ・・・・・・・

そう思っていると、後ろからご機嫌な音が・・・・

・・・・・斧さんが、折りたたみ傘を差している。

「ニャー」

僕は、傘に挨拶する。

ポンポンポポポン・・・・・

すると、傘は返事した。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・                   ザァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・

何となく気配を感じた僕は、大きなテントを見る・・・・・

・・・・少し開いた出入り口から、チワワが顔を出して、こっち見てる。

・・・・・ニャー

迎えに行こう。

ピチャピチャ・・・・

僕が歩くと、斧さんも付いてきた。

タッ   タッ   タッ   ・・・・・・・・・・

・・・・するとチワワが、走ってきた。

「クゥー」

斧さんも来たことだし、樹の所に行こう・・・・

ジャリ・・・・     ジャリ・・・・    ジャジャジャッ・・・・・       ジャリ・・・・・・・

途中、屋根テーブルの上を見る・・・・

・・・・良く見えないので、少し離れて角度をつける。

すると、テーブルの上でゴロリと寝転がっているシャープネコが見えた・・・・

ザヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・             ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・

          ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ザヮヮ・・・・・ザヮヮヮ・・・・・・       ・・・・・・・・・・

・・・・・おや。

樹の根っこに、大きなヘビがいる。

「ニャー」

また、ここに居たの・・・・

シュルシュル・・・・・

ヘビは舌を出した後、去った。

バサ――――

ニャ

・・・・・斧さんが、傘をたたんだ。

木の下に来て、葉っぱが傘代わりになるからなのだ。

・・・それでも、あんまりである。

僕は斧さんの行動を非難したりはしないけど、雨が降っているのに畳まれて、哀れな傘を見つめる・・・・・・

「・・・・ァ・・・ァゥ・・・」

        バサ――――

・・・おや。

すると、斧さんが傘を開いた・・・・・

ニャー

僕は、感心する。

             ・・・・・・・・・・・・ボツン・・・・・            ボツン・・・・・・

   ボツボツ・・・・・・・               ・・・・・・・ボタタ・・・・・      ボツン・・・・・・・

・・・・・傘は・・・いまいちな音・・・・

「・・・・・ニャー」

やっぱり、畳んだほうがいいんじゃない・・・・・・

「アゥ」

       バサ――――

斧さんは、また畳んだ。

・・・・・し、知らなかった。

活躍できない場所で開かれるのは、傘は嫌らしい。

畳まれて下を向いた折り畳み傘を、僕は後ろ足で立ち上がって、右前足でさわる・・・・

スリスリ・・・・

「・・・・クゥー」

斧さんは木の根に座り、僕とチワワはその側に・・・・

・・・・・しばらくここで、雨を見てよう・・・・・・・・・

ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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・・・・・・・            ザヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮヮ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・