くも

2021年01月04日 13時21分35秒 | 黒猫のひとりごと

     カタ

                          ォォォォ  ・・・・

            ――  

雨の音・・・

スーパーの中は広いから、よく響いてる。

今朝も雨。

僕らはロッドさんの車で、町のスーパーに来たのだ。

食べ物の置いてある1階ではなくて、2階にいる。

「なんでもあるんですね」

「・・・大きな街まで遠いからね」

テントとかライトが置いてあるところにいる。

          ―――

昨日から、僕らは孤児院のみんなとは離れている。

ごはんも別で食べたし、教会に泊まった。

けんかしたわけでもなさそう。

「ニャ~」

「・・・・」

斧さんに聞くと、こっち見た。

     

何も言わずに去った。

寝袋とかテントを、車に運んでるみたい。

          トコ

男が通路に去っていく。

さっきまでテントとかを見ていたけど、もう選んだのかな。

         

僕も後を追う。

手には傘。

置いてあったのを持ってきたみたい。

ランタンライトも持っているから、十分な明るさ。

前方に向けたライトもあるけど、男のフードの辺りはあまり光が届いてない。

       ―――

歩くと少しゆれているようだけど、分かりにくい。

「・・・」

跳んでネコパンチを当てたい。

    ――

こっち見た――

                 タッ

     ――――

跳ねた僕を、体をクルッとして避けた。

「・・・」

タイミングよく、僕の接近に気付いたのである。

「・・・・」

そのまままた半回転して、男は進む。

      トッ

                ポン

もう一度跳ねると、今度は避けなかったので僕はフードをたたいた。

「ニャ~」

うれしい。

      

階段を上って、屋上に行くみたい。

男の横を通って前に出ると、明かりで僕の影。

              ――  タ

ニャ

男も跳ねて僕を追い越した――

     

                ――  タ

僕は階段を跳ね上って、男の前に出る。

「・・・」

僕の方が速いのだ。

               カチャ

僕をチラッと見て、男はドアを開ける。

                         ザァァァァァ  ・・・・・・

      

屋上のコンクリートに、雨がどんどん落ちてる。

ずっと降っているけど、そこまで強くはない。

         パサ

傘を差した。

         パチャ

ランタンライトを傘の柄に引っ掛けて、僕を掴んだ。

        バサ

僕をフードに入れた。

   ゴソ

風も雨も冷たいからだと思う。

前足を肩にのせる。

雨にあたっても平気な布の服である。

腕ライトも点けたまま。

お日様は出てきたけど、黒雲がいるからあんまり明るくない。

それでも、ここから町が見える。

お日様は、どんなライトよりも明るい。

雲越しにそれを見ていた男が、背を向けて海の方を向いた。

         ポチャ

そっちに歩く。

傘は透明じゃないけど、大きい。

     ―――

「・・・・」

屋上の真ん中あたりで、男がゆっくり回った。

町の様子を見ているのかな。

どっち向いても、雨粒はいる。

僕は、斜め上を見る。

真上は傘で見えない。

「・・・」

黒雲だけど、巨大マグロがいそうな感じはない。

お日様がどこか分からないくらい大きな黒雲なら、いそう。

   ポチャ

また移動する。

階段の方に戻るみたい。

丘に戻ったら、テント張るのかな・・・・

      ニャァ

                         ――――  ァァァァァ

            ―――


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