逆向き

2021年03月18日 14時13分35秒 | 黒猫のひとりごと

                            ザァァァァ ・・・・・・

         ボョン ♪

動いた・・・

「♪」

ノロマさんは、腕を適当に動かしている様に見える。

教会前のタープにも、ランタンライトが吊ってある。

それほど明るくないけど、ノロマさんが不敵に笑っているのが分かる。

暗くて見えにくいけど、柄につながった何かが動いている。

          ボョン ♪

フワフワよりも、すこし機敏に動く――

                    スル

腕の動きに合わせて飛び掛かったけど、外れた。

「ふふふ♪」

「・・・」

くやしい。

              ボョン ♪

僕が動くふりをすると、ノロマさんの腕が動いて何かが動く。

                     ポチャ

お日様が去っても雨は降っていて、ノロマさんは僕らのタープにごはんを届けてくれたのだ。

男たちはそれを持って行った。

僕はノロマさんがそこにいたから様子を見ていたのである。

      ボョン ♪

「・・・」

ノロマさんの腕の動く方とは、反対側に動いているみたい。

       タッ

「!」

                 ボョォ  ――  ゴロ

僕の前足は、それを掴んだ――

  ガブ

そしてかじる。

「♪」

ノロマさんがそれを引くけど、僕は離さない。

「ニャ~」

動く方が予想できれば、捕まえるのは簡単である。

   ボョョ

ミニクッションみたいなのが動いていたのだ。

                

                     ボョン ♪

僕は満足したので、ごはんを食べに大タープに向かう。

        ――

去り際に、シッポに手があたった。

通路テントに入る前に後ろを見ると、ノロマさんは立ち上がってる。

孤児院に帰ると思う。

みんな、こっちには来ない。

男が暗くなる前に、動くと点くライトをあちこちい置いたから困らない。

通路テントの中にもある。

電池で点くやつ。

影がいくつかある。

前足を浮かせると、その影もいくつか。

何か所も同時にネコパンチできそう。

でもしない。

できたばかりのテントなのだ。

         

もう大タープ。

いいにおい・・・・

                                ァァァァァ ―――


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