回る

2008年03月27日 15時23分40秒 | 黒猫のひとりごと

サラサラサラサラ・・・・・・・・・・・・・・・

今日は朝からずっと、日向ぼっこである。

川に流されて、楽である。

それにしても、お腹すいた。

「ニャー」

鳴いてみる。

チャポポポポポポポポポ・・・・・・・・・・・・・・・・

すると、水の音が急にせわしくなった。

グラリ――

突然樹が傾く。

サラサラサラサラサラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・元に戻った。

・・・・・・

けど、周りの景色が回ってる。

さっきの急な流れで、樹が回転し始めたのだ。

サラサラサラサラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ゆっくりと・・・・・

ゆっくりと・・・・・

回る。

もう・・・・・・止まりそう。

また、樹の根の方を先頭に流れる。

ガサガサ・・・・・

ボロちゃんが、葉っぱの屋根の下に寝転んだ。

太陽がまぶしいから、影に隠れたのだ。

「チュー」

ネズミは、屋根の上にやって来た。

ボロちゃんは、昼ねするつもりなのだ。

「ニャー」

僕も、昼寝するのだ。

サラサラサラサラサラサラ・・・・・・・・・・・・・・・・・


日向ぼっこ

2008年03月27日 15時04分19秒 | 黒猫のひとりごと

サラサラサラサラ・・・・・・・・・・・・

ムクリ――

明るい日の光で、目が覚める。

「ニャー」

今日は良い天気である。

あたりを見渡すと、昨日までと景色が違う。

それに暖かい。

川は、高い所から低い所に流れる。

だいぶ、海に近づいたのかな。

「チュー」

おや。

ネズミが、樹のくぼみで遊んでる。

水が乾いて、ネズミのサイズにピッタリなのだ。

顔を近づけてみる。

「チュー」

ネズミが、僕の鼻に触った。

シナリ――    シナリ――

樹の枝が、シナシナしなってる。

ボロちゃんが、枝の先の方で体重をかけて遊んでるのだ。

ニャー

枝が折れても知らないよ。

タッ    タタッ

僕は、ボロちゃんよりもさらに枝の先に向かう。

ブルルン――    ブルルン――

「ニャー」

小刻みに揺れて、たのしい。

・・・・ニャ

揺れなくなった。

ボロちゃんが、枝の根元に下りたのだ。

・・・・・・・・ポカポカ

ポカポカ良い気分である。

まだしばらくは、このまま流れるのだ。

ピョン――     バサ

僕は、枝から葉っぱの屋根の上に飛び降りた。

「ニャー」

日向ぼっこするのだ。

サラサラサラサラサラサラ・・・・・・・・・・・・・・・・・


晴れた夜

2008年03月26日 11時41分17秒 | 黒猫のひとりごと

チャプチャプ・・・・・・・

水の流れが、緩やかである。

ゴロリ――

仰向けになる。

葉っぱの間から、月が見えるのだ。

雲がいなくなってるのだ。

ボロちゃんとネズミは、寝てる。

僕は、屋根から出る。

天に伸びた枝を、ゆっくり登る。

今夜は、星がきれい。

いつもよりキラキラ瞬いている。

ウォンウォンウォンウォン・・・・・・・・・・・

遠くから、音が聞こえる。

「ヘリコプターだ・・・」

おや、ボロちゃんがおきてる。

「チュー」

ネズミは、葉っぱの屋根の上に乗っかってる。

周りを見渡すと、僕らの樹の周りに、枝やら他の樹が集まってる。

おもしろそうである。

ピョン    ピョン     ピョン

僕は、枝から枝に飛び移る。

動き回って遊ぶのだ!

「ニャー」

たのしい。

タッ   タッ   タッ

すると、ボロちゃんもマネし出したのだ。

今夜は、ずいぶん元気である。

パイナップルを食べたおかげである。

タッ   タッ   タッ

しかし、危なっかしいのだ。

タッ   タッ   ズル――チャポン

川に落ちた・・・

「ニャー」

やれやれである。

人間が、ネコのマネなんてするからである。

チャポン――

ボロちゃんは、笑いながら樹によじ登ってきた。

そして大きな枝の根元で、仰向けに寝た。

ヒュゥゥゥ~~~~~ルルルルル

あったかい風が、そよそよ吹いてる。

すぐに、服は乾くのだ。

僕も戻ろう。

ピョン   ピョン

ボロちゃんの近くに戻ると、屋根の上のネズミが仰向けに寝転がっている。

みんなで星を見ているのだ。

僕は、ボロちゃんのより先の方にある枝の根元に向かう。

枝と枝の間に、仰向けになって挟まる。

サラサラサラサラ・・・・・・・・・・・・・・

水の音が聞こえる。

川を下っていけば、海に出るのだ。

この樹は、僕が寝てる間も動く。

楽して港に戻れるかもしれないのだ。

しめしめ。

シッポを振ってみる。

バタバタ・・

前足を、バタバタさせる。

バタバタ・・

後ろ足をバタバタさせる。

樹が、水に流されてユラユラ揺れる・・・・・

良い気持ち。

星を見ながら、寝るのだ・・・・・

チャプチャプチャプチャプ・・・・・・・・・・・・・・・


大洪水

2008年03月20日 15時54分18秒 | 黒猫のひとりごと

ゴォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今日も、雨が降り続けている。

空には、雲がどんよりと幅を利かせている。

お日様が見えないのだ。

「ニャー」

僕らを乗せた樹は、横倒しになって水に流されている。

横倒しになった樹は、根元を前に向けて流れている。

昨日の夜は、大変だった。

風で飛ばされそうであったのだ。

おや。

ボロちゃんが、上着を着ている。

上着は、枝に引っかかって風に飛ばされずにすんだのだ。

でも、中に入っていたパイナップルがいなくなった。

ニャー

ショックである。

「すごいなぁ・・・・・・船みたい」

ボロちゃんが、天に伸びた枝の根元に座り込んだ。

「チュー」

ネズミの入っていた穴は、上手い具合に上を向いたのだ。

水が溢れてお風呂みたいになってる。

「チュー」

水に濡れるのを、嫌がってる様である。

すると、ボロちゃんが上着の中に入れたのだ。

ボロちゃんの座っている枝の上に、登ってみる。

あたりを見渡すと、水ばかり。

「見ろよ、あそこが線路だ・・・」

ボロちゃんが、右の方を指差す。

小高い丘が見える。

「川が溢れて、こんなに高くなったんだ」

だんだん線路から離れていくのだ・・・・

ザァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・

おや。

パイナップル。

僕らの樹の左側に、パイナップルがプカプカ浮いてる。

行方不明だったパイナップルが、戻ってきたのだ!

「ニャー」

僕は、左側の枝に移動する。

チャプチャプ・・・・

水をかいて、パイナップルを呼んでみる。

こっちおいで・・・・

「取れそうか・・・・?」

ボロちゃんもやって来た。

チャプン   チャプン

上手い具合に、樹の根元の方に流れてきたのだ。

ゴン    ゴン

ボロちゃんが、樹に叩きつけてる。

パカ――

割れた。

頂くのだ。

パクリ    モグモグ   モグモグ

「ニャー」

おいしい。

「チュー」

しかし、樹が横倒しになってる。

大きな樹でよかった。

他の樹も流されていて、枝から枝に別の樹に飛び移れそうである。

葉っぱの沢山付いた枝が、いる。

ズルズル・・・・・・・・

僕は、それを銜えて引っ張りあげる。

それを、根元の方に運ぶ。

根元の方の枝は、太いのだ。

枝と枝の間に、拾った枝を被せる。

「ニャー」

屋根が出来た。

雨が少し冷たいので、ここで雨宿りするのだ。

バサ    バサ

すると、ボロちゃんが次々と枝を拾ってきた。

「こりゃいいな・・」

そして、出来上がった屋根の下に寝転んだ。

僕が先に寝ていたにもかかわらず!

「ニャー」

バシ

ネコパンチを、お見舞いする。

すると、ボロちゃんが僕をお腹の上に乗せた。

「あったかいな」

暖かいのだ。

「チュー」

ザァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・

雨が、葉っぱに当たって音を立てる・・・

ゴォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・ォォン  ォォォォォ・・・・・・・


土砂崩れ

2008年03月19日 15時53分42秒 | 黒猫のひとりごと

ゴォォォォォォォォン   ――――

ォォォォォォォォォォォォォォ      ―――

おい!

ニャァァァ

ボロちゃんの声で、目が覚める。

「ニャー」

「しっかりつかまってろよ!」

ボロちゃんが、慌てたような声を出している。

ふふん。

ネコぶって樹の上で寝るから、起きてびっくりしてるのだ。

ゴォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・

おや。

ずいぶん激しい雨。

ビュゥゥゥゥ  ―――――――

突風が吹いた。

結構大きな樹なのに、大きくしなっている。

でも、僕は枝の間に挟まってるから平気。

「ニャー」

たのしい。

チュー

おや。

ネズミの鳴き声が聞こえる。

「おい、どこだ!」

なにやら、下のほうが騒がしい。

・・・・・・スポッ

心地よく挟まってたのに、枝から抜け出す事にする。

ビュゥゥゥゥゥゥ~~~ゥゥゥゥゥ・・・・・・

風が強い・・・・・・!

ミシミシ・・・ミシミシ・・・

小さい枝は、もう折れそう。

僕は、なるべく太い枝の間を縫って、下りていく。

爪を引っ掛けて。

ゴォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・

・・・・・雨の音で気付かなかったけど、下は川のよう。

水がごうごう音をたてている。

きっと、斜面を勢いよく流れ落ちてるのだ。

ニャーー

僕が鳴いても、声が消える。

ボロちゃんが、一番下の太い枝にしがみついてる。

チュ~~~

ニャ

ネズミが、隣の枝の先っぽの方にいる。

しがみついてるのだ。

なんであんな所にいるのだろう。

ユラユラ揺れる枝の先に、ボロちゃんの上着が引っかかっている。

パイナップルと一緒に。

ダンッ―――タッ

僕は一気に、問題の枝の根元に飛び移る。

身をかがめて、機会を待つのだ・・・・・・

ゴォォォォォォォ    ォォォォォン    ゴォォォォォォォォォォ

一瞬風が凪いで、枝が戻る―――

タンッ    タンッ    パクッ   タンタン―――

――一気に駆け寄って、ネズミを銜えて戻る。

「チュー」

助かったのだ。

僕は、ネズミを樹の穴の中に入れる。

きっと、鳥が開けた穴である。

「お前もしっかりつかまってろよ・・・」

ユラリ――ユラリ――

おや、樹の揺れ方がさっきまでと違う。

ゴォォォン

「ニャー」

雷である。

「おい・・・・」

雷の鳴き声を合図に、樹が動き始めた。

ニャァァ

樹って動けるの・・・

「ニャー」

新発見である!

「・・・・・・・・・・・・・・」

ドドドドドドドドドドドドドドドドドド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

急な斜面を、水と一緒に滑り落ちてるのだ。

ニャー

滑り台である。

確か、この斜面はずいぶん下まで続いてるのだ。

「チュ~~~」

ゴォォォォォォォォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・・・・


雨宿り

2008年03月18日 14時53分00秒 | 黒猫のひとりごと

ザァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーー

・・・・・・・・

僕は今、仰向けになって寝ている。

隣にはネズミ。

その隣にはボロちゃんが、仰向けになって寝ている。

口を開けて。

ザァァァァァァァーーーーーーーーーーーー

雨を飲んでいるのだ。

「ニャー」

おいしい。

たっぷりお水を頂いた僕は、起き上がる。

ブルブルブルブルブル・・・・・・・

ブルブルする。

「チュー」

ネズミも起き上がった。

ヒュゥゥゥゥゥゥゥ~~~~~~ゥゥゥ~~~

風が、少し冷たい・・・

チャプ  チャプ  チャプ  ・・・・・

ボロちゃんが、線路左の林の方へと歩いていく。

寒いから、樹で雨宿りする気なのだ。

なにせ、ボロちゃんは上着を着てない。

上着を袋代わりにして、パイナップルを3個ほど持ち歩いているのだ。

いつ食べるのだろう。

「チュー」

チャチャチャチャチャ・・・・・・・・・・

ネズミも、後を追っていく。

スリスリ

僕は、線路に頭をスリスリしてみる。

冷たい。

「ニャー」

追いかけよう。

ゴォン――

ニャ

ゴロゴロゴロゴロ・・・・・・・

「ニャー」

雷が鳴いてる。

返事しないと、いじけるのだ。

雷は、困ったやつである。

この辺りには、樹がまばらにある。

急斜面になってる。

そこに、この辺りでは一番大きな樹がいる。

ボロちゃんも、その根元にいるのだ。

ズルズル・・・

すべるのだ。

斜面に立っている樹。

その根元に、寄りかかるようにして雨宿りする。

・・・・登ろう。

僕は、樹の上に登ってみる。

ニャー

遠くが良く見える。

この斜面、このままどこまでも続くのだ。

その向こうに、川が見える。

この樹、枝が太いので休むのに良いのだ。

「今日は、ここで寝よう・・・」

おや。

ボロちゃんも登ってきた。

枝と枝の間に、挟まるように落ち着いた。

いいな。

「チュー」

カリカリ・・・

ネズミが、ボロちゃんの抱えているパイナップルの葉っぱをかじっている。

「だめだよ・・・・明日食べよう」

「チュー」

葉っぱをベットにして、ネズミは寝るつもりである。

僕も、良い場所を探すのだ。

ザァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーー

もう少し登ってみる。

ニャ

僕の体に、丁度良さそうな隙間を発見。

グリグリ・・・・

はまり込む。

「ニャー」

僕は、ここで寝るのだ。

ヒュゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーー

・・・風が強い。

枝が、風でユラユラ揺れる。

ユラユラ・・・・ユラユラ・・・・

・・・・眠くなってきた。

時々樹の葉っぱの間から、雲が見える。

僕は、斜面の方をみる。

遠くが霞んで見える。

おや。

雷がピカピカ光ってる。

ゴォン    ォォォォォォォォン    ゴォォォォォォォォォォォォ  ォォォ

「ニャァ・・・・」

おやすみ、雷。

ゴォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーォォォォォォォーーーーーーーーー


線路と畑

2008年03月11日 16時02分27秒 | 黒猫のひとりごと

ザワワワワワワワワワワ・・・・・・・・・

「ニャー」

線路の周りの林が、揺れてる。

・・・・お腹すいた。

今日は、朝から何も食べてない。

ずいぶん歩いたのだ。

トン トン トン ・・・・

ボロちゃんが、線路の上で跳ねてる。

意味なく元気である。

「ニャー」

ご飯を探すのだ。

僕の背中の上には、ネズミがいる。

楽が出来てうらやましいのだ。

小さいってすてき。

おや。

寝ていたネズミが動き出した。

「チュー」

ネズミの指示で、僕は線路を離れる。

「おい!こっちだよ」

「ニャー」

ボロちゃんも来るのだ。

ザワワワワワワワワワワワワ・・・・・・・・・・・・・・・

一陣の風が吹く。

ニャー

すごい。

ツンツン畑である。

林に隠れて分からなかったけれど、すぐ近くに畑があったのだ。

人間は、食べ物を飼うのが上手である。

「・・・・・・」

ボロちゃんが、辺りを気にしている。

こないだみたいな暴力人間がいないか、見回しているのだ。

線路は小高い場所にあるので、ここから畑が見渡せる。

誰もいないのだ。

それに、こんなに広いから見つかっても逃げれるのだ。

あの形・・・・

パ、パイナップル!

「チュチュチュ」

ネズミのお手柄である。

不覚だったのだ。

こんな近くに、ぼくの大好物であるパイナップルが沢山いたとは。

全然気が付かなかったのだ。

「ニャー」

ボロちゃん、早速頂くのだ。

ザザザザ・・・・・・

坂を下りて、畑に向かう僕たち。

畑に刺さっている、ピチピチのパイナップルである。

ツンツンの葉っぱの上に、パイナップルが乗ってる。

葉っぱが、大事に抱えているのだ。

ゴソゴソ・・・・・・

ボロちゃんが、一つ取った。

・・・・・・

僕は、犬みたいにシッポを振ってみる。

タタタタタ・・・・・・・・・

ボロちゃんがパイナップルを持って、坂を上っていく。

ニャー

おあずけである。

ザワワワワワワワワ・・・・・・・・・・・・

生暖かい風が吹く。

ゴン   ゴン

線路に戻ると、ボロちゃんがパイナップルを振り回している。

おいしいパイナップルには、葉っぱが生えている。

そこを持って、線路に叩きつけている。

クマでもいれば、すぐ割るのに。

パカ――

割れた!

ボロちゃん、手がいたそう。

「ほら」

割れた片方をくれたのだ。

「チュー」

ネズミは、飛び散った欠けら食べる様子。

それでは、遠慮なく新鮮なパイナップルを頂くのだ。

パクパク       ペロペロ

「ニャー」

おいしい。

のどが渇いていたので、丁度いいのだ。

ボロちゃんも、ガツガツ食べている。

僕は小食なので、もういいのだ。

後は、ボロちゃんにあげる。

「チュー」

おや、ネズミが何か見つけた様子。

パイナップルの種である。

ガリガリ・・・・・

僕は、線路の脇に穴を掘る。

電車が来てもはねられない様に、慎重に場所を選ぶ。

そこにネズミが種を入れた。

埋めるのだ。

「・・・・・・・お前あたま良いな」

ボロちゃんが感心して、種をズボンのポッケに入れてる。

ふふん。

自分で畑を作るつもりかな。

ザワワワワワ・・・・・・・・・・・

・・・・・・それにしても、この線路は暇である。

電車が全然こない。

「何個か持って行こう・・・」

ボロちゃんが、畑に向かった。

まだ食べるのかな。

僕はひっくり返る。

空が青い。

雲がないのだ。

鳥が飛んでる。

気持ち良さそうである。

僕も、空を飛んでみたいのだ。

ザワワワワワワワワワワワワワワワ・・・・・・・・・・・・・・


置いてきぼり

2008年03月09日 17時03分17秒 | 黒猫のひとりごと

ゴォォォォォォォォォ・・・・・・・・・・

また飛行機が飛び立った。

大きな道路の向こうには、男達が泊まっているホテルがある。

しかし、警備の人間が多い。

きっと、ボロちゃんは入れないのだ。

どうしよう。

「お前、ここから来たのか・・・」

ボロちゃんが、ビルを見上げている。

「なんだ・・・・・じゃあ、ほんとにここでお別れだな」

ニャ

ボロちゃんが、僕の前足を持って振る。

握手である。

「チュー」

ネズミが鳴いた。

ブロロン・・・・ブロロン・・・・

おや。

バス。

ホテルから、バスが出てきた。

ニャ

あれはシャープさん。

窓から、シャープさんの顔が見える。

僕に気づいてない。

ブロロロロロン・・・・

そして、走り出したバスの後ろに男の頭が見える。

「ニャー」

どこに行くのだ。

ブロロロロロロロロロ・・・・・・・・・・・・・・・・・

もしかして、船に帰るのかな。

・・・・・

僕を置いて。

「・・・・・・ニャー」

ひどいのだ。

僕を置いて行くなんて!

確かにこっそりついて来たけど、斧さんは僕がいる事を知ってるのに。

タン タン タン タン ・・・・・・・

バスを追いかける。

「ニャー」

待つのだ!

「なんだよ!」

タッ  タッ  タッ  タッ  ・・・・・・・

ボロちゃんも走って付いて来た。

「そのバス待って・・・・ネコを忘れてるぞ!」

大声でバスを呼ぶボロちゃん。

「ニャー」

止まるのだバス!

ブロロロロロロロロ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・

・・・・ニャー

バスは、行ってしまった。

僕は、置いてきぼり。

あんまりである。

「あのバスに、乗ってたんだろ・・・・?」

息を切らせているボロちゃん。

ご協力感謝するのだ。

しかし、バスは止まらなかった。

しょうがない。

自力で帰るしかないのだ。

・・・・・・この道を進んでいけば、港に付くのかな。

「チュー」

「・・・・・俺が連れていってやるよ」

ニャ

タッ  タッ   タッ  ・・・・・・・

ボロちゃんが走り出した。

「早く来いよ・・・・・きっと港だ」

きっと、バスを追いかけるつもりなのだ。

ボロちゃんも、一緒に港を探してくれるのだ。

「ニャー」

僕も、走る。

タッ   タッ   タッ   タッ   タッ   ・・・・・・・・・・・・・


見つけた

2008年03月09日 16時25分40秒 | 黒猫のひとりごと

「ニャー」

朝早くに教室を出たボロちゃん。

あのままあそこにいれば、おいしい朝ごはんが食べれたかも知れないのに。

せっかちである。

おや。

ボロちゃんがしゃがみこんだ。

コロ――

バシ

ボロちゃんが石を転がしたので、思わず手が出たのだ。

・・・・ボロちゃんが笑ってる。

子供の遊びに付き合ってられないのだ。

コロ――

バシ

・・・・しまった。

また石が転がってきたので、つい手が出た。

「チュチュチュチュ・・・」

ネズミまで笑ってる!

僕をバカにしてるのだ。

「ニャー」

鳴いてみる。

「ほら、こっちだ」

ボロちゃんが歩き出している。

ネズミを背中に乗せて、僕は後を追う。

朝靄で遠くはぼんやり。

ブロロロロロロ・・・・・・・・

車の音が近くなってきた。

大きな道路が近い。

「・・・・・・お前、ノラネコじゃないだろ」

「ニャー」

さっきまでと違って、ビルやお店が見える。

僕が歩いていると、ボロちゃんが止まった。

「ここでお別れだ・・・・・早く家に帰りな」

「チュー」

手を振っているボロちゃん。

「ニャー」

あれは、人間のお別れのサインである。

「また遊びに来いよ」

逃がさないのだ。

ブンブン

前足を振る。

こうすると、人間は寄ってくる。

ブンブン

「・・・・なんだよ」

予定どうり、ボロちゃんが寄ってきた。

「ニャー」

付いてくるのだ。

この街には横断歩道が無いので、隙を見て道路を渡る。

ちゃんとボロちゃんも付いて来た。

ブロロロロロロ・・・・・・・・

大きな交差点。

僕は空を見上げる。

ゴォォォォォォォォ・・・・・・・・・・・・・

飛行機が下りてきている。

風が吹いて、靄が晴れていく。

ニャー

あったのだ。

大きな丸いビル。

あれが、僕のホテル。

「ニャー」

行くのだ。

「おい・・・そっちはダメだよ」

ニャ

またボロちゃんが歩を止めた。

まったく我がままである。

バシ

僕は、ボロちゃんの足にネコパンチをお見舞いする。

「ニャー」

・・・・・・

ボロちゃんが、歩き出した。

それでよし。

僕は歩き出す。

もうすぐである。

「チュー」


バナナ

2008年03月01日 15時58分11秒 | 黒猫のひとりごと

ポッポポポポポポ・・・・・・・・・・・・

お月様が丸い。

お月様が丸い時は、良いときである。

「チュー」

仰向けになって、寝ているボロちゃん。

僕とネズミは、ボロちゃんのお腹の上で起きるのを待っている。

ボロちゃんが息をするたびに、上下に揺れる。

「ニャーォ」

いい加減起きるのだ。

バシバシ

シッポで、お腹を叩く。

しかし、さっき暴力人間に叩かれたので、ボロちゃんの服がもっとボロボロになった。

顔の方へと移動してみる。

バシ

ボロちゃんのアゴに、ネコパンチをお見舞いする。

「・・・・・」

動いた。

「・・・・・もう・・・・夜か」

「チュー」

「なんだ、ずっとそこにいたのか」

「ニャー」

お腹すいた。

また、ご飯を探しに行くのだ。

「いたたた・・・・」

ニャ

暴力人間に叩かれた所が、まだ痛むよう。

それはそうである。

あの人間、手加減無しだったのだ。

僕だったら、きっと痛くてゴロゴロするのだ。

「・・・・・たぶん、俺以外にも取ってるやつが居たんだな」

ニャー

運が悪かったのだ。

あんな人間に見つかって。

・・・・ボロちゃんが歩き出した。

・・・・・・しょうがないのだ、男達の所に連れて行こう。

こっそり付いて来たことがバレてしまうけど、いいのだ。

「ニャー」

僕はボロちゃんを呼ぶ。

「・・・・そっち行くのか?」

・・・・付いて来た。

しめしめ。

ホテルに帰ろう。

・・・・・・

・・・・・・・・・・

所で、ここはどこ?

街の方からは、悪臭が漂ってくる。

・・・・しょうがないのだ。

とりあえず、歩こう。

ボロちゃんの手の上に乗って、ネズミも付いてくる。

ネズミめ、楽しすぎである。

ターン   ターン

ニャ

遠くから、鉄砲の音が聞こえる。

耳を立てる。

「大丈夫、この辺りじゃないよ」

ボロちゃんが、僕を抜かして先を歩く。

付いて行こ。

「白人さ・・・」

さっきから、ブツブツ何か言ってる。

「あいつらが武器を持ってくるから・・・」

おや、ボロボロの小屋が立ち並ぶ中、少し丈夫そうな小屋がある。

ボロちゃんが、その敷地の中に入って行く。

「もういいや・・・今日は寝よう」

「ニャー」

ボロちゃんの目に、なぜか大きな涙。

小屋の壁にもたれ掛かって、そのまま座った。

「オイ!」

おや、長い鉄砲を持った人間が2人。

警備員の様。

「ニャー」

なんかちょうだい。

僕は、愛くるしい声で鳴いてみた。

・・・・・・・

ボロちゃんが、立ち上がった。

トボトボ・・・・・

トボトボと、外に歩いていく。

ピカ――

ニャ

まぶしい。

ライトの光である。

この辺りは人間の街なのに、暗い。

なので、ビックリしたのだ。

「ちょっと待って・・・・」

おや、さっきとは違う人間。

長い髪を後ろで束ねて、馬のシッポみたいにしてる。

「ニャー」

この様な人間は、食べ物をくれる。

「あなた大丈夫?」

「うん・・・」

ニャ

僕を無視して、ボロちゃんの方へ行った。

「ニャー」

ショックである。

「大丈夫だから、こっちおいで」

シッポ髪の人間に連れられて、ボロちゃんが小屋のほうへ向かった。

さっきの警備員がいる。

「すみません、うちの生徒なんです。喧嘩したみたいで・・・・」

「そう・・・・」

中に入るよう。

「お友達もどうぞ・・・」

「ニャー」

僕を手招きしてる。

僕を無視したわけではなかったのだ。

うれしい。

中に入ると、暗い。

人間は電気を使って魔法を起こすのに、ここにはそれがない。

まあ、僕は暗くても平気。

「・・・・先生?・・・・どうしました」

中に、大きな人間がいる。

この街の人間は、みんな肌が黒い。

でも、この2人は白いのだ。

「すみません・・・手当てをしてあげたいんです」

「・・・・・・彼一人?」

「はい」

大きな人間が、軽くうなずいた。

「チュー」

ネズミが、僕の上に乗っかってきた。

「食べて良いよ」

大きな人間が、バナナをボロちゃんにあげてる。

パクパク食べるボロちゃん。

いいな。

「ネコも食べるのかな・・・・」

僕にも、くれた。

ニャー

親切である。

パク

「ニャー」

おいしい。

「チュー」

ネズミも食べてる。

おや、ボロちゃんがゴクゴクお水を飲んでる。

・・・よく見ると、大きな人間も腰に鉄砲を付けてる。

この部屋は、広い。

どうやら、教室のよう。

だって、黒板のような物があるもの。

「いてっ」

おや、シッポさんがボロちゃんの手当てを始めた。

スースーするのを付けてるのだ。

「ニャァァ」

そんなに痛いの?

さっきから、ボロちゃんがボロボロ涙を流している。

「今夜は、ここで寝ていきなさい」

スルリ――スルリ――

僕はシッポを左右に振って、遊んでみる。

「チュゥゥ」

ネズミがシッポにしがみついて、便乗している。

・・・・遊ぶ時まで、楽しすぎである。

2人の大人は、去った。

そして、ボロちゃんはここで寝るよう。

僕は、しばらく辺りを見張っていよう。

どうもこの街は、油断できないのだ。

そして明日には、きっとホテルにボロちゃんを連れて行くのだ。

タン――        タン――