細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

「凛とした」

2010-11-14 11:49:45 | 人生論
八戸では,気が付けば夜中の12時半まで,田村先生と阿波先生と屋台で語り合っていました。途中からは「龍馬伝」という名前の焼酎で盛り上がっていました。二度ほど,三人で大きな乾杯をしました。一度目は何が理由か忘れてしまいましたが4回くらい乾杯していました。二度目は「データベース」に乾杯でした。

尊敬しお慕いする田村先生からは,私のことを何度もほめていただきました。「スケールがでかい」「視野が広い」などなどのお言葉をいただきましたが,すべて「栄養」にさせていただいて,前へ前へと協働で進んで行きたいと思います。

決して自惚れるつもりはありませんが,リーダーとしてビジョンを示し,協働で皆が生き生きと活躍できるよう,そして結果が伴うよう,マネジメントしていく役割を担っていると自覚しています。

そのような役割を担わせていただけるのは,これまで一級の方々を見させていただいたこと,一級の考え方を叩き込んでいただいてきたこと,多くの素晴らしい仲間がいること,などなどによります。また,自分自身の研究のことも大事ですが,人間性や教養が大事なので,幅広く勉強し,感性を磨くことにも多くの時間を割いているつもりだし,これからもそうしたいと思っています。例えば教室の見学会も,私にとっては視野が広がり,感性を磨くことに不可欠な場の一つになってきています。とにかく日常が大事。日常を徹底的に活用する。

田村先生と阿波先生と語り合ったビジョンはとてつもなく大きなものであり,身震いするようなものです。田村先生は翌朝のメールで,「命ある限り,いや命を繋いででも実現したい」とおっしゃっていました。

以下,両先生に起床後にお送りしたメールの一部。

「昨日は遅くまでありがとうございました。

これまでも数々の楽しい会話は,多くの仲間,先輩,師匠たちとしてまいりましたが,昨夜の先生方との時間は格別でした。阿波先生,あのような素晴らしいチャンスを私にも与えていただき,ありがとうございました。

決して夢物語ではなく,時間と労力はかかると思いますが,なんとしても実行しなければならないミッションと理解しています。

朝起きて多少お酒は残っておりましたが,ベッドの上で昨日のことを思い出して「すごいことをやっとるなあ」と笑いがこみ上げてきました。朝起きてまでそういう感覚が残るのもめったにないことです。

ですが,風呂につかりながら小説を読んで,身支度を終えたら,「凛とした」気分になり,平常心に戻っていました。やはり,夢物語ではなく,実現するためにできるあらゆることを着実に協働で実行していくべきである,と思います。

これから大仕事が待ち受けておりますが,昨夜の「乾杯」からすべてが転がり始めると思っておりますので,ご指導,お付き合いのほどよろしくお願いいたします。」

頑張りましょう。


協働

2010-11-14 10:22:49 | 研究のこと
11/12(金)は田村隆弘先生とともに,八戸を訪れ,八戸工業大学の主催のシンポジウムで200人の聴衆を前に講演をしてきました。阿波先生のコーディネートでした。

ひび割れ抑制対策と,ひび割れ抑制と表層品質の向上,というテーマで二人で講演をしました。が,本質は「マネジメント」です。

この取組みに関与し始めて1年半ちょっと経過しましたが,本質が見えてきました。これは決してひび割れだけの問題でもなく,コンクリート工事だけの問題でもなく,建設だけの問題でもなく,社会全体にまで及ぶ問題であり,マネジメントである,と確信し始めています。

社会活動が細分化され,それぞれの竪穴での専門性は高度化しているのでしょうが,横の連携が取りたくても取れない状況になってきている。また,大政奉還後,平等な社会が構築されてきましたが,現在は決して平等ではなく,「官」が大きな権力を持っており,また身分も保障されている。そのような硬直した社会で,皆が生き生きと活動できず,かつ意味のない仕事が増え,結果も出なくなってきている。成長戦略を描くリーダーも数えるほどしか出てこない。

そこで「協働」です。山口県の二宮さんは自分達のプロジェクトを高杉晋作の「奇兵隊」に例えておられます。「協働」だからです。(田村先生が吉田松陰,私は坂本竜馬かな,と身内で盛り上がってます)

これは非常に大きな流れで,ある意味では「革命」に当たるかもしれません。発注者(官)が性能発注という形で,もしくは責任施工という形で,施工者に丸投げするような流れが見られましたが,山口県の取組みは,昔のように発注者に技術力と責任を戻す動きのように見えるかもしれませんが,そう単純ではありません。「協働」し,それぞれのやるべき役割をしっかりと行うことで,自然と結果がよくなる仕組み。それぞれが生き生きとクリエイティブに活動することが,全体がよくなる方向につながる仕組み。まさに明治維新の頃に必要とされた仕組みの再構築が今求められています。山口県の取組みは,建設という社会経済活動のやり方の再構築,です。

もう一つのキーワードは「データベース」です。データベースが核にあるので,自分達の取組みが毎回検証され,次につながっていきます。技術規準類へのフィードバックがなされる仕組みもいずれ構築されるでしょう。例えば総合評価方式は,提案された技術がきちんと検証されていますか?そうでないとすれば何のための仕組みなのでしょうか。

我々は,「データベース」を核とした,ひび割れ抑制対策,維持管理システムを各地で立ち上げ,技術規準類へフィードバックしていく仕組みを構築します。それらを日本全国で展開し,コーディネートするチーム(例えばJCIの常置委員会のようなもの)を立ち上げ,マネジメントします。そうすれば,各地域の研究者,実務者などの取組みが連携され,頑張れば頑張るほど構造物も良くなり,規準類も高度化していく。

夢が広がります。もはや夢とも思っていませんので,実現に向けてしかるべき手を着実に「協働」で打っていきます。

次は12/21(火)に我が横浜国立大学で研究会を開催します。テーマはまさにこの記事に書いたこと。火を付けるつもりで頑張ります。東大の小澤一雅先生にも来ていただき,アドバイスをいただく予定です。