tamiのブログ

このブログ・・・妄想ー空想大好きな私が、勝手に楽しんで・・・勝手に文字にしています。ボロボロですが(笑)

かごのとり 16

2018-08-31 08:15:01 | かごのとり

久しぶりのラフな自分の服装に苦笑いだった・・・どれだけスーツで自分を締め付けていたかと笑うしかない。
早々に出た彼女は妹が眠る場所に向かった。

静かな空間・・・今まで過ごしていた喧騒さはない・・・本当の自然の中に浸れる事に笑み、花を手向けた。

『誕生日に来れなくてごめん・・・大丈夫だから心配しないでね・・・』
そう言いながら辺りの景色を楽しんだ。
薄れそうな妹の顔・・・笑みながら飾った写真を眺める彼女だった。

新たな誓いを立てる・・・
ずっと自分を作り近づいては何かを探すように調べていた・・・好みから行動範囲・・・あらゆるモノも取り合えずと集めた。

日を要して、やっと それぞれの場所が把握出来てきた。
顔見知りのはずの人達さえ、似てると最初に呟き驚くだけで違うと身内から否定されれば簡単に納得し今日まで来ていた。

本部長の動きに感謝する・・・軽く引き受けるが調べは詳細まで徹底する。
相手を知り初めて向き合うという彼だったから出来た事でもある。

不正も気にせずに頼まれた事だと引き受ける・・・大きく揺るがす事だけは防いでいた事に気付いた。
提出しながらコピーしていく・・・集まる数の多さに驚きながらも、いつかの為だと口は閉ざした。

当時の関係者は散らされて見つけても、その場に居ない・・・完全に散らした事でプロという粋に頼んだ気がした。

それでも見つからない人もいる・・・ようやく見つけた弁護士・・・兄弟が作った事務所で時々していた事を知った。

あまり表へ出ず裏方のような仕事に、当時の辛さは残っているのだろうと思えた。

聞きに行けない気もして、声さえかけれず様子見をしては迷いが生まれ・・・呼び覚ます怖さは同じなのだろうと諦めて帰る日々だった。


遠目から、今はと眺めていれば見知る人の姿に驚いた・・・普段とは違う出で立ち・・・通勤している車でもなかった。

急いで車から飛び降りた先に、あの弁護士がいた・・・慌て・・・驚き・・・引き返す姿に彼を拒否しているのだと思えた。

弁護士を止め話をしていたが、彼は弁護士を車に乗せて去っていった。

どんな繋がりかと考える・・・それでもフッと笑えた自分がいた。
どんなではない・・・自分への興味・・・そして自分を担当していた弁護士・・・それが絡むのだ。

確実に自分との何かの繋がりはあったのだと思えたが、それは何処とという思いが過った。

一つ線を引いていた・・・絶対の信頼は持つなと自分へ言い聞かせ仕事と割り切ってもきた・・・それで良かったのだと改めて思えた自分に余計に安堵したのだった。




私用だが付き合えとランチに連れ出される彼女は訝しげた。
個室の前にあった靴に・・・覚えがあった画像が甦った・・・彼は自分を試すのだと。


『お待たせしました』
すまなそうに呟く彼は中へと入り込んだ・・・始まる・・・そんな気がして、頑張れと自分へ言い聞かせる。
一呼吸おいて彼女も中へと入り込むのだった。

目に見える程に焦り、項垂れたようにもみえる人・・・自分を弁護した人は悲し気な顔で自分を見ていた事に気付く。

『あの・・・』
弁護士の態度は止めて欲しくて、取り合えず声にしてみれば 小さく謝り彼へ視線を戻した。
理由が知りたいと彼を眺め、目の前にいた人を眺めた。


不思議そうな顔で驚いた・・・これで本命かと諦めるだろうと思えたのに、初対面だという様子だったのだ。

繋がりはあると確信もしていたのに、自分が想像していた姿にならない彼女を見返した。

『本部長・・・席は外しますから、お二人で話されたら如何ですか?』
そう言った彼女だった事に弁護士が驚いていた・・・何だと様子を眺め、彼を見返し返事を待った。

『こちらは待原弁護士だ・・・』
紹介からかと驚くが、そうかと彼へ視線を向けて会釈した。

『 ・・・初めまして。幸坂の秘書をしております葉月と申します。
申し訳ありません、お見受けしておらず失礼致しました』
『 ・・・』『 ・・・』
二人の声もない様子に何だと眺めた彼女だった。

『業務に関係した相談で同行を?

・・・これはプライベートでしたか?社用でしたか?』
『 ・・・』
どちらも答えずに迷ったが、席は外そうと会釈する。

『どちらにしても私は必要ないかと。申し訳ありませんが休暇に戻らせて頂いても宜しいですか?』
『 ・・・』

『それと、私用の携帯で呼び出す事は拒否させて頂きます。
私にもプライベートはあり、予定がずれていますので・・・
本部長、宜しいですか?』

『 ・・・いい』
思わず呟いたのだろう彼に礼をした彼女は丁寧に弁護士へ挨拶をすると部屋から出たのだった。

本人だったかという声は微かにしたが、今はバレる訳にはいかないと早々に離れる彼女だった。



そのままに予定していた事で出掛けたが・・・何故、自分の居場所を知るのかと驚いた・・・それでも彼の場所から見えない・・・ならば挨拶しようと歩き始める彼女だった。

『尾行(笑)してましたか?』
ベンチで休んでいた幸坂・・・偶然だと不意に声をかけられ驚いたようだった。

『サクラちゃん?』
『あー会社の上司(笑)』
『へぇ(笑)。姉がお世話になってます・・・迷惑かけてませんか?』
『し、してない・・・と思いたい・・・』
小さくなる声に苦笑いをして彼は葉月の隣で笑っていた子へ笑みを浮かべた。

『してないよ(笑)。
それより買い物を一緒に来るなんて(笑)姉さん子なんだね』
『あー(笑)買って貰う約束だったんで・・・友達もいますから』
『そうか(笑)』

『(笑)では、失礼します』
『あぁ(笑)』
引き止められそうな気もした彼女は、ハルトを促して離れていった。

仲の良い関係だと後ろ姿を眺めていた・・・

『どんな関係?』
『(笑)上司と言ったわ』
『早瀬さんは?』
『何でソコが出てくる?』
『そんな関係じゃない?』
上司だと笑ってふざける彼女に、勘弁だと離せと笑うハルトだった。


下の階の店へ入り込んだ二人・・・そこは紳士服が揃う店だった事に驚いた。
弟が友達と言った相手と恥ずかしそうに店内に並ぶスーツを眺めていた。

シャツやネクタイを迷わずに選び出す彼女・・・それは嫌だという仕草はあれど選んでくれる恥ずかしさの顔に口を引いて眺めた。

試着室から出た二人・・・初めて着たのだろう姿に笑う彼女の笑みを眺めた。


『観察されてるな(笑)』
隣で品を眺めながら呟く人に、そうだと小さく呟く。

少し前にメールは入り居場所は教えていたが、既に知らせはあったのだろうハルトとタケルの態度に笑いながら選んでいた。

成人する二人の祝いに着るスーツを買いに来ていた彼女・・・アキは別の場所でデートをしていると聞いた。
早瀬は同僚と数点のシャツを買い店から出て行った。

迷う二人に呆れ眺めながらレジカウンター近くのソファーに座り待った。
色んなタイプを着込む・・・不思議と一時に着るだけのスーツ選びは女の子のようで面白いと眺める。

違うと笑いクビをふる・・・やっと様になる二人の姿にOKと立ち上がった。
礼をした二人は店を出た途端、彼女を荷物持ちにさせて離れていった。


謝りながら隣へ並びだし歩く事に笑った。
『本当に悪かった。俺の知る人だと思えた・・・いや、思い込んでた』
『 ・・・大事な人と』

『昔・・・真実を知りたくて探してた人に君は瓜二つだ・・・
恐らく名を替えてと思っていたが・・・突然目の前に現れて焦った』
『近い方ですか?』
『いーや、赤の他人だ・・・』
不意に声音が代わり、探す人との間柄は読めた気がした。

『納得のいかない事は多く探し調べても証拠は見つからず』
『本部長(笑)。それは私に話しても大丈夫な事でしたか?』
『 ・・・』
そうだったと会話を止めた葉月を眺め苦笑いをすると前へ向き直し歩いた。

『最後に確認したいが・・・』
『どれだけ似て・・・』
『すまない・・・より信用したいと勝手に・・・だから頼む、答えてくれ』
『 ・・・どうぞ』

『 ・・・命日・・・それは妹さんの・・・』
『 ・・・妹って・・・
そういえば面接の時にも聞かれましたね。同じ人なんですかね・・・でも本当に妹はいません。

事故で亡くなった両親の命日でした・・・自分を生きる事で精一杯だったので少し休みを頂き行ってきたんです』

『 ・・・』
『本当の両親です(笑)。履歴で知ってるでしょうが施設で育ちました・・・それでも預けられてて・・・大人になってみれば既に他界してましたけど』
『悪かった』
『いえ・・・
その、探している方は社員だったんですよね』

『調べた?』
『(笑)専務や服飾部門の係長まで・・・入社してから、確認するように観察されましたので・・・』
『本当に似てるんだ・・・』
『皆さんへ何をしたんですか?本部長へも』

『俺じゃない、あに・・・』
『 ・・・本部長と近い方だったんですか・・・会わないように気を付けますね(笑)』
『会えないさ・・・』
それは小さな囁きだった・・・

『(笑)気付いてると思うが口は閉じて知らぬを通してくれ』
『本部長?』
『詳細の理由だ・・・』
『 ・・・聞かずにいたら、接待がやり易く事を運ぶのに便利だと思ってました・・・今ので別の理由が沸きましたけど・・・』

『 ・・・』
『お金は必要なので、稼ぐ為に黙ります。巻き込まず・・・手早く・・・ご自分で纏めてくださいませ』
立ち止まり彼を見て呟いた。


二つのショップ袋を肩へかえた彼女を眺めながら、ミスした自分の言ってしまった言葉に苦笑いしかなかった。



驚きしかない・・・自分が殺したと言われた人の弟だった・・・
名前も全く違う・・・死んだ人との居場所さえ違った・・・探せなかった理由が目の前に落とされた事に驚くしか出来なかった。

それでも兄を殺した自分を、よく知らないふりをして観察してきたなと関心した。

仕事の上手さで簡単にこなす・・・相手を知る必要があると全てに詳細を集め瞬時に流れを作る腕があった。

本来は必要ない裏の数字がある書類さえ、違和感が残れば出せと・・・無ければ出来ないと小さく呟き集めていたのだ。

それを有効に使い契約へ持ち込む・・・言葉で濁し牽制する・・・言葉巧みな本部長だと驚いた事もあった。
その間の自分への関心・・・関係者が近くなる怖さが身に染みる・・・

酔った弾みの口の軽さは送迎で聞き出した・・・繋がる場所での接待はレコーダーをしかけた。

当然ながら当時の呟きからと・・・どれだけ似ていたかと声にすれば相手は濁すが、見えなくなると声に出た。
驚き、宥め納得し簡単に終わりは告げた事にムカついた。

最近は身内から言われたのだろう彼女が近づき始めた。
それでも刑務所へ行った事は一つも声になく、明らかに濁していく彼女だった。

怒りを押さえる事で精一杯だった・・・そんな自分も嫌だと、気持ちを切り替えるが・・・沸き起こる事にムカついた。

それを剥ぎ取る人が現れる・・・久しぶりという笑みで自分の気を忘れさせてくれる人だった。
バレたら困る今の自分なのに、振り払えない怖さは黙るしかなかった。

それでもいいと、わざわざ声にする・・・赤いランプが急速に回るのに、自分から払えなかった。

抱き寄せられた自分の落ち着きは不思議と気持ちは楽になり・・・それでも利用していると、そんな自分が嫌だった。

『泣くな・・・泣くなら自分家の風呂で泣けよ・・・辛いと声にしてみたらいい・・・嫌だと騒いで寝たらいい・・・

我慢しないでいい・・・誰も居ない場所を確認してから晒けだせばいい・・・
少し(笑)楽になると気付けよ・・・』

優しい声音が自分から涌き出るモノから離してくれる人だと思えた・・・
預ける事は出来ないと、彼から離れようとした手さえ優しく包まれた。

『近くなったよな・・・タケルから聞いた・・・アキ達まで調べ始めたらしい』
『ま、巻き込んでない?』
『今はな(笑)。いつかはバレる・・・
範囲が広いなら・・・絞れ・・・確実に出来る事を素早く進めろ・・・』

『何処まで知れた?離れた方がいいと思えないの?』
『(笑)辛さよりも愛しさが勝った・・・もしもの好きな仕事は声をかけてもある』
『嫌だ・・・』

『(笑)惚れた弱味は先で強くなれる自分を作ってる・・・関係ないと先へ行ける(笑)余裕でな』
『絶対に嫌だ・・・』

『待原というひ弱な弁護士(笑)、その人が やり直したいと動き始めた・・・だから余計に回りも煩くなった。
別人を通したか?今は本人探しと同時に、当時の証拠を探してると言ってたらしい』

『会った?』
『会わない(笑)同僚に頼んだ。俺が動き難くなるからな・・・
お前が諦めた事で深く隠されずに事は運んでた気もする(笑)、それは良かったのか悪かったのかだが・・・』

『裏の組織が交ざるから危険よ・・・』
『目星はついてる。以外と優秀な弁護士だが(笑)喋りは俺らが刑事だからか?』
『(笑)知らない・・・』

『(笑)自分でしないで分かるから、利用させて貰う(笑)気にすんな・・・』
はーと深い ため息をした彼女に笑み、優しく撫でた彼だった。