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Amrita Organics

薬膳・美容・掃除・畑つくり

冬の養生

2009-01-20 14:38:04 | 中医学
 1月5日は「小寒」(しょうかん)。寒の入りです。これから大寒に向けて
寒さは厳しさを増し、徐々に緩んで立春へと季節は流れます。この小寒から立春
までが「寒」。寒中見舞い、寒稽古、寒中禊(みそ)ぎはこの間の行事です。

 日本にも「冬至には柚子湯に入り、カボチャを食べる」という慣習が伝わって
います。柚子は皮膚の微小循環(毛細血管などの血行)を促進して防寒力を高め、

カボチャに豊富に含まれるカロチンは皮膚や粘膜を潤して感染症にかかりにくい
体をつくるため、冬の養生法として理に適ったものです。

 中医学の古典『黄帝内経』には、「春は生じ、夏は長じ、秋は収し、冬は蔵する」
という季節の特徴にあわせた養生法が記されています。冬の項には、葉を落とす
植物、冬眠する動物に倣(なら)い、人間もまた、なるべくエネルギーを消耗
せず、来る春に向けて体力を温存するよう書かれています。睡眠時間をたっぷり
取り、運動は控えめに、おとなしく過ごすことが冬の養生法の基本です。

 中国には「三九補一冬、来年無病痛」という諺があります。「三九」とは、
冬至から始まる27日間のことで、「寒」の時期も含まれます。この間に
「補益」(エネルギー強化)をすれば、次の一年の無病息災がかなうという
意味です。日本でも、冬至湯(柚子湯)に入るときに「一陽来復、一陽来復」
と唱えると一年中、風邪をひかないと言われていますが、由来はここにあるの
です。

 「一陽来復」とは、「陰きわまって陽が再び生じる」こと。もちろん「陰陽
学説」に基づくもので、一年で一番夜が長く昼間の短い冬至を境に、陽たる昼間
が再び長くなっていることを意味していますが、転じて「悪いことが続いた後、
運気が好転する」という使い方もされています。

 「三九」の厳寒の時期に補益効果のある漢方薬や薬膳を服用することを
「冬令進補」とも言い、中国では冬至に、薬用人参やローヤルゼリーなど、
ちょっと高価で普段は手が出ない滋養剤(補益剤)を贈りあう習慣があります。
日本でいう歳暮のようなものですが、上司の健康を気遣うなら、こうした知恵を
取り入れてみては?

 補益効果のある生薬としては、鹿茸(鹿の幼角、ろくじょう)や蛤(ヤモリ、
ごうかい)、食用蟻(アリ)といった動物性のものと、人参や黄蓍(オウギ)、
当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)といった植物性のものがあります。

 動物性のものは、滋養強壮の効果のあるものが多く、「血肉有情」(血と
肉と感情がある)という観点から人間との相性がいいとされています。また、
「以形補形」(同じ形のもので補う)として、弱い内臓と同じ部位を摂取すると
効果的です。焼き肉で例えるならば、肝臓が弱ければレバーを、胃が弱ければ
ミノやハチノスを、といった具合です。腸の弱い上司への贈り物には、
「テッチャン」(ホルモン焼きなどでおなじみの牛の大腸)の詰め合わせも
いいかもしれませんね。

 また、植物由来の生薬は、補気や補血効果のあるものも多く、虚弱体質や
冷え性など微小循環障害も改善できます。

 これらはいずれも栄養価の高いもの。年末年始の暴飲暴食で胃腸が弱っている
人が、そのまま補益すると、逆に消化不良を起こすこともあります。そうした
場合は、弱った胃腸を改善することが先決。中国では、甘酸っぱいサンザシを
主成分とする「大山丸」が消化剤の代表格。間もなく訪れる「春節」(旧正月)
の大宴会後も、疲れた胃腸を回復させるため、大人も子供も服用します。日本に
ある焦三仙(しょうさんせん)というお茶にもサンザシが含まれており、胃もた
れや二日酔いに効果的です。