とりとも雑楽帳

狭山丘陵の里山歩きとクラッシク音楽の鑑賞日記です。

真夏の日照りで熱した中、体中が沸騰した所沢ミューズのコンサートでした。

2023年07月16日 | 所沢ミューズ

 チラシの裏側に、「ミューズ開館30周年」の文字が躍っていた。ふと我が家が所沢に引っ越しした年が気になった。登記簿謄本を調べると建物登記は1989年だった。まだミューズはなかった。また現役のころは出張と転勤が多い仕事で、とても定期会員はもとより、1月前のコンサートでもチケットが保証されなかった。そんなわけで当時の「FM東京」のクラシック番組での往復はがきでの招待券とたまたま大学時代の友人からのお声がかかり、日程の都合が取れた時が生コンサート機会だった。

 そんなわけでそれこそ退職後すぐにミューズの会員になり、自分なりに月1回をめどに会員優先先行チケット販売制度を利用し定例的にコンサートに通う生活となり、老後の楽しみになっているし狭山丘陵(自然)とミューズ(音楽)は我が老後生活は「なくてはならないもの」となっている。

 この日の演奏会も「開館30周年」にふさわしい、詰めかけた私同様の多数派「老人」を叱咤激励するかのようなパワーあふれる演奏で、それこそ勇気をもらった演奏だった。

 曲目もブラ1に関しては作曲動機そのものが交響曲を急遽ピアノ協奏曲へ転換しただけに、出だしから分厚い響きで始まり、N響の響きも館内いっぱいに広がる迫力が感じられ、ピアノの打鍵の鋭さが、美しく響き渡った。出だしから好きな曲の好きな響きに出会い引き込まれた。長大な曲だが、好きな曲の素晴らしい演奏に引き込まれ、時間を忘れ最後の音の響きに酔いしれた。素晴らしかった。久しぶりにCDでは味わえぬ「感動」を体験した。いつもながら「ミューズ」の響きの美しさを味わえた。

 休憩を挟んでの後半は、ラフマニノフの3番だった。私自身の気持ちとしては、前半でMozartの20番か24番で後半をブラームスにしてほしかったのだが、ラフマニノフの3番では、分厚いビフテキを食べた満足感のあとに、ボリュームいっぱいのボルシチェを食べた如く正直、胃もたれ状況になった。演奏が悪いわけではないが、自分自身が消化不良になった。それでもブラ1の感動で今日の演奏会は十分満足した。

 いつものように薄暮の中ミューズから航空公園駅までの帰り道が、並木の下を音楽の余韻を味わいながらのちょうどよい距離がとてもサントリーホールや文化会館では経験できないすばらしさでもある。我が現状の健康状態で今後あと何回この感動が体験できるかはわからぬが、今は1回でも多く続くことを祈るしかない。


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