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ほどけたリボン、ピンクのリボンーー乳がん検診の是非

2013-04-03 12:37:48 | Weblog
図:jorgensen 340 c1241 より
デンマークの2都市CopenhagenとFunenそれぞれ1991,1993年(たての点線2本)に乳がんスクリーニングが始まった。乳がんの死亡率(たて軸)は前後で明らかな変化は見られない。



受診者:受けるメリットは?
Dr:外国の調査ですが、20年間受けつづけることで250人に一人が乳がんで亡くなるのを予防できるとされてます。

受診者:デメリットは?
Dr:100人に一人が乳がんと誤診されて手術などを受けることになります。

受診者:それでも受けたほうが寿命はのびるのですか?
Dr:微妙なところです。全体死亡率は99%になりますが、統計的には有意ではありません。(信頼区間0.95-1.03)

受診者:受けたほうがいいの?
Dr:それは受診者の皆様ひとりひとりが御自分のライフスタイルにあわせてお考え頂く必要がありますが、250人に1人ということですから、今日この会場では将来恩恵をうける人は1人もいないかもしれません。

受診者:専門的で数字が多くてよくわからないな。N○Kでなにかいってくれないかな?先生は受けてるの?
Dr:私は受けていません。
受診者:ウ~ン、○○ようかしら?(終)


なぜこうなるの?
検診を受けていなくても、自分で気づいて検査を受ける人が多ければ、集団検診の効果に近づくこと、発見が少し遅れても治療が十分間に合うことなどが考えられる。つまり、決して検診自体が無意味ということではない。がんの知識が行き届いている地域では自己検診(乳がんは触診できるから)で十分という可能性。

参考文献
Lancet (2013) 381 p799-804

Gotzsche et al. Cochrane Database Syst Rev 2009 4, CD001877

Jørgensen KJ, Zahl PH, Gøtzsche PC.
Breast cancer mortality in organised mammography screening in Denmark: comparative study.BMJ. 2010 Mar 23;340:c1241. doi: 10.1136/bmj.c1241.





ラッキー博士のホルミシス効果, 危ない低線量被曝

2013-03-03 20:19:44 | Weblog


ホルミシス関連の日本の本に登場し、教祖のようにかつがれているラッキー博士の論文の妥当性を検証をしてみた。

参考書籍:
服部禎男著『「放射能は怖い」のウソ』2011.8武田ランダムハウスジャパン
ラッキー著茂木訳『放射能を怖がるな』2011.8日新報道

キーワード Luckey, Hormesis をPUBMED検索で2論文入手。

Radiation Hormesis: The Good, The Bad, The Ugly. Dose-Response 4p169

Atomic Bomb Health Benefits. Dose-Response 6p369 (原爆の健康増進効果)

要点:
1 ホルミシスの例としてデータを引用しているが、引用元のデータとの間に重要な違いが見つかった。(もともと存在しない誤差バーの追加、
プロット位置の間違いなど)

2 日本の電力中央研究所(CRIEPI)の研究者の顔写真が登場。原子力との利害関係の存在を示唆。

3 Lancetの論文などPUBMED検索で見つからない引用論文が6つ以上あり(全70位引用)多すぎる印象。17が自己引用


4 電力業界との利害関係、慎重さに欠けた引用などがあり、論文の信頼性が心配で、まに受けないほうが賢明。


5 低線量域でのマウスや人の遺伝子破壊や変異はすでに証明されている。



ラッキー論文の主張:
哺乳類による動物実験の根拠がないのに法律(由太郎注; 根拠あり、下記)

ホルメシスを受け入れないのは悪(bad)
効用を無視し続ける医学会の醜さ(ugly)



ラッキー論文、図の間違い(さしえ参照):
低線量被曝が健康によい証拠として引用しているグラフは、原典に忠実でない。
 Miller NEJM(1989)321p1285
プロットの位置が間違っている。
元のデータに存在しない誤差バーが追加されている。
 Schull SCIENCE(1981)213p1220
プロットの位置が間違っている。


ラッキー論文が健康増進効果の根拠として紹介している研究;

リンパ腫の予防効果
Ina 163p153 電力中央研究所
  小線量を照射し続けることでマウスリンパ腫の発症を予防できた。病原菌の少ない環境(SPF)で照射マウスに高齢で通常起こる脱毛がみられず体重も有意に重かった。

コメント:リンパ球は放射線で抑制されるので予想できる結果。他のガンまで予防できるかもと考えるのは乱暴。皮膚がんについても検討したようなことが論文にあるが以降発表がないこと(SCOPUS,PUBMEDで確認)より駄目だったのだろう。自己免疫が老化を進めていることを示唆する結果は興味深い。免疫が痴呆を起こし自分に関する情報を忘れて体の細胞を攻撃するのかもしれない。ただし私がマウス(Balbc)を飼った経験ではたまに変なマウスがいて他のマウスをハゲにしてしまうことがある。C57BL6はみんな年を取るとはげるのが本当かは知らない。Balbcではそんなことはない。

ラドン療法
Becker Nonlinearity in biology(2003)1p3 電力中央研究所の資金援助
  リウマチ、関節炎にたいして有効との研究を紹介。痛み止めで亡くなる人の数(アメリカでは毎年1万人以上)と比べたらラドン風呂の方が安全と主張。
日本では三朝(みささ;鳥取県人形峠の下流)16万Bq/L(流しているうちにラドンは飛んでいく。)1500~4500Bq/Lが最適。禁忌は感染症、精神病、妊婦、ガン。
ドイツ、オーストリアでは健康保険で旅費宿泊費込みでラドン療法が受けられる。
1920~40年ではラジウム入りのチョコレートや毛布が販売された。

コメント:放射線による免疫抑制効果によるものと思われる。感染症による死亡が増えていないか検討する必要がある。

ラドンと肺がん
Cohen68p157を引用してラドンは肺ガンを予防する証拠(benefit)としている。この研究はアメリカの地域ごとのラドン濃度と肺ガン死亡率のデータをもとにそのほかのデータを分析に組み込んだもの。喫煙、収入などで補正してもラドンが高い地域ほど肺ガンが少ない結果となった。LNT理論(被曝による被害は蓄積被曝量に比例し閾値はなしとする理論linear-nothreshold theory)のほうが間違っている(failure)証拠だと結論づけている。

コメント:
  しかしながら室内ラドン、鉱夫などに関する研究は多数存在し鉱夫、室内ラドンに関する研究報告全体としては、低線量被曝による肺ガン発生を支持している。 つまりLNT理論を支持している。
  Lubin Boice (1997)89p66によると室内ラドン150Bq/m2以上ではそれ以下と比べて、肺ガンリスクは20-30%増加するとされる一方、喫煙では10倍以上(1500%)増加とされる。
  アメリカは西部ではラドンが高い一方、喫煙率は低い(Stidley 139p312)よって喫煙補正が不十分だとラドンが高いいほどガンが少なく見えてしまう。
  喫煙率は50%だが室内ラドン150Bq/m2以上で暮らし続けている人は5%とされている。(アメリカ環境省EPAによると3軒に1軒とされるがこれは家の中で最も危なそうな所で窓を閉めて計った場合)Samet NEJM(1989) 320p591,Lagarde Pershagen 152p195
  喫煙に関する補正がいかに難しいかは直感でわかるはずだ。
  たとえばLubinが集めて検討した8つの症例対照研究のうちラドンが高いほどガンが増える傾向を示した(喫煙の有無などで補正した上で)のは4つだけ。
 地域別統計には~町の喫煙率~%、平均ラドン濃度~Bq/m3、 といったデータはあるがその組み合わせ(例えば 喫煙していて、かつラドンの高いところに住んでいる人 ~%)のデータは存在しないものがほとんどだ。したがって相乗効果を分析できない。
症例対照研究では喫煙とラドンの相乗効果による肺ガン発生増加が示唆されている。(Lubin 89p49, Samet320p591)
 Cohenの結果は喫煙に関する補正が不十分による可能性が大きい。
  Cohen の研究結果だけを取り上げて放射線の有益性の根拠とするのは無理がある。




「小線量」(100mSV未満)でも相応の被害を受けうる証拠:

蓄積300mSVで子供に突然変異遺伝子が伝わる
Dubrova PNAS(1995)p6251
自然界の突然変異のペースを2倍にする蓄積被曝線量は300mSVであることが数100匹の親子マウスを使った実験で確かめられる。

Dubrova 453p17
300mSVを一気に被曝させても100時間かけて被曝させても突然変異は同じ頻度でおこる。


CT検査で遺伝子破壊
CT検査を受けた人(4~20mSV被曝)した人からリンパ球を取って調べたところ、DNA鎖の切断の数が被曝量に正比例(原点を通る一次関数)してみられた。(Löbrich M. et al.. In vivo formation and repair of DNA double-strand breaks after computed tomography examinations. Proc Natl Acad Sci USA. 102, 8984–9 )

原点を通る一次関数
人の培養細胞(線維芽細胞)に1mSV~100SV被曝させたところDNA鎖の切断の数が被曝量に正比例(原点を通る一次関数)してみられた。(Rothkamm PNAS 100p5057)

人でも原発事故による遺伝子突然変異が子孫へ伝わる
Dubrova Nature380p683、381p267 チェルノブイリから150km地点のMogirevでは夫婦平均20mSV未満の蓄積被曝でも英国の同じ白人と比較して子供の遺伝子に突然変異が1.5倍、夫婦平均20mSV以上ではさらに1.5倍見られる。(いずれもP<0.01)
  1986-1994の8年間で蓄積被曝20mSVは7Ci/km2の汚染地居住が相当とされる。
  参考;南相馬の住宅、地上1mで2.8マイクロSV/毎時 (2011・6・27NHKラジオ)
蓄積被曝10年で200mSVに相当
  分析の対象となっている遺伝子(minisatellite tandem repeat
小衛星くりかえし)は体のタンパク質をコードしている物ではないが、その役割はよくわかっていない。しかし放射線による傷(突然変異)は今後、子孫代々受け継がれることになるので迷惑で気味の悪い話だ。


総合コメント:
  ラドン温泉に関しては、ガン(特に免疫細胞の白血病、リンパ腫など)、リウマチなど免疫の暴走によるとされる病気の人にはよいかもしれない。放射線がガン細胞や免疫細胞を抑制することはよく知られているから効きそうだ。
蓄積被曝300mSVでマウス遺伝子の突然変異が実験で確かめられているから若い人は近づかない方が賢明。子育てが終わるまでは行かないほうがよいと思われる。高齢者でも、リウマチや関節炎への効果は期待できるが、免疫低下とそれによる肺炎などの感染症も覚悟しておいたほうがよい。
  合計20mSV以下であっても、小分けにしても一気に浴びても遺伝子には確実に傷が残り子孫代々伝えられていく。
CTをうけた回数の多い子供ほどガンになりやすいとの報告もあり(Pearce Lancet[2012] 380p499)これで説明できるのかもしれない。


コレステロール薬、健康な人は10年待って

2011-07-24 09:09:57 | Weblog
まとめ:
糖尿病や心筋梗塞になったことがある人は5年飲み続けた100人のうち3人が命拾いすることになる。

検査値が高い程度の健康な人は5年飲み続けた1000人のうち1人が命拾いすることになる。

コレステロール薬の種類によってガンや糖尿病を起こすかもしれないものがある。ただし5年で100人のうち1人より少ない。

メリットとデメリットのバランスで考えると健康な人は薬の副作用の程度が明らかになるまで禁煙、そして食事と運動でとりくむのが賢明。ただしCRPの血液検査をうけておくとより安心。


内容:
体内でコレステロールができるのを抑えるスタチン剤はメバロチン(Simvastatin)、クレストール(Rosuvastatin)、 などの商品名(メーカーが覚えてもらいやすいように適当につける名前でおなじものでもメーカーによって名前がちがう)(カッコ内は薬品名、万国共通で1つの化学物質につく1つだけの名前。スタチン剤なので後ろにstatinがつく)がある。健康な人へもコレステロールが少々高いというだけで広く処方されている。

しかし薬を飲んだほうが良いかどうかは、メリット(血管老化の予防)とデメリット(副作用)のバランスで判断する必要があるだろう。糖尿病や心筋梗塞になったことがある人は血管の老化が進んでいて、それが命取りになる確率が高い(5年で10%以上が血管事故[心筋梗塞、脳梗塞]などで死亡)。スタチン剤を飲むことでその危険を2ー3割削減できるとされている(Lancet2002, 360, P7)。つまり5年死亡確率が15%が12%で済むことになる。5年飲み続けた100人のうち3人が命拾いすることになる。全体死亡も有意に減る(死亡危険度0.87、95%確信区間0.81-0.94、P = 0.0003)

いっぽう血管の老化が余り進んでいない人ではどうだろうか?例えば50才台前半でLDL(悪玉)が190MG/DL、喫煙なし、HDL(善玉)正常、最高血圧160MMHG未満の人が10年以内に心臓の血管の病気(冠動脈疾患)になる確率は男で4%、女で1%未満とされる(FRAMINGHAM POINT SCOREで計算可能。THE WASHINGTON MANUAL OF MEDICAL THERAPEUTICS 33版)。 この場合死亡率はさらに低い。5年死亡率はさらに低い。このようにリスクの小さい人に対するスタチン剤の予防効果はどのようになるのか?実はリスクが低くても同じようにそのリスクを3割引するとされている(LANCET2006, 368, P1155オリジナル論文, P1135解説)。つまりスタチン剤を飲むことで削減できる死亡リスクは1%をはるか下回ることになる。

たとえば10年で冠動脈疾患と診断された人が4%なら5年で2%(1.02の2乗は1.04を利用)その1/5が死亡なら(Lancet2006, 368, p1155;血管事故死亡者と冠動脈疾患と診断された人の比率は1:5)死亡リスクは0.4%、3割引で0.3%つまりその違い(メリット)は0.1%だ。5年間で0.1%死亡が減るから飲みましょうといわれたら、どう考えるだろうか?(1000人が5年間飲みつづけて、1人が冠動脈疾患で死なずにすむ。ただし全体死亡は有意に減らないことを了承しておく必要がある(Lancet2006, 368, p1155; 死亡危険度0.72、95%確信区間0.52-1.01)。

一方気になる副作用だが Simvastatinでは統計的には有意でないものの、ガンによる死亡が5年で0.1から0.4%プラセボより多い(Lancet2002, 360, p7; Lancet2011, 377, p2181)。また Rosuvastatinではガンによる死亡は2年で有意ではないが0.3%プラセボより少ないものの( NEJM 2011, 359,p2195)、2年で糖尿病と診断された人が0.6%プラセボより多く統計的に有意である(P = 0.01; NEJM 2011, 359,p2195)。 つまり、クレストール(Rosuvastatin)を飲んでいる人の200人に1人が、2年以内に副作用で糖尿病になる心配がある。スタチン剤の多くは血糖の調節力をおとすとされている (NEJM 2011, 359,p2195)。糖尿病が増えたか検証している論文は上述ではNEJMのものだけである。Pravastatinではガンによる死亡は5年で有意ではないが0.9%プラセボより少ない(Circulation 2008, 117, p494)

Simvastatin による発ガンの可能性とそのメカニズムは不明確だが免疫系に影響することが知られている。ローカルな免疫細胞(抗原提示細胞)が、巡回してきたリンパ球へ異物発見の情報を伝えるのを抑制してしまう(Nature Med.2000, Kwak, v6,p1399)。間違ってできたガン細胞を処分できなくなるかもしれない。リンパ球の増殖も抑制する。スタチン剤によって免疫系への影響は質、量とも違い、SimvastatinやAtorvastatin の方が PravastatinやLovastatin よりも強いようだ(Nature reviews immunology, 2006, Greenwood, vol. 6, p358)

臨床治験の動機として製薬業界のマーケティングが見え隠れすることも気がかりだ。例えばLancet2006, 368, p1155は日本発だが、第二著者は三共製薬の株主であり、12名の著者のうち9名が金銭を公演費や旅費名目で三共製薬より受け取っている。さらにこの治験はプラセボを使っていない。つまり医師は患者が治験のどのグループに入っているか把握している。さらに結果の指標が「どれだけ冠動脈疾患と診断されたか」ということなので、医師の判断が直接結果につながる仕組みになっている。

現在、新しいスタチン剤が続々と発売される中、長期的な副作用をとらえるのは難しい。しばらく様子を見る必要がある。したがって、コレステロールだけ検診でつかまった程度なら、医師に冠動脈疾患で死亡するリスクについて相談すれば万全だが、まず禁煙、そして食事と運動でとりくむのが賢明だ。上の計算からほとんどの人は10年ほど経ってからでもおそくないはずだ。


引用文献の詳細:

Lancet2002, 360, p7
イギリス 40-80歳、2万人の冠動脈疾患、閉塞性動脈疾患、糖尿病患者、5年間
Simvastatin 40mg vs プラセボ
血管事故は(心筋梗塞、脳梗塞など)24%減少した(95%確信区間19-28)。(19.8vs25.2%)
血管事故による死亡は17%減少した(95%確信区間9-25)。(7.6vs9.1%)
全体死亡は13%減少した(95%確信区間9-11)。(12.9VS14.7%)
統計的有意でないがガン死がSIMVASTATIN 群で0.1%多い(3.5VS3.4%)


Lancet2006, 368, P1155
日本 40-70歳、4千人の総コレステロール230MG/DL以上で冠動脈疾患、脳梗塞にかかったことがない人、5年間
Parvastatin 10-20mg と食事指導vs 何も与えないで食事指導だけ

血管事故は(心筋梗塞、脳梗塞など)3割減少した(95%確信区間不明)。(7.2vs 10.5%)
血管事故による死亡は4割減少した(統計的有意でない、p=0.22)。(1.1vs1.8%)
全体死亡は3割減少した(統計的有意でない、p=0.055)。(5.5Vs7.9%)
冠動脈疾患と診断された人は33%減少した(95%確信区間9-51)。(6.6vs10.1%)
ガン死の有意な増加なしと記載あり(数値公表なし)。

この調査で女性のみ取り出した研究Circulation 2008, 117, p494では
ガン死がPravastatin 群で0.9%すくない(統計的有意でない、p=0.12; 1.0vs1.9%)

コメント:プラセボを使っていないので医師の期待(ピグマリオン効果)が影響している可能性がある。たとえば投薬していない群の患者が内心粗末に扱われたり、心筋梗塞を疑うような症状が出た時に「やはりでたか」ということで過剰にに血管造影して小さい病変から冠動脈疾患と診断されるようなこともあるかもしれない。


Lancet2011, 377, p2181
イギリス 40歳以上、9千人の血液クレアチニン(腎不全の指標)1.7mg/dL以上(女性は1.5以上)の人5年間
Simvastatin 20mg + Ezetemibe 10mg(コレステロール吸収阻害薬) vs プラセボ
血管事故は(心筋梗塞、脳梗塞など)2割減少した(95%確信区間不明)。(7.4vs 8.8%)
血管事故による死亡は1割減少した(統計的有意でない、p=0.3)。(7.8vs 8.4%)
全体死亡は統計的有意でないがふえた(P=0.63)。(24.6VS24.2%)
統計的有意でないがガン死がSimvastatin + EzetemibeE  群で0.4%多い、呼吸器による死亡は0.5%多い。

コメント:全体死亡の増加はSimvastatinで免疫による抵抗力が落ちたことが原因かもしれない。

NEJM 2011, 359, P2195
26カ国 50歳以上、1万8千人 LDL 130MG/DL未満かつCRP2.0MG/L以上の健康な人、 2年間で中止(薬のメリットが明らかになったから)。
Rosuvastatin 20mg vs プラセボ
血管事故は(心筋梗塞、脳梗塞)半分に減少した(95%確信区間不明)。(1年間で0.35vs0.71%)
血管事故による死亡はかわらない。(1年間で0.07vs0.07%)
全体死亡は20%減少した(95%確信区間3-33)。(1年間で 1.25VS1%)
統計的有意に糖尿病と診断された人が0.6%増えた(P = 0.01)(3.0VS2.4%)

コメント:CRPをはかることで血管事故のリスクが分かる。確率は低いが、Rosuvastatinは糖尿病を起こすので要注意。





福島原発事故

2011-05-10 19:22:20 | Weblog

 

 (転載、複製、使用自由)
サマリー;

これから2、3年は妊娠中、授乳中の女性は大型動物、大型魚を食べない。(2,9,15)

放射能の排泄(デトックス)にはイチゴやリンゴジャム、甲状腺ガンの予防には海草。(2,4,7)

浄水器はイオン交換樹脂式。(2)

セシウム137放射能、乳児基準100Bq/Lを毎日2L飲み続けると、体内に28000Bqまで貯まる。天然放射能のカリウム40による被曝の4倍。セシウムが集まる所は、甲状腺(成人3倍、胎児30倍)、すい臓(胎児50倍)、脳(胎児10倍)。(15,19)

一般の放射線測定器では基準に違反した食品が分かる程度。(20)

放射線被曝で傷ついた遺伝子が子供へ伝わることがある。(6)

放射線の毒性は悪運クジのようなもの。どんなに少なくても当たることがある。(イキチ[閾値]がない)。(3,5,10,11,12,13,14と全てのまともな放射線医学書)

10mSVで1000人に1人がガンと覚える(CT1回分)。(14)

飛行機の乗務員は白血病や皮膚ガンが目だってふえる。宇宙放射線の影響と考えられる。(3)

室内換気が悪いとラドン放射線被曝が増える(特に1階とコンクリート)。室内ラドン被曝で肺ガンが増える。(4)

日本人、死亡の3%は医療放射線被曝(X線写真、CT、PET、放射線治療など)が原因のガン死。
(5)

福島事故が原因のガンは普通のガンと区別できない。全体としての増加は微妙と思われる。ただし今までめずらしかったガンの増加は目立つだろう。死産、染色体異常、乳児死亡のわずかな増加の観測も予想される。(16)

福島事故の規模はチェルノブイリの1/10。被害の範囲はチェルノブイリの1/3の距離になる。(23)

放射性物質の崩壊の速さはベクレルやキュリーで、ある場所での放射線の強さはシーベルトやグレイで表す。両者は相関しているが、単純に換算はできない。おおざっぱだが換算を試みた。(17,18,21)


結論:
電力会社が事故の際の、損害賠償の計画を示さないと相当な不安を解消できない。
近隣国の乳児死亡や死産の増加分まで損害賠償できるのだろうか?チェルノブイリ級なら国家は破綻するだろう。原発は世界の人々と、その子孫永代にわたつて迷惑。

非核三原則と電源三法との整合性に疑問。
外務省、1969年の西ドイツとの政策企画会議で「核保有可能」と伝達。日本側は、国際的な監視下でも核分裂物質の5%程度を(原発から核兵器のために;筆者注)抽出することができると示唆(2010.11.30朝日新聞1面)。

ウラン弾は核燃料のしぼりかすから作られる。イラクや沖縄の演習場でも使われた。

納得できる方法で生産された電気を選んで買える電力自由化(八田達夫、田中誠編著『電力自由化の経済学』2004.8、東洋経済新報社)。

命あっての国民。生命・健康が最優先のはず(経済・財産ではなく)

(ここの数字は、上のサマリーの引用、カッコの中の番号)
論文を著者、巻、ページの情報で引用しています。
ネットで自分で確かめる方法:
(1) Yahooなどでpubmedのページをさがす。
(2) PubMedの検索で vol105 p251 Harrisonなら
Harrison 105 251 と半角で打ち込めば論文の要約あるいは重複している場合は論文の候補のリストがでてきます。


本文(2-23):
母乳中にどれくらいでてくるか?

Health Physics. 1989 vol 56 p103 Assimakopoulos, Ioannides
乳児に16.4Bq/L のミルクを与えると1日に0.012mRem(0.12マイクロSv)被曝する。
つまり、100Bq/L(基準)のミルクなら乳児は0.07マイクロSv被曝する。一年で0.03ミリSv。ところで、母体が妊娠中0.3ミリSv被曝すると白血病リスクは4倍(Int J Env Res Pub Health 2009 vol 6 p3105 Busby、後述)


Radia. Prot. Dosim. 2003 vol105 p251 Harrison
母親が食べたI131の30%、Cs137の20%が母乳へ出てくる。


Public Health Rep. 1966 vol.81 p639 Ward
乳牛に与えたセシウムの1%未満が乳へ出てくる。牧草食では0.24%、穀物食では0.58%. 牧草では泥(いわゆるゼオライト、陽イオン交換物質)による吸着で体への吸収が少なくなるためと考察されている。しかし人の食事に 陽イオン交換物質を加えるとカルシウムなどのミネラルもとれなくなってしまうので応用できない。飲み水を 陽イオン交換物質で浄化するのは効果ありそうだ。スーパーでみかける浸透膜式の浄水器も陽イオン(セシウム、プルトニウム)、陰イオン(ヨウ素)を除去するので有効と思われる。
しかしこの実験は汚染されてない牛に与え始めた時のデータだ。体内に蓄積したあとでは1%ではすまないはずだ。

HEALTH PHYS. 2000 VOL 78 P502 THORNBERG
放射能汚染キノコを食べた女性。セシウム半減期107日。妊娠中、授乳中は排出速度が倍に。胎児、羊水、乳中に半分位排出している可能性が心配。授乳中は、排出が増えた分、全てが母乳へでてくると考えておく必要がある。

Environment Toxic chem. 2001 vol 20 p1927 Chesser
CS137は排出は主に尿で75%.
授乳中は変わるかもしれない。



飛行機の乗務員のガン
上空では太陽からとどく放射線が強く、またこの放射線を吸収してできる放射性物質の量が地上より多い。このため飛行機の乗務員はガンになりやすいと心配されて調査が行われている。急性骨髄性白血病と皮膚ガンに関しては複数の調査で有意なリスク増加がみられるので被曝の影響が疑われる。その他のガンに関しては、まちまちで、それぞれ別の要因で増えている可能性(昼夜交代勤務などの生活様式の違い)のほうが大きそうだ。被曝線量があまり大きくなく、計算上はガンが増えるとしてもわずかで、稀なガンでしか検出できないはず。白血病以外のガンの増加を明らかにするにはもっと調査人数を増やす必要がある。
950時間の飛行で0.2-9.1mSv被曝。高度1500m上がる度に放射線量は倍になる(Lancet 1999 vol 354 p2029 Gundestrup)。


Lancet 1999 vol 354 p2029 Gundestrup
デンマーク パイロット 3790人 平均15年間追跡
平均 年間3-6mSv被曝
癌死亡 1.1(0.94-1.28)
ジェット機(高度が高い)5000hr以上飛行で
皮膚ガン(メラノーマを除く) 3.0(2.1-4.2)
急性骨髄性白血病 5.1(1.03-14.91)
ジェット機、プロペラ機とも5000hr以上飛行で
メラノーマ それぞれ2.8倍 4.5倍(いずれも統計的有意95%以上確信)
皮膚ガンやメラノーマは パイロットが南方で休暇をとって日光浴したためと考察されている。
急性骨髄性白血病の増加は高高度長時間飛行のパイロットに限定されるので放射線の影響が考えられる。

Am j epid. 1996 vol.143 p137 Band
パイロット 2740人 平均30年間追跡
全体死亡 0.63(0.56-0.70)
癌死亡 0.61(0.48-0.76)
前立腺ガン 1.9(1.4-2.5)
急性骨髄性白血病 4.7(2.1-9.3)
肺がん死亡  0.28倍(0.16ー0.46)
心臓や血管による死亡  0.6倍(0.49ー0.72)
全体死亡が低いから放射能で元気になったと考えてしまうのは正しくない。
教育水準が高いほど喫煙率が低いことが知られている(PREV MED. 1990 VOL。19 P158 WAGENKNECHT、大卒で12%、中卒で54%)。そして教育水準の差が喫煙によって起こる病気死亡の差となって表われることが知られている。中卒は高卒より9年寿命が短いと試算されている(NEJM2002VOL347 P1585 MITCHELL)。
したがって、比べた集団が一般市民であるためパイロット集団(高学歴)より喫煙率が高く、したがってタバコの害で余計に死亡しているためと考えられる。

TRAVEL MED 2006 VOL 13 P127 TOKUMARU (過去の研究の集約調査)
スチュワーデス(論文の要旨に人数記載なし)
悪性黒色腫(皮膚ガン)死亡 2.1(1.6-2.9)
乳がん死亡 1.4(1.2-1.6)
夜間労働、シフト労働で乳がん増加との報告があるので放射線の影響とは断定できない。
Cancer cause and control 2006 vol 17 p39 Lie
看護婦(夜間労働者)4万5千人追跡
30年以上働くと、乳がんリスク2.21(1.1-4.5)


Aviat.Space Envirom Med. 2003 vol74 p846 Yamane
空軍パイロット(論文の要旨に人数記載なし) 統計的有意に精巣ガンになりやすい(オッズ比1.7[1.0-2.9])。
空軍機は高いところを余り飛ばない。


BMJ 2002 vol 325 p567 Pukkala
北欧のパイロット 1003人 平均17年間追跡。  国民のガン発生率と比較。
メラノーマ死亡 2.3(1.7-3.0)
皮膚ガン(基底細胞ガン) 2.5(1.9-3.2)
肺ガン 0.77(0.57-1.01)
白血病 1.21(0.68-2.0)

BMJ 1995 vol 311 p649 Pukkala
フィンランドのスチュワーデス 1577人 平均17年間。 国民のガン発生率と比較。
メラノーマ死亡 2.1(0.4-6.1)
肺ガン 1.6(0.04-8.95)
白血病は有意な増加なし(3.6倍[0.43-12.9])。



Radia Prot. Dosimetry 2007 vol 125 p523 Hill
セシウム排出にペクチン(りんごやイチゴジャムに豊富)が有効。食物繊維に吸着されるためと考えられる。しかし、とりすぎると必要なミネラルや栄養も吸収できなくなる心配がある。

Ann NY Acad Sci 2009 vol303 p1181 Yablokov
子供にペクチン 1日 10g 1ヶ月で Cs137が30%排泄。

Biochimie 2006 vol 88 p1837 LeGall
ラットにCs 137を投与。同時に Prussian 青を投与すると排泄が有意に促進。ペクチンでは有意でなかった。

セシウム曝露の急性期ではペクチンは効かないかもしれないが、たまったのを出すのに使えそうだ。大量曝露にはPrussian 青で有効な治療が期待できる。



医療の放射線被曝による発ガン
Lancet 2004 vol363 p345 Berrington
イギリスでは0.6%、日本では3%の人が医療放射線被曝(X線診断など)でガン死していると推計される。
医療放射線で診断できて助かり、寿命が延びる人の方が多いので全体としては有益と考えられる。しかし日本は他の先進国とくらべて医療放射線被曝が多い。一方、外国ではガンや結核のスクリーニング検査について、スクリーニングによる被曝発ガンとスクリーニングにより救える命とのバランスについて真剣に議論されていて、たとえば結核のスクリーニングは多くの先進国で廃止(ハリソン内科学14版)、40代の乳がん検診についても有益性が疑わしいとする研究結果も出ている(Lancet 2006 vol. 368 p2053)



放射線被曝による遺伝子障害は子孫へ伝わるか?
Nature 1990 vol 345 p671 Nomura
イギリス(SELLAFIELD)の核燃料再処理工場で
100mSv以上浴びた父親の子供では白血病リスク3倍
10mSv以上浴びた父親でも授精まで6か月以内だと子供の白血病リスク4倍
33mSv増えるにつきリスクは倍増(授精まで6か月以内では3mSv増えるにつきリスクは倍増)と試算されている。



一方、広島原爆では子孫への影響はみられていない。

広島では被曝したとき子供だった人が調査の対象となっているため生殖細胞が未熟で影響をうけにくかったためかもしれない。あるいはSellafieldでは家庭でも放射能が検出されていることから(父親が持ち帰った)その影響も否定できないと考察されている。

マウスでは、被曝による遺伝子障害が、子供に優性遺伝することが知られている。(Nature 1982 vol 296 p575 Nomura, ただし広河の「チェルノブイリの真実」では「100世代」伝わるとあるが Nomuraの文献の中では見当らなかった)
100世代実験するのは大変だし、実験では被曝量が多いから、ほかに色々遺伝子に傷があって2世代以降繁殖がうまくいかなくなるような気がする。



イソジンうがい液について
ヨウ素を溶けやすくするためポリビニルピロリドンのポリマー(つながって長くなった物質)が主成分。ポリビニルピロリドンのポリマーは切手のノリやスティックのりに含まれるということだがポリビニルピロリドンの単体は発がん性がうたがわれている(インターネット百科事典Wiki Pediaより)。ヨウ素をとるなら海草で。
余談だがイソジンうがい液でうがいすると水道水でうがいするよりカゼになりやすいことが京都大学の研究で知られている(Am J Prev. Med. 2005 vol29 p302 Satomura)。
ヨウ素で甲状腺を満タン(飽和)にすると放射性ヨウ素が入りにくくなる。また甲状腺刺激ホルモンを抑制することでガンの成長もおさえるとされている。したがって遅くなってからヨウ素をとっても効果がある(JAMA 2006Vol295 p1060 Boice)。しかし放射性ヨウ素が来る前が理想。



内部被曝について;
肥田 舜太郎 「内部被曝の脅威」 2005.6 筑摩書房
広島原爆のとき(8/6)広島市内にいなくても、放射線被曝により死亡したことが強く疑われる症例3つ

(1)
8/13-20 広島市内歩き回る。9/8ころ 高熱 鼻血 紫斑
脱毛 して死亡。

(2)
8/6昼ー8/8救援活動 気分悪くなり 脱毛 紫斑 下痢嘔吐

(3)
夫婦 奥さんは1.2KM地点で被曝 旦那はその日大島瀬戸(60KM地点)で朝から魚釣り 8/7朝再会 その日夕方から旦那 発熱 下痢。
紫斑もでて死亡(日は不明)


広島市内の死の灰を吸引しただけで爆発時の放射線(ピカ)を直接受けた人と同じ症状がでたという事実がわかる。体内に取り込まれた死の灰からでる放射線と原爆からの直接放射線がどのくらいの割合で影響しているかが疑問になる。放射線のもとがどこにあろうと細胞にどれだけ放射線があたったか(弱くても長ければ、強い瞬間被曝と同じ結果になる)で決まるということを示している。

International J. Enviromental research public health 2010 vol. 7 p2828 Busby
イラク(Fallujah)で0-4歳の男女比が有意に異常(860:1000、p<0.01[基準1050:1000])。遺伝毒性のある物質への曝露が疑われる。劣化ウラン弾の粉塵による内部被曝の可能性。



チェルノブイリの被害

BMJ 2005 vol 331 p534 Mayor
避難民 12万、除染など作業者 20万、住み続けている人 27万人 うち被曝によるガン死と認められたのは 3940人(1%弱)先天奇形の増加も報告された。事故の後、報告が正確になったためと解釈している。
一方、チェルノブイリ障害者同盟によると 除染作業者 80万のうち障害者は8万人、被曝死亡は8000人(広河 隆一著「チェルノブイリの真実」)。

ANN NY ACAD SCI 2009 VOL 1181 P192 YABLOKOV(GOOGLE SCHOLARでフリーのPDF検索できる)
2005年までに除染作業者 83万のうち15%(10万人)が死亡した(1990から1997年にかけて死亡率1000対2から10へ、年齢調整死亡率は0.6から0.9へ増加)。
 社会の混乱の影響も関係しているがBelarus州の低汚染地区では死亡率40%増加に対し、高汚染地区(Gomeri)では死亡率60%増加。差の20%は事故の影響といえる。
 事故後15年で、ウクライナとロシアの汚染地の住民600万人のうち20万人(4%)が被曝によって死亡したと推計。全世界では100万人が被曝により死亡と推計。

 チェコスロバキアで1986年11月のみ(事故後半年)男児出生50%未満。
 ドイツの1987年周産期死亡の微増。
西ベルリン(現在ドイツ)トリソミー21(ダウン症)1986年12月から87年1月にかけて一時急増(6倍、1000対6)。
 英国の死産、周産期死亡が1986年6月から12月にかけて一時急増(11月ピークで4倍、1000対2)低出生体重児86-87年0.2%増加(ピーク1%)。
 スイス1986-90年新生児死亡増加。
 スウェーデン1988-91で新生児死亡上昇傾向。
 ポーランド1987-88で新生児死亡一時上昇。

ヨーロッパで子供の白血病増加
Int J Env Res Pub Health 2009 vol 6 p3105 Busby
平均被曝0.3mSvのギリシャでリスク4倍で最大。さらにチェルノブイリに近いとリスクさがる(2倍未満)という不思議な現象。0.3mSv以上では障害が強すぎて流産になるためと考察。

アメリカでも子供の白血病増加の疑い
BMJ 1997 vol 314 p1200 Mangano
事故の後、牛乳のCS137が0.10から0.33BQ/Lに増加。そのあと1988には0.16へ下がる。1986ー1987年に生まれた1歳未満の白血病は、その前後5年間の平均の1.3倍(増加を90%以上確信、P=0.09)。

スウェーデンでガンの増加を検出
J epid comm health 2004 vol58 p1011 Tondel
11万人 発ガン率を 1986-1987(事故前1年)と 1988-1996(事故後)で比較。
居住地の汚染 kBq/m2 30未満を1として 30-40、40-60、60-80、80-120、120以上でリスクそれぞれ 1.05,1.03,1.08,1.11,1.21倍
統計的には有意でないが、量ー反応関係があるので因果関係が強く疑われる。
参照(22):茨城で13KBQ/M2、福島飯館村2000KBQ/M2



10
太平洋の核実験

JAMA 1987 vol 256 p 629 Hamilton
マーシャル島 2273人 1954年に被曝
Rongelap島(200km地点)では38.6%の島民に甲状腺腫
空中線量が一時10mSv毎時を超えたAiluk島(500km地点)でも20人に1人が甲状腺腫
BMJ 1990 vol 300 p1161 Pearce
ニュージーランド海軍 被曝 504人 被曝なし 1504人 30年追跡 (被曝線量 記載なし、35-280KM地点、MALDEN島,CHRISTMAS島) 
総死亡 1.4倍(0.9-2.1、P = 0.09、確信90%で死亡増加)
血液のガン  3.3倍(1.1-9.6)(1997年では3.8倍)
対照群が一般国民ではなくて、海軍なのでより信頼できる調査。


Br J Cancer 2010 vol.103 p1115 Vathaire
ポリネシア住民 核実験で平均1.8mSV被曝 有意(P=0.04)に甲状腺ガン増加
ポリネシア住民はたっぷり海産物(ヨウ素をたくさん含む)をとっているのに甲状腺ガンが増加している。日本の専門家の一部には「日本人はもともとヨード摂取が多いから、甲状腺に取り込まれる放射性ヨウ素は少なく、甲状腺ガンにならない」などと主張するが、根拠のないことがわかる。

JAMA 1983 vol 250 p 620 Caldwell
米軍 被曝 3000人 20年追跡 (平均2.5mSV、50mSV以上は14人) アメリカ人の平均死亡率と比較
総死亡 0.88倍(0.78-0.98)
白血病死亡  2.6倍(1.11-5.1)
呼吸器のがん死亡  0.94倍(0.55ー1.39)
心臓や血管による死亡 0.74倍(0.61ー0.91)

総死亡の微妙な低下をホルミシス効果と読んではいけない。心臓や血管による死亡の有意に少ないことから、喫煙率が軍人で少し低かったことがわかる。国家機密に関わる軍人はエリートなので喫煙率も低いはず。
横道;
この論文の1ページ前に武見太郎(元医師会長、厚生大臣)が終戦を回顧して'THIS BOMB MIGHT BE DESCRIBED AS HAVING SAVED JAPAN'
訳:「原爆は日本を救ったと言ってもよいだろう。」(アメリカは原爆を是非使いたかったので、落とすまで天皇制を残してよいことを明らかにしないで、日本の決断を鈍らせたという説もあるのだが・・・、昔も今も危機に際して決断が遅い日本の政治、情報収集不足と責任の不在)
しかし武見氏は学者として終戦に重要な役割を果たしたようだ。
牧野卿(元内大臣、麻生首相の曽祖父)は武見夫人の祖父。8/8PM5武見氏、広島被爆者の骨に2500倍の放射能を検出。PM8、牧野卿に報告。牧野卿PM9ー10に天皇をポツダム受託へと説得。PM10:15、ニューヨーク、ロンドンでポツダム受託の放送。翌日長崎原爆。


KAZAKHSTANの核実験
Radiation Research 2005 vol 164 p409 Bauer
2万人 1960-1999追跡 被曝量は、20mSV-4SV 対照は汚染の少ないSeminalatinsk地域の住民
1SVにつきガン全体のリスク3倍(2.35-3.27)(excess relative risk 1.77/SV)
ガン全体 1.8倍 (1.5-2.3)
全体死亡は有意差なし(P=0.4)
肺、胃、女性乳、女性食道ガン全て有意(P=0.001未満)に増加。
被曝しなければ100人に30人ガン死のところが、1SV浴びるとリスク3倍で100人に90人がガン死という計算になる。



11
核関連の産業
BMJ2005
従業員41万人
死亡リスク 1.14-2.97倍、 死亡の1-2%が職業被曝に原因と試算
1SVにつきガン(白血病をのぞく)のリスク2倍(1.14-2.97)(EXCESS RELATIVE RISK 0.97/SV)



12
屋内のラドンガスによる被曝。地下の岩石(特に記念碑や墓石に使われるカコウ岩など)やコンクリート(カコウ岩の粉を含む)からラドンガスが放出され、換気が悪いと室内にたまって被曝する。

BMJ 2009 a3110 Gray, Read
イギリス 平均 20BQ/M3 肺ガン死 5% (喫煙者 15%)
1000Bq/m3の家庭では肺ガン死が 15% (喫煙者 35%)と試算
ラドンが多いと、喫煙者では平均より20%高く(35-15=20)、吸わない人では平均より10%高い(15-5=10)。ラドンとタバコの相乗効果を考察した試算。

NEJM 1989 vol 320 p591 Samet
アメリカ環境省(EPA)によるとアメリカで毎年2万人がラドンによる肺がんで死亡。三軒に一軒が150BQ/M3を超える。平均 55BQ/M3。150BQ/M3の家に住む15才のタバコを吸わない男性が将来、ラドンによる肺がんで死亡する確率は10万分の7から23と推定。タバコを吸う男性では、ラドンによる肺がんで死亡する確率は増強されて10万分の7から280と推定。
少なくとも日本の交通事故死の10万分の6より大きい。

NEJM 1994 vol 330 p159 Pershagen
スウェーデンの肺がん症例1300人の分析。ラドンによる肺がんのリスクは、50BQ/M3以下の家と比べて、140ー400BQ/M3ではⅠ.3倍(1.1ー1.6)、400BQ/M3を超えるとでⅠ.8倍(1.1ー2.9)
スウェーデンの肺がん発生は男性10万分の71、女性24なのでリスク1.3倍(140ー400Bq/m3)だと男では10万人に20人がラドンのせいで余計に死亡することになる。イギリスでは10万人に350人がラドンのせいで肺がん死(NEJM 1994 vol 330 p1684-1685)



13
放射線被曝であらわれる自覚症状 
原発が見えるプリピャチ市9500人調査(広河 隆一著「チェルノブイリの真実」1996.4 講談社) 
頭痛、異常なつかれ、60%
舌に味(金属のような) 50%
はきけやのどの痛み(胸が重くなるともいわれる) 40%
鼻血 酔っぱらった感じ 20%
市内は毎時1.4mSV 市民の30%が障害者となった。
毎時1マイクロSv(茨城、栃木など) だと市民の0.03%(3000人に1人)が障害者になる計算。



14
放射線被曝で「ただちに健康への影響はない」が、将来どのくらいガンになるか?
ICRP 1990年によると 100万人レム(1万人全員に1Sv被曝) で500人が 将来被曝が原因のガンで死亡。
広島放射線影響研究所によると 100万人レムで1470人が 将来被曝が原因のガンで死亡。
10mSV(CTスキャン1回程度)で 1000人に1人が将来ガン死とすれば覚えやすい。(医療現場では1人医原性のガンをつくるけれど1000人の中でたくさんの命が救われる。ちょっと自分の輪切りを見たいなど興味本位でCTをとるのは危険。)

応用の計算方法
1mSvで 10000人に1人が将来ガン死
100mSvで 100人に1人が将来ガン死

普通の毒ならたとえばアルコールを中毒死する10万分の1の濃度で10万人全員に投与しても呼吸停止といった完全な中毒症状は誰一人として起こらないと考えるのが妥当だろう(異論あってOK,たとえば解毒に関する遺伝子の欠損など)。普通の毒ならあるレベルまでなら誰でも簡単に解毒できると考えてよいだろう。
しかし放射線では10万分の1の濃度だと10万人に1人確実な毒作用(ガン死)があらわれるとされる。これは1つの放射線が偶然1つの遺伝子にぶつかりしかも運悪くミスでもとどおりにできず、その遺伝子の不具合でガンになる場合が偶然の重なりでおこるからだ(当たり所が悪くて、パチンコ1玉でフィーバーになるようなもの)。10億分の1の濃度で10億人全員に投与してもやはり1人ガンになる。かなり薄くなっても(下に議論あり)、遠くはなれてもリスクは減るものの、何らかのダメージを受ける危険からのがれることはできない。


忘れてはいけないのは、放っといても100人に30人が将来ガン死するということだ。したがって白血病、脳腫瘍、小児甲状腺ガンといった稀なガンが増えてこないと放射線の影響がでているかどうか、なかなかわからない。

放射能汚染水をどのくらい薄めれば影響が完全0になるか?
セシウム137が100BQ/リットルの水が1リットル、このなかのセシウム137の原子の数をXとすると、
セシウム137の半減期は30年より
1年間の崩壊率=LN2÷30= 0.69÷30
1年=3×10の7乗 秒
したがって x×(0.69÷30)÷ (3×107)=100 と立式できる。
解くと  x=100÷(0.69÷30)× 3×107=1300億個


つまり1300億倍以上に薄めないと(ホメオパシーみたいに)セシウム137による放射能の影響は残っている。しかし薄める水の中には天然のカリウム放射能があるのでやっても意味ない。ただセシウム137由来の放射線から逃れられるというだけ。

ついでに 100BqCs137は重さで
1300億÷(6.02×1023)×133=3×10-11=30ピコ (p)g
塩類は耳かき1杯で10mg位あるからその3億分の1



15
Cs137被曝はK40被曝と大体同じ効果と考えてよいのか?
Cs137、K40,I131の放射能はともにベータ線を放出する。ベータ線測定器でパック入りの昆布をはかったことがあるが、パックの中でも外でもかわらなかった。したがってベータ線の飛距離は1つの細胞を充分つらぬき、細胞内部での濃度分布が影響するとは考えられない。問題となるのは組織単位(筋肉、甲状腺)での濃縮がどれくらいかということになる。体内にある自然放射能K40と同じ7000Bqでも、ちがった散らばり方をして高濃度のムラができてしまえばそこの組織が危険になる。
死亡したCs137被曝者の解剖では平均で、肝臓400(最少)、甲状腺1200、筋肉 700、小腸700 (単位はBq/kg)
 しかし胎児の場合、肝臓と比べて、すい臓に50倍、甲状腺に30倍、脳に10倍のCs137(I131ではない、注意)の蓄積が見られた場合があったので、小さい子供に関しては安全を期するなら、50倍で考える必要がある。(Swiss Med wkly 2003 vol133 p488 Bandazhevsky)
 成人の場合、最大と最少で3倍なので濃縮による放射線の臓器による違いもそれくらいということになる。
 たとえば水100BQ/Lを毎日2L飲んで28000BQ貯め込んだとしたら年間1.2mSV(1万に1人ガン)だが甲状腺などでは(乳腺、副腎、卵巣など分泌臓器も)それより3倍危険と見込めばだいたい当たるはずだ。胎児では30倍危険で 300人に1人がガンになるおそれがある。

 

16
福島原発事故で将来ガンは増えるか?
確かに被曝しただけガンが余計に発生するのは間違いないが、もともと30%の人がガンで死ぬのでほとんどわからない程度しかふえない。(10年後、近所がバタバタ、ガンで死ぬというのはありえないだろう。)ただし大学病院などではめずらしいガンの増加がみられるはずだ。ロシア、ウクライナの汚染地(大体500km圏内)で4%(Ann NY Acad Sci 2009 vol 1181 p192 Yablokov) が被曝 によるガンでなくなっているというから、最悪で事故規模1/5として日本でも100km圏内でそれ位になる危険もある。ところで間接喫煙が原因でなくなる人の割合は総死亡の1%だ(Lancet 2011 Oberg vol 377 p 139)。今後、東日本で分煙、禁煙に本気で取り組めばガンはかえって減るのは間違いないと思う。このくらいは「健康に影響なし」とする態度は改めるべきだ(BMC Public health 2007 vol7, p49 Smith)。



17
グレイの仲間
1 Gy (グレイ)=1Sv (シーベルト)で大体OK。
1 Gy (グレイ)=100Rad(ラド)
1Sv (シーベルト)=100Rem(レム)

ベクレル の仲間
1Ci (キュリー)=37GBq(37× 109 Bq)

1 GY (グレイ):吸収された放射線のエネルギー1 GY=1 ジュール/KG[J/KG]
1SV (シーベルト):吸収された放射線のエネルギーに人体への影響倍率をかけたもの(電子〔ベータ〕線、ガンマ[X]線の場合は1 GY =1SV ;放射性I〔ヨウ素〕, CS〔セシウム〕 はベータ線、ガンマ線しか出さない;中性子線、アルファー線はそれぞれ1 GY =5~20SV、1 GY =20SV)

1BQ (ベクレル): 1 秒に崩壊する原子の数。1つ崩壊すると生成物の合計質量は崩壊の前と比べて少し消えてエネルギーに変わる(E=MC2)。K40、I131、CS137とも大体 1MEV=1× 106× 1.6× 10-19クーロン・ボルト[C・V]=1.6× 10-13[C・V]=1.6× 10-13ジュール[J] 

つまり1kgの物の中で1 秒に1つ崩壊すると1.6× 10-13 GyまたはSv 毎秒=6× 10-10 GyまたはSv 毎時



18
天然のカリウムには0.012%の放射性K40がふくまれる。人体の0.4%がカリウムなので50kgの人の放射性K40はグラムで50000×0.4× 10-2×0.012× 10-2=0.024g この中にある原子の数は (0.024÷40)×6.02× 1023=4× 1020原子
崩壊による残量は
はじめ1として時間T(年)半減期(T)年
とすると Eの(-T×LN2÷T)乗
1年あたりの崩壊率は ln2÷T=0.69÷T= 0.69÷ 1.3×109= 0.5×10-9(K40の場合)
1秒あたりでは 0.5×10-9 ÷(365×24×3600)= 0.5×10-9 ÷(3×107 )=1.7×10-17 崩壊率毎秒
4× 1020原子×1.7×10-17崩壊率毎秒=7000崩壊毎秒[Bq]
7000Bqのエネルギーは毎秒7000×1Mev=7000×1.6× 10-13ジュール[J]=11× 10-10[J]
100%吸収されたとして体重50kgで割ると11× 10-10[J]÷50kg=2×10-11[J/kg]=2×10-11[Gy]=2×10-11[Sv毎秒]
つまり人体の放射性K40による年間被曝は(365×24×3600)=(3×107 )をかけて0.6mSVとなる。
体とぶつからないで、体表から出ていく分があるので実際はこれより小さい。

参考
デートをすると被曝する!?geocities.co.jp/Techn opolis-Mars/998/hibaku.html




19
セシウム137 100BQ/KG(基準)の水を毎日2L飲んだ場合の蓄積について
セシウム137の排泄による体内半減期は100日
袋に小さな穴をあけて水をいれるとたくさん水をいれるほど穴から出る速度も早くなるように、蓄積するほど排泄も早くなる。排泄速度が飲んで取り込む速度と等しくなれば、もはやこれ以上蓄積しなくなる。この状態の蓄積量をx[Bq]、体内半減期をT日とすれば1日あたりの排泄率は ln2÷T=0.69÷100
1日あたりの排泄量はx×( ln2÷T)=x×(0.69÷100)
これが飲む量200Bqと等しい状態で200=x×(0.69÷100)
解くと X=28000BQ 
先ほど体内天然放射性カリウム被曝 7000Bq, 年間0.6mSv の4倍となり 年間 2.4mSv被曝
となる。
10mSVで1000人に1人が将来ガン死するので2.4mSVは10000人に2.4人(交通事故死の4倍危険)となる。


20
野菜1kgに含まれる天然放射能(カリウム40)
カリウムは100g当り ほうれん草 740mg
大根の根 240mg 等より 大体500mgとする
カリウム5000mgの0.12%がK40 (6mg)
人の体内のK40は240mgで7000Bqなので野菜1kgはその40分の1だから約200Bqとなる。(基準は2000Bq/kg)
ところで乾燥昆布は100g当りカリウム7000mgしたがって3000Bq/kgとなる。
昔、借りたベータ線検出器で乾燥昆布をはかったことがあるが微妙にわかる程度だった。したがって、そこいらの線量計では基準に合格か判断するのがやっとだと思う。高感度(シンチレーション式)のガンマー線量計では乾燥昆布の放射線は全くわからなかった。このガンマー線量計は日本製だが、寒いところで異常高値を示したりして信頼できなかった。こわれやすい性質なのかもしれない。



21
1Ciの点状の放射能から1m地点での空中線量(参考: 石川友清編 『放射線概論』H1.3月通商産学研究社)
線エネルギー吸収係数 u=3.35×10のー3乗/m
空気密度 1.293kg/m3
電子1個の電荷 1.6×10のー19乗クーロン
1秒あたり崩壊Sベクレル 
崩壊平均エネルギーE MeV
距離 DM
とすると
線量率GY毎秒は (UXSXEX(10の6乗)×1.6X(10のー19乗))/(1.293X4X3.14X(Dの2乗))
飯館村200万Bq/m2
半径1mの円の地面の放射能を足元1点に集めれば600万Bq集まる。1mの高さでは(3.35× 10のー3乗×600万×1×(10の6乗)×1.6× 10のー19乗)÷(1.29×4×3.14×1)= (3000万× 10のー16乗)÷15=3×( 10のー9乗)÷15=20× 10のー11乗Gy毎秒=3600×20× 10のー11乗Gy毎時=7× 10のー7乗Gy毎時=0.7マイクロGy毎時=0.7マイクロSv毎時
1年で0.7×24×365=6000マイクロSv=6mSV
1M幅のドーナツ状の土地からの被曝は、ひろさは3,5,7・・・倍。したがって放射線量も3,5,7・・・倍。強さは4,9,16、・・・分の1。広い範囲から受ける放射線は、6mSVに(1+3/4+5/9+7/16+・・・・・)(発散するので表計算ソフトで計算すると1000項たすと13、1000項たすと15くらい)。ゆえに3KM周囲からの被曝まで考えれば6×15=90mSV毎年となる。職業被曝限界50mSVの2倍。



22
新聞より
I 131
山形 58000MBq/km2 = 2Ci(キュリー)/km2
茨城 93000 MBq/km2 = 3Ci(キュリー)/km2
?? 福島(南25km地点、3/29、30新聞) 54 Bq/m2  
54万? MBq/km2 = 20Ci(キュリー)/km2
福島(北西40km地点IAEA3/31発表)200万Bq/m2 =200万MBq/km2=50Ci(キュリー)/km2
MBq/km2 

福島飯館村の校庭(北西40km地点4/11)18.2マイクロSv
福島郡山(50km地点4/19NHK)3.8マイクロSv毎時を上回る(子供の屋外活動制限) 年間 3.8×24×365=3929マイクロSv=4mSv

福島原発2,3号機周り 数100mSv(4/11)

Cs137
山形 4300MBQ/KM2 = 0.1CI(キュリー)/KM2
茨城 13000MBq/km2 = 0.3Ci(キュリー)/km2
東京 560MBq/km2= 0.02Ci(キュリー)/km2

1CI =37 GBQ=37000 MBQ

伊方(愛媛4/5)大気 0.1mBq / m3

アメリカ アイダホ州(YAHOO)水 I131 0.2ピコCI/L=37×0.2ミリBQ=0.007BQ/L(東京は一時100BQ/L超える)

食品の基準
乳 300BQ/L 福島川俣(約50KM地点)1000BQ/L
野菜 2000BQ/KG 茨城  6000-15000BQ/KG
韓国 済州島でも検出(4/14新聞)
魚 (4/5NHKラジオ) 茨城 526Bq/ kg 基準500Bq/kgを2000へ
海水(4/5) 30万Bq/ml で基準の750万倍 (基準は40Bq/lと計算できる。)

IEER(アメリカの市民団体、3/29新聞)の推定で福島事故の放出量は I131 240万Ci、Cs137とCs137 50万Ciで チェルノブイリの10%(チェルノブイリが200万Ciとする[「チェルノブイリの真実」より]なら25%の事故と言うことになる)
空中線量100km地点キエフで30マイクロSv・h(日本は1マイクロSv・h)、ロシアの土地汚染が200kmで1Ci/km2(日本は40kmで50、100kmで0.3)などの値を考察すれば、妥当な推計とわかる。1/10の事故なら影響のある距離は1/3で考えればよい。ギリシャ1400kmは大阪、イギリス2200kmは広島と北海道、 アメリカ7500-10000kmは台湾、香港、フィリピンに当たる。周辺国でも乳児白血病が増える(統計上有意でない程度)ことが予測される。もともとの発生は10万人に1人より少ないので日本全体で1年に100万人生まれてリスク4倍(西日本推定)なら10人が40人に増える計算。
妊婦1人1人にとっては、確率0.00001が0.00004になるということだから、他にもっと心配した方がよいことが沢山ありそうだ。しかし子供が運悪く白血病になった場合、原発事故による可能性が7割あることになる。

ウォールストリートジャーナル3/19によると東電は原子炉が再利用できなくなるのを心配して海水による冷却を遅らせた(3/21新聞)。

スロッシング コップをゆらしていると中身が飛び出してくる現象。4/8青森 東通原子力発電所で非常用発電機でオイル漏れが見つかった。



23
チェルノブイリ事故の汚染
避難 Cs137 15Ci/km2 以上 農業禁止(1200km2失う) 土地没収 (年被曝 5mSv以上相当とされる)1万km2指定(50km半径相当)
暫定避難 5- 15Ci/km2 住民検診 新規事業禁止(年被曝 1-5mSvに相当とされる) 1.8万km2指定
放射線管理区域  1ー5Ci/km2 11万km2指定
福島県飯館村(50Ci/km2)は 避難、農業禁止に当たる。
茨城(0.3Ci/km2)もこの3倍で放射線管理区域

メアリー・マイシオ著「チェルノブイリの森」2007.2 日本放送出版協会
核燃料2000tのうち7t放出。
Cs137で13万km2(円なら200km半径)が 
40000Bq/m2=40000MBq/km2=1Ci/km2 の汚染

菅谷 昭著「チェルノブイリ診療記」1998.8 晶文社
ベラルーシ 事故前10年 7人だった小児甲状腺がんが  事故後10年で424人へ

広河 隆一著「チェルノブイリの真実」1996.4 講談社

キエフ市5/1(100km地点、事故から5日)で毎時30マイクロSv
福島事故では 100KM地点で1マイクロSVなので1/30の事故がおこっていると予想できる。

1986
4/26 未明に事故
4/26 事故かくし ふつうの市民生活 警察官にマスクしないよう指示。
5/10 原子炉停止
5/14 キエフ 学校閉鎖
1991 12/25 ソ連崩壊
1994 ウクライナ大統領令 核燃料サイクル推進(輸出電力は外貨のもと)
Cs137放出量 200万Ci=200万×37G Bq
Cs137は1gにつき3.2×1012Bqなので 2500kg放出されたことになる。核爆発がなくてもメルトダウンが起こり地下水からできた水素で爆発を起こして飛び散れば同じことになる。広島原爆はCs137 2.5kg(チェルノブイリの1/1000)


伊良子序「スリーマイル島への旅」星雲社 1989.4
巨大化植物

携帯電話はポケットにいれない/耳にくっつけない

2010-12-13 23:54:38 | Weblog
サマリー(番号で下に根拠の文献):
携帯電話で神経膠腫、聴神経鞘腫、耳下腺腫瘍のリスクがそれぞれ2倍程度増える。
ただしもともとまれな腫瘍なので(死亡確率0.00003未満、2倍でも確率0.00006未満)影響は大きくない。(1、2、3、4、5、7、8)
コードレス電話も要注意(7)
男性は携帯電話を長時間使うと時間に応じて精子に異常(6)


根拠:
1 2005年
Schoemaker, M.J., Swerdlow, A.J., Ahlbom, A., Auvinen, A., Blaasaas, K.G., Cardis, E., Christensen, H.C., (...), Tynes, T. Mobile phone use and risk of acoustic neuroma: Results of the Interphone case-control study in five North European countries 2005 British Journal of Cancer 93 (7), pp. 842-848 82
10年以上使用で 聴神経鞘腫のリスク 1.8倍(95%確信区間 1.1-3.1)北欧の調査

2 2010年
Cooke, R., Laing, S., Swerdlow, A.J. A case-control study of risk of leukaemia in relation to mobile phone use 2010 British Journal of Cancer
15年以上使用で 白血病のリスク 1.87倍(95%確信区間 0.96-3.63 統計的には無為だが要注意)イギリスの調査

3 2008年
Hardell, L., Carlberg, M., S單erqvist, F., Mild, K.H. Meta-analysis of long-term mobile phone use and the association with brain tumours 2008 International Journal of Oncology 32 (5), pp. 1097-1103 29
10年以上使用で 耳に当てていた方の頭に神経膠腫のリスク 2.0倍(95%確信区間 1.2-3.4)過去の調査を集めて分析

4 2010年
Cardis, E. Brain tumour risk in relation to mobile telephone use: Results of the INTERPHONE international case-control study 2010 International Journal of Epidemiology 39 (3), art. no. dyq079, pp. 675-694 5
1640時間以上使用で 神経膠腫のリスク 1.4倍(95%確信区間 1.03-1.89)13カ国の調査
髄膜腫には影響ない

5 2006年
Takebayashi, T., Akiba, S., Kikuchi, Y., Taki, M., Wake, K., Watanabe, S., Yamaguchi, N. Mobile phone use and acoustic neuroma risk in Japan 2006 Occupational and Environmental Medicine 63 (12), pp. 802-807 40
10(W kg-1 時間) 相当以上の曝露で 神経膠腫のリスク 5.84倍(95%確信区間 0.96-36[三十六] 統計的には無為だが要注意)日本の調査

6 2008年
Agarwal, A., Deepinder, F., Sharma, R.K., Ranga, G., Li, J. Effect of cell phone usage on semen analysis in men attending infertility clinic: an observational study 2008 Fertility and Sterility 89 (1), pp. 124-128
男性使用者、使用量に比例して精子の数減少、形態異常、運動能の低下
使用無し8600万/ml、 正常形態40%、 運動率68%
1日4時間以上使用 5000万/ml、 正常形態18%、 運動率45%

7 2002年
Hardell, L., Hallquist, A., Mild, K.H., Carlberg, M., P敬lson, A., Lilja, A. Cellular and cordless telephones and the risk for brain tumours 2002 European Journal of Cancer Prevention 11 (4), pp. 377-386
10年以上使用で 聴神経鞘腫のリスク 3.5倍(95%確信区間 1.8-6.8)
脳腫瘍全体のリスク 1.8倍(95%確信区間 1.1-2.9)
コードレス電話の使用で 耳に当てていた方の頭に脳腫瘍のリスク 1.3倍(95%確信区間 1.01-1.8)コードレス電話を使う人は携帯も使っていることが多いからかもしれないと考察されているが要注意。

8 2008年
Sadetzki, S., Chetrit, A., Jarus-Hakak, A., Cardis, E., Deutch, Y., Duvdevani, S., Zultan, A., (...), Wolf, M. Cellular phone use and risk of benign and malignant parotid gland tumors - A nationwide case-control study 2008 American Journal of Epidemiology 167 (4), pp. 457-467
5480回以上使用で 耳に当てていた方の耳下腺腫瘍のリスク 1.58倍(95%確信区間 1.11-2.24)
266時間より多く使用で 耳に当てていた方の耳下腺腫瘍のリスク 1.49倍(95%確信区間 1.05-2.13)
いずれも都市部でおもに使った人に限定すると有為なリスク上昇はなかった。都市部では通話の電波が弱いためと考察されている。イスラエルの調査


コメント:
神経原発腫瘍で死亡する確率は1年間に10万人に3人(ハリソン内科学14版)なので仮にリスク2倍でも10万人に3*2人つまり死亡は10万人ににつき高々3人増える程度(3人の中には電波の影響のない腫瘍もふくまれるから)。

したがって日本全体では携帯電話の使用で3000人が神経原発腫瘍でよけいに死亡)。交通事故死より少ないので政府としても経済振興とのバランスをとって様子を見ているのかもしれない。賢いユーザーとしては自己防衛するのが得策。

思い出しバイアス(腫瘍ができた人に限って携帯利用歴を熱心に、場合によっては水増しして申告)ではないかと考察している文献(1、4、5)もあるが腫瘍の種類(髄膜腫)によっては影響ないこと(4、5とも)までは説明しにくいと思われる。


参考書:矢部 武『携帯電磁波の人体影響』2010年11月 集英社新書

高血圧で薬をどうするか?

2010-11-27 23:10:29 | Weblog
高齢者(60以上)の血圧治療の科学的根拠を集めました。

まとめ(1-4で下に根拠):いつでも血圧の上が180以上でさらに下が90をこす人で長寿効果がみられる(1)。血圧上が160以上なら脳硬塞死亡は3割減期待できる(2、3、4)。脳硬塞は障害の原因にもなるので血圧を下げる努力が必要(薬が手っ取り早いが嫌いな人は生活習慣でも)。1回目は緊張して高くでるので(白衣高血圧)2回目以降で評価する。薬によるガンはあってもせいぜい10%増なので上の基準の人は治療のメリットのほうが大きい(2)。ただし新しい降圧剤での二重盲目検定でのガンの資料が見つからなかったので結論はできない。

二重盲目検定による治療試験
1.
Dahlof, B., Lindholm, L.H., Hansson, L., Schersten, B., Ekbom, T., Wester, P.-O. Morbidity and mortality in the Swedish Trial in Old Patients with Hypertension (STOP-Hypertension) 1991 Lancet 338 (8778), pp. 1281-1285
1627人(プラセボ815/薬812)2から5年追跡
3回訪問していつでも
収縮期血圧 180以上 でさらに 拡張期血圧 90以上 の人
または 拡張期血圧 105以上 の人
全体死亡 プラセボ63/薬36(統計的有為に低下P=0.008)
心筋梗塞死亡 プラセボ6/薬6(統計的無為)
脳硬塞による死亡 プラセボ12/薬3(統計的確信 95%以上)

2.
Peart, S., Brennan, P.J., Broughton, P., Dollery, C., Hudson, M.F., Lever, A.F., Meade, T.W., (...), Pocock, S.J. Medical Research Council trial of treatment of hypertension in older adults: Principal results 1992 British Medical Journal 304 (6824), pp. 405-412
4396人(プラセボと薬が半々位)5年追跡
訪問時3回はかり、2回めと3回めの平均
収縮期血圧 160以上 の人
脳硬塞による死亡リスク 薬で25%減(95%確信範囲3から42)
全体死亡は統計的有為な低下なし(3%減、95%確信範囲 -14から+18)
心筋梗塞死亡も統計的有為な低下なし(22%減、95%確信範囲 -4から+41)
がン死亡は統計的有為な増加なし(10%増、95%確信範囲 -16から+45)
使用薬:atenolol 50mg, hydrochlolothiazide 25mg, amiloride 5mg

3.
Probstfield, J.L. Prevention of stroke by antihypertensive drug treatment in older persons with isolated systolic hypertension: Final results of the Systolic Hypertension in the Elderly Program (SHEP)1991 Journal of the American Medical Association 265 (24), pp. 3255-3264 2615
4736人(プラセボ2371/薬2365)5年追跡
訪問時3回はかり、2回めと3回めの平均
収縮期血圧 160以上 だけど 拡張期血圧 90より低い人
脳硬塞による死亡リスク 薬で4割減(0.63、95%確信範囲0.49-0.82)
全体死亡は統計的有為な低下なし(0.87、95%確信範囲0.73-1.05)
心筋梗塞死亡も統計的有為な低下なし(0.80、95%確信範囲0.57-1.13)
がン死亡は統計的有為な増加なし(0.96、95%確信範囲 0.70-1.31) 
使用薬:chlorthalidone 25mg (サイアザイド利尿薬), atenolol 50mg

4.
Amery, A., Brixko, P., Clement, D. Mortality and morbidity results from the European Working Party on High Blood Pressure in the Elderly trial 1985 Lancet 1 (8442), pp. 1349-1354
840人(プラセボ424/薬416)7年追跡
収縮期血圧 160以上 でさらに 拡張期血圧 90以上 の人
全体死亡 薬で9%減(統計的には無為P=0.41)
心臓や血管による死亡 27%減(統計的有為に低下P=0.04)

過去の複数の治療試験の結果を解析(9つ、上の4つを含む)
5.
Insua, J.T., Sacks, H.S., Lau, T.-S., Lau, J., Reitman, D., Pagano, D., Chalmers, T.C. Drug treatment of hypertension in the elderly: A meta-analysis 1994 Annals of Internal Medicine 121 (5), pp. 355-362 166
二重盲目検定による治療試験で昔におこなわれたものを集めて解析
脳硬塞による死亡リスク 薬で4割減(0.64、95%確信範囲0.49-0.82)
全体死亡も薬で1割減(0.88、95%確信範囲0.80-0.97)
心筋梗塞死亡も薬で2割減(0.75、95%確信範囲0.64-0.88)
コメント:血圧のはかりかたや値がいろいろなものをごちゃまぜにしている。あまり質がよいとはいえない。全体死亡や心筋梗塞死亡が本当に減るかは微妙と思われる。

アルコールは長寿薬か?

2010-11-25 23:38:08 | Weblog
アルコールの健康に対する影響について調べました。健康には社会的(つきあい、コミュニケーション等)、肉体的、精神的などいろいろな側面があり1面だけ強調すると間違うかもしれませんが、とりあえず肉体的健康に関して考察します。

まとめ(1-5で下に内容):中年以降で心臓病や脳硬塞などの危険のあるひとでは酒はほどほどで長寿薬となるが、週一升(ビールなら1日2缶)を超すとメリット無し(2,3)。ガンになりやすくなる(4,5)。
若い人にとっては事故死の危険が増える影響が大きく害となる(1)。

1.若い男性 (20才前)5万人 15年追跡
Andreasson, S., Allebeck, P., Romelsjo, A. Alcohol and mortality among young men: Longitudinal study of Swedish conscripts 1988 British Medical Journal 296 (6628), pp. 1021-1025
1週間にアルコールを0 1-100 101-250 250以上(ml)のんでいた若者の15年後の死亡率(1000人当たり)
心臓、血管による死亡  1.0 0.4 0.8 0.8 
ガンによる死亡 1.4 1.4 2.0 1.6
自殺(の疑いを含む)による死亡 3.1 4.9 6.9 18.9
死亡の合計 9.6 11.9 19.7 35.3
15年後の死亡リスクは1週間にアルコール100mlをこすと1.7倍(95%確信範囲1.4-2.0)(100ml以下とくらべて)
コメント:若い人は事故死の可能性が高く、アルコールによって確実に死亡増加する(自殺増に注目、ただし論文では統計的評価なし)。アルコールは心臓、血管による死亡を予防しているかもしれないが、若い人の心臓、血管による死亡は確率が低いのでアルコールのデメリットが大きくなる。

2. 医師 60-90才 1万2千人 13年追跡
Doll, R., Peto, R., Hall, E., Wheatley, K., Gray, R. Mortality in relation to consumption of alcohol: 13 years' observations on male British doctors 1994 British Medical Journal 309 (6959), pp. 911-918
1週間にアルコールを 飲まない 1-112 113-224 225以上(ml)のんでいた医師の死亡率(1000人当たり)
死亡の合計 74.7 56.9 55.8 70.6
死亡リスクは1週間にアルコール112mlまでなら全く飲まない人より低い(95%確信)。112mlを過ぎると112mlまで飲む人と比べて死亡リスク増(95%確信)。
コメント:喫煙率60%のため心臓、血管による死亡リスクが高く、アルコールのメリットがよく表われたと思われる。アルコールによる善玉コレステロール増加や血圧低下の作用によるかもしれない。

3.医療従事者 5万人 5年追跡
Rimm, E.B., Giovannucci, E.L., Willett, W.C., Colditz, G.A., Ascherio, A., Rosner, B., Stampfer, M.J. Prospective study of alcohol consumption and risk of coronary disease in men
1991 Lancet 338 (8765), pp. 464-468
心臓冠動脈病リスクは1週間にアルコール100mlで2割、200mlで4割減(95%確信)
コメント:量と効果の関係が明白。

4. 女性
Fuchs, C.S., Stampfer, M.J., Colditz, G.A., Giovannucci, E.L., Manson, J.E., Kawachi, I., Hunter, D.J., (...), Willett, W.C. Alcohol consumption and mortality among women 1995 New England Journal of Medicine 332 (19), pp. 1245-1250
心臓、血管による死亡リスクのある女性(喫煙、家族歴、BMI>29、高血圧、糖尿病、高コレステロール)では
死亡リスクは1週間にアルコール240mlまでなら0.84倍(95%確信範囲0.76-0.93)と2割防げ、長寿効果あり。心臓、血管による死亡リスクのない女性ではアルコールのメリットなし(死亡リスク0.96倍、統計的無為)。
240mlを過ぎると死亡リスク2.2倍(95%確信範囲1.31-3.72)特に乳ガンは1.7倍(95%確信範囲1.10-2.53)ガン全体は1.3倍(95%確信範囲1.04-1.58)(週当たり0mlの人と比較)
コメント:アルコールによるガンの増加は男にもあてはまると思われる。家族歴(心臓、血管による死亡か、ガンによる死亡か)はアルコールのメリット、デメリットを考える参考になる。

5. 男女30-104才50万人 9年追跡
Thun, M.J., Peto, R., Lopez, A.D., Monaco, J.H., Henley, S.J., Heath Jr., C.W., Doll, R. Alcohol consumption and mortality among middle-aged and elderly U.S. adults 1997 New England Journal of Medicine 337 (24), pp. 1705-1714
死亡リスクは1週間にアルコール168mlまでなら全く飲まない人より低い(95%確信)。168ml過ぎると死亡リスクがだんだん増える。ただし心臓、血管による死亡リスクの低いひとではアルコールのメリットないどころか、1週間に350ml過ぎると死亡リスク1.2倍(95%確信範囲1.1-1.3)
消化器のガンに関しては、1週間に350ml過ぎると死亡リスク3倍(95%確信範囲1.7-5.3)他のガン死亡リスク1.1倍(95%確信範囲1.0-1.3)
コメント:アルコールのメリット、デメリットは生活(喫煙など)家族歴(ガン)を参考に考える必要がある。

過去の記事のリスト2007-2010

2010-01-09 21:44:22 | Weblog
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クッションはほこりがたまってダニが繁殖します。

ガス・灯油の見えない煙で寿命が縮む。

2010-01-09 21:27:18 | Weblog
  暖房や調理でガスや灯油を室内で燃やすと目に見えない浮遊粒子が発生します。pm2.5(particulate matter, 2.5ミクロンの浮遊粒状物質)といって赤血球の4分の1の大きさ、とても小さいので肺の奥深くへ(アズベストと同じように)入りこむことができます。換気の悪い部屋では濃度が、ガスを燃やすと100 μg/m3(平均70)、灯油では200 μg/m3(平均160)をこしてしまいます(1)。
  アメリカで空気のきれいな都市(5 μg/m3)ときたない都市(20 μg/m3)の住民の死亡リスクを比べたところ10 μg/m3高いだけで心臓病や肺炎で死亡する危険がそれぞれ1.2倍、肺がんは1.1倍、全体死亡率は1.04倍に統計的有意(95%確信)に増えることがわかりました(2、3)。単純計算で灯油を燃やす浮遊粒子200 μg/m3の部屋にいると死亡リスクは1.8倍(0.04×20 = 0.8)になります。
  イギリスの調査では、家庭の燃料が室内に煙をださないようにするだけで、100万人につき600人の死亡や寝たきりを予防できることがわかりました(4)。日本に当てはめると毎年6万人で交通事故死亡の10倍以上の人が毎年すくわれることになります。
  電気代がもったいない人には室外排気できる灯油ストーブ(ブログ2007.9月の記事参照)がおすすめです。私はもう12年以上使っていますが、部品交換をふくめても15万円くらいです。ガス台も電磁にかえようかと思いましたが、ガスのマックスは毎時4100Kcalで毎秒約1Kcal = 毎秒4180J = 4180ワットです。電磁調理は1000ワットくらいですから、4倍の時間をかけてお湯をわかしてられないと気がつき残念ながらあきらめています。

参考
1 Andresen, P.R., Ramachandran, G., Pai, P., Maynard A.,
Women's personal and indoor exposures to PM2.5 in Mysore, India: Impact of domestic fuel usage, Atmospheric Environment 2005 39 (30), pp. 5500-5508

2 Pope CA 3rd, et al.,
Cardiovascular mortality and long-term exposure to particulate air pollution: epidemiological evidence of general pathophysiological pathways of disease,.
Circulation. 2004 Jan 6;109(1):71-7.

3 Pope CA 3rd et al.,
Lung cancer, cardiopulmonary mortality, and long-term exposure to fine particulate air pollution.
JAMA. 2002 Mar 6;287(9):1132-41.

4 Wilkinson P et al.,
Public health benefits of strategies to reduce greenhouse-gas emissions: household energy,
Lancet. 2009 Dec 5;374(9705):1917-29.


5三澤雅樹. 研究経営調査室. 根上友美.
ナノ粒子のリスク分析 ナノ粒子のリスク分析 -背景と現状 pp17-21
http://www.aist.go.jp/aist_j/research/honkaku/symposium/nanotech_society/2/misawa.pdf


日本で最悪の原子力事故、東海村JCO臨界事故(1999)サマリー

2009-11-19 01:21:05 | Weblog
プルサ-マルの原料を作る目的でつくられた会社JCO(住友金属鉱山の子会社)が 1999年東海村JCO臨界事故をおこし日本最悪の原子力事故となった。2人死亡、住民8人に放射線障害。

政府は...
1 JCO転換試験棟をつくるとき臨界事故は起こりえないとして許可した。
2 放射線が居住地に届いているのに8時間対応がおくれた。
3 事故現場から放射能がもれていたのにJCOによる事故現場へのマスコミ呼び込みを認めた。国民は事故が解決したと誤解した。

1999.9.30 AM1035 大内さん(35歳)20Gyを被曝(8Gy以上で死亡100%)83日後死亡。篠原さん(40歳)は 211日後死亡。
PM1時JCOから2kmはなれた日本原子力研究所測定器が感知。科学技術庁へ報告。
PM5時 東海村役場の判断で350m以内に避難勧告。
PM9時 小渕首相が政府対策本部を設置。
9/31 AM6時 に放射能放出が終わる。それまでの間320m以内の住民、年間許容量をこえた被曝。
10/2 読売新聞 科学技術庁がJCO転換試験棟を防災措置なしでみとめていた
10/2以降 フライデー記者 窪田氏 他のマスコミ記者とともに事故現場へJCOより招待される。(その間、実は法令濃度を超える放射性物質が排気塔からもれていた。)
10/8 赤旗新聞 科学技術庁が9/30pm1時に報告をうけていた事実(政府はpm9時の8時間後に対応したことになる。)
10/11 JCOは転換試験棟を密閉
11/8 毎日新聞 住人8人に被曝によるDNA損傷
2002.5.23 週刊金曜日JCO正門に奇形の桜の花の写真を発表。

参考書
窪田順生(まさき) 『スピンドクター』2009 講談社
(マスコミを利用した情報操作についてよくわかる)