ガス・灯油の見えない煙で寿命が縮む。

2010-01-09 21:27:18 | Weblog
  暖房や調理でガスや灯油を室内で燃やすと目に見えない浮遊粒子が発生します。pm2.5(particulate matter, 2.5ミクロンの浮遊粒状物質)といって赤血球の4分の1の大きさ、とても小さいので肺の奥深くへ(アズベストと同じように)入りこむことができます。換気の悪い部屋では濃度が、ガスを燃やすと100 μg/m3(平均70)、灯油では200 μg/m3(平均160)をこしてしまいます(1)。
  アメリカで空気のきれいな都市(5 μg/m3)ときたない都市(20 μg/m3)の住民の死亡リスクを比べたところ10 μg/m3高いだけで心臓病や肺炎で死亡する危険がそれぞれ1.2倍、肺がんは1.1倍、全体死亡率は1.04倍に統計的有意(95%確信)に増えることがわかりました(2、3)。単純計算で灯油を燃やす浮遊粒子200 μg/m3の部屋にいると死亡リスクは1.8倍(0.04×20 = 0.8)になります。
  イギリスの調査では、家庭の燃料が室内に煙をださないようにするだけで、100万人につき600人の死亡や寝たきりを予防できることがわかりました(4)。日本に当てはめると毎年6万人で交通事故死亡の10倍以上の人が毎年すくわれることになります。
  電気代がもったいない人には室外排気できる灯油ストーブ(ブログ2007.9月の記事参照)がおすすめです。私はもう12年以上使っていますが、部品交換をふくめても15万円くらいです。ガス台も電磁にかえようかと思いましたが、ガスのマックスは毎時4100Kcalで毎秒約1Kcal = 毎秒4180J = 4180ワットです。電磁調理は1000ワットくらいですから、4倍の時間をかけてお湯をわかしてられないと気がつき残念ながらあきらめています。

参考
1 Andresen, P.R., Ramachandran, G., Pai, P., Maynard A.,
Women's personal and indoor exposures to PM2.5 in Mysore, India: Impact of domestic fuel usage, Atmospheric Environment 2005 39 (30), pp. 5500-5508

2 Pope CA 3rd, et al.,
Cardiovascular mortality and long-term exposure to particulate air pollution: epidemiological evidence of general pathophysiological pathways of disease,.
Circulation. 2004 Jan 6;109(1):71-7.

3 Pope CA 3rd et al.,
Lung cancer, cardiopulmonary mortality, and long-term exposure to fine particulate air pollution.
JAMA. 2002 Mar 6;287(9):1132-41.

4 Wilkinson P et al.,
Public health benefits of strategies to reduce greenhouse-gas emissions: household energy,
Lancet. 2009 Dec 5;374(9705):1917-29.


5三澤雅樹. 研究経営調査室. 根上友美.
ナノ粒子のリスク分析 ナノ粒子のリスク分析 -背景と現状 pp17-21
http://www.aist.go.jp/aist_j/research/honkaku/symposium/nanotech_society/2/misawa.pdf


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