こどもにカゼ薬は慎重に。ぜんそくの原因の疑い。

2009-01-21 21:29:08 | Weblog
カゼ薬には熱を下げるため、イブプロフェン(アスピリンの仲間)やアセトアミノフェンが配合されています。最近の疫学調査によりアセトアミノフェンを投与されたこどもが2-3倍、ぜんそくになりやすいことがわかりました。アセトアミノフェンは職業曝露で喘息を起こすトルエンジイソシアネート(toluenediisocyanate)と化学構造が似ているのでおなじように喘息を起こす可能性が以前より指摘されていました。呼吸器の粘膜を作る細胞にダメージをあたえることなどが原因と推定されています。6-7才では使用量が多い程ぜんそくになりやすいことがわかりました。ただしウイルス感染(RSV)で将来ぜんそくになりやすいことも知られていて感染時にアセトアミノフェンが好んで使われたためである可能性もあります。またアレルギーの家族歴からアセトアミノフェンが好んで使われた可能性も考えられます(筆者所感)。

提案 子供に安易に市販感冒薬をあたえない。高熱(39℃以上)や熱が3日以上続くときは医師にかかる。
理由 アスピリンの仲間でも胃出血や過敏症はしょっちゅうおこります。また稀に免疫不全など重篤な副作用をおこします。一方、アセトアミノフェンは比較的安全とされてきたようですが、今回の調査結果より、(アセトアミノフェンの対症的な使用はその時熱がさがって軽くなるけど)将来喘息にかかる危険があるかもしれないので素人判断で飲ませるのはおすすめできません。

参考
Lancet 373 p119 (2009.1.10号)

Jarvis J, Seed MJ, Elton R, Sawyer L, Agius R.
Relationship between chemical structure and the occupational asthma hazard of low molecular weight organic compounds.
Occup Environ Med. 2005 Apr;62(4):243-50.

Beasley R, Clayton T, Crane J, von Mutius E, Lai CK, Montefort S, Stewart A; ISAAC Phase Three Study Group.
Association between paracetamol use in infancy and childhood, and risk of asthma, rhinoconjunctivitis, and eczema in children aged 6-7 years: analysis from Phase Three of the ISAAC programme.
Lancet. 2008 Sep 20;372(9643):1039-48.