夢の介音楽夜話

音楽、アート、グリーン、クラフトなどなど徒然なるままに

オンリー・ユー

2014年12月08日 | 音楽


ジョン・レノンが軽井沢に滞在していた頃の特集TV番組が流れた。
滞在先の万平ホテルや通ったお店、お気に入りの東屋と子息ショーンの背丈を記した樹木などなど、軽井沢が気に入って土地を買って住む話まで出てきて興味深かった。

リンゴ・スターの「オンリー・ユー」は、プラターズのヒット曲のカバーだ。
アコースティック・ギターのリズム・ストロークから始まってブラシで刻まれるバックビートの強いドラム。
「A / A6  AM7 / A  AM7 / A6  A」というイントロのコード進行が印象的だ。

恋人を思い出しながら歌うようなリンゴのボーカルがこのアレンジに見事にハマっている。
そして単調さを更に強調するかのようなバックコーラス。
どうやら同一人物が2パートないし3パートを担当している。

誰がコーラスをつけたのかと解説を見ると「ニルソン」とある。

「Harry Nilsson 」はなんと映画「真夜中のカウボーイ」「うわさの男」の作者でボーカリスト。
ジョンが彼のアルバムに惚れ込んで国際電話をかけたというエピソードを知った。

そして曲の最後に聴こえるジョンの声「Only You!」
レコーディング・データを確認してないが、ジョンのアレンジだろうなと思わせる。

さてニルソンのバックコーラス。
「Woo woo Woo Woh」と単調な2パートのコーラスから始まってやがてハイパートが動き始める。
終わり際「Woo La lala」と聴こえる箇所は明らかにビートルズの定番メニュを彷彿させる。

メインボーカルを邪魔するわけではなく、しかし縦横無尽にリンゴの周りを徘徊しているようでもある。

ほとんど同じアレンジでジョン・レノンバージョンがあることも今回改めて認識した。
レノン節とでもいう歌いっぷり、巧い。
同じメンバーで違うセッションを録ったのだろう。

このアレンジをスタジオでトレースしてみた。
ギターのアップストロークで引っ掛けるような弾き方、ベースの仕方なく弾いているようなニュアンスとシャッフル感、実際にやってみると難しい。

そして抑えるようなリンゴのボーカルと強いドラミング、ニルソンのバックコーラスと。

彼らの才能を見せつけられ早く旅立ってしまった二人のミュージシャン、ジョンとニルソンを思う。

「Only You」と。




YouTube: Only You And You Alone // Blast From Your Past // Ringo Starr





YouTube: "As Time Goes By" Harry Nilsson (1973)





YouTube: "Harry Nilsson Blues" - Mustache e os Apaches | PdH Sessions #1





YouTube: Harry Nilsson - 1941 .avi





YouTube: Nilsson on the BBC Part 1





YouTube: Harry Nilsson - Everybody's Talkin'






リンゴ・アット・ザ・ライマン 2012 [DVD]リンゴ・アット・ザ・ライマン 2012 [DVD]価格:¥ 3,909(税込)発売日:2013-05-29
Goodnight ViennaGoodnight Vienna価格:¥ 1,931(税込)発売日:1999-01-12
Apple Years -CD+DVD-Apple Years -CD+DVD-価格:¥ 14,780(税込)発売日:2014-09-23
Ringo & The Roundheads [DVD] [Import]Ringo & The Roundheads [DVD] [Import]価格:¥ 2,836(税込)発売日:2012-03-19
Harry Nilsson (Original Album Classics)Harry Nilsson (Original Album Classics)価格:¥ 3,399(税込)発売日:2009-09-24
Big Wave(30th Anniversary Edition) [Analog]Big Wave(30th Anniversary Edition) [Analog]価格:¥ 4,320(税込)発売日:2014-08-19
Who Is Harry Nilsson [DVD] [Import]Who Is Harry Nilsson [DVD] [Import]価格:¥ 2,360(税込)発売日:2010-10-26
Complete RCA Albums CollectionComplete RCA Albums Collection価格:¥ 11,035(税込)発売日:2013-07-29
Nilsson SchmilssonNilsson Schmilsson価格:¥ 1,060(税込)発売日:2004-01-12
Playlist: the Very Best of Harry NilssonPlaylist: the Very Best of Harry Nilsson価格:¥ 1,060(税込)発売日:2013-01-28

アイ・ウィル

2014年12月08日 | 音楽


ビートルズファンには、ジョン派とポール派がいるようだ。
ある酒席で「ポールの方が歌が上手い、ジョンはどうも」とおっしゃる方がいたが、味わいが違うというのが正しい。

デビュー前とはメンバーを代えたもののあの4人が歴史を変えたし、歴史を創ってきたことは間違いない。
ジョンの楽曲には説得力がありロマンチシズム満載で、ポールのそれはリズミカルでわかりやすい。

ハワイ出身の盲目のミュージシャン、ショーン・イシモトのステージを見たとき、若いのにビートルズは一通りおさえているらしいと感じた。

コード進行とメロディは、諳んじていても歌詞はなかなかすべてを正確には歌えないもの。
リクエストがあると点字で書かれているらしい歌詞カードを手指で探り確認してから演奏を始める。
バッキングを手伝うマシンらしきものも使ったかもしれないが、視認できない状態でリクエスト曲を演奏しながら歌う様に驚いた。

エレキ・ギターを膝の上に置き、左手でフレットを押さえながら右手でピッキングする。
あたかもスティール・ギターを弾くように、エレキ・ギターを弾くのは、ポジションを眼で確認できないからこその策だろう。
ピアノを弾くように左手が動きメロディが奏でられる。

そのショーンが歌うポールの佳曲「I Will」が素晴らしい。

「I Will」は、69年のホワイトアルバムに収録されていたようだ。
当時リンダにお熱を上げていたポールが作ったということで、ストレートな恋心が伝わって来る。

「君に会った時から僕はもう夢中さ、、」

ポールがギターを弾いて、ベースを口でレコーディングしている。
ジョンがなんとボンゴか、パーカッションを叩いて、ジョージは別のレコーディングをしていて参加していないとか。

簡単そうに聴こえるこの曲を69テイク録って、67テイク目を採用したそうな。
すごい。
気の弱い人間なら10テイクもやればエンジニアに申し訳なくて「もういいです」と言いたくなってしまう。

改めてこの楽曲の魅力をポールとショーンとで比べてみれば
循環コードの進行の上に駄目押し確認するかのようなリズムのポールに対し、ハワイらしく流れるようなリズムを展開するのがショーン。
そしてコードの変わり目にスケール練習のようなフレーズを入れてさらに滑らかさを強調している。

考えてみればハワイ音楽の魅力はゆったり感と軽快なリズムにある。
ポールがストレートに恋を歌い上げるのなら、爽やかにハミングするかのように歌うのがハワイアンスタイルか。

アコースティック・ギターで弾いたのかウクレレで弾いたのかわからないが、ポロポロンと流れるショーンのフレーズは聴いただけで
ビートルズへの愛情とリスペクトを感じる。