夢の介音楽夜話

音楽、アート、グリーン、クラフトなどなど徒然なるままに

私のたった一つの

2016年11月24日 | 日記・エッセイ・コラム


京都に立ち寄った折、俗に「縁切り寺」と言われる寺があって参拝客が絶えないという
遠方からやってきて願をかける、世の中にはそれだけ縁を切りたい人間がいるということだろう

先般来報道番組を賑わせている元女優の方を見て、縁戚だというおばあちゃまのことを思い出した
引っ越して間もない頃、犬を飼い始めて近隣の公園に出かけてはギターを弾いたりして休日を過ごすことがあった

待たされている犬は迷惑だったかもしれないが、大きな樹木に囲まれてポロポロ爪弾く下手なギターは自分にとって一服の清涼剤
そこへお品のいいおばあちゃまがやってきて雑談に興じる

ハワイの音楽やギター奏法の話やら、やがて郷里の話になった
女優の彼女はおばあちゃまの姪にあたるらしく、訳あって私の郷里で育ったという

姪っ子を自慢するのでなくて決して幸せな生い立ちでなかった彼女を不憫に思う情が伝わった
家に帰ってからその彼女とは、ハワイの素潜りで知られた人であることを知った

人気TVドラマの小料理屋の女将で出ていた頃は、個性を押し殺したような雰囲気がぴったりだったように思っていた
そう、おじさん達はいつも小さな店で話を聞いてくれるもの静かな女性を求めているのだ

おばあちゃまはフラを楽しんでいるらしくて当地で演奏をやってほしいと言われた
もう愛犬は亡くなったし、あれから随分時間が経った

女優さんには会ったこともないし番組や報道、著書でしか存じ上げない
ただ何か断ち切りたい過去とのしがらみがあるような気がしてならない

あの時のあばあちゃまの顔に写った憂鬱は何だったろうか



MFSB - My One And Only Love

ハンドメイド

2016年11月17日 | クラフト


あるウクレレのライブに出かけた折、手作りのウクレレを抱えた方お二人に居合わせて驚いた
もちろんそれを専門、職業としていない方たちで、近年こうしたビルダーが多くなってきた

長引く景気停滞は思いがけぬ才能を引き出し、稀有の製作家を生み出す
ウクレレが話題になりかけた頃か、一級建築士の方が仕事がないので暇に任せてウクレレ作りをやってみたという

拝見すると定規で仕上げたような完璧な出来で、つい「ウクレレってもうちょっとアバウトな作りですけどね」と余計なことを言ってしまった
「いやあ私の性格でどうしてもこうなってしまうんですね」と自嘲気味におっしゃっていたのが印象的だった

大手百貨店を早期退職された方も数ヶ月の専門学校での訓練を経て職業としてウクレレ作りを始めたという
もともと作ることがお好きだったわけではなくサラリーマンはもういいやということで思い立ったとおっしゃっていた

楽器のデザインやアイデアについては非常に興味がある私も、フル工程でウクレレを作ったことがない
インレイやフレット打ち、塗装など体験をした程度なので、木材から加工して塗装まで仕上げたお二人には頭が下がる

友人に専門家がいらっしゃるとは言え、バインディングやオイルフィニッシュの丁寧な仕上げは完成度が高い
もう一方は航空用ベニヤという特別な素材を使用して独特の構造をしていた

ネックの傾斜角度をつけない代わりにゼロフレット構造のダンパーで弦を押さえ、テンションが和らぐ効果を得ていた
どうしても鳴りが小さい点はピックアップでカバーする工夫がしてある

こうした作品を持って歩き演奏を披露する、好きな方がいれば話が尽きない
そしてその作品には人の性格やら趣味の傾向、人となりが出てくるから面白い

モノづくりには工具やらノウハウ、材料が必要だが、念じれば叶う
まだまだやり残していることが多い

38 Crazy Handmade Ukuleles

くよくよするなよ

2016年11月10日 | 日記・エッセイ・コラム


アメリカの決断は、英国のストレスを思い出させる
確か先住民を除けば移民の子孫たちの国が、移民を拒んだり自由主義貿易を保護主義的なメッセージをぶちあげたりと、世界中に戸惑いを与えている

黒人初の大統領オバマさんが登場した時は感動した、ましてや彼がハワイ出身と聞いて更に親しみを持ったものだ
何より格調高いスピーチはアメリカを代表するインテリジェンシーを感じさせてくれた

しかし黒人を差別する白人警官の行動や時代の流れに彷徨う経済、産業の停滞などを見れば、相当不満がくすぶっているのだろう
そうしたガス抜きというプロセスが、残念ながら人間社会には必要なのかもしれない

先の大戦で日本やドイツが犯した誤りは、国内世論の中にきっと鬱積した何かがあって起こったに違いない
群衆はいつでも「そうだ!そうだ!」と言わせてくれる誰かを期待して待っている、、、だからこそ今回の大統領選は心配したのだ

軍の撤退やキューバとの国交回復などオバマ政権の功績は大きい
アングロサクソンが支配するアメリカの白人社会でよくぞ舵取りをやってくれたと遥か彼方から思う

ただアメリカがリードしてきた自由主義経済産業界の流れは明らかに転換期を迎えていてなお、方向性が定まらない
日本がたどった復興の道を中国以下アジアの国々がトレースしている今、親方たちがどうしたものかと困惑している

飛ぶ鳥を落とす勢いであったはずの日本の企業がアジアなど外国資本に吸収されたりと、おかしな現象が続いているではないか
経営に失敗した企業には必ず保守的な企業体質やガンとなる悪弊があるもの

今回のアメリカの決断は、蜜月時代はとうの昔に終わったと受け止めて、島国をどう自力で守るかを考えるべきだ
他力本願の時代は終わった


E.Clapton - B.Dylan - Don't Think Twice, It's All Right - LIVE

Moon River - Clapton & Beck