夢の介音楽夜話

音楽、アート、グリーン、クラフトなどなど徒然なるままに

カントリー・ブルース・ギター

2016年10月24日 | 音楽


学生時代の部室は、おそらく戦前に建てられた木造の安普請の一棟だった
ここに10以上の音楽団体が活動をしていて秩序が保たれていた

一階の大きなスペースはオーケストラとビッグバンドが、二階の小部屋はハワイアンとカントリーがというふうに
歴史を紐解けば軽音楽という大きなくくりの中で生まれたサークルの中でジャズやハワイアン、カントリー、タンゴといった音楽ジャンルごとに分化していったらしい

当時のハワイアンとカントリーは親戚のような関係だった
練習日を月水金と火木土に分けて部室を共有したのは、高価なミュージカルアンプを共同購入した経緯と何より楽器編成が似通っていたからだろう

当時のハワイアンは、スティールギター、ピックギター、エレキギター、ウッドベース、ビブラフォン、スネアとハイハット
カントリーは、ペダル・スティール、エレキギター、エレキベース、ドラムスにテンガロンハット、、

当時は垂涎の的だったACETONEのボーカルアンプや ベースアンプや FENDERの SUPER REVERBなどが共有だった
片方が仕事で使う場合はもう一方は練習を制約されるといった具合に、融通し合って成り立っていた

当時のロックの台頭は、強い影響を与えてとりわけベースやギター奏法に変化が起こった
ツービートやエイトビートがより複雑に細分化されていってフュージョンといった世界がもてはやされるようになる

カントリーといえばテレキャスターというイメージが強い
明るくて歯切れのいいサウンドが魅力だ

ヴィレッジ・シンガーズの小松さんが熱烈な愛好家でいらしておそらく何台も所有されていると思う
ある時包帯をしていらしたので「どうしたんですか?」と伺うと(ギターを弾きすぎて)腱鞘炎になったと聞いてますますお人柄を感じてしまった

さてこの歯切れのいいギター、チェット・アトキンスやジェームス・バートンといった達人がいとも簡単に繰り出す
その昔ベンチャーズのノーキー・エドワーズにしびれたのは、どうやらこの奏法に秘密があったような気がする

ギターの奏法は世界中に星の数ほど存在しそうな気がしてくる
だからこそ飽きないし、探し求める




 



Albert Lee With Emmylou Harris, Rosanne Cash and Rodney Crowell : Country Boy (1983)

Chet Atkins Albert Lee James Burton I Got a Woman

Albert Lee and his daughter Alexandra at the James Burton International Guitar Festival 2009











達人のレシピ

2016年10月20日 | 音楽


売れっ子ドラマーの「自分流のレシピがある」という話を聞いて妙に納得した
弦楽器にしてもなかなかお手本の通り弾けないもの、あるレベルを超えたら自分流を探すことになる

先般久しぶりにお会いしたAさんとスティールギター談義になった
「ぼくはBilly Hew Lenが好きなんですよ」と伺って嬉しくなった

第二次大戦で日本軍の砲撃を受けて左手を負傷した彼は、手袋状の革巻きにセットされたバーで弦を押さえる
バーをスラント(傾斜)させて和音を瞬時に変えることなど左手のテクニックに制約があるから独自の奏法が編み出されたのだと思う

スピーディなバーさばきはかえって流麗なコードワークという結果になってファンを楽しませてくれるのだと思う
74年のマイラ・イングリッシュ、サニー・チリングワースとのライブ映像が素晴らしい

ジェリー・バードもナッシュビルから来た大物、別格扱いとするファンが多い
8コースのリッケンバッカー、通称フライパンと呼ばれるアルミ製のスティールギターは今だにマニアの垂涎の的だ

最初のプロトタイプは木製だったようで型枠から生産されたのだろう
しかしアルミで作ろうとした発想と木製への固定概念をひっくり返すような音色はいつ聴いても驚く

性能競争で進化する電気製品とは異なって、オリジナルを良しとする楽器の世界もまた面白い
とりわけ木製のギター類は、50年60年という歳月を経てくると乾燥が進み、軽くて、音を出すためだけの物体に進化するようだ

そして楽器の性能に加えて神の域に達した人、達人の味わいに感動する
なめらかで美しい、いつまでも聴いていたくなるような心地よさを与えてくれる

達人のレシピを手に入れたところでなかなか真似ができない
それが芸事の世界、どの世界も同じことか


"Alekoki" - Mele Hawaii Blue Dolphin Room 1974

Jerry Byrd, on his life and career.. and a song, Part 2

なんくるないさ

2016年10月15日 | 音楽


アイランド・ミュージックには底抜けの明るさとそこはかとなく漂う哀愁がある
豊穣を願う神への祈りだったり、コミカルな男女の艶話だったりする中でしんみりするようなバラードが聴ける

沖縄の音楽に西洋のリズムを取り入れようとする動きは早くからあった
エレキベースやドラムスを入れてよりポップスに仕上げたい

一方でライ・クーダーがゲット・リズムでやったように沖縄の音階や拍子を取り上げる試みもある
ライがライブでハワイのいわゆる「ヴァンプ」をしばしば演奏するようにオキナワンの音階とエキゾチシズムは魅力なのだろう

「ダンシング・キャッツ・レコード」を立ち上げたジョージ・ウィンストンが両手に抱えて買ってきたCDが全部沖縄ものだったことも懐かしい
車の後部座席から早口の英語でのべつまくなしに話しかけられた送迎の道中は、大変だった

今や「ダンシング・ねこう・レコーズ」はスラックキーギターを愛するファンの貴重なライブラリになっているようだ
長い指で弾く彼の7弦ギターは、独特の世界を表現していた

日本人は圧倒的に前ノリの拍子を取る人が多い、先般泉谷しげる氏が演奏しようとしたら手拍子を打とうとする客に「やめろ!どうせ合わないんだから」と一喝していた
最近のリズムアレンジでギター一本のストロークで歌おうとするのに「手拍子」は邪魔だったというわけだ

ハワイものを演奏しようとすると良かれと思って手拍子を打ってくれる方がいるが、これは迷惑だ
ハワイ音楽の繊細さとグルーヴを表現しようとしているのに能天気な手拍子は雰囲気をぶち壊しにする

さて映像の少年のドラムスがいい
結局オキナワンは「バック・ビート」だったのかと思わせるような思い切りの良さ

ジョージ・ハリスンが重用したジム・ケルトナーは、リンゴのドラミングを意識して叩いたそうな
強力に安定したリズムの上で超高速のフレーズが飛び交う、ひらめきか無意識に手が動いているのか

島に住む人の繊細さと優しさを思うこの頃



りんけんバンド 「なんくる節」

Ryukyuan music 黄金三星(Kuganimichihushi)(Golden three stars) Rinken Band 上原知子

アーユーロンサム、トゥナイト?

2016年10月14日 | 音楽


ワイトイズワイト、ディランはディラン、懐かしい楽曲だ
ビヴァ・ドノバンと、誰が歌ったのだろうか、ワイト島でどんな音楽が行われたのか、曲を聴いてヨーロッパに思いを馳せた

ノーベル文学賞がボブ・ディランにと聞いて、同じ時代を生きた者は悪い気はしないだろう
変わり者の兄貴がまた何かやらかしてくれた、やっぱりな、と

奇行で知られる彼は、時折とんでもないエピソードを提供してくれる
雨の中、売り出し中の別荘地をうろついている怪しい男を警官が尋問したら、何とボブ・ディランだったとか

男のダンディズムとは、とかミュージシャンの生き方をさりげなく示している
スマートではないし、失敗しそうな危うさがまたいいのかもしれない

ちょうど絵画で言えばヘタウマという範疇に入りそうなそんな不思議な人だ
いや変わり者でもいい、いい音楽ができさえすれば

最近怠けているが、思い立って制作した音源をYOUTUBEに UPする
広く見てもらいたいというよりも、知っている人に聴いてもらいたい伝達手段として

そして時折チャンネル登録ということをしてくれる人がいて「ホーッ!」と思う
その大概の方は横文字、外国の方のようだ

コメントでもくれれば一生懸命英語で応えようとするのだが、
いや言葉はいらないのかもしれない、音楽でいいのだ


Are you lonsome tonight ? by yume

クルマ作りと経済効果

2016年10月11日 | 日記・エッセイ・コラム



東京駅八重洲口で待ち合わせをしようとしたらスポーツカーの展示スペースがあった
道行く人が立ち止まっては写真撮影をするそのクルマはホンダのNSXだった

チェーン駆動のS600に憧れた少年時代のあの頃からすれば隔世の感だ
四輪車を作り始めた頃のホンダ車は確か数十万円だったはずだが、目の前のスポーツカーは三千万円近い価格が設定されている

ディーラーにこの話をしたらすでに複数台売れているというではないか
欲しい人がいるのだよ、この世の中には

財政出動と金利政策だけの経済政策に批判の声が上がっている
円安誘導は輸出関連産業の元気を取り戻したかに見えたが、先行き不透明感と何より不況で安いものしか売れないし店じまいが多い

クルマ作りはデザインの占める比重が大きいと思うが、何より設計のコンセプトが重要だ
大枚をはたいて耐久消費財を購入する未来が描けないのと、生活を楽しくさせるような製品が出てこない

マイナーチェンジの繰り返しと価格の高騰では、必要に迫られなければ買うわけにはいかない
またメーカーは性能の向上だけでは不十分だと思うのだ

ライフスタイルの提案まで考慮しないことには経済の行く末は何ともはやお先真っ暗だ
これを産業界に求めるのか、経済界か、はたまた政治にか



Far Away, Rev. Dennis Kamakahi

Dennis Kamakahi - Far Away (HiSessions.com Acoustic Live!)