夢の介音楽夜話

音楽、アート、グリーン、クラフトなどなど徒然なるままに

テント公演

2016年04月03日 | アート・文化


「サーカスに売られる」など暗いイメージがあったのは遠い昔の話、今やオリムピック競技を芸術レベルで楽しみたいという時代になった
お台場で公演中の「シルク・ド・ソレイユ」のシルクとはサーカスのことだった

1984年にカナダの大道芸人から始まったというこの集団は4千人のスタッフを抱える大企業
スポーツ音痴で高所恐怖症、泳げない、と三点揃って非の打ちどころがない私にとって、こうしたショーで気になるのは音響と全体のコントロール機能

巨大な仮設ドーム内の空調や照明、音響機器、そしてそのコントロールはどうなっているのであろう
ドーム上部からロープを下げたり吊り上げたり瞬時に空中ブランコをする「ロープさばきのメカニズム」は電子制御されているに違いないなどと想像する

30余年の歴史はこうしたメカニックの開発を伴ってきたのだろう
中央のステージに向かう花道は人を乗せて大蛇のように自在に曲がる

ドーム内に設置された音響機器はハウリングや箱鳴りを制御しながら、なお音の伝達スピードを計算している
あたかも天から落ちてくるような太鼓の音が聴こえたり、大音量の音楽の世界に巻き込む

プログラミングされた音源に10数名のミュージシャンたちが会場で音を重ねる
テーマ音楽が流れる中で、ショーの進行に同期してドラムスや効果音が鳴る

舞台の奥まった上段にオーケストラボックスのようなスペースがあり、そこでショーを見ながら演奏をするのだろう
そうしたミュージシャンたちがステージに出てきて演奏する場面は新鮮だった

フラメンコをイメージした場面でギターが二人、ギタロンのような形状のベースとパーカッショニストたち
どこまでが生音なのかわからないが、奏者が見えるだけで納得する向きもある

テーマごとの公演を世界各国の常設またはツアー会場で行っているようだ
世界から集う演者たちが生活を共にする日常も気になるところ、人間関係がうまく行かなければ大事故につながる

ビートルズやプレスリー楽曲をテーマにした公演もあったようだ
大道芸からサーカスへ、ミュージカルの要素を取り入れたり、、、

アートから展開するビジネスモデル、新たな世界を垣間見た



Cirque Du Soleil - Totem

Quidam - Cirque du Soleil

review of Cirque du Soleil's new show Kurios

Top 10 Cirque du Soleil Shows

Cirque du Soleil: "Totem" ? - 01 Omé Kayo

美しいフラ

2015年08月01日 | アート・文化


フラはあくまでも美しくあって欲しい。
その昔、ステージへ向かうクムフラから話しかけられた時の爽やかな記憶が忘れられない、ステージに立つ前から漂う気品というものを感じたからだ。

ステージにはレイ・カーネ先生がスタンバイされていていつものヴァンプを弾きはじめる。
するとどうしてもいつもの曲になってしまい、目的の曲にならない。

苦笑しながらフラガールたちがまたスタンバイする、そうしてまたヴァンプがはじまると同じ結果になる。
会場も笑いに包まれるが、そのうち心配になってくる。

カーネ先生はお構いなしで、「ソリー、ソリー」
なんとか目的の曲を演奏しフラガールたちは無事(?)フラを終えることができた。

神に捧げるという厳粛さと性への礼賛、ストーリー性と隠された裏の意味、楽園の踊りは「高度な遊びの精神」を備えている。
どの国の踊りも音楽、歌と一体化された完成度が感動を呼ぶのではないだろうか。


閑話休題、郷里の金融機関にビジネスプラン募集みたいなポスターが貼られていた。
家康くんのイラストがあったことから市がバックアップした地域活性化プログラムの一環だろう。

郷里は、川と湖、海といった地の利、温暖な気候、古戦場であった台地が広がり、家康くんの江戸以前からの伝統「ものづくりの風土」から産業が起こった。
木工、織機、楽器やバイク、自動車といった産業は、高度成長や生活様式の変化とともに発展してきた。

しかし景気の後退と日本全体を襲った産業の空洞化は、ものづくりの街をシャッター街化するまで追い込んだ。
ポスターの詳細はわからないが、そうした郷里を取り巻く深刻な経済事情を物語っているのではないだろうか。

翻って見るにこれまでの「ものづくり」なり「ビジネスモデル」誘致は、単体で機能する企業やモデルの受け入れでしかなかった。
それはネット社会の到来と中国はじめ東南アジア諸国の台頭とともに、より複合的な要素を求められている。

織機やオートバイ、楽器といった「モノを作れば売れる」という時代をはるかに通り越して混沌とした状況を突きつけられている。
もはや求められるビジネスプランとは産業や企業といった括りを超えた資源を生かすモノでなければならないと思う。

金融機関はそうした資源や情報が集中する宝の山であるはずだ。
ポスターを貼って汲汲とするのでなく、自らアセンブリメーカーとしての機能を発揮すべきではないか。


美しさとは内面から出てくる知性や理性、精神的なものも含めて光り輝やくものだと思う。
嗚呼、あの時のクムフラに逢いたいものよ。




Beautiful Hula / Polynesian Dancers

Hula Halau O Olana 2014 - Uhiwai - Wahine - Auana

トリプル・ネック・ギター レヴュー

2015年05月29日 | アート・文化



複数のネックを備えた一台のギターを「マルチ・ネック・ギター」と呼ぶ。
眼にするところでは、6弦と12弦ネックの「ダブル・ネック」だろう。

ソリッドのエレクトリック・ギターが開発されて以来、一台のギターに複数のネックを取り付けることは容易になった。
複数のネックをセットする目的は様々だ。

複数のチューニングで弾きたいというスティール・ギタリストのニーズは、ダブルからトリプルへ、そしてフォー・ネックへと行き着いた。
歴史の中ではレボルバー式の回転物も開発されたようだが、演奏中の持ち替えスピードの観点からフェンダー社で有名なダブル、トリプル、フォーネックが普及した。

ギターでもオープン・チューニングなど瞬時に持ち替えするため6弦のダブルネックという発想もある。
もちろん、スティール弦とガット弦、12弦と6弦など音色の変化を目的とする場合もある。

ギターとマンドリンやウクレレ、ベースといった異種の弦楽器の組み合わせも多い。
これらを一台のギターに搭載するには、小型の楽器が大きなボディに組み込まれることになる。

ここでは専門家の志茂さんの言葉が印象深い。
例えばアコースティックのウクレレとベースの場合、同じボディを介して共鳴するため予想外の共鳴音が出る。
従って「作ってみなければわからない、面白い音が出る」というわけだ。

そうした多弦ギターの極致が、パット・メセニーがカナダのリンダ・マンツァーに製作依頼した「Picasso」だろう。
「一台のギターに何本の弦が張れるだろうか?」というトライアルで始まったらしいこの作品は彼女の代表作だ。


先般志茂さんの近作、「Alani's Triple Neck」を拝見した。

ハワイで生まれたウクレレ、スラックキー・ギター、スティール・ギターの三種の楽器をソリッドボディに収めた傑作だ。

基本となるボディ・サイズを「テレキャスターのケースに入ること」としたという。
仕上げもビンテージのテレキャスターのよう、色むらのあるようなクリームホワイト系の薄いタッチの塗装。

全体に小ぶりで、驚くほど軽い。
ギターを上部に持ってきたのはデザインとバランスの両面で正解だ。

8弦スティールギターをギター達と同じ面位置にセットしたのはスティール・ギタリストならではの発想だ。
「膝の上で弾くラップ・スティール」スタイルを採用したらしい。

ギターはソリッドでありながらアコースティック出力をイメージした6弦。
ヘッドは、フェンダーを彷彿させなお「Shimo Guitars」を印象付ける形状。

センターの4弦ウクレレの収まりがいい。
弾きやすいことと、ソリッドなのにボディが共鳴している、
これはスティールの指板の下がホロー構造になっていることと密接な関係があるようだ。

スティールはフェンダー系のイメージを引き継ぎながら、ウッドのハワイアン・ギターを強烈に意識している。
いわゆるフェンダーの分厚いソリッド・ボディから出る低音弦の音色を実現しながら、オアフとかローカルなハワイアン・ギターを彷彿させる。
弦間隔にもスティール・ギターの達人ならではのリクエストが寄せられたようだ。

ピエゾによるアウトがそれぞれ独立しているのも志茂さんらしい。
細かいことを言えばギターとウクレレは、PAにつなげる前のイコライジングが異なる。
そしてスティールはミュージカルアンプを通した方がよりスティールらしい音を期待できることから、すべて独立した方がいいからだ。

立奏し、膝の上でも弾くという演奏スタイルからこのコンパクトさは、重宝するだろう。

このトリプルネックの出来は、志茂さんの弦楽器作りの集大成といってもいいかもしれない、それほど完成度が高い。
ビルダーは注文に応じて作るのだが、志茂さんは演奏スタイルやその人、音楽そのものまで研究し、それらを作品に反映している。
さらに経験に基づいたテクニカル・サポートを作品に込めるし、フォローもする。
ミュージシャンが頼りにしたくなるというものだ。

随分昔のこと「The Hawaiian Band」というマルチネック・ギターのアイデアをお持ちし、志茂さんにお手伝いしていただいた。
一旦完成したが、さらに改良の途上、早く完成して陽の目をみなければ。

「ものづくり」と「考えること」

「夢を実現する」ことが、ミュージシャンの夢だ。

















1961 Gibson EBS 1250 Double Neck Guitar

Andy Manson, Led Zeppelin, John Paul Jones style triple neck at The Fellowship of Acoustics

Fusetar 'Lucifer' - custom 3 neck Guitar & Setar instrument - Shahab Tolouie

Buddy Merrill plays "South" on the Fender Steel Guitar

5. Pat Metheny - Into The Dream

ギター・デザイン

2015年02月10日 | アート・文化



楽器のデザインは楽しい。
「こんな楽器があったらなあ、、」と夢を膨らませながらスケッチブックに鉛筆を走らせる。

とりわけソリッド・ボディで作るエレクトリック・ギターならかなり自由なデザインが可能だ。
そして世界各国で作られた量産型のギターにもユニークなものが多い。

それも高級品でなくプラスチックや思いがけない素材を使った土産品のようなチープなものがいい。
グレッチのバンジョー・ウクレレ、それもオール木製のペイントされたものなどは可愛い。

アメリカ製の古いものにもつい欲しくなってしまうようなデザインがある。

ダン・エレクトロ製のユニークなギターも素敵だ。

まるで「きんつば」の製造工程のようなボディにリップ・スティック型のピックアップ。
日本人ではなかなか思いつかない大胆なボディとピックガードのデザインに感嘆する。

1912年ニューヨーク生まれのネイサン・ダニエルは、オーディオ電気少年だった。
TUBEの位相反転の開発、発明を行い、エピフォン社のアンプ開発を手がけたようだ。
その後エレクトリック・ギターの開発を行うようになる。

リップスティック型のピックアップは今でも「Tailor」社のエレアコでも使われているが、元来ノイズ対策が発想だったという。
実際の化粧品用リップスティックのメーカーから仕入れて製造していたというから面白い。
いわゆるスルー(通し)ネックでなく、ボディまで通したアルミ製角棒の周辺を木材で張り合わせるネックというアイデアもユニークだ。

シアーズ・ローバックという通販のシステムに乗っかったビジネス展開もアメリカらしい。
「カタログで見て注文するワクワクさ加減」を見越したデザインはそうして生まれたのだろうか。

「Fender」社のカラー・ヴァリエーションはカタログの1ページを埋めるほどであったし、今もなお愛され続けている。

その昔日本製の「Teisco」がカラフルなエレキギターを輸出モデルとして米国へ送り出した。
ライ・クーダーが好んで使って再発されるなど、あの頃の日本メーカーの開発の勢いは素晴らしかった。
昔から「Fender」等「Copy」ものビジネスはあったが、やはりオリジナリティを発揮したものの方が楽しい。

そして美しいデザインのモデルは、数十年を経てまた世に出てくる。
世代を超えて、あの頃の音楽とともにギターも蘇る。

「Oldies but Goodies 」



Review Demo - Danelectro '67 Heaven

10 Guitars That Changed Music Forever: #1 Harmony Danelectro/Stratotone

Danelectro Guitars NAMM 2015


New Digitech Trio at NAMM 2015

Playing Blues with the Digitech TRIO