台湾客家料理「新竹」 (タイワンハッカリョウリ・シンチク)
客家とは、中国広東省、福建省、江西省などの山間部、台湾では桃園、新竹などに
居住する華北から移住してきた漢民族であり、移住先の原住民から見て「よそ者」で
あるため「客家」(ハッカ)と呼ばれるのだそう。
本日はその客家の郷土料理が味わえるお店への訪問。
場所は、御徒町駅 南口改札から徒歩5分。近くには台東三郵便局がある。
実は当日、予約の電話を入れたところ16時30分を回っても誰も出なかった。
夜の開店時間である17時近くにようやく電話が通じ予約の時間に店の前に
到着したところ「準備中」の札が!
ひるまず扉を開けて入店すると、すでに先客は2組いるではありませんか。あらら。
店内は円卓(丸テーブル)中心で大衆的な雰囲気。
一応、厨房前にカウンター席はありますが、使用されている気配はしない。
「相席になるかもしれませんが、よろしいですか?」
と愛想の良いお店のお兄さんの案内で中ほどの円卓へ。(というか、相席前提)
すると、厨房内にいらしたのかお店のママさんがでていらして
「ああ、電話をくれたお兄さん?」
と笑顔で対応してくれた。
店名はママさんの故郷である「新竹」からとのこと。
テーブルの中央には、酢、胡椒、爪楊枝、激辛唐辛子味噌。
割り箸は箸立ての中にまとめて入っており、小皿もたくさんご用意いただけますが
「小皿の使用を控えめにお願いします」という店内張り紙もあり。
着席後にはタオル地のおしぼりをいただけ、まずは生ビール@470×3。
連れ(寝太郎さん)は吸い込みがよいのであっという間にお替りです。
ママさんのおすすめは、壁に張られている季節メニュー。
6・7・8月のみのもので、ラストになるという。
緑竹筍@1,200
タケノコを茹でてマヨネーズで食べるというシンプルなもの。
運ばれてきたときは、フルーツかと思っちゃったわ。
なかなかジューシーで甘みさえ感じます。
(レンタロー) オラも、オラも♪ ごっちゃんになる
いつものように、ブログのマスコット、パンダのレンちゃん登場。
すると、お兄さんも、ママさんもレンちゃんを発見して声をかけてくれたし、
ママさんはちょこんと頭を撫でてくれたりして歓迎してくれました。
優しい人たちだなあ~。゜゜(´□`。)°゜。
台湾カラスミ@1,000
寝太郎さんの好物。カラスミにして、このお値段は注文しやすい。
とりあえず、これを出しておけば彼の酒の肴になるというわけ( ̄▽ ̄)v
その間に他のお料理も決めよう。
薬味には、白ネギ、ニンニク。
カラスミは、ねっちりとして塩辛く熟したチーズのようにコクのある味わい。
紹興酒は台湾産が主流。唯一あった中国産瓶入りは置かれなくなったのだとのこと。
これは、困った。台湾産は口に合わないことが多いのだ。
ここは、どうする。デリケートな寝太郎さん。当店には「来来」さんのようにワインないよ。
(寝太郎) はい、台湾紹興酒いきます・・・。ぶるぶる。。
陳年 ボトル(台湾産5年物)@1,990よりスタート。
私は飲み終わった後、紹興酒でグラス売りできる赤ボトル(台湾産3年物)
グラス@420×2を追加。 なみなみと入っていたのが嬉しい。
寝太郎さんは、やはり難しかったらしく、追加はレモンサワー@400×2に。
仕方ないなあ~。
梅菜扣肉(台湾高菜と豚バラ醤油煮)@1,050
ママさんのおすすめ。当店の看板メニュー。
ダイナミックに盛り付けられた梅菜(カラシ菜類の漬物)は自家製。
※「梅菜」とは梅雨の時期に漬けるから。
さっそく、箸をつけてみる。
少し唐辛子も感じましたが、八角を使わず熟成された梅菜の味で食べさせてくれる感じ。
普段だと、くどくなって途中から脂身部分を遠慮してしまう自分ですが当店のものは違う。
豚バラ肉の脂身まで味がきっちりしみこみ旨みが入り込んでいる。
味付けは、醤油ベースにお砂糖も使われているようですが、甘すぎず、やたら、うんまい!
ママさんのお話によると、本当はもっとしょっぱいらしいのですが、日本人むけに味を
控えめし、梅菜効果は、脂をまろやかに、肉を柔らかくしてくれるのだそう。
これは、白飯が食べたくなる味だ。
後に記しますが、客家料理を代表する味わいの一つです。
ママさんのご厚意で、お料理に使われているご自慢の梅菜を見せてくださいました。
(撮影許可有) 黄色く漬け込んだあと天日干しにされるとのこと。
右の俵状のものは8年もの。
これを、梅菜扣肉(台湾高菜と豚バラ醤油煮)に使われるのだ。
左の紹興酒の空き瓶に入れたものは、1年干して戻したもの、客家飯に。
当店が雑誌に出たとき、鳩山元首相は3回食べにいらしたんですって。
(ノブロー&レンタロー) 多謝。兄ちゃん、ありがとだ。
心優しいお店のお兄さんが、客家飯(台湾高菜と挽肉の醤油煮丼)にのせる
台湾高菜と挽肉の醤油煮を小皿に少し出してくださいました。
ママさんいわく、1年ものはまだ酸味があるとおっしゃっていたけど、
その酸味に角がないんですよ。
旨みも凝縮されていて、 あー、ごはん、ごはんが欲しい~~ヽ(*≧ε≦*)φ
ところで、麺はどんな感じなのでしょう?
ママさん推しは、炒米粉。
炒米粉(新竹ビーフン炒め)@840
「湯米粉(スープ入りビーフン)よりも?」
ママさんの答えは、変わらずにっこりと炒米粉。
じゃあ、そうしてみよう。ママさんのおすすめは本日外れがないもの。
こうして運ばれてきた炒米粉は圧巻のボリューム。2人では険しい量。
ニラ、シイタケ、ニンジン、キャベツ、干し貝柱、干しエビなどの具材がみっしりで
”干し”が味の決め手。味付けは塩、胡椒などのシンプルなものですが香ばしくて美味い。
こちら、卓上の激辛唐辛子味噌。
寝太郎さんは炒米粉につけて食すと美味しいと申しておりました。刺激的です。
スルメと肉とセロリ炒め@1,050
ほか、野菜はネギ、ニンジン、干しシイタケなど。
化学調味料を使わず、自家製スルメの旨みを使い味にコクを出されています。
味付けは濃く、オイリーなため、油っこいお料理が苦手な方にはあまり食が進まない
かもしれませんが、これも客家料理の特徴になります。
店頭にはお弁当コーナーもありましたので、まず持ち帰りは大丈夫であろうと
思いましたがお店のお兄さんに可否を確認。結果、持ち帰りOK。
フードパックをご用意いただけ、先ほどの炒米粉、残った分をセルフで
詰め込み作業です。
円卓(丸テーブル)では、もちろん私達も相席でしたが、そのお客様がお帰りになり
会計間近には、ママさんが隣に座られ客家料理についていろいろと教えてくださいました。
まず、梅雨前線の時期に漬けられる「梅菜」ですが
当店では、塩で柔らかくしたあと足で踏み、水がでてきたあと自然発酵に1ヶ月以上の
時間をかけ、黄色く(みかん色)になった梅菜を干すという工程をかけるそう。
保存食として醗酵食品(漬物)は大事な要素。
これはいつでも移動できるようにという客家の食文化からきているようだ。
ママさんから教えていただいた客家料理の特徴としては4つ
1.味は濃い目・・・1品でご飯がたくさん進むように。
2.油っこい・・・民族移動、「よそ者」扱い、労働のためのカロリーが欲しい。
3.特別な香辛料は入らない・・・贅沢ができないため味付けのベース最小限。
ネギ、ショウガ、ニンニク、煮る、炒め物が多い。
4.移動して山を開墾して生活、湿気があり、生のもの(魚料理)を食べず
川魚が少しぐらい。山の幸(タケノコ、シイタケ)多い。
スルメは1日と15日、ご先祖にお供えものとしてだされるものだという
(豚肉・アヒル・スルメ)
お話をお聞きして、客家の方々のご苦労が伝わり涙がでそうになりましたよ(ノ_≦。)
「台湾料理と比べると客家料理は特殊な香辛料がないため食べやすく
仕上っていますよ。」 とママさん。東京生まれで4歳で台湾に戻られた台湾育ち。
親切にしてくださるお店のお兄さんは息子さんのようだ。
御徒町に心温まる客家料理店あり。
ボリュームがあるため、できればある程度の人数でシェアしていただくのが理想かな。
個人的には台湾紹興酒がネックなのですが、寝太郎さんを鍛え上げ必ずまた再訪します。
お会計は1人当たり5,000円(千円未満は四捨五入)
★★★☆ (3.8) 消極的に大好きです。 ありがとうママさん。
《本日注文のお気に入り》 ・緑竹筍 ・梅菜扣肉(台湾高菜と豚バラ醤油煮)
・炒米粉(新竹ビーフン炒め)
台湾客家料理 新竹 (タイワンハッカリョウリ・シンチク)
東京都台東区台東3-14-9 水野ビル 1F
TEL 03-5688-1388
営業時間/ 平日 11:30~14:00 17:00~22:00
土 17:00~22:00
定休日 日曜・祝日