浪速おやじのつぶやき日記

川柳・都々逸・詩などでボケ防止

浪速夢見頃>小話5♪モナリザの思い込み

2015-01-06 15:40:51 | 小話

浪速夢見頃>小話5♪モナリザの思い込み
1999-7
 ある町に子煩悩で夫婦が仲良く生活していた。婦人は
何時も笑顔を絶やさないモナリザのような美しい人で
年齢は三十代で、近所の羨望の的で親しまれて暮らして
いました。 ある年の健康診断で小さな腫瘍が発見され
ました。大病院で精密検査の結果は軽い胃潰瘍と診断され
安静入院を勧められました。

 婦人はてっきり悪性の胃の癌だと思い込んで主人に
本当の事を言って欲しいと言い寄る日々が続いた、
息子にまで何かに付け大声で叱りつける事も多く
なりました。 派手な洋服を買い求めては友達と夜遅くまで
食べ歩くようになり子供の食事は主人がする役割に
成ってしまいました。
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 婦人は病気の事が気になり病院に出かけては同じ様な
患者と話込む様になりました、その内に死亡する人も
出ましたが、どうも自分の癌の症状が違うように思えて
何カ所も病院を変えて検査を受けましたが、どの医師も
軽い胃潰瘍だと診断しました。医学書も読みましたが
癌の症状が見あたりません。「モナリザの思い込み」4
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 どうも自分が癌だと一人で思い込んでいたと気付くのに
丸1年を経過していました、今日も文句を言わずに子供の
食事を準備をする主人の後ろ姿を見て涙が止まりません
でした子供の笑顔に頭が下がります。
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 痩せ細った自分の顔を鏡で見て間違った思い込みに
恥じ入り家族への償いの人生が始まりました、それ以後は
近所の人が羨むほどの笑顔のモナリザ婦人に復帰して、
仲の良い家族に戻りました。
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